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第5章 聖魔法を極めよう
第44話 慰めと、欲望と……
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凄くつかれたが、宿へ帰ってきた。
目的の石灰石は採取できたし、問題は無い。
ベッドに寝転がりながら、亜空間庫の中で石灰石を超振動破砕をして粉にする。
ついでに熱を加えて、千百度ほどで加熱をして、二酸化炭素を抜き生石灰化をする。
これに、水や砂。そしてスサと呼ばれる草の繊維、のりと呼ばれる海藻を煮込んだどろっとした液体を加えて、漆喰を作る。
こんな作業中だが、他から見ると一人ベッドに寝転がり、ぼーっと天井を眺めているようにしか見えない。
その姿は、ひどく淋しそうに見えたらしい。
これは、慰めなくてはいけない。
そう考え、見つめる瞳が三対。
その背後に、見え隠れする己が欲望。
「お父さんが、ちがっただなんてショックよね」
三人は勘違いをした。
サローヴァが、妊娠をしているのを黙って、ヴァレンと結婚をしたと。
そもそも母親も違うのだが、そこに思い至らない。
大体、ヴァレンがブルーアイだが、サローヴァはブラウンの瞳。
アシュアスの目もブルーだが、ブルーの目は基本的に劣勢遺伝。
サローヴァがブラウンである以上、子供は大体ブラウンの目になる。
ごくたまに、遺伝子のいたずらでブルーアイの両親から、ブラウンが生まれることもある様だが、まれなようだ。
フィラデルがサローヴァと同じ特徴のアッシュの髪とブラウンなので、兄弟で親の特徴を分けた、くらいにしか皆思っていなかった。
まあ、そんな遺伝の都合は、この世界では誰も知らないので仕方が無い。
だがまあ、等しく。慰めなければと考えた。
そして気合いを入れるため、夕飯時にお互い牽制し合った結果、飲み過ぎて全滅をする。
その晩。一つのベッドに彼女達を寝かせ、広いベッドで考える。
奴が言った言葉が本当なら、もう一人。腹違いの兄弟がいる。
いや、もう一人居るという事しか分かっておらず、兄か姉か不明だが、横にいる精霊とコミュニケーションを取ってみる。
そばに居たのは、闇の精霊。
「精霊王の子供。そう、僕以外の…… 居場所は分かる?」
そう聞かれると、力を得るためか、重なってくる。
薄く黒い影のような存在。
力を得たのか、幾分はっきりした女の人となり、ふと姿を消し……
帰ってこなかった……
すこし、眠いがいつも通り、夜明けと共に目覚める。
待っていたが、結局、闇の精霊は帰ってこなかった。
分からなかったのか。アシュアスはそう思ったが、違っていたことをエベラルドトゥリーで知ることになる。闇の精霊は、彼女のそばに張り付き、アシュアスを待っていた。
そう、コイツがそうですと、教えるために。
アシュアスの聞き方が悪かったようだ。
まあとにかく、漆喰をもって孤児院の壁を塗り直す。
そして、じじい。
「なんじゃと、上位魔法? それは教会の秘密。教えるわけにはいかん」
そう言う、じいさんの目は泳いでいた。
少し引っかかる。
「欠損や、大規模な火傷などを治す魔法はあるんですよね」
「あっある。当然じゃ。その技も使い手も教会の秘密。教えるわけにはいかん」
それだけ言うと、依頼達成のサインだけをして教会に籠もってしまった。
「浄化を見せたのは、まずかったかな」
ぼそっと、リーポスが言う。
「まあ、色んな点でまずかったわよ。サローヴァさんが言っていたとおり、イェンスト教同会に追いかけ回されるかもよ」
「やめてよね」
リーポスは、じじいが大軍で追っかけてくる光景を思い浮かべる。
「なら、迂闊な自分の行動を反省すれば」
なぜか、フィアのご機嫌が悪いようだ。
そして、ティナさんは俺の背中に張り付いている。
「さあギルドに行こう。どうして、ティナさんは背中に引っ付いているんです?」
「なんでしょう。落ち着く波動がアシュアスから出ている感じ? よく分からないけれど安心する」
大地とか母とか父。
精霊王から加護を受け、そんな安心感が体から出始めたようだ。
まあ、とにかくギルドへ行き、次の目的地エベラルドトゥリーへ向かうことにする。
「教会の紹介が、空振りで残念だったわね」
「まあ、余りあてにもしていなかったし、いいさ。彼らの言うことも分かる」
そんな会話をしながら、エベラルドトゥリーに向かうアシュアス達。
エベラルドトゥリー宛の手紙を、ギルドから頼まれ。預かっていたが、その中の一つに、あの教会のじじいが書いた手紙も入っていた。
アレクサンデル王国では、専任の配達員ではなく、その地に向かうハンターが手紙の運搬もしていた。
問題はその中身。
「先日、当方へ依頼を受けてやってきたハンターチーム『奇跡の探索者』と申す者達。教会の秘伝である浄化を用い、さらには上級の治癒魔法について探っておる様子。ご注意ください」
とまあ、そんな事が書かれていた。
途中で、盗賊を退治したり、モンスターを退治しながらゆっくりと、エベラルドトゥリーに到着。
ギルドに向かう。
そこで、カウンターの中に、やっと来たと言う顔をする闇の精霊が立っていた。
そっと指をさす。
そう相手は、イミティス=イルムヒルデ。
年上は分かっていたが、女の人だった。
相手は分かった。だが、いきなり「ねえさん」と呼ぶわけにもいけない。
「おや皆さん。お久しぶりです。お元気そうで何より」
相変わらず、人形のような。表情を変えずご挨拶。
「これ、ビザッティからの手紙です」
「ご苦労様です」
そう言って、達成の受け取りを行う。
顔は正面を向いた状態で、手はサインを書いている。
器用だな。皆がそう思う。
まあ行くのは、らいふ。
目的地の一つでもある、エレオノールさんの宿。
「やっほー。来たよ。おばさん」
「おばさん? リーポス。よく来たね。まだ日は高い。行っといで」
にやっと笑った、エレオノールさんにバケツを投げられる……
目的の石灰石は採取できたし、問題は無い。
ベッドに寝転がりながら、亜空間庫の中で石灰石を超振動破砕をして粉にする。
ついでに熱を加えて、千百度ほどで加熱をして、二酸化炭素を抜き生石灰化をする。
これに、水や砂。そしてスサと呼ばれる草の繊維、のりと呼ばれる海藻を煮込んだどろっとした液体を加えて、漆喰を作る。
こんな作業中だが、他から見ると一人ベッドに寝転がり、ぼーっと天井を眺めているようにしか見えない。
その姿は、ひどく淋しそうに見えたらしい。
これは、慰めなくてはいけない。
そう考え、見つめる瞳が三対。
その背後に、見え隠れする己が欲望。
「お父さんが、ちがっただなんてショックよね」
三人は勘違いをした。
サローヴァが、妊娠をしているのを黙って、ヴァレンと結婚をしたと。
そもそも母親も違うのだが、そこに思い至らない。
大体、ヴァレンがブルーアイだが、サローヴァはブラウンの瞳。
アシュアスの目もブルーだが、ブルーの目は基本的に劣勢遺伝。
サローヴァがブラウンである以上、子供は大体ブラウンの目になる。
ごくたまに、遺伝子のいたずらでブルーアイの両親から、ブラウンが生まれることもある様だが、まれなようだ。
フィラデルがサローヴァと同じ特徴のアッシュの髪とブラウンなので、兄弟で親の特徴を分けた、くらいにしか皆思っていなかった。
まあ、そんな遺伝の都合は、この世界では誰も知らないので仕方が無い。
だがまあ、等しく。慰めなければと考えた。
そして気合いを入れるため、夕飯時にお互い牽制し合った結果、飲み過ぎて全滅をする。
その晩。一つのベッドに彼女達を寝かせ、広いベッドで考える。
奴が言った言葉が本当なら、もう一人。腹違いの兄弟がいる。
いや、もう一人居るという事しか分かっておらず、兄か姉か不明だが、横にいる精霊とコミュニケーションを取ってみる。
そばに居たのは、闇の精霊。
「精霊王の子供。そう、僕以外の…… 居場所は分かる?」
そう聞かれると、力を得るためか、重なってくる。
薄く黒い影のような存在。
力を得たのか、幾分はっきりした女の人となり、ふと姿を消し……
帰ってこなかった……
すこし、眠いがいつも通り、夜明けと共に目覚める。
待っていたが、結局、闇の精霊は帰ってこなかった。
分からなかったのか。アシュアスはそう思ったが、違っていたことをエベラルドトゥリーで知ることになる。闇の精霊は、彼女のそばに張り付き、アシュアスを待っていた。
そう、コイツがそうですと、教えるために。
アシュアスの聞き方が悪かったようだ。
まあとにかく、漆喰をもって孤児院の壁を塗り直す。
そして、じじい。
「なんじゃと、上位魔法? それは教会の秘密。教えるわけにはいかん」
そう言う、じいさんの目は泳いでいた。
少し引っかかる。
「欠損や、大規模な火傷などを治す魔法はあるんですよね」
「あっある。当然じゃ。その技も使い手も教会の秘密。教えるわけにはいかん」
それだけ言うと、依頼達成のサインだけをして教会に籠もってしまった。
「浄化を見せたのは、まずかったかな」
ぼそっと、リーポスが言う。
「まあ、色んな点でまずかったわよ。サローヴァさんが言っていたとおり、イェンスト教同会に追いかけ回されるかもよ」
「やめてよね」
リーポスは、じじいが大軍で追っかけてくる光景を思い浮かべる。
「なら、迂闊な自分の行動を反省すれば」
なぜか、フィアのご機嫌が悪いようだ。
そして、ティナさんは俺の背中に張り付いている。
「さあギルドに行こう。どうして、ティナさんは背中に引っ付いているんです?」
「なんでしょう。落ち着く波動がアシュアスから出ている感じ? よく分からないけれど安心する」
大地とか母とか父。
精霊王から加護を受け、そんな安心感が体から出始めたようだ。
まあ、とにかくギルドへ行き、次の目的地エベラルドトゥリーへ向かうことにする。
「教会の紹介が、空振りで残念だったわね」
「まあ、余りあてにもしていなかったし、いいさ。彼らの言うことも分かる」
そんな会話をしながら、エベラルドトゥリーに向かうアシュアス達。
エベラルドトゥリー宛の手紙を、ギルドから頼まれ。預かっていたが、その中の一つに、あの教会のじじいが書いた手紙も入っていた。
アレクサンデル王国では、専任の配達員ではなく、その地に向かうハンターが手紙の運搬もしていた。
問題はその中身。
「先日、当方へ依頼を受けてやってきたハンターチーム『奇跡の探索者』と申す者達。教会の秘伝である浄化を用い、さらには上級の治癒魔法について探っておる様子。ご注意ください」
とまあ、そんな事が書かれていた。
途中で、盗賊を退治したり、モンスターを退治しながらゆっくりと、エベラルドトゥリーに到着。
ギルドに向かう。
そこで、カウンターの中に、やっと来たと言う顔をする闇の精霊が立っていた。
そっと指をさす。
そう相手は、イミティス=イルムヒルデ。
年上は分かっていたが、女の人だった。
相手は分かった。だが、いきなり「ねえさん」と呼ぶわけにもいけない。
「おや皆さん。お久しぶりです。お元気そうで何より」
相変わらず、人形のような。表情を変えずご挨拶。
「これ、ビザッティからの手紙です」
「ご苦労様です」
そう言って、達成の受け取りを行う。
顔は正面を向いた状態で、手はサインを書いている。
器用だな。皆がそう思う。
まあ行くのは、らいふ。
目的地の一つでもある、エレオノールさんの宿。
「やっほー。来たよ。おばさん」
「おばさん? リーポス。よく来たね。まだ日は高い。行っといで」
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