はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第三章 大陸統一

第53話 また増えた

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「何これ?」
 無表情で澪が指を指す。

「盗賊に捕まっていたのかと思ったら、違っていたようだ」
 ナーガは新しい服を着て、龍一の腕に掴まっていた。

 帰り道、なぜか馬がおびえて困った。

 まあ、魔道式荷車にはそんな事は関係が無いので、先に帰ってきたら澪に見つかった。
 まあいきなり城に入ってこられるのも、ひとしきり騒動があった後である。

「番となる」
 そう言って聞かなかった。
「番ですか、それならば王のご判断といたしましょう」
 そう言って、門番まで通してしまった。

 セキュリティ的に問題があるな、今度話し合おう。

 まあ、それはさておき、話を聞く。
「どこから来たんだ?」
 するとキョロキョロとして指さす。

「あちら側、竜の里である」
「そうか、竜の里という村があるのか?」
「ある」

 そこで、近衛部隊と言って、王にくっ付いて回る兵士がいるんだが、その一人が反応をする。

「竜の里? それは伝承の?」
「うん? 知っているのか? かまわん言ってみろ」
「はっ、失礼いたします。私も祖父から物語として聞いた話しですが、深く山の中に竜の隠れ里アリ、エンシェントドラゴンを中心として村を成す。もし見つけてもそっとしておくこと、世話になったのなら、必ず礼をすること。などという話で、詳細は不明です」
 そう言って、下がる。

「そうなのか?」
「うむ、じいちゃんが偉い。お前も偉いのだから番いになる。問題は無いのである」
 変な言葉遣いの彼女だが、俺達以外に初めて黒髪黒目を見た。

 近い感じの現地人でも、もう少し髪は赤茶けているし、目はブラウンだ。
「その竜の里は、どんな所なんだ?」
 そう聞くと、きょとんとなる。

「大体皆寝ている。何もない。あっ、この前魔の者が来たので退治をした。その時にじいちゃんが、思い出したように旅に出ろと言い出した。見聞色? を広げろとかどうとか?」
 見聞と見識が混ざったようだ。

「良くは分からんが、田舎なんだな」
「うむ」
 そう言って、また、人にじゃれつく。

 そしてそれを見て、目の前にいた澪の目が怖くなるが……

「きゃあぁぁ」
 そう叫んで逃げていく。
 だが俺は、ナーガの横にいるので頼れる人が居ない、部屋の中でクルクルしていたが、結愛の背中にくっ付く。

「目が蛇ぃ……」
 そう言って……

 言われて、うん? となり、顔を覗き込んでみる。
 きょとんとして、クリクリおめめ。
 いきなり、抱きつかれてキスをされた。
 力が強え、手で押すが離れねえ。

「どわあ、なんつー力だ」
 きっと背後で、澪が怒っているだろうと思ったが、まだ、結愛の背後から、なんとかは見たシリーズ。

「どうしたんだ一体?」
 二人の方へ向き、改めて聞いてみる。

 そしたら、今度は二人とも「きゃああぁぁ」状態で逃げた。

 振り返る。
 見つめ合う目と目、だが、ナーガの目がヒョンと変わった。
 うん、は虫類のおめめだな、妙に黒目が大きいのはそういう事か。

「竜の里って、ひょっとして竜の里なのか?」
「さよう、竜の里は竜の里である」
 うむうむと、頷く彼女。

 まるで、晴れている空には、雲がないんですよとでも言わんばかり。
 それとか、この川、見てください水が流れているんですよ。とか……

 どこかの国会議員のような感じ?

「こんな事も出来るぞ」
 顔がまるで、ゴ○ラのように変わる。

「うわっすげー」
 俺と楓真は、テンション爆上げ、周りの兵を含めて、澪たちは爆逃げ。
 そして誰もいなくなった。

 と思ったら、皆ドアの影から覗いている。

「お前ってドラゴンなのか?」
「そうである。今は人化をしているから、こんな格好なのだが…… この部屋では元に戻れないし、服がなくなると困る」
「どういう仕組みなんだ? 体は、元に戻ると馬鹿でかいんだろ?」
「いや私はまだ若いからな、この建物くらいだろうか?」
 この城、両翼三百メートルを越えているんだが。

「まあ、見た目若そうだもんな」
「そう、まだ四百五十歳くらいだからな、色々と見て回らねばならんのだ」
 そう言ってまた、俺にじゃれつきすりすり。
 そうか、四百五十歳で若いのか。

 この世界の異常さを知ったよ。

 それ以降、ナーガが居ると、澪が近寄ってこない。

 でだ、ある程度経つと、男だしなぁたまるものもある。求められるから、相手をしてみたが……
 変身をしているせいか、つんつるりんだった。
 胸はある、造形的には大人かな?

 あそこも、しっかりと普通だし、ちゃんと出来た。


 うむ、ドラゴンと人では色々と違うと言うが、この姿だと色々が敏感である。
 元の姿だと寝ている途中で崩落があり、岩に体半分を埋められていても気がつかなかった。

 主殿が、触れる…… いや触れずとも、その吐息だけで感じてしまう。
 おお、これが交尾という物か、我の中に何かが入ってくる。

 感覚が鋭く、それはなんと甘美な刺激。
 主様が動く度に、ぞくぞくとする何かが来る。

 いけない、気を抜くと、変化が溶ける。
 だがこれは……
「いや、だめ、これ以上はだめぇ……」
 龍一は、ナーガの言う言葉を、よく聞く女性のあれだと思った。
 当然止まらない。
 彼女は、果てると共に、術が解けてしまう。

「ぐをおおおぉぉん」
 王都にドラゴンの泣き声が響き渡る……
 幸いというか、龍一の寝所、防犯のために上下の部屋は使用されていない。

 彼女は部屋をぶっ壊し、壁を壊すと演習場へと落下していった。

 着地と共に、まさしく直下型? いや落下型の震度六以上の揺れが城を襲い、被害が拡大をする。

 そう、それは大惨事。
 だが目撃者もパニックで『ドラゴンが居た、そしてそれは王の部屋辺りを破壊していた』判ったのはそれだけ。
 当然朝にはいなかった。そのため、王がきっとドラゴンを退治したと言う事になる。

 勝手に龍一の評判は爆上がり、内輪では爆下がりをする。

「あんた、あの子に手を出したのね」
「わりい、こんな事になるとは……」
 崩落した城の向こうで、朝日が煌めいていた。
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