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第3章 エルレラ大陸
第24話 話し合い
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「いきなり殴って、悪かったね」
元旦那さんアーベルと、現奥さんクリステとその娘エリカ。
対してこちらは、女将さんがマリベルで娘はルネ。
「いいえ。事情は分かりましたし」
この地方、平民に戸籍などきっちりしたものは無い。
むろん結婚も形式としてあるだけ。
周囲を招いて、結婚しましたとアピールをする。
一緒に暮らせば、夫婦。
徴税の時期に、一緒に住んでいれば一家としてとられる。
「さて、どうするかね。私もこの人が死んでしまったと思い。諦めたが、生きているなら話は別だが」
「私も、その離れるなんて困ります。この子もいますし」
「そりゃお互い様だ」
「旦那さんはどうしたいの?」
「俺は、助けて貰った恩もあるし、だが忘れていたとなっても家族がいたのなら…… それも、俺が必要だと思ってくれているのなら、何とかしなきゃならんだろう」
「じゃあこの家より、女将さんの家に戻って漁をすれば良いじゃん」
リーポスが、随分失礼なことをさらっと言う。
確かに掘っ立て小屋。
それに比べ、女将さんの宿は、無駄に丈夫。
「まあ、それでも良いがね。そちらで決めておくれ」
少し悩んでいるが、女将さんは立ち上がる。
宿に帰る途中、ポツポツと胸の内をしゃべってくれる。
「やっと私もこの子もあの人が死んだと納得し、生活を始めたんだ。見た瞬間に嬉しいし悔しいし、色々と思ったけれど。時間がねぇ。生きているかもと思っているなら待てるんだけどね。目の前で食われるのを見たんだ。そりゃ諦めもするだろう」
そう言って海を眺める女将さん。
だけどそういう割には、涙で頬が濡れていた。
「アシュアス。私はあなたが死んでも。まってるからね」
フィアが言ってくる。
「嬉しいけれど、それはそれで困るな。やっぱり女将さん達のように前を向いて生きて貰った方が安心をするかなぁ」
「うーん。難しい問題だね」
リーポスは貰った干物を囓っているが、炙った方が美味くないのか?
ふと気になる。
「でもさあ、クリステさんも、娘さんのエリカちゃんも、アーベルさんの命を助けてお父さんになっただけだし、何が悪いっていう事でもないよね」
アミルがそう言うと、クノープも頷いている。
「そうだね」
少し前を、歩いていた女将さんの目が光る。
ここは、坂を下りて、海岸は岩場になっている。
いきなり岩場にダッシュ。
サザエやアワビをナイフを使って器用に獲っていく。
丁度引き潮で、良いタイミングだったようだ。
小さな、ニシ貝とかも、美味しいし良い出汁が出るようだ。
岩場の隙間にいるカメノテとか、その辺りも採取をする。
そうして楽しんでいると、魚がいきなり海岸の方へ押し寄せてくる。
「これはやばい。奴が来た」
女将さんが叫ぶ。
いわれて目を向けると、沖合から口を開けて、奴が魚を追い込んでくる。
シーサーペント。
体長は分からないが、頭だけで二メートルを超えている。
「思ったより小さい?」
「そうだね。普段の奴なら、頭だけで三メートルを超えているからね。ああ、あいつだよ」
小さい奴の後ろに、一際大きいやつの頭が浮いてきた。
「漁の練習中か」
だが、とりあえず実害が無いのに退治するのもなあ。
そう言って、皆で岩場の上でボーーと、押し寄せる魚たちを見ている。
すると背後で声がして、振り向く。
「さかなだああぁ……」
ああうん。アーベルさんが、浜まで降りてきて魚を拾い出して、そのままぱっくりと食われる。
だが、個体が小さかったため、シーサーペントがむせ込み、アーベルさんが吐き出される。
勢いよく吐き出されたアーベルさんは、砂浜を滑っていき、防波用の石垣にゴンと頭をぶつける。
ぐったりしているが、大丈夫かな?
そこに同じく、魚を拾いに来た、クリステさんとエリカちゃん。
父親を見つけて絶句。
一度あることは二度ある。
「俺は一体? あんた達は誰だ」
その衝撃たるや相当だったのだろう。
いきなり蹲り泣き始めるクリステさん。
エリカちゃんはよく分からないようで、お母さんにしがみつく。
そしてその状況で、アーベルさんは魚拾いに戻る。
鯛とか、サワラとか選り好み。良いものだけを集めているようだ。
その内、町からも皆が集まってきて、魚獲り大会が始まる。
見ていると、アーベルさんは宿の方へ走っていった。
「あー。多分記憶が戻ったんですね。クリステさんとエリカちゃんを宿に連れて行っていいでしょうか」
「まあ当然だね。旦那は、殴ったら記憶が戻らないかね?」
「どうでしょう? 斜め四五度が良いそうですよ」
「そうかい。物知りだね」
こちらはこちらで、大量だ。
クリステさんとエリカちゃんを誘い、宿に戻る。
しっかり、篭の中には良型の伊勢エビが拾い込まれていた。
そして宿に戻り、いそいそと料理をしているアーベルさんが居た。
「おうマリベル。帰った来たか。この包丁が切れなくなっているし、色々が急にボロくなっちまった。どうなっているんだ?」
完全に記憶が飛んでいるらしい。
まあ料理は、旦那さんの方が美味いらしく任せる。
全員が食卓に着いたところで、発声をする。
「さて。お祭りの後で、豪勢な食事を囲み。お話し合いの時間です」
元旦那さんアーベルと、現奥さんクリステとその娘エリカ。
対してこちらは、女将さんがマリベルで娘はルネ。
「いいえ。事情は分かりましたし」
この地方、平民に戸籍などきっちりしたものは無い。
むろん結婚も形式としてあるだけ。
周囲を招いて、結婚しましたとアピールをする。
一緒に暮らせば、夫婦。
徴税の時期に、一緒に住んでいれば一家としてとられる。
「さて、どうするかね。私もこの人が死んでしまったと思い。諦めたが、生きているなら話は別だが」
「私も、その離れるなんて困ります。この子もいますし」
「そりゃお互い様だ」
「旦那さんはどうしたいの?」
「俺は、助けて貰った恩もあるし、だが忘れていたとなっても家族がいたのなら…… それも、俺が必要だと思ってくれているのなら、何とかしなきゃならんだろう」
「じゃあこの家より、女将さんの家に戻って漁をすれば良いじゃん」
リーポスが、随分失礼なことをさらっと言う。
確かに掘っ立て小屋。
それに比べ、女将さんの宿は、無駄に丈夫。
「まあ、それでも良いがね。そちらで決めておくれ」
少し悩んでいるが、女将さんは立ち上がる。
宿に帰る途中、ポツポツと胸の内をしゃべってくれる。
「やっと私もこの子もあの人が死んだと納得し、生活を始めたんだ。見た瞬間に嬉しいし悔しいし、色々と思ったけれど。時間がねぇ。生きているかもと思っているなら待てるんだけどね。目の前で食われるのを見たんだ。そりゃ諦めもするだろう」
そう言って海を眺める女将さん。
だけどそういう割には、涙で頬が濡れていた。
「アシュアス。私はあなたが死んでも。まってるからね」
フィアが言ってくる。
「嬉しいけれど、それはそれで困るな。やっぱり女将さん達のように前を向いて生きて貰った方が安心をするかなぁ」
「うーん。難しい問題だね」
リーポスは貰った干物を囓っているが、炙った方が美味くないのか?
ふと気になる。
「でもさあ、クリステさんも、娘さんのエリカちゃんも、アーベルさんの命を助けてお父さんになっただけだし、何が悪いっていう事でもないよね」
アミルがそう言うと、クノープも頷いている。
「そうだね」
少し前を、歩いていた女将さんの目が光る。
ここは、坂を下りて、海岸は岩場になっている。
いきなり岩場にダッシュ。
サザエやアワビをナイフを使って器用に獲っていく。
丁度引き潮で、良いタイミングだったようだ。
小さな、ニシ貝とかも、美味しいし良い出汁が出るようだ。
岩場の隙間にいるカメノテとか、その辺りも採取をする。
そうして楽しんでいると、魚がいきなり海岸の方へ押し寄せてくる。
「これはやばい。奴が来た」
女将さんが叫ぶ。
いわれて目を向けると、沖合から口を開けて、奴が魚を追い込んでくる。
シーサーペント。
体長は分からないが、頭だけで二メートルを超えている。
「思ったより小さい?」
「そうだね。普段の奴なら、頭だけで三メートルを超えているからね。ああ、あいつだよ」
小さい奴の後ろに、一際大きいやつの頭が浮いてきた。
「漁の練習中か」
だが、とりあえず実害が無いのに退治するのもなあ。
そう言って、皆で岩場の上でボーーと、押し寄せる魚たちを見ている。
すると背後で声がして、振り向く。
「さかなだああぁ……」
ああうん。アーベルさんが、浜まで降りてきて魚を拾い出して、そのままぱっくりと食われる。
だが、個体が小さかったため、シーサーペントがむせ込み、アーベルさんが吐き出される。
勢いよく吐き出されたアーベルさんは、砂浜を滑っていき、防波用の石垣にゴンと頭をぶつける。
ぐったりしているが、大丈夫かな?
そこに同じく、魚を拾いに来た、クリステさんとエリカちゃん。
父親を見つけて絶句。
一度あることは二度ある。
「俺は一体? あんた達は誰だ」
その衝撃たるや相当だったのだろう。
いきなり蹲り泣き始めるクリステさん。
エリカちゃんはよく分からないようで、お母さんにしがみつく。
そしてその状況で、アーベルさんは魚拾いに戻る。
鯛とか、サワラとか選り好み。良いものだけを集めているようだ。
その内、町からも皆が集まってきて、魚獲り大会が始まる。
見ていると、アーベルさんは宿の方へ走っていった。
「あー。多分記憶が戻ったんですね。クリステさんとエリカちゃんを宿に連れて行っていいでしょうか」
「まあ当然だね。旦那は、殴ったら記憶が戻らないかね?」
「どうでしょう? 斜め四五度が良いそうですよ」
「そうかい。物知りだね」
こちらはこちらで、大量だ。
クリステさんとエリカちゃんを誘い、宿に戻る。
しっかり、篭の中には良型の伊勢エビが拾い込まれていた。
そして宿に戻り、いそいそと料理をしているアーベルさんが居た。
「おうマリベル。帰った来たか。この包丁が切れなくなっているし、色々が急にボロくなっちまった。どうなっているんだ?」
完全に記憶が飛んでいるらしい。
まあ料理は、旦那さんの方が美味いらしく任せる。
全員が食卓に着いたところで、発声をする。
「さて。お祭りの後で、豪勢な食事を囲み。お話し合いの時間です」
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