上 下
42 / 80
第5章 聖魔法を極めよう

第42話 教会のじじい

しおりを挟む
 見つけた依頼は、教会の清掃と孤児院の修理。
「この田舎町では、どうでしょうね?」
 ティナさんから突っ込まれるが、まあ。

「少し仲良くするのも、必要だろう。誰か紹介をしてもらえるかもしれないし」
「それもそうね。伝手が無しよりは良いかも」
 依頼を受けるため、カウンターへ向かう。

 ついでに盗賊捕獲の書状も渡す。

「皆さんお強いですね…… あれ? ティナさん」
 流石にギルド関係者。ティナさんを知っていた様だ。

「お使いですか?」
「いいえ。ギルドはやめました」
 そう言うと、なぜかやっぱりという顔をする受付さん。

「あそこのギルド特殊ですものね。年間休み無しっておかしいですよね」
 そう言って、何かに納得するようにうんうんしている。

「えっ銀級? ティナさんも?」
 指摘されて、目をそらすティナさんだが、言葉は……
「プライベートな情報は秘匿です。手続きをしてください」
「えー。はい」
 登録時に何かしたようだ。

 まあ手続きは終わり、途中で名物のパンを買う。

 ティナさんは、初めて食べたようだし感動をしていた。
 そう、見るもの聴くもの食べるもの、すべてが新鮮だと喜ぶ。
 その姿が新鮮で、こちらもつい笑顔になってしまう。

 そして、教会のじじい……
「銀級だと? 割り増しは払わんぞ」
 第一声がこれだ。

 普通ランクにより、受ける金額が違うらしい。
 俗に言う時間報酬。
 熟練度によって作業効率が違うため、同じ仕事でもランクによって、一時間単位の単価が違う。

 まあこれは、ギルドのお仕事。知ったことではない。

「それで作業は何でしょう?」
 渋々、作業場所。教会と孤児院を教えてくれる。

 教会は中へ入っただけで、
「神様を祭る祭壇じゃ。土足で上がらず綺麗にしろ」
 そう言って、長い箒を指さすじじい。

 面倒なので、どうしようかと思っていると…… やるよね……

 リーポスがなにも考えず、魔法を発動。
 そう浄化……
 教会関係者の目の前で。

 キラキラした光が、周囲を埋め尽くす。
 当然じいさんは驚き、腰を抜かす。
「なっなっなっ」
「終わったな。孤児院は何処だ?」

「お前たち一体?」
「気にしないでくれ」

 母さん達に言われていた言葉。
「教会の奴らに見られるんじゃないよ。奴らしつこいからね」
 見せてしまった。

「孤児院はあっちかな?」
 そう言って、外へ出る。
 じじいは、当然置き去り。

「思いだした。教会の奴らに見せちゃ駄目だったっけ」
「そうだ。母さんが覚えたとき、追いかけ回されたらしいからな」
「アシュアスの治癒魔法を見たら、追いかけてきそうだな」
「冗談にならないから、やめてくれ」
 出てきた修道女さん? にギルドからの依頼書を見せながら、孤児院へ入らせて貰う。

 外から見てもボロかったが、中もひどい。
 もういいやという感じで、リーポスが浄化を掛けまくる。
 すると、塗っていた壁までが消えてしまった。

 カビでも生えていたのか、何かまずいものが入っていたのか。
 表面に塗っていた、白い塗りは完全に消えた。

 白い塗りは漆喰と呼ばれ、貝殻や骨を焼いたものや白い土。つまり消石灰に糊や色々な繊維を混ぜたものを塗ってある。

「やばいな。この辺り石灰石の取れる所って何処だ?」
 当然メンバーは知らない。
 腰を抜かしているお姉さんに聞く。

「いっ、いいえ、存じません。壁は司祭さまが、数年前に塗られたものだと聞いています」
 それを聞いていやな予感。

 石灰。周りに確かに材料がある。
 ケチるためにまさか…… 墓を……

 まあそこは、突っ込んでも仕方が無い。

 孤児院の構造的にやばそうな所を土魔法で強化して、カルストと呼ばれる所を探しに行く。
 先ずは、ギルド。

「石灰石の採れる所ですか?」
「ええ、縦穴が開いていたりする、白い石の所です」
「それなら、この辺りですね」
 山と山の間に、妙にヘコんだところがある。

「ここは、言われたとおり、縦穴が沢山開いていて、奥の山には主がいるとか言われています。それとお化けがいると。気に入られると、絶大な力をくれるとも言われています」
「ぬし? 絶大な力? 何ですかそれ」
「さあ。土地の伝承ですが、ずっと言われているので、何かあるのでは?」
 受付のドミノさんが、妙におどろおどろしい顔で告げてくる。
 なぜか下から、光が顔に当たっている。

「分かりました。行ってみます」
 そうして、いくつかパンを買い込み、麺の乾燥タイプも大量に購入。
 トマトソースも追加で購入。

「さて、行って見よう」
 基本は土を採ってくるだけ。
 石灰石は色々使えるから、亜空間庫へストックしておこう。そんなことを考えながらピクニックの雰囲気で、良いお天気の中を山登り。

 近くに行くと、木のあまり生えていない場所が広がっている。
「ここから先が、その様だな」
 少し岩を割ってみる。
 これだな。

 周りを見回すと、本当にすり鉢状に縦穴が開いている。
 結構危険そうだ。

「アシュアス。良いもの見つけた」
 リーポスはトイレにでも行っていたのか、ズボンを半分ズリ上げながらやって来る。
 最近、リーポスに男扱いされていない気がする。
 アシュアスはそう思ったが、実は逆。
 リーポスは、ムラムラさせて、襲って貰おう作戦を発動中。
 目に付く所で、意図的に肌を見せている。

 これは、シルティアさんの教え。
「男? そんなもの、肌を見せて誘えば乗ってくるさ」
 そう教わっていた。
 だが皆を家族のように思っている、アシュアスには効果が薄いようだ。

「ほらあれ」
 リーポスの案内について行くと、岩の裂け目から水が流れ出している。

 確かに、入れそう。
「ほら、探検に行こう」
 そう、軽い気持ちで入ってしまった。
 力を与えるものが居る洞窟へ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい

のみかん
ファンタジー
高校進学のために地方から上京してきた少年、新庄玲央(しんじょう れお)は入学式の前夜、唐突に自分の前世が異世界で無双していた魔王だったことを思い出す。 記憶の復活と共に魔王時代のチートパワーも取り戻した玲央。 その力のせいで彼は学園の四天王と呼ばれる不良たち。 異世界帰りの元勇者。 地球を侵略するために潜伏していた宇宙人など。 様々な連中から目をつけられるハメになってしまうのだが……。 現代で最強の力はちょっぴり持て余す? それでもポジティブに生きていこう。 目指すは充実した青春だ! 無敵でマイペースな元魔王が、最強パワーでいろいろブッ飛ばしながら高校生活を謳歌しようとする話です。 ※この作品はカクヨムにて先行して公開しています

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ
ファンタジー
寝てたら起こされて目を開けたら知らない場所で神様??が、君は死んだと告げられる。そして神様が、管理する世界(マジョル)に転生か転移しないかと提案され、キターファンタジーとガッツポーズする。 成宮暁彦は独身、サラリーマンだった アラサー間近パットしない容姿で、プチオタ、完全独り身爆走中。そんな暁彦が神様に願ったのは、あり得ない位のチートの数々、神様に無理難題を言い困らせ スキルやらetcを貰い転移し、冒険しながらスローライフを目指して楽しく暮らす場を探すお話になると?思います。 なにぶん、素人が書くお話なので 疑問やら、文章が読みにくいかも知れませんが、暖かい目でお読み頂けたらと思います。 あと、とりあえずR15指定にさせて頂きます。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...