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第7章 王国は議会共和制的な何かへ
第69話 難問
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静かになったため、要塞から兵達が敵軍の様子を見る為に、顔を出す。
川の対岸には、炎を出して燃えている敵兵の姿があった。
森の手前まで広がっていた大軍。
それがすべて燃えている。
「一体、何が起こった? 隊長を呼べ」
精霊達が消えて数分後、兵が呼びに来る。
「隊長、敵が燃えてしまいました」
「燃えた?」
「見渡す限り、炎の海です」
報告を聞いて、あわてて走っていく。
要塞のテラスなどにも、敵が放った矢などが積み上がっていた。
足下に気を付けながらヘリまで進み、帝国側を覗く。
そこは、死体の海。
まだ燃えていて、火は収まる様子はない。
「精霊さんだと思うが、あの火は特別製のようだな」
「ええ、そうですね。それよりあそこは、別働隊でしょうか?」
見ると、外れに二千ほどの隊がいるようだが、腰を抜かしている様だ。
「放っとけ。この有様だ、尋常じゃないことが起こったんだろ」
「来たらどうします?」
「戦うなら、戦おう。こっちももう少ししたら、人間の援軍が来るはずだ」
そう、他の要塞と連携して、挟撃作戦とか色々プランは作っていた。
だが、前回はドラゴン。
今度は精霊。
「俺達、必要かな?」
「さあ?」
そして、戦場の火が消えた頃、関所の周りに他の要塞から駆けつけた兵達が集合をしていた。
そして、辺境伯の軍も。
その数、およそ二千近くの人数。
敵軍に残る、リーリャ=ピスカ男爵軍と同等。
だが装備と練度が違う。
戦場となった広場には、金属製のものが少し残り、他のものは、すべて燃えてしまった。
まるで、サローヴァが好んで使う黒い炎のように。
「どうされます?」
「参りましょう」
リーリャは、ゆっくりと馬を進めて、関所へ近付いていく。
向こう岸から声がかかる。
「まだやるのか?」
「いいえ。皇帝陛下から親書を預かってきております。貴国の王へと取り次ぎをお願いしたい」
少し前の好戦的な態度と一変。
だが当然。警戒をする。
「どうします?」
「魔導具が、用件を伝えられないのがもどかしいな」
隊長は考えた末、王都に向けて使いを出す。
「使いを出したから、しばらくお待ちください」
一応、礼は尽くす。
さて、王都まで狭い国と言っても六百キロくらいはある。
夜間は危なくて走れないため、丸四日ほどを費やし到着をする。
「帝国側から、王へと書状が届いているようです」
「そうですか……」
イミティスはそう答えて待つが、一向に提出されない……
「書状は?」
「はっ。受け取って良いものかと、判断を伺いたいと……」
イミティスの表情は変わらないが、少し焦る。
ここから返事をして、また国境まで戻り、受け取ってまた戻り、返事を書いて、また戻り……
論外。
―― そうね。困った時はアシュアス。
そうだぁ、アシュアスに投げよう。
「お伺いをして来ます。少しお待ちなさい」
そう言って、謁見の間から奥へ行ってしまう。
「助けてアシュアスぅー」
「どうしたの?」
「帝国から書状が来たみたいで、まだ国境で止まっているみたい。いまやっと、早馬で連絡が来て、時間が……」
「じゃあ、ちょっと行ってみるよ」
そう言って、聖王自ら出発。
馬車? 馬? 場合によっては帝都まで行くことになる。
山に向かい、念じる。
すぐにやって来た、暇を持て余す者達。
「少し遊びに行こう」
「いいぞ」
そうして、国境へと向かう。
乗り物はドラゴン。
相手からすると和平だとは、思えないだろうが、アシュアスは気にしない。
友人と来た。それで押し通す。
そして、双方共に妙に寛いでいる国境へとたどり着く。
当然、見た瞬間に周りはざわつき逃げ惑う。
馬たちは、ドラゴンを恐れて、走り回り。大騒ぎになる。
「あー。落ち着いてくれ」
少し、威圧を掛ける。
皆の動きが止まり、その場で立ち尽くす。
その様子を見た砦側。
「もう来たのか。ドラゴンは早いな」
「連絡用に欲しいですね」
「誰が世話をするんだ?」
「それは、難しい質問ですね」
そう言って苦笑い。
とりあえず、外に出て、成り行きを見守る。
「これが、お預かりしてきた親書です」
おずおずと、リーリャは親書を取り出すが、そこで相手が何者か聞いていないことに気がつく。
「あの、あなた様は」
「ああ、すまない。私は、セイクリッド国の聖王。アシュアスだ」
「聖王様ですか」
聞いても、リーリャにはピンとこない。
だがまあ、王と付いているのであわてて、礼を取る。
「ああいい。他国のヒトだし、気にしないで」
そう言われて、気は楽になるが、様子を見ながら、片膝をついた状態から、おずおずと立ち上がる。
「会いたいか…… どうするかな。いきなり行くと迷惑だろうし、良し分かった。会見場を造っておくから、来るように伝えてくれ」
その返答に驚く。
「皇帝陛下に、こちらへ出向けと?」
「うん、どうした?」
「いいえ。そう伝えます」
その後、請われて書面として正式に渡すことになる。
その間、その非常識さに色々と悩むリーリャ。
そう、皇帝を呼びつける。
それだけでも、十分驚きだ。
国が変わったとは言え、帝国の皇帝を呼びつける者など存在しなかった。
そう、気にしていないアシュアスだが、普通は呼びつけるのは上位の者がすること。
だが、すぐ脇でクンクンと匂いを嗅ぎ、馬を怖がらせているドラゴン。
リーリャには、判断ができない問題だった。
川の対岸には、炎を出して燃えている敵兵の姿があった。
森の手前まで広がっていた大軍。
それがすべて燃えている。
「一体、何が起こった? 隊長を呼べ」
精霊達が消えて数分後、兵が呼びに来る。
「隊長、敵が燃えてしまいました」
「燃えた?」
「見渡す限り、炎の海です」
報告を聞いて、あわてて走っていく。
要塞のテラスなどにも、敵が放った矢などが積み上がっていた。
足下に気を付けながらヘリまで進み、帝国側を覗く。
そこは、死体の海。
まだ燃えていて、火は収まる様子はない。
「精霊さんだと思うが、あの火は特別製のようだな」
「ええ、そうですね。それよりあそこは、別働隊でしょうか?」
見ると、外れに二千ほどの隊がいるようだが、腰を抜かしている様だ。
「放っとけ。この有様だ、尋常じゃないことが起こったんだろ」
「来たらどうします?」
「戦うなら、戦おう。こっちももう少ししたら、人間の援軍が来るはずだ」
そう、他の要塞と連携して、挟撃作戦とか色々プランは作っていた。
だが、前回はドラゴン。
今度は精霊。
「俺達、必要かな?」
「さあ?」
そして、戦場の火が消えた頃、関所の周りに他の要塞から駆けつけた兵達が集合をしていた。
そして、辺境伯の軍も。
その数、およそ二千近くの人数。
敵軍に残る、リーリャ=ピスカ男爵軍と同等。
だが装備と練度が違う。
戦場となった広場には、金属製のものが少し残り、他のものは、すべて燃えてしまった。
まるで、サローヴァが好んで使う黒い炎のように。
「どうされます?」
「参りましょう」
リーリャは、ゆっくりと馬を進めて、関所へ近付いていく。
向こう岸から声がかかる。
「まだやるのか?」
「いいえ。皇帝陛下から親書を預かってきております。貴国の王へと取り次ぎをお願いしたい」
少し前の好戦的な態度と一変。
だが当然。警戒をする。
「どうします?」
「魔導具が、用件を伝えられないのがもどかしいな」
隊長は考えた末、王都に向けて使いを出す。
「使いを出したから、しばらくお待ちください」
一応、礼は尽くす。
さて、王都まで狭い国と言っても六百キロくらいはある。
夜間は危なくて走れないため、丸四日ほどを費やし到着をする。
「帝国側から、王へと書状が届いているようです」
「そうですか……」
イミティスはそう答えて待つが、一向に提出されない……
「書状は?」
「はっ。受け取って良いものかと、判断を伺いたいと……」
イミティスの表情は変わらないが、少し焦る。
ここから返事をして、また国境まで戻り、受け取ってまた戻り、返事を書いて、また戻り……
論外。
―― そうね。困った時はアシュアス。
そうだぁ、アシュアスに投げよう。
「お伺いをして来ます。少しお待ちなさい」
そう言って、謁見の間から奥へ行ってしまう。
「助けてアシュアスぅー」
「どうしたの?」
「帝国から書状が来たみたいで、まだ国境で止まっているみたい。いまやっと、早馬で連絡が来て、時間が……」
「じゃあ、ちょっと行ってみるよ」
そう言って、聖王自ら出発。
馬車? 馬? 場合によっては帝都まで行くことになる。
山に向かい、念じる。
すぐにやって来た、暇を持て余す者達。
「少し遊びに行こう」
「いいぞ」
そうして、国境へと向かう。
乗り物はドラゴン。
相手からすると和平だとは、思えないだろうが、アシュアスは気にしない。
友人と来た。それで押し通す。
そして、双方共に妙に寛いでいる国境へとたどり着く。
当然、見た瞬間に周りはざわつき逃げ惑う。
馬たちは、ドラゴンを恐れて、走り回り。大騒ぎになる。
「あー。落ち着いてくれ」
少し、威圧を掛ける。
皆の動きが止まり、その場で立ち尽くす。
その様子を見た砦側。
「もう来たのか。ドラゴンは早いな」
「連絡用に欲しいですね」
「誰が世話をするんだ?」
「それは、難しい質問ですね」
そう言って苦笑い。
とりあえず、外に出て、成り行きを見守る。
「これが、お預かりしてきた親書です」
おずおずと、リーリャは親書を取り出すが、そこで相手が何者か聞いていないことに気がつく。
「あの、あなた様は」
「ああ、すまない。私は、セイクリッド国の聖王。アシュアスだ」
「聖王様ですか」
聞いても、リーリャにはピンとこない。
だがまあ、王と付いているのであわてて、礼を取る。
「ああいい。他国のヒトだし、気にしないで」
そう言われて、気は楽になるが、様子を見ながら、片膝をついた状態から、おずおずと立ち上がる。
「会いたいか…… どうするかな。いきなり行くと迷惑だろうし、良し分かった。会見場を造っておくから、来るように伝えてくれ」
その返答に驚く。
「皇帝陛下に、こちらへ出向けと?」
「うん、どうした?」
「いいえ。そう伝えます」
その後、請われて書面として正式に渡すことになる。
その間、その非常識さに色々と悩むリーリャ。
そう、皇帝を呼びつける。
それだけでも、十分驚きだ。
国が変わったとは言え、帝国の皇帝を呼びつける者など存在しなかった。
そう、気にしていないアシュアスだが、普通は呼びつけるのは上位の者がすること。
だが、すぐ脇でクンクンと匂いを嗅ぎ、馬を怖がらせているドラゴン。
リーリャには、判断ができない問題だった。
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