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第5章 聖魔法を極めよう
第38話 盗賊達の理由
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「ちっ。乗合だ」
「どうするよ」
「仕方ない。襲ってみよう。わしらが、護衛を引きつける」
そう彼らは、アシュアス達に逃がして貰った者達。
元の村へ帰っても、そこに居場所はなかった。
適当な山中に住み着き、細々暮らすがじり貧状態。
そこに、食い詰めた農奴達が加わり、畑を起こしてもみるが、伐採からの開墾は、道具もない状況では進まない。
そして、何とか種を見つけ、作物を植えたって収穫は随分先。
困った彼らは、盗賊でもしようかとなる。
だが、そんな理由は、襲われる者達には関係がない。
そして、今回。乗合には化け物達が乗っていた。
「止まれや」
前回、馬車の前に立ちはだかってはみたが、撥ねられそうになっただけだったので、今回は、倒木だが丸太を転がしてある。
街道の両側は、森が広がる場所。
何とか勢いよく飛び出したが、足は震え、喉も異常に渇く。
「金をだしぇえ」
右手に持つのは木の棒。
それが震える。
護衛の冒険者達が襲いかかる。
予定通り。
男は、一気に逃げ始める。
「おい、逃げた。追いかけるか?」
「いや、先に木を端に寄せよう」
そして丸太を寄せ始めると、石がとんでくる。
「ちっ。少し相手をしてくる」
二人ほど釣れたようだ。
護衛は残り三人。
丸太を寄せる二人と、馬車の上で弓を構える女の子がいた。
その馬車の中では……
「何か盗賊にしては、手際が悪いし新人?」
「さあ? 見てこようか」
馬車の中は、一応皆が盗賊だと言われて警戒中。
御者さんに声をかける。
「俺達は、ハンターだ。少し周りを見てくる」
そう言って、銀級のハンター証を見せる。
「お願いします」
逆にお願いをされてしまった。
俺達が降りると、上から声がかかる。
「危ないから降りないで」
まあ当然だろうから、タグを見せる。
だが、俺のタグではなく、横に居るティナさんに反応をする。
まあ当然だ。
つい三日前までは、ギルドの受付に座っていたのだから。
「えっ。出張ですか?」
などと声がかかる。
「あなたは、アデリーナと愉快な仲間達のアデリーナ」
しれっと言ったが、反論がくる。
「違います。『コーデリア村の光』です。ティナさん。どういう覚え方をしているの?」
あれあれ? おかしいなあと言う感じで、ティナは首をひねる。
「まあいいわ。少し見てくるから気にしないで」
カウンターで見せていた、受付モードでぴしゃりと命令。
反論は受け付けない。
「危ないですよ」
「大丈夫」
そう言って、スタスタと、アシュアス達を追いかける。
アシュアス達は、馬車を襲うために、森の中で待機をしていた連中の前に、いきなり現れる。
彼らは、固まって丸太を寄せている二人をどうにかして、居なくさせようと。
もう一人、おとりを出すかと相談をしていた。
「見たことがある顔ね」
いきなり背後から声がかかる。
皆が振り向くと、幾人かは覚えていた。
笑いながら、一瞬でオーガを倒したその顔を。
リーポスとアシュアス。
前はかなり幼かったが、随分変わった。
逆に、アシュアス達も覚えていた顔が居る。
被害者が囚われている所を教えてくれた、オールトやシーフト。
「なんで、あなたたちが盗賊のようなことを? また命令されて、という感じではないですね」
申し訳ないというような顔をしながら、話し始めた。
「村に戻ったが、土地や家はすでに別の者達に与えられて、文句を言ったら、領主様が決めたことだし、勝手に抜けたのは罪だとまで言われ。仕方なく自由民に」
周りの者達も、頷いている。
「ちょっと、首を突っ込んで良いかな?」
アシュアスがそう言うと、ティナ以外は、ノリノリでオッケーを出す。
「えっ。盗賊の指南をするのですか?」
ティナがナチュラルにぼけてくる。
「いや、住める所を造り、狩りを教える」
「馬車には、先に行って貰うわね」
そう言って、フィアが走っていく。
フィアは、二人がかりで、一生懸命移動させていた丸太を、身体強化をして一気に寄せる。そして、御者に説明をする。
「お気を付けて」と、言われながら見送る。
アシュアスが何をするのかは、分かっている。
川があり、魚が捕れる所。
果物があればなお良しだし、それを目的の獲物が増える。
探査をすると、移動している皆が見える。
この辺りでも、川の周囲には先に開拓村が出来ている。
そこを避けて、と考えると支流の一つ。
「あそこね」
街道側から、目立たないように道を造っていく。
アシュアスは、彼らの村? に来ていた。
山の南斜面で少し平らな所。わずかな、湧き水がある。
村と聞いたが、道具がなく。枝や倒木を利用をした家。
ブッシュクラフトシェルターが、少し大規模になった様なものが造られているのを見る。
そう。家と呼べるものではなく、まだサバイバル中。
そこに女性も子供も居て…… 開墾した土地は、木の枝を払ってわずかに光が差す土地。
当然、そこをどうこするのではなく、探査を撃つ。
フィアの動きと、川の位置。
なるほどと、理解をして、少し山を下る。
当然、土魔法で道を造っていく。
ある場所で、リーポスが剣を振り、尾根が一つ崩落をする。
一気に広大な平地が出来たが、それはまだ使えない土。
土魔法で整地と、法面の石化。
丸太は残し、枝などを開けた土の上で燃やし、その後に山の堆肥をすき込む。
盗賊をしていた彼らが、十年経っても出来なかっただろう工事を、数時間で終わらせる魔法。
彼らも驚いていたが、ティナは倒れていた。
彼女が、理解できる範囲を、超えたらしい……
「どうするよ」
「仕方ない。襲ってみよう。わしらが、護衛を引きつける」
そう彼らは、アシュアス達に逃がして貰った者達。
元の村へ帰っても、そこに居場所はなかった。
適当な山中に住み着き、細々暮らすがじり貧状態。
そこに、食い詰めた農奴達が加わり、畑を起こしてもみるが、伐採からの開墾は、道具もない状況では進まない。
そして、何とか種を見つけ、作物を植えたって収穫は随分先。
困った彼らは、盗賊でもしようかとなる。
だが、そんな理由は、襲われる者達には関係がない。
そして、今回。乗合には化け物達が乗っていた。
「止まれや」
前回、馬車の前に立ちはだかってはみたが、撥ねられそうになっただけだったので、今回は、倒木だが丸太を転がしてある。
街道の両側は、森が広がる場所。
何とか勢いよく飛び出したが、足は震え、喉も異常に渇く。
「金をだしぇえ」
右手に持つのは木の棒。
それが震える。
護衛の冒険者達が襲いかかる。
予定通り。
男は、一気に逃げ始める。
「おい、逃げた。追いかけるか?」
「いや、先に木を端に寄せよう」
そして丸太を寄せ始めると、石がとんでくる。
「ちっ。少し相手をしてくる」
二人ほど釣れたようだ。
護衛は残り三人。
丸太を寄せる二人と、馬車の上で弓を構える女の子がいた。
その馬車の中では……
「何か盗賊にしては、手際が悪いし新人?」
「さあ? 見てこようか」
馬車の中は、一応皆が盗賊だと言われて警戒中。
御者さんに声をかける。
「俺達は、ハンターだ。少し周りを見てくる」
そう言って、銀級のハンター証を見せる。
「お願いします」
逆にお願いをされてしまった。
俺達が降りると、上から声がかかる。
「危ないから降りないで」
まあ当然だろうから、タグを見せる。
だが、俺のタグではなく、横に居るティナさんに反応をする。
まあ当然だ。
つい三日前までは、ギルドの受付に座っていたのだから。
「えっ。出張ですか?」
などと声がかかる。
「あなたは、アデリーナと愉快な仲間達のアデリーナ」
しれっと言ったが、反論がくる。
「違います。『コーデリア村の光』です。ティナさん。どういう覚え方をしているの?」
あれあれ? おかしいなあと言う感じで、ティナは首をひねる。
「まあいいわ。少し見てくるから気にしないで」
カウンターで見せていた、受付モードでぴしゃりと命令。
反論は受け付けない。
「危ないですよ」
「大丈夫」
そう言って、スタスタと、アシュアス達を追いかける。
アシュアス達は、馬車を襲うために、森の中で待機をしていた連中の前に、いきなり現れる。
彼らは、固まって丸太を寄せている二人をどうにかして、居なくさせようと。
もう一人、おとりを出すかと相談をしていた。
「見たことがある顔ね」
いきなり背後から声がかかる。
皆が振り向くと、幾人かは覚えていた。
笑いながら、一瞬でオーガを倒したその顔を。
リーポスとアシュアス。
前はかなり幼かったが、随分変わった。
逆に、アシュアス達も覚えていた顔が居る。
被害者が囚われている所を教えてくれた、オールトやシーフト。
「なんで、あなたたちが盗賊のようなことを? また命令されて、という感じではないですね」
申し訳ないというような顔をしながら、話し始めた。
「村に戻ったが、土地や家はすでに別の者達に与えられて、文句を言ったら、領主様が決めたことだし、勝手に抜けたのは罪だとまで言われ。仕方なく自由民に」
周りの者達も、頷いている。
「ちょっと、首を突っ込んで良いかな?」
アシュアスがそう言うと、ティナ以外は、ノリノリでオッケーを出す。
「えっ。盗賊の指南をするのですか?」
ティナがナチュラルにぼけてくる。
「いや、住める所を造り、狩りを教える」
「馬車には、先に行って貰うわね」
そう言って、フィアが走っていく。
フィアは、二人がかりで、一生懸命移動させていた丸太を、身体強化をして一気に寄せる。そして、御者に説明をする。
「お気を付けて」と、言われながら見送る。
アシュアスが何をするのかは、分かっている。
川があり、魚が捕れる所。
果物があればなお良しだし、それを目的の獲物が増える。
探査をすると、移動している皆が見える。
この辺りでも、川の周囲には先に開拓村が出来ている。
そこを避けて、と考えると支流の一つ。
「あそこね」
街道側から、目立たないように道を造っていく。
アシュアスは、彼らの村? に来ていた。
山の南斜面で少し平らな所。わずかな、湧き水がある。
村と聞いたが、道具がなく。枝や倒木を利用をした家。
ブッシュクラフトシェルターが、少し大規模になった様なものが造られているのを見る。
そう。家と呼べるものではなく、まだサバイバル中。
そこに女性も子供も居て…… 開墾した土地は、木の枝を払ってわずかに光が差す土地。
当然、そこをどうこするのではなく、探査を撃つ。
フィアの動きと、川の位置。
なるほどと、理解をして、少し山を下る。
当然、土魔法で道を造っていく。
ある場所で、リーポスが剣を振り、尾根が一つ崩落をする。
一気に広大な平地が出来たが、それはまだ使えない土。
土魔法で整地と、法面の石化。
丸太は残し、枝などを開けた土の上で燃やし、その後に山の堆肥をすき込む。
盗賊をしていた彼らが、十年経っても出来なかっただろう工事を、数時間で終わらせる魔法。
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