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第3章 エルレラ大陸

第20話 トヨースの町

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 僕たちは船に乗って大海原に挑んでいた。
 予定だった……

 まだ、『海竜の天敵』達はドラゴンキャットフィッシュと戯れていた。いい加減酔いも冷めていたが、彼らとの戦いが面白くなって来た様だ。

 毎日のように、粘液でドロドロにされ、もう服がボロボロになっている、エデュ達。

 基本、スミーダの川もそうだが、領同士侵略の問題や予算の関係上橋は少ない。

 ここを何とかして、橋を造り直さないと動けない。
 川の両岸には、すでに足止めされた商人達が山のように待機して、討伐に対して近隣ギルドに依頼が回っていた。

 だが、相手は水の中に居るドラゴンキャットフィッシュ。体長10メートルの個体。
 弓や槍が皮膚ではじかれるため、早々退治が出来ないし馬程度なら一飲み。
 引き受けるものは居なかった。

「あっ、あんた達」
 剛気肝っ玉母さんイーリスが、アシュアス達を見つける。
 だがその姿はボロボロで、魔物の革で造られた胸当ての下は剣除けの鎖帷子で、ほとんど服はない。
 
 クリシュは弓使いの為まともだが、それ以外は上半身裸だ。

 フィア達が焦ったが、こちらはまだ体が小さいため、イーリス達に合うような服は持っていない。
 商人達に声をかけ、着る物を売って貰う。

 エデュ達は、依頼達成も出来ておらず。金がなかったようだ。
 どうせ、ボロボロになるし。

 そして、その服を買って回るときに、依頼が出ていることを聞く。
「倒すのは良いけども、ギルドで受注していないけれど大丈夫かな?」
「倒してくれるなら、わしらが証言をする」
 周りの商人達が騒ぎ出す。

「エデュ達も良いのかい?」
「倒せるのなら倒してくれ。俺達じゃ倒せない」
 毎日の戦いで、えらく疲れていたようだ。

 向こうも本気では無く、遊ばれていた。
 こちらが諦めると意地が悪いことに、橋の残り部分に体当たりをするそうだ。

 表情は判断できないが、絶対笑っていやがると、イーリスが着替えながら怒っていた。
 イーリスさん。堂々としているが、まだ二十二くらい。
 躊躇無く装備を脱ぎ、着替えている。
 男兄弟ばかりで、育ったために、見られるくらい気にしないようだ。

「じゃあ、俺達も困るし、倒すか」
 そう言って、アシュアス達がドラゴンキャットフィッシュに向かい合う。

 そう、原因を作ったリーポスが、今剣を抜く。

 水の中であざ笑うように浮かんでいた、ドラゴンキャットフィッシュが、その姿を見つける。
 赤い髪が何かを刺激をしたのか、口を開け、いきなり水流を放ってくる。

 それを剣で切り、猛然と突っ込もうとして、深みにはまる。
「げっ。深い。助けてアシュアスぅ」
 そして、選手交代。

 フェンリルだけではなく、水の精霊に加護を貰っていれば良いのに貰っていなかったために、精霊魔法は使えない。

 だけど、素の魔法は皆得意。
 リーポスが水から上がると、雷がドラゴンキャットフィッシュを襲う。
 ある程度なら、粘液が体を守るが、高温で乾き始める。

 そこに、棘状の石柱が、川底から幾本も生えてくる。
 だが、それは刺さらず、体を持ち上げるのみで、棘の上でコロコロと転がる始末。

 その丈夫さが災いをした。
 水から持ち上がった体。

 そこに、炎が降りそそぎ、土の槍が降りそそぎ、真空の刃が降りそそぐ。粘液が消え槍に刺され、切られると流石に耐えられなかったようだ。

 その時間、わずか十分。
 あれだけ、苦労をしたモンスターがあっという間に退治をされる。

「おいおい。奴ら黄銅級だったよな」
 再び、エデュ達が落ち込む。まだ昇級したことは知らない。

 喜んだのは商人達。
 退治をされたのも嬉しいが、ドラゴンキャットフィッシュは以外と美味いらしい。

「あれ、食っていいか?」
 そう聞かれたので許可を出す。

 幾人かが、ザンブリと川へ飛び込み、ロープを掛ける。
 持ち上げていた棘は、当然解除する。
 引き上げられると、捌かれていくが。

 皮は固く丈夫なため、俺達が切り開いた。
 そして、それは防具とかに使えるらしく、その場で売れた。

 皆が騒いでいる隙に、ついでに、土魔法で橋を直していく。

 橋脚を造り、その上に土の柱をならベて繋いでいく。
 この時の柱は、三角の断面が丈夫で使いやすい。
 きちんと、橋脚の支承部分には三角の受けを作っていて、乗せていくだけ。

 合わせ目は、一センチくらいの遊びを持たせる。
 季節によって伸び縮みをするからね。

 橋脚は三メートルの間隔で設置。橋台と呼ばれる上面は一メートル。

 あっという間に、完成。
 そして歓声。
「おおっ。やったー」
 向こう岸からも商人がやって来る。

 急いでいるはずなのに、その晩は宴会が始まった。

 その晩、トヨースのギルドに報告が入る。
「何? 退治された」
「はい、通り掛かった冒険者達が倒しました」
 当然ギルドから調査員が、見張るために現場にいた。

 現場では楽しそうな宴会。調査員は、蒲焼きを食べた後、涙をこぼしながら報告に戻った。

「ふむ。それでは早急に橋の復旧を、領主様に進言をしよう。あそこは主要街道。皆が困ることになる」
 そう近隣には、魚介類が生きたまま届けられていた。

 この所、街道が通れず、生きた魚が必要ないため。漁にも出られなかった。

「あっいえ。橋も直りました」
「なに?」
「皆が、料理。いや、少し目を離した隙に直っていました」
 話を聞いて、ギルドマスター。ユリミーラ=コーイケーは早合点をする。
 きっと困るので、簡易的な橋を造ったのだろうと。

 話はすれ違い、命令は出される。
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