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第6章 フェルナンダ=トルエバ王国へ
第53話 力を使う。それによる色々な影響
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「ちょっと、まて。もういい」
だが、精霊側のプライドと世界樹のプライド。
俺の願いだ、聞き届けよう。
そんな感じで、あっという間に範囲が広がり、それは、村まで包んだ。
「この感じ、ドラゴンの里に近いな」
そんな事を考えていると、地の割れ目。断層が影響を受け。地が動く。
そう、かなり大きい地震が、この地を襲った。
「やばい」
まあ一瞬だったが、それでも驚いた。
そして、どこかで響く崩落の音。
「どこかが崩れたわね」
なぜか、俺に抱きついているフィア。
遊んでいた、リーポスも戻ってくる。デススパイダーとキングベアは仲良く逃げたようだ。
「一度村へ帰ろう」
そうして、その場を後にしたアシュアスだったが、密かに動きがった。
その地に、一本の木が芽吹く。
地の精霊、樹の精霊。そして、ドライアド達も喜ぶ。
高まった地の力。そして、世界樹が、この地に若木を分けた。
吹き上がる力を吸い、一気に十メートルほどに育つ。
ここは、セントリア大陸のほぼ中心と言えば中心。
村へ帰った彼らだが、建物は新しく丈夫。
全く被害はなかった。
ただ村の雰囲気というか、空気感が変わったのは皆が理解をした。
「モンスターを探しに行ったはずだが、何かをされた様じゃな」
まあそんな感じで、村人も通常運転。
だが少し離れた、領主ナーディア=アダルジーザ侯爵の館が少し崩れ、ヘルキニアの町に被害が出たようだ。むろん途中にある村々も、建物の倒壊などがあったようだ。
そして、山脈にぽっかりと洞窟が開いていた。
大昔、技術が無く。途中で諦められた山脈の縦断道。山脈を南北に貫く気だったようだが、その当時では無謀だったようで中断されたもの。
その口が、崩落により、再び日の光を浴びた。
それに気が付き、のぞきに行く。
「なんだろうね。結構深いよ」
「精霊に聞くと、昔、一生懸命掘っていたそうだよ。反対からも」
「へー。お山を貫き。道を造っていたんだな」
「出来ればすごかったのになぁ」
まあ、その時は、のんきな事を言って、終わった話だった。
「じゃあ、ドライアドを通して、繭が出来たらもらえるように、話は付けてあるから」
手を振って、村人と別れる。
そうして……
無事、ヘルキニアの町に到着し、ギルドへ報告。
「お疲れのところ、申し訳ありません。先日の地揺れで被害が出まして、優先的に復旧へと人手が回っています。皆さんもお願いします」
そうして、メルカトアさんと別れ、復旧の日々。
基本、適当な造りの家が多く、柱すらまともに入っていない。
「何? 金がないだと、じゃあ、柱を減らそう」
そんな感じで、造られている。
「意外と、壁を造れば丈夫になる」
とか、そんな感じで。
一応掘っ立て小屋ではなく、石組みの上に柱は立っていても、固定はされておらず。束石からズレていた家も多い。
町の人たちで力を合わせ引っ張る。
そのたびに、適当な造りの家は軋み歪む。
「ちょっと待って。崩れそうだ」
ハーフティンバー様式と呼ばれる工法にちかい造り。
柱は外部に露出し、間を土とか石で埋めて壁を造っている。
そのため、雨で濡れたところは、柱が脆くなっていて非常に危ない。アシュアス達はシールドで家を包み一気に押す。
「これで良いが、家自体がもう危ないよ」
「判っちゃいるが金がねえ。まあ何とか頑張って貰うさ」
崩れた壁などはまた積み上げ、土を塗る。
怪我をした人も居たようだが、亡くなった人は居ないようだ。
事を起こした本人としては一安心。
そうして、一週間程度経ち、メルカトアさん達は何とか商品が集まったようで、エベラルドトゥリーへと帰るようだ。
「僕たちも、復興が終わればフェルナンダ=トルエバ王国へと向かいます」
そんな事を言っていたが、こそっとギルド受付のカトリナさんが教えてくれる。
「兵団に対して、命令が出ているようです。アシュアスさん達を捕まえ教会本部。つまり王都へ出頭させよとか。国外への移動禁止依頼まで出ていますよ」
「なんだそりゃ、困ったな」
「きっと町の復興が終わったら捕まえに来ますから、今の内に逃げないと、命令を宣言されてから逃亡すると、まずいことになるかも知れません」
そう教えてくれた。
「国としての命令か」
「そうですね」
アシュアスは皆に目配せをすると、いったん安楽亭へ帰る。
荷物をまとめると、話はすぐにまとまる。
「あの山に開いた穴でしょう?」
「そうだな。地の精霊達が任せろと言っている」
「じゃあ。出発」
こうして、話を聞いて、一時間後には町を後にした。
門を出るときに、普段は声などかけられないが、やはり声をかけられた。だが、しれっと答える。
「木と石をとってくる」
「そうか、気を付けろよ」
そう言ったときには、もう移動を開始していたが、イミティスがついてこられない。
「身体強化くらいは覚えてね」
アシュアスにそう言われて、少し落ち込む。
だが、背中におわれ、ドキドキした次の瞬間。別の意味でドキドキが始まった。加速で首は後ろに持って行かれ、視界の中で景色は溶けるように流れていく。流した涙は後方へすっ飛んでいく。
おんぶされ、全力疾走をされて、魔法を覚えることを決心した様だ。
だが、精霊側のプライドと世界樹のプライド。
俺の願いだ、聞き届けよう。
そんな感じで、あっという間に範囲が広がり、それは、村まで包んだ。
「この感じ、ドラゴンの里に近いな」
そんな事を考えていると、地の割れ目。断層が影響を受け。地が動く。
そう、かなり大きい地震が、この地を襲った。
「やばい」
まあ一瞬だったが、それでも驚いた。
そして、どこかで響く崩落の音。
「どこかが崩れたわね」
なぜか、俺に抱きついているフィア。
遊んでいた、リーポスも戻ってくる。デススパイダーとキングベアは仲良く逃げたようだ。
「一度村へ帰ろう」
そうして、その場を後にしたアシュアスだったが、密かに動きがった。
その地に、一本の木が芽吹く。
地の精霊、樹の精霊。そして、ドライアド達も喜ぶ。
高まった地の力。そして、世界樹が、この地に若木を分けた。
吹き上がる力を吸い、一気に十メートルほどに育つ。
ここは、セントリア大陸のほぼ中心と言えば中心。
村へ帰った彼らだが、建物は新しく丈夫。
全く被害はなかった。
ただ村の雰囲気というか、空気感が変わったのは皆が理解をした。
「モンスターを探しに行ったはずだが、何かをされた様じゃな」
まあそんな感じで、村人も通常運転。
だが少し離れた、領主ナーディア=アダルジーザ侯爵の館が少し崩れ、ヘルキニアの町に被害が出たようだ。むろん途中にある村々も、建物の倒壊などがあったようだ。
そして、山脈にぽっかりと洞窟が開いていた。
大昔、技術が無く。途中で諦められた山脈の縦断道。山脈を南北に貫く気だったようだが、その当時では無謀だったようで中断されたもの。
その口が、崩落により、再び日の光を浴びた。
それに気が付き、のぞきに行く。
「なんだろうね。結構深いよ」
「精霊に聞くと、昔、一生懸命掘っていたそうだよ。反対からも」
「へー。お山を貫き。道を造っていたんだな」
「出来ればすごかったのになぁ」
まあ、その時は、のんきな事を言って、終わった話だった。
「じゃあ、ドライアドを通して、繭が出来たらもらえるように、話は付けてあるから」
手を振って、村人と別れる。
そうして……
無事、ヘルキニアの町に到着し、ギルドへ報告。
「お疲れのところ、申し訳ありません。先日の地揺れで被害が出まして、優先的に復旧へと人手が回っています。皆さんもお願いします」
そうして、メルカトアさんと別れ、復旧の日々。
基本、適当な造りの家が多く、柱すらまともに入っていない。
「何? 金がないだと、じゃあ、柱を減らそう」
そんな感じで、造られている。
「意外と、壁を造れば丈夫になる」
とか、そんな感じで。
一応掘っ立て小屋ではなく、石組みの上に柱は立っていても、固定はされておらず。束石からズレていた家も多い。
町の人たちで力を合わせ引っ張る。
そのたびに、適当な造りの家は軋み歪む。
「ちょっと待って。崩れそうだ」
ハーフティンバー様式と呼ばれる工法にちかい造り。
柱は外部に露出し、間を土とか石で埋めて壁を造っている。
そのため、雨で濡れたところは、柱が脆くなっていて非常に危ない。アシュアス達はシールドで家を包み一気に押す。
「これで良いが、家自体がもう危ないよ」
「判っちゃいるが金がねえ。まあ何とか頑張って貰うさ」
崩れた壁などはまた積み上げ、土を塗る。
怪我をした人も居たようだが、亡くなった人は居ないようだ。
事を起こした本人としては一安心。
そうして、一週間程度経ち、メルカトアさん達は何とか商品が集まったようで、エベラルドトゥリーへと帰るようだ。
「僕たちも、復興が終わればフェルナンダ=トルエバ王国へと向かいます」
そんな事を言っていたが、こそっとギルド受付のカトリナさんが教えてくれる。
「兵団に対して、命令が出ているようです。アシュアスさん達を捕まえ教会本部。つまり王都へ出頭させよとか。国外への移動禁止依頼まで出ていますよ」
「なんだそりゃ、困ったな」
「きっと町の復興が終わったら捕まえに来ますから、今の内に逃げないと、命令を宣言されてから逃亡すると、まずいことになるかも知れません」
そう教えてくれた。
「国としての命令か」
「そうですね」
アシュアスは皆に目配せをすると、いったん安楽亭へ帰る。
荷物をまとめると、話はすぐにまとまる。
「あの山に開いた穴でしょう?」
「そうだな。地の精霊達が任せろと言っている」
「じゃあ。出発」
こうして、話を聞いて、一時間後には町を後にした。
門を出るときに、普段は声などかけられないが、やはり声をかけられた。だが、しれっと答える。
「木と石をとってくる」
「そうか、気を付けろよ」
そう言ったときには、もう移動を開始していたが、イミティスがついてこられない。
「身体強化くらいは覚えてね」
アシュアスにそう言われて、少し落ち込む。
だが、背中におわれ、ドキドキした次の瞬間。別の意味でドキドキが始まった。加速で首は後ろに持って行かれ、視界の中で景色は溶けるように流れていく。流した涙は後方へすっ飛んでいく。
おんぶされ、全力疾走をされて、魔法を覚えることを決心した様だ。
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