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第6章 フェルナンダ=トルエバ王国へ
第54話 過去のトンネルは、黄泉への入り口
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「また来たよ」
村へと到着をすると、そう言って、中へ入る。
村への入り口は、森の精霊、水の精霊、光の精霊が、カムフラージュをして中には入れなくなっている。
入るには、金属製のメダルを見せる。
前回は、メルカトアさんの馬車で移動していたため、二週間ちょっとぶり。
「どうされました?」
「ちょっと、やっかいなことになってね」
その晩、かいつまんで話す。
「さすがは、アシュアス様。教会の奇蹟を使えるとは…… いやそうですか、あの魔法が浄化でしたか」
そう、オールト達は汚れていると言って、浄化を受けた覚えがある。
その晩はゆっくり村で宴会をして、翌日からトンネルに向かう。
一応完全に崩れてはいないが、中に組まれたレンガは、部分的に剥がれて、壊れた部分がある。
「これは、補修をしないと危ないね」
土の精霊も手伝うというので、共に内部の土をなめらかにしながら、表面を石化していく。
そして、イミティスは一人暗くて目が見えない。
「この暗さで、どうして皆平気なの?」
「身体強化で魔力を目に集めて……」
歩きながら、魔力操作と強化方法を教えていく。
手を引くついでに、火傷をさせない程度に魔力を押し込む。
「あっ何これ、何かが体の中に入ってくる……」
「それが、魔力の流れ。ある程度はあわせているけれど、異物感があるのが分かる?」
「分かる……」
「じゃあそれを、体の中で意識をして動かして」
周りの皆は、懐かしいと見守る。
そしてその周囲では、土がいきなり動き始め、壁が補修され、石化される非現実的なことが発生している。
アシュアスの体が、ポワッと光るときには、土の妖精か精霊が取り付き、力を貰っている。
その奥の方で、その者は存在をしていた。
過酷な労働の末、仲間と共に落盤の土砂に押しつぶされ、気が付けば数百年の後、目覚めた。そして、その後数百年。彼が、徴用されるまで行っていた魔導の追求を行っていた。
よどみ、腐っていた空気が不意に押し流され、新鮮な空気が彼の元へ届く。
「なんだ、静かな私の世界に足を踏み入れるとは」
少し不機嫌そうに、彼は言葉を発する。
そして、探査を打ってしまった。
人? なのか? 五人の存在は分かるが、周りに人ならざるものが飛び交い、尋常ではないエネルギーがその周りに流れている。
まるで、大昔に聞いた世界樹のような……
だがそれは動いている。
世界樹ではない。
だが、絶対に、普通の人でも無い。
元は、仲間だった骸。
すでに骨だけだが、起こして探査を命ずる。
「行け。かの者達が何者かを確かめてこい」
事故で埋まった者は数百人に及ぶ。
その骨が起き上がり、土の大盾と土の剣を装備する。
昔見た軍隊のイメージを再現をする。
見事な隊列を組み、彼らは歩き始める。
そう魔道士だった彼は、リッチとなり蘇った。
そして、静かな生活を脅かす化け物に対して、スケルトン軍団を遣わせる。
ザッシザッシと彼らは、歩みをそろえ、見事な行進を行う。
だがその行動は、すでにアシュアス達に知られていた。
そう、その前に打たれた、探査魔法に気が付いていた。
「何か来るなあ。それに奥にいる奴、魔力量がおかしい。フィラデル並みにある」
アシュアスはそう言ったが、アシュアスはその何十倍もある。
「じゃあ、その人が生きているのなら、何かを知っているかも」
フィアにそう言われて、なるほどと考えるが、なんとなく、生きているとは違う気がする。
「まあでも、聞いてみるだけ聞いてみようか」
その違和感は、見えてきたアンデット達により、納得へと変わる。
「あれはモンスターだな」
「聞いたことがあります。アンデット。スケルトンでしょう。では先ほどアシュアスが言っていた存在は、リッチかも知れません。昔現れたときには、王都が壊滅状態になったとか。それに有効だったのが、聖魔法で、それ以降教会の力が増すことになりました」
ティナさんが説明をしてくれる。
「さすが、ティナさん。ギルド総合案内は伊達じゃないですね。知らなかった知識だ」
アシュアスに褒められ、まんざらでもない。
少し落ち込んでいた、気分が晴れる。
ヘルキニア町の町へ帰ったときに、母親であるヴィニャー=トバイアスにイミティス=イルムヒルデを会わせた。
その日泣きながら、色々と情報をくれた。
「私ももう少し若ければ、お嬢様の護衛として王城まで伴をいたしますのに」
そう言いながら、お腹をさすっていた。
そう、ティナさんが旅立った後、付き合いがあった男と甘い生活を堪能し、どうも子供が出来たようだ。
ティナはこの年で、弟か妹が出来るようだ。
地味にダメージを食らったようだ。
ザッシュザッシュと言う音が近付くと、白き光が、空間を埋める。
そう、無慈悲な、慈悲の光。
表情はないが、心なしか喜んでいるように見える。
骨達は、モロモロと崩れるように、土へと帰っていく。
その光は強力で、リッチの所まで届く。
煙を上げ出す体。
あわてて彼は、土魔法で体を守る。
だが、土が言うことを聞かない。
まるで嫌われたように、反応が鈍い。
そうこの場にある土は、アシュアスと精霊達に支配されている。
リッチごときでは、支配することが出来ない。
だが、魔力をいつもよりも何倍もつぎ込み、何とか一メートルほどの壁を造り、体をその影に押し込む。
リッチはたまらず声を上げる。
「頼む。殺さないでくれぇ」
村へと到着をすると、そう言って、中へ入る。
村への入り口は、森の精霊、水の精霊、光の精霊が、カムフラージュをして中には入れなくなっている。
入るには、金属製のメダルを見せる。
前回は、メルカトアさんの馬車で移動していたため、二週間ちょっとぶり。
「どうされました?」
「ちょっと、やっかいなことになってね」
その晩、かいつまんで話す。
「さすがは、アシュアス様。教会の奇蹟を使えるとは…… いやそうですか、あの魔法が浄化でしたか」
そう、オールト達は汚れていると言って、浄化を受けた覚えがある。
その晩はゆっくり村で宴会をして、翌日からトンネルに向かう。
一応完全に崩れてはいないが、中に組まれたレンガは、部分的に剥がれて、壊れた部分がある。
「これは、補修をしないと危ないね」
土の精霊も手伝うというので、共に内部の土をなめらかにしながら、表面を石化していく。
そして、イミティスは一人暗くて目が見えない。
「この暗さで、どうして皆平気なの?」
「身体強化で魔力を目に集めて……」
歩きながら、魔力操作と強化方法を教えていく。
手を引くついでに、火傷をさせない程度に魔力を押し込む。
「あっ何これ、何かが体の中に入ってくる……」
「それが、魔力の流れ。ある程度はあわせているけれど、異物感があるのが分かる?」
「分かる……」
「じゃあそれを、体の中で意識をして動かして」
周りの皆は、懐かしいと見守る。
そしてその周囲では、土がいきなり動き始め、壁が補修され、石化される非現実的なことが発生している。
アシュアスの体が、ポワッと光るときには、土の妖精か精霊が取り付き、力を貰っている。
その奥の方で、その者は存在をしていた。
過酷な労働の末、仲間と共に落盤の土砂に押しつぶされ、気が付けば数百年の後、目覚めた。そして、その後数百年。彼が、徴用されるまで行っていた魔導の追求を行っていた。
よどみ、腐っていた空気が不意に押し流され、新鮮な空気が彼の元へ届く。
「なんだ、静かな私の世界に足を踏み入れるとは」
少し不機嫌そうに、彼は言葉を発する。
そして、探査を打ってしまった。
人? なのか? 五人の存在は分かるが、周りに人ならざるものが飛び交い、尋常ではないエネルギーがその周りに流れている。
まるで、大昔に聞いた世界樹のような……
だがそれは動いている。
世界樹ではない。
だが、絶対に、普通の人でも無い。
元は、仲間だった骸。
すでに骨だけだが、起こして探査を命ずる。
「行け。かの者達が何者かを確かめてこい」
事故で埋まった者は数百人に及ぶ。
その骨が起き上がり、土の大盾と土の剣を装備する。
昔見た軍隊のイメージを再現をする。
見事な隊列を組み、彼らは歩き始める。
そう魔道士だった彼は、リッチとなり蘇った。
そして、静かな生活を脅かす化け物に対して、スケルトン軍団を遣わせる。
ザッシザッシと彼らは、歩みをそろえ、見事な行進を行う。
だがその行動は、すでにアシュアス達に知られていた。
そう、その前に打たれた、探査魔法に気が付いていた。
「何か来るなあ。それに奥にいる奴、魔力量がおかしい。フィラデル並みにある」
アシュアスはそう言ったが、アシュアスはその何十倍もある。
「じゃあ、その人が生きているのなら、何かを知っているかも」
フィアにそう言われて、なるほどと考えるが、なんとなく、生きているとは違う気がする。
「まあでも、聞いてみるだけ聞いてみようか」
その違和感は、見えてきたアンデット達により、納得へと変わる。
「あれはモンスターだな」
「聞いたことがあります。アンデット。スケルトンでしょう。では先ほどアシュアスが言っていた存在は、リッチかも知れません。昔現れたときには、王都が壊滅状態になったとか。それに有効だったのが、聖魔法で、それ以降教会の力が増すことになりました」
ティナさんが説明をしてくれる。
「さすが、ティナさん。ギルド総合案内は伊達じゃないですね。知らなかった知識だ」
アシュアスに褒められ、まんざらでもない。
少し落ち込んでいた、気分が晴れる。
ヘルキニア町の町へ帰ったときに、母親であるヴィニャー=トバイアスにイミティス=イルムヒルデを会わせた。
その日泣きながら、色々と情報をくれた。
「私ももう少し若ければ、お嬢様の護衛として王城まで伴をいたしますのに」
そう言いながら、お腹をさすっていた。
そう、ティナさんが旅立った後、付き合いがあった男と甘い生活を堪能し、どうも子供が出来たようだ。
ティナはこの年で、弟か妹が出来るようだ。
地味にダメージを食らったようだ。
ザッシュザッシュと言う音が近付くと、白き光が、空間を埋める。
そう、無慈悲な、慈悲の光。
表情はないが、心なしか喜んでいるように見える。
骨達は、モロモロと崩れるように、土へと帰っていく。
その光は強力で、リッチの所まで届く。
煙を上げ出す体。
あわてて彼は、土魔法で体を守る。
だが、土が言うことを聞かない。
まるで嫌われたように、反応が鈍い。
そうこの場にある土は、アシュアスと精霊達に支配されている。
リッチごときでは、支配することが出来ない。
だが、魔力をいつもよりも何倍もつぎ込み、何とか一メートルほどの壁を造り、体をその影に押し込む。
リッチはたまらず声を上げる。
「頼む。殺さないでくれぇ」
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