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第7章 王国は議会共和制的な何かへ
第76話 困惑するアレクサンデル王国
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「突然、セイクリッド国から使者が参り、女王と聖王がこちらへ来られるという事です」
「なに? それは真か」
「はい」
実は元帝国の皇帝イヴァンは、アレクサンデル王国で隠遁生活を送っている。
その時、聞かされた話し。
『聖王は、人間ではなく、聖なるもの。見た目に騙され、逆らってはいけない』
そう言って、その後口をつぐんでしまった。
そう語る彼は、皇帝として君臨していたときに見せていた覇気、それが、今では全く見られなくなっていた。
そうして、使者は送ったが、本人達は……
「本当に行くのですか?」
「行かないとまずいだろう…… 勝手に穴を開け、村を作ったんだ」
「あの時は、仕方が無かったでしょう」
「あー……。 決めた。神の意志という事にしよう。俺のせいじゃない。勝手に聖樹も生えたし」
そう決めて、それに合わせてシナリオを組む。
馬車を改造して、天井でぶら下げる持ち手を作り、ドラゴン軍団に頼んで運んで貰う。
流石に他国へ行くのに、土産も兵も連れずに行くのは舐められる。
きっちりあそこを、セイクリッド国の飛び地として認めて貰おう。
代金は…… 適当に、金の延べ棒を作った。
物質変換を、魔力のごり押しで行う。
元々は、工事現場の残土だったが、綺麗に片付いた。
ついでに、木材置き場で木を選び、高温高圧下で金剛石へと変化させる。
「金で足りないとなったら、こっちも渡そう」
「あまり優遇すると、舐められますよ」
ティナさんから、注意が入る。
「なら、途中に脅しも入れようか…… あー。神の意志を受け入れないなら、国にわざわいがとか?」
「意外と良いんじゃない?」
「そうだな」
よく考えれば、アレクサンデル王国に住んでいたのに、王都に行くのは初めてだ。
皆が、少しウキウキしながら、馬車に乗り込む。
「それじゃあ、頼んだよ」
大型の馬車が全部で十二台。
ドラゴン達が両手に持ち、六匹も必要になってしまった。
本人達用の、ちょっと豪勢な十人乗り馬車が一台。
十人用なのは、侍女が付いているから。
こちらの馬車は、応接用のテーブルや、トイレやベッドルーム、簡易キッチン、シャワーまで付いている。むろん空間魔法が付与されている。
護衛達は二十人だが、十人乗り二台に分乗。
こっちにも、侍女が乗っている。
持っていくお土産用に一台。
着替えや食料。帰りは下で帰る予定の為、テントや飼い葉等荷物が二台。
そして馬車を引く馬用の檻。六頭ずつ詰め込み六台。
亜空間庫に入れようと思ったが、一応見せる為にもぶら下げていく。
馬は死んじゃうしね。
そして、数時間でアレクサンデル王国、王都バシレウスが見えてきた。
手前にあった草原に降りて、馬車に馬たちを繋ぐ。
この馬たちは、ドラゴンには慣れていたが、空を飛んだのが怖かったようだ。
復活まで少し様子見が必要だった。
その頃、城郭の物見から王城に連絡が入る。
「王様、ドラゴンが六匹も来ました」
「なにぃ?」
「落ち着いてください。セイクリッド国の一行ではありませんか?」
宰相がたしなめる。
そう言われて、王も思い出す。
「そういえば、ドラゴン達を使役していたな……」
考えれば考えるほど非常識の塊。
「使いを出しましょう」
「おう。そうじゃな。慎重にな」
その頃。
リーポスやフィア達もドレスに着替えていた。
「窮屈だが、大分慣れたな」
「慣れたは良いけど、その格好で剣帯を付けない」
「あっ」
フィア達は相変わらず、二人でじゃれている。
「背中に背負うタイプも駄目か?」
「駄目」
「攻撃は?」
「亜空間庫から出すか、魔導具の指輪」
「そうか!!」
リーポスやフィアには、婚約じゃないが指輪を贈った。各種シールドや攻撃魔法が使える物騒な奴。
ティナさんは、宰相兼護衛なので、男装の麗人。
しっかり、剣を吊っている。
イミティスは女王なので、ゴージャスな感じのドレス。
色が白いので、ヘラクレスモスの糸を、苦労して染めたピンクのドレス。
耐刃、耐火は基本。
怪我をしたときには、治癒魔法も自動で発動。
むろん防汚と浄化も付いている。
そして、ティアラや指輪には、シールドや、各種攻撃魔法。
炎獄の災禍と呼ばれる、極魔法も発動できる。
これは、十キロ四方を灰にできるから、丁度アレクサンデル王国の王都バシレウスと同じ大きさだ。
そう、王都バシレウスは城郭都市。中央の壁と外周の壁があり、中央側は十万キロ平方メートル。
人口は一万人程度と聞いている。
だがまあ、そう言われているだけで、はっきりはしていないが。
わいわい言っていると、兵が馬車のドアをノックする。
「失礼いたします。王城から使者が参りました」
「わかったわ」
ティナさんがでていく。
「お騒がせをして申し訳ない。こちらはセイクリッド国。準備ができ次第そちらに伺うと伝えてくれるかしら?」
「はい。承知いたしました」
やって来ていた、兵達が、用件だけ聞くと、あわてて帰って行く。
彼らがあわてた訳。
最初の、先触れが幾日に出発をすると伝えていたが、王国側は、この世界の常識でスケジュールを考える。
つまり、出たその日に到着などは、考えても居ないこと。
―― つまり迎える準備が、一切で来ていない……
「なに? それは真か」
「はい」
実は元帝国の皇帝イヴァンは、アレクサンデル王国で隠遁生活を送っている。
その時、聞かされた話し。
『聖王は、人間ではなく、聖なるもの。見た目に騙され、逆らってはいけない』
そう言って、その後口をつぐんでしまった。
そう語る彼は、皇帝として君臨していたときに見せていた覇気、それが、今では全く見られなくなっていた。
そうして、使者は送ったが、本人達は……
「本当に行くのですか?」
「行かないとまずいだろう…… 勝手に穴を開け、村を作ったんだ」
「あの時は、仕方が無かったでしょう」
「あー……。 決めた。神の意志という事にしよう。俺のせいじゃない。勝手に聖樹も生えたし」
そう決めて、それに合わせてシナリオを組む。
馬車を改造して、天井でぶら下げる持ち手を作り、ドラゴン軍団に頼んで運んで貰う。
流石に他国へ行くのに、土産も兵も連れずに行くのは舐められる。
きっちりあそこを、セイクリッド国の飛び地として認めて貰おう。
代金は…… 適当に、金の延べ棒を作った。
物質変換を、魔力のごり押しで行う。
元々は、工事現場の残土だったが、綺麗に片付いた。
ついでに、木材置き場で木を選び、高温高圧下で金剛石へと変化させる。
「金で足りないとなったら、こっちも渡そう」
「あまり優遇すると、舐められますよ」
ティナさんから、注意が入る。
「なら、途中に脅しも入れようか…… あー。神の意志を受け入れないなら、国にわざわいがとか?」
「意外と良いんじゃない?」
「そうだな」
よく考えれば、アレクサンデル王国に住んでいたのに、王都に行くのは初めてだ。
皆が、少しウキウキしながら、馬車に乗り込む。
「それじゃあ、頼んだよ」
大型の馬車が全部で十二台。
ドラゴン達が両手に持ち、六匹も必要になってしまった。
本人達用の、ちょっと豪勢な十人乗り馬車が一台。
十人用なのは、侍女が付いているから。
こちらの馬車は、応接用のテーブルや、トイレやベッドルーム、簡易キッチン、シャワーまで付いている。むろん空間魔法が付与されている。
護衛達は二十人だが、十人乗り二台に分乗。
こっちにも、侍女が乗っている。
持っていくお土産用に一台。
着替えや食料。帰りは下で帰る予定の為、テントや飼い葉等荷物が二台。
そして馬車を引く馬用の檻。六頭ずつ詰め込み六台。
亜空間庫に入れようと思ったが、一応見せる為にもぶら下げていく。
馬は死んじゃうしね。
そして、数時間でアレクサンデル王国、王都バシレウスが見えてきた。
手前にあった草原に降りて、馬車に馬たちを繋ぐ。
この馬たちは、ドラゴンには慣れていたが、空を飛んだのが怖かったようだ。
復活まで少し様子見が必要だった。
その頃、城郭の物見から王城に連絡が入る。
「王様、ドラゴンが六匹も来ました」
「なにぃ?」
「落ち着いてください。セイクリッド国の一行ではありませんか?」
宰相がたしなめる。
そう言われて、王も思い出す。
「そういえば、ドラゴン達を使役していたな……」
考えれば考えるほど非常識の塊。
「使いを出しましょう」
「おう。そうじゃな。慎重にな」
その頃。
リーポスやフィア達もドレスに着替えていた。
「窮屈だが、大分慣れたな」
「慣れたは良いけど、その格好で剣帯を付けない」
「あっ」
フィア達は相変わらず、二人でじゃれている。
「背中に背負うタイプも駄目か?」
「駄目」
「攻撃は?」
「亜空間庫から出すか、魔導具の指輪」
「そうか!!」
リーポスやフィアには、婚約じゃないが指輪を贈った。各種シールドや攻撃魔法が使える物騒な奴。
ティナさんは、宰相兼護衛なので、男装の麗人。
しっかり、剣を吊っている。
イミティスは女王なので、ゴージャスな感じのドレス。
色が白いので、ヘラクレスモスの糸を、苦労して染めたピンクのドレス。
耐刃、耐火は基本。
怪我をしたときには、治癒魔法も自動で発動。
むろん防汚と浄化も付いている。
そして、ティアラや指輪には、シールドや、各種攻撃魔法。
炎獄の災禍と呼ばれる、極魔法も発動できる。
これは、十キロ四方を灰にできるから、丁度アレクサンデル王国の王都バシレウスと同じ大きさだ。
そう、王都バシレウスは城郭都市。中央の壁と外周の壁があり、中央側は十万キロ平方メートル。
人口は一万人程度と聞いている。
だがまあ、そう言われているだけで、はっきりはしていないが。
わいわい言っていると、兵が馬車のドアをノックする。
「失礼いたします。王城から使者が参りました」
「わかったわ」
ティナさんがでていく。
「お騒がせをして申し訳ない。こちらはセイクリッド国。準備ができ次第そちらに伺うと伝えてくれるかしら?」
「はい。承知いたしました」
やって来ていた、兵達が、用件だけ聞くと、あわてて帰って行く。
彼らがあわてた訳。
最初の、先触れが幾日に出発をすると伝えていたが、王国側は、この世界の常識でスケジュールを考える。
つまり、出たその日に到着などは、考えても居ないこと。
―― つまり迎える準備が、一切で来ていない……
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