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第四章 脅威は広がっていた

第48話 気づき

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 そうあの時から、颯司という存在が、私の中で変わった。
 幼馴染みと、頼りになる仲間。

 そしてその能力から、憧れる。
 そうアイドルとかヒーロー。
 そんな感じの好きだった。

 でもあの日、私は死んだと思った。
 つぎに、半身が麻痺。
 そんな事を残念そうに喋る先生医者とそれを無視して連れ帰ろうとする家族。

 うん。この先生、治ってから検査に行ったら、廊下でで会った瞬間に、私を見て引っくり返った。

「絶対安静です」
「そんな事は分かっている。だから急ぐんだ。さっさと退院手続きをしろ」
「どうなっても知りませんよ」
 そんな事があった。

「大丈夫ですか?」
「君は、なんで立っている」
「えっ? 治ったから」
「そんなはずは、あの怪我で…… そんなはずあるかぁ」
 などと言って暴れ出して、先生は職員の人だろうか、ドナドナされていった。

 まあそんな事はいい。

 次に目を覚ましたとき、そうそう、重要なのはここからよ。

「大丈夫かい? かわいい雫」
 確かこんな感じだった。
「ええ…… ドジをふんじゃったわ」
 私は、憂いを持ちながら気丈に答える。
 そんな私を、慈愛と慈しみを持った目で彼は見つめる。

「相手は、どんな奴だ? 君の仇はきっと俺が取ってやる」
 そう、彼はそう誓ってくれる。

 ホントなら、上半身を起こしてキスなんて言う流れだけれど、近くに親もいたし、あの時それをされると、流石に歩けなくなるから彼は、しなかった。
 でもきっと、そうしたかったはず。
 そう物語の王子様のように……

 その後は、癒やしの風を吸込み…… と言うか押し込まれて辛かったけれど、あれはきっと彼のお父さんの風ね。
 体が、痛みやしびれて来始める。

 だけど、足が繋がっていることが分かる様になってきた。

 そうそう、死にかかって蘇った私は、彼への気持ち、その正体に気がついた。
 これから先も、彼と一緒に歩みたい。
 そして、彼の子どもが欲しい。
 私はそう思った。


 今も、私の横で、私の為に力を尽くしてくれる。
 好き。

 この気持ちは時と共に、大きく強くなっていく。
 だけど、朱莉。

 この現場でちょろちょろしている彼女も、きっと彼のことが好き。
 仕方ないわよね。
 ステキだもの。

 だけど……


 誰か、この状況を説明しろ。
 さすがにこの騒ぎ、他の先生達もぞろぞろと出てくる。

「こいつら、みんなで集まって、水祭さんを、襲うつもりだった様です」
「なに? それは本当か? 知らないと言うのはとことん罪だな」
 一部の先生は、逆に倒れている生徒を哀しそうな目で見る。

 その後、事件の詳細は語られず、全員が問答無用で停学をくらう。
 一部の保護者が騒いだら、その生徒は逮捕された。
 集団強姦罪未遂。
 参加をしていなくとも、その場に居れば罪に問われる。
 今回準備だったはずが、現場で何かがあったことは明白だと、一気に刑が確定。

 彼らは学校からいなくなった。

 詳細を見れば、訳の分からない事件、きっと一般人が知ってはいけない何かが動いたのだと、先生方は口を噤む。

「良いか世の中には、知らない方が良いことがあるんだ」
 なんとか停学で済んだもの達は、何を教えられたのか知らないが、命があることに感謝をしたとか。

 そして、こそこそとし始める一部の生徒。
 通常通り、変わらない生徒。
 何かを期待して近寄ってくる生徒。

 以降、周りが少し変わった。

 そして、知らなかったが、対外的には部室水没事件で被害者が出て生徒がいなくなったと、なにか学校の不思議伝説になっているようだ。

 給水管の破裂とか、まあ色々……

 
 今晩も、ぎゅっとして貰いアルバイトへ向かう。
 高校になって、難易度は上がっている。

 未知の相手は怖い。
 だけど、皆が一緒なら、私は大丈夫。


 あーしんどい。
 ダイエットをしているわけでは無い。
 自分で考え、技を極め、効率的に敵を倒す。
 そんな事をずっと考えている。

 陸斗は中学校の時、雫が死にかかったと聞いた。
 一時、半身不随だったと。

 あいつでもそんな目に遭う。
 どんな奴か聞いて愕然とした。

 気配無しの攻撃。
「俺でも対応できないだろう」
 颯司までが、弱気を見せる。

 そこで考える。
 立っている。
 相手も動かない。
 いきなり衝撃。
 物質を介さない攻撃だと、中間で壁を作っても無意味。

 視線を遮ることで、回避を行うのは有効かもしれない。

 そんな事を思いつき、ワンアクションで複数の板を相手との間にランダムに立てる。そんな事を思いつき試す。

 どっと抜ける力。
 俺達の力は、体内に宿る神にお願いして実行して貰う。

 その時、精神的何かが持って行かれる。
 あるときから、その量は圧倒的に増えている。
 だけど出力も増え、結果は一緒。

 だけど繰り返しの努力でそれは増える。
「ふふふっ。誰にも負けん。颯司もすぐに抜いてやる」

 遅ればせながら、命の危険を感じて努力を始め、随分痩せた陸斗。

 だが、目標である友達は、日課で陸斗の死に物狂いの修行をはるかに凌駕する。

 それが、子どもの頃からの差である。
 常人の何倍も食べ、それでも太れない。

 颯司が普段から行っている町の探査。
 それだけで、陸斗なら三三三メートルのタワーが造れるだろう。

 そう随分と痩せたが、修行の量はまだまだ足りない。
 頑張れ。

 同じ様な青春を送った土祭の父、大地は頑張る息子の背中を応援する。

「ねえ、土祭君て、痩せてから少しかっこよくなったよね」
「あーうん思った。あの中だから目だたないけれど、そう思う」
「うんうん」

 頑張れ、陸斗。
 モテ期はそこまで来ている。
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