はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第四章 魔王と魔人

第60話 魔人族領へ出発

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「海だよ」
「まあ島とは反対だから良かったな」
 船を造った。
 南蛮船と呼ばれた船と同じ様な作り。

 オールではなく、魔導具。
 外輪船だ。
 防水がね、出来なかったんだよね。

 驚くのは、水圧。
 シャフトを入れて水を掛けて濡らしてみると、結構キツいくらいのすりあわせだった。
 なのにだ、水に浮かべて翌日、船倉に大量の水。

 それでも、水をかき出し、少し走らせる。
 だが、水を吸った木は弱いのか?
 数時間後には、ただいま増量中と言わんばかりの大放出祭。

「だあー、沈む戻れぇ」
 おれは焦っていたが、周りの専門家はそんなにあわてていない事に、気がつかなかった。
 木造船は、素材が浮くんだよ。
 
 そう、あわてていたのは、素人だけ。
 まあ結局、水がジャバジャバ入ってくるのは良くないが、穴を開け乗るのだから当然だと馬鹿にされた。
 
 まあその後、外輪船を作ったのだが、一応スクリューシャフト用の防水装置も作った。
 隔壁と大量のグリース。
 そして、テーパーがかみ合うように、組み合わせ、その間にもグリス。

 まあ実際にどんな感じかは、見ないと判らないだろう。
 小型船では、なんとかうまくいった。

 まあ、その間にも、船は造り十隻程度の船団を作り出発をする。
 水先案内人は、ウェヌス達。

 行程は、三日ほどだった。
 思ったより、近いところに他の大陸が存在していた。
 
 釣りをしたり、日光浴をしたり、優雅な船旅。

「龍一、あそこが魔人国、港町イントロイトス」
 ウェヌスが指さすところに、小さな集落が見えた。

「ほらほら、龍一。皆が戦闘態勢、弓部隊が鈴なりになっています」
 ウェヌスが嬉しそうに言ってくれる。

「ありゃ駄目だな、気を付けろ。魔人族は矢に魔法を乗せて、一キロ以上の射程を出すからな」
 デモゴルゴンが教えてくれたときには、もう矢が飛んできていた。

「話し合いは…… 無理そうだな」
「話し合いをするにも、先に力を見せないと駄目だ」
 そういう事か。

「応戦、力を見せる。軽く応戦をしよう」
「「「おう」」」

 艦首の魔導砲が回転をする。
「てぇ」
 号令が船団に届く。その瞬間、砲が一斉に火を噴く。
 
 対岸に並んでいた者達がいなくなっていく。
「ありゃ? 攻撃中止。攻撃中止」
 だが、遅かった……

 魔人国、一歩目は一方的な殲滅で幕開けをしてしまった。

 着岸をして、係留をして、上陸。

「あー」
 浄化の光が、周囲を包んでいく。

 うん、初上陸した地は、誰も生きた者が居なくて、惨劇の跡だった。
「まあこれが正解だろう。魔人族は基本的に、性格が悪いからな。話は通じないし」
 聞くと、顔見知り以外は全員敵という殺伐とした修羅の世界のようだ。

 どこかに行くと、まず、力を見せる。
 そこから話がやっと出来るという感じらしい。

 どこかの、世紀末な世界がスタンダード。

 適当に家捜しをしながら、周囲を確認して行く。
 だがその時には、すでに魔人族の人が伝令として走っていた。

「敵だあ」
 近くの村へ連絡が行き、そこからさらに連絡が行く。

 俺達は、荷車を船から降ろし、拠点を構築。
 予定をたて、これからの道順を考える。
 そういえば、聞こえは良いが、どうするかは行ってみてから考える。

 そう行き当たりばったり。
 最終的な目的地は、魔王が眠る霊廟。

 大陸の中央、山脈に少し入った所にあり、その奥にはさらに魔人が眠る洞穴があるそうだ。
 なんなら、浄化を行いたい。
 魔人は霊的な存在で、多くは魔王が、力を貰い魔人化をする様だ。

「まあいい、行くか」
 お気楽な感じで、俺達は出発をする。

 一応街道はあり、道は分かる。
「この荷車という物は楽だな」
 
 デモゴルゴン兄妹も楽しそうだ。
 龍一の嫁ーズはお留守番。



 そんな頃、始まりの島でも動きがあった。
「誰も居ねえぞ」
 やっと彼らも気がついたようだ。

 島のあちこちで上がっていた煙がなくなった。

 その事にやっと気がついた。
 そこから、やっと向こうへ渡ったのだと思い至った。
 そう、彼らは、やっと船を造り渡ろうと考えた。

 そしてそれは、大陸側でシュウガクリョコウ関係者は、いい人と思っていた者達に地獄を見せる。

 そう厄災の者達。
 二年三組。

 彼らは苦労して渡り、村々を襲い始めた。
 だが、連絡は兵達にすぐに届き、魔導銃で撃たれて逃げ回り、盗賊化をする。

「なんだよ、銃を持っているじゃないか」
 妙に整備された村々を見て、違和感を持っていたようだ。

 彼らが思った時代より進んでいた。
 自分たちは苦労して、平安時代的な生活を行っていたのに。
 こちらでは、言わば楽勝な生活をしていた。
 それが許せないと、まあ理不尽な話だ。

 だが、武器の違いは大きく、彼らは山に潜む。



 一方龍一達はうんざりしていた。

 奴らは現れると、問答無用で攻撃。
 そこに話す、などと言う手順は存在しない。

 見つけた、いけーである。

 RPGのように、敵が現れた。
 選択肢は、戦うのみ。
 広大なはずのマップ上を、高速に駆け抜けていく。

 流石にうんざりして、大きな町は避けていく。

「ふははは、私と出会ったのは運の尽き」
 行く手に、ハイテンションなおバカが現れた。

 一見をすると鬼のような奴。
 見た瞬間に竜巻が起こり、それに火が混ざる。
 火災旋風のような物が、二本三本と増えていく。

「こいやぁ」
 そいつが叫ぶ。

「撃て」
 それと同時に、あの旋風が来るのが面倒なので、干渉をして消滅させる。
 
 うん? ああそいつ?
「あばばばば」
 とか言いながら、死んでしまった。
 思っている以上に二十ミリは凶悪なようだ。
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