はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第五章 本当の戦い

第85話 夢の国

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 船旅は二週間ほど掛かった。
「うえー、疲れたぜ」
「ああ、あんなに狭いとは思わなかった」
 乗ってきた船は、大型の漁船程度。
 結構揺れた。

 当然税関など通らず、直接上陸だ。

 簡単な地図では、目的予想地は関西から中国地方辺りとなっていた。
 なんせあの一件で、人工衛星は全滅。
 もしあっても、こちらの電子デバイスが死んでいるから一緒だが。

 徒歩でてくてくと、怪しいおっさん達が移動する。
 途中で出くわすのはモンスター。

 とっさに判断をして、三連の軽快な破裂音が聞こえる。
「日本て、銃は禁止されていなかったか?」
「そんな事は早く言えよ、やべえ逃げろ」
 あわてたが、現在、銃刀法が凍結されていた。

 無論犯罪に使われた場合、罪状は一発満願となる。
 緊急時特別法。
 警官が居ない、行けない、手が足りない。
 そんなわけで、セスナ機から号外が撒かれて布告された。
 ただ入手ができる者は少数だが、王国から支給されて、一部地方には流通していた。

 結局、話を聞きながら彼ら波が彷徨っていると、奇妙な車が走っている。
 しかも、台数が増えてくる。

「無音という事は、EVか?」
 彼らは、窓にネットが張られた、サファリパークにありそうな車達に興味を引かれる。
 無論、走っていると、野良のゴブリンなどが出てきて、結構撥ねてしまう。
 だからボディはガチガチに造っている。

 事故時は、内部で風魔法を利用をした、スライムエアバッグが開く。
 一瞬で開き、運転手がぶつかると柔らかく包み、少しだけ圧が抜ける。
 その後じわっとまた圧が高まる。
 そして、何もなかったかのように、元に戻っていく。

 そう使い捨てじゃない、非常にエコな商品。
 それに、透明なので緊急避難的な回避運転も出来る。
 平和だった、日本とは違うのだよ。

 『王国製魔導車は、オークとぶつかっても勝てます』
 そんなポスターが貼られている。

 そして人の場合は、見守りくんのリングタイプや腕輪タイプが売られている。
 個人用シールドだ。
 あくどいことに、リングは五回、腕輪一〇回で壊れる。
 いや一瞬の間に、シールドの場合、魔力が結構要る。
 それをカバーする魔力石が、小さいと五回分くらいで枯渇するのだよ。
 色々と言われたが、そこに悪意はない。

 結局、座標は瀬戸内海を含むエリアに点在をしていた。
 日本は、飛び地ではなく、測量をして領地のやり替えをしようとしたが、王国の各地に、曰く付きいわくつきの遺跡や祠が有り、二の足をふんだ。

 その遺跡は調べると、魔力による封印が施されていて、そこに足を踏み入れた日本の学者は、なぜか全員裸で、そこら中に体液を撒き散らかし、幸せそうな顔をして干からびたようになり死んでいた。
 その遺跡から、何かが逃げ出したかは現在のところ不明となっている。

 ただ、総勢三〇人ほどが不慮の死で計画が頓挫した。
 そんな遺跡が、以外と存在をしているのが判り、日本は手を引いた。

 むろん、単なる怨霊で、浄化をすれば良いものや、奥に洞窟があり、ラミアが住んでいたとか色々だ。
 中には、封印が解けたリッチが待ち構えていたことも……

「危険だ、国も抱えている遺跡も危険だ……」
「いや、局長、王国の協力で、あらかじめ報告書は提出しましたよね」
「バカモン。あれには、そんな伝承があるとしか、書かれておらんかったではないか」
「歴史が古いから伝承なんです。ほら津波が、良い例でしょう。石碑なども建っているし」
「それとこれとは…… とにかく銃も効かないようなモンスター、危険すぎる。全て白紙だ」

 そう現在、日本の行政関係を中心に、王国製魔導車が走り始めた。
 今、各メーカーは、王国に人を派遣をして、ゴーレムの作製とプログラミングを習っている。
 だが、結構日本の一般常識がじゃまをする。

「ですので、ここは効率を上げるため、魔導銀を使います」
 魔導研究所の一角、どこか懐かしい、学校の教室のような造りの部屋。
 そこに座った人達の中で、手が颯爽と上がる。

「魔導銀とは何でしょう?」
 講師はうんうんと頷く。

「それでは実際に、錬金術では一般的な錬成を行いましょう。先ずは石を適当に持って来ます。どんなのでも良いのですが、銀を創るなら銀鉱石があった方が魔力が少なくて済みます。これを、銀に合わせて変化させます。王に言わせると、その物質が持つ、分子量を調節するのだとか」
 そう言いながら、講師は適当な石をクニャクニャと変形させて、それを針金のように細く伸ばしていく。

「この伸ばすときに、魔力を流しておいてください。そうしないと、魔導銀になりませんからね」
 そう言って、ニコニコ。
 各メーカーから来たエンジニアは、何が起こったのか理解できない。
 自らの力で、分子量を変化させる。
 その加減を上手く使える人が、錬金術師であり、変化させる事は子どもでも出来るという事だ。

 そう、まず常識を捨てる。
 石も金属も、考えるだけで変化する。
 つまり、これが広がると、鉱石の価値が暴落するという事。

 高止まっていた金などは、グラム一万五千円にもなっている。
 それを念じただけで創れる。

 報告は、至急で伝えられた。
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