はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第五章 本当の戦い

第68話 この世界

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 この世界、日本が島国として存在していたが、今回の融合で陸地が増えた。
 それも、日本海にドラゴン達の住む山脈が出来て、その山脈の向こう側でダイモーン王国側がこちらの大陸と重なったため、世界中にちょっかいを出すのが好きな中央帝国と今もめている。
 その中央帝国の向こう側には、オーソローシア帝国が存在している。

 手前側には半島があったはずだが、今回上に山脈がかぶり、どこかへ行ってしまった。

 反対側の太平洋側。海の向こうには大陸があり、北側にはライス共和国とキングサーモン連邦国とかが存在、南側の大陸はまあ色々、多数の国がある。

 第二次太平洋海戦の折、時代は航空機の時代となり、日本帝国は解体された。
 まあその後、日本人は不眠不休の百連勤体勢で復興を行った。

 そしてだ、今日本は疲れ切って爆睡モード、眠れる獅子と呼ばれている。

 怠惰な平和と、それに慣れきった国民。
 そこにやって来た異変。

 警察のプライドだけのために、今現在屋外ではバットすら所持が許されず、通信インフラのない状況でも、何かあればすぐに駆けつけますので、警官を呼んでくださいとあちらこちらに立て札が立った。
 スマホもないのに一一〇番をしろと仰る。
 被害は、いつも現場で起こっているんだぁ。

 ウルフ系は、七十キロから八十キロで走る。
 驚いたことに、オークも三十キロくらいで走る。
 ゴブリンも似たような物だ。
 この速度で走ることの出来るじじいがいれば、そいつはきっと人間じゃない、そいつはおそらくラスボスだよ。
 きっと倒れた後、衣装が替わるんだ。

 まあ学術的な分野では、人間の物理的限界速度が、五十キロだろうと言われているから、おかしくはないだろうが、それは超一流の短距離選手で四十五キロくらいまで達成されているだけである。だが、それは人類としての一握り。普通の社会人なら十キロ前後と言われている。それに、いきなり三分も全力で走れば、ゲロを吐いて死ぬ。

 まあ結果、弱い一般市民は餌となる。
 そのため皆が家から出ず、田も畑も荒れ放題。
 今はそんな状態だ。

 王国側は、いつものことなので、畑の計測をやり直し、収穫見直しを始める。

 俺が言っていたように、備蓄はしている様だ。


 日本側では、混乱中。
「奇妙な事に、似通った国名とかなのですが、わずかに違いがあるようです。中でも、この国、王の中の王と呼ばれているのは、どうやら日本人らしいです。こちら側の世界と繋がったとき、トラクターに乗って入って行ったと。ええと名前がリュイチー=ジンノーと書かれておりますが、転入届を引っくり返しまして、この付近の住人を検索、該当者が十三名。目撃情報から年齢を推定三名にまで絞りました」

 それを聞いて、担当者は頭を抱える。
「そんな事をしないでも、日本国の関係者だと言って、会いに行けば会えるんでしょ。本人に聞けば良いじゃない?」

 そう言いながら、外務省地球規模異常管理室、担当官稲田 陽愛いなだ ひめは思い出す。
 中学までお隣で仲のよかった、神野 龍一じんの りゅういち、おバカで変な学校へ行っちゃったけれど、頼りになり好きだった。

 今回勝手を知っている地元だろうと、いきなり出張というか出向扱い。
 必死で原付の勉強をして、特例で免許を貰いやって来た。

 倉庫に眠っていた郵政外務時代のバイク、その時代ガソリンリッター百五十キロを売りにしていた伝説のバイクだ。実測は五十三キロらしい。

 無数の車などが、あの日から放置されて実質封鎖されている高速道路を使い地元へと帰ってきた。
 市役所に来て、話したのが先ほどの内容。

 ざっと場所を聞いて、彼女は突入をすることにする。

「ここは、インセプトラ―王国王都カーブキーである。入場するなら入場料、銅貨五枚を払え」
「あのわたくし、向こう側、日本国のその…… 役人ともうしますか、そう文官なのですが、王様に、リュイチー=ジンノー様にお会いしたく…… どのようにすれば?」

 それを聞いて門番も悩む。
「少し待ってください」
 詰め所へ行き、無線で城と話す。

「えっはい、所属と名前? はい、伺います。ちょっとお待ちください」
 そう城側で、丁度出たのが、楓真だった。

「あっハイ、失礼しました」
 そう言って名刺を渡す。
 無論文字は読めない。
「読めません、これに向かって、言ってもらえます」
 差し出された、魔導無線のマイク。

「外務省地球規模異常管理室、担当官稲田 陽愛いなだ ひめと申します」
 すると聞いていた楓真は、おやっと思う。
 聞いたことがある名前。
 これは会わさねば……
 
 彼は、ニコニコワクワクで、お迎えの準備をする。
「お通ししなさい」
「はっ。どうぞこちらです」
 門番さんが歩き始めたので、彼女もカブを押して歩く羽目になる。

 その頃。
「多分間違えないから、この部屋で、お茶でも飲んで貰って、名前を書いて貰うだろ、此処で服を脱がして、風呂に入らして、スケスケの服で、龍一の寝室へご案内?」
 なんか、注文の多い料理店のような段取りを行う楓真。
 お茶と名前は良いが、その後『此処で服を脱げ』という張り紙では脱がないと思う。
 後で本人からダメ出しされた。
 そう二十七歳だもの。
 普通はね。

 だが、躊躇をしていると、わさっと侍女達がやってきて、脱がし始める。
 まあ強制的に脱がされた。
 そして風呂に放り込まれて、洗われて、気がつけば王の寝室。
 
 彼女だけ取り残されて、薄暗いが目の前には巨大なベッド。
 どうすればいいのかとぐるぐる考えていたのだが、やがて、ドアが開き男が一人。
 仕事もあるので、この薄い服はセキュリティのためね。
 そう割り切って、挨拶を行う。

 そんでまあ、すぐに龍一の方が気がついて、どうしてこんな事になったとなった。
 すぐにガウンを着せてくれて、話し合い。

 遅れて、奥さんズ登場。
「あら、あなただあれ?」
 無論、澪が聞く。

「日本国、外務省地球規模異常管理室…… 陽愛です。案内されるままここへ、途中で、侍女様でしょうか? いきなり脱がされてお風呂に入れられて……」
「あらまあ、龍一がそんなことをするわけがないから、杉原君のいたずらね。でも、若くも無さそうだし、顔も普通、なぜかしら?」
「ぐっ」
 若くもないし、顔も普通よ。

「杉原君というと、楓真君ですかね?」
 それを聞かれて、澪は顔に出てしまう。
 貴様なぜそれを知っているという感じ。

「ええそうよ」
 当然正月とか夏休みには少しだけ竜ちゃんは帰ってきた。
 その時に、幾度か楓真君を連れてきていて、竜ちゃんの幼馴染みである私は会ったことがある。

「私、竜ちゃんの幼馴染みなので、私の気持ちがバレていたのかも。ねえ竜ちゃん。この女の人達何?」

 その瞬間、部屋の温度がいきなり下がる。
 当然、思った状況とならなかったため、つまらんとぼやいていた楓真は、お叱りを受ける事になる。
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