はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第三章 大陸統一

第50話 変化

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森 澪もり みお濱田 結愛はまだ ゆあも一般のサラリーマン家庭で生まれ育った。

 そして、幾度か夢見る王子様の物語と、お姫様となった自分。
 それが手に入った。

 人は、周りに毒される。
 お付きの侍女達、彼女達が力を合わせ、自分の世話を行う。
「ご自分で何かをするなんて、身分卑しきものとは違うのです」
 そう言って、自分たちの常識が壊されていく。
 だがそれは、自身の心、その奥底にある何かを刺激する。

 そして、この世界に住む女、それも上流の暮らしの決まりをやんわりと教えられて、染まっていく。

「王が望むとき、すぐにお相手が出来るようにしませんと」
 寄ってたかって、体を愛撫される。

 恥ずかしかったが慣れるもの。
 複数人の侍女達が与えるもの、それは直前でやめられる。
 最悪な状況。
 だがまあ、龍一も毎晩のように愛してくれる。

 そんな中で、生活し澪は染まっていく。
 楓真は宰相のため、結愛はそんな事はなかったが、折に触れ話しを聞かされて徐々に染まっていく。

 そんな女子の都合など知らない野郎ども、困惑をするしかない。

 とにかく、皆立ち止まらず変わっていく。


「おお見たか、聞いたか」
 喜んでいるのは各国の元王達。

 いままで解決策の無かった、農作物の事があっという間に解決をしてしまった。

 そして河川の整備や上下水道の整備。

 季節性の感染症が今年は出ていないし、蚊が鬱陶しいと言って、水たまりに油や、石灰が撒かれた。

 これにより蚊が媒介する病気が激減。
 無論、除虫菊による蚊取りの薬剤も使われた。

 そして、水路を整備したおかげで、寄生虫の激減もしたのだが、それは一般的に知られることは少なかったが、それが起こっていた地方では驚かれ、密かに彼らのおかげだと感謝をされていた。

 王国が統合し、一気に生活が変わった。
 それは農村部の方が影響が大きかった。

 そしてその変化は、隠れていた者達が動き出す切っ掛けになる。


「困ったものだ、せっかく時間を掛けて準備をしてきたのに、簡単にひっくり返ってしまった」

 魔人族の手の者。
 当然だが、ダイモーン王国だけで動いていたわけでは無く、目立たぬように厄災を振り撒いていた。
 だが、そのループが中間宿主の駆除により、あっさりと途切れてしまう。

 それのおかげで、もっと直接的な攻撃へと変化をしていく。

 
 ある地方で、ゴースト系の目撃が広がり始める。
 それと同時に、サンカウロスの町を襲っていた翼人、クイールやディイールが他の場所でも現れ始め、それは広がっていく。

 そして、手のなかったはずの退治方法は、あっという間に解決される。

「聖魔法を封じた弾頭です」
「出来たのか、じゃあ配れ」
 そう、兵に銃を配布、それに、銀の弾頭では無く聖魔法が封じられた。

 当然の様に、連射機能付きだし、無敵。
 どこかの熊撃ちと違い、退治が優先。
「此処で逃せば、被害が増える。撃て撃て撃て」
 もうやり放題で、ノリノリである。

 それと同時に、銃の怖さが広がっていく。
 一部貴族がその構造を知ろうとして、暴発させて大惨事で怪我をしたとか。
 それが、分解防止の機構じゃないかと噂になる。

 何もかもが、龍一達の都合が良い様に転がっていく。

「あらあら、こんなに短期間で力を付けるなんて。嬉しい誤算だわ」

 玉を送った本人は、覗きながらご満悦のようだ。

 義は、自身の欲望のために、仲間を、民を無下に害さない限りその力を発揮するようである。

 そうすべては皆の幸せのために、すべて都合の良いように。
 個人的なこだわりは、すべて書き換えて……

「女同士でも、楽しいでしょう?」
「そうね、食わず嫌いは駄目ね」
「でしょう……」
 幸せなら良いのである。


「―― おかしい。絶対に、何かおかしい」
 魔人クロケルは悩み始める。
 水を操り水害を起こそうとした。
 だがいくら流しても、川は氾濫せず、人々にあった害は橋が流れたくらいであった。

「うぬぬ」
「お前もか?」
 魔人フェレスが現れ、力の無い疲れた顔をしていた。

「何があった?」
「どうやっても、疫病が流行らなくなった。仕方が無いから翼人、クイールやディイールを放したのだが、あっさりと退治をされてしまった」
 それを聞いて、クロケルは愕然とする。

 疫病は、人を滅ぼすなら、最適解であった。
 人知れず蔓延し、誰も彼も逃れることは出来ない。

 今の地球でも、蚊による伝染病で毎年六十万人が死んでいる。
 地球と違い、彼らは遠慮せず駆除した。
 それがどんな影響を起こすのか判らないが、ほぼ絶滅させた。

 かゆいから、必要ない。
 そう言って……

「どうする?」
「どうするかな? 魔王様はまだ復活の様子はないのか?」
 椅子に深くこしを下ろしながら、深刻な顔で彼を見る。

 クロケルは、報告を思い出す。
「オレが聞いた所だとまだだな、まだその時じゃない様だ」
「そうか。目覚められる切っ掛けが判ればな」
 そう言った、フェレスを睨む。

「やめておけ、無理に起こしたときの伝承を知っているだろう」
「ああ、そうだな」
 前に、なかなか起きない魔王に腹を立て、誰かが強引に起こした。目は覚めたが機嫌が非常に悪く、その癇癪は十年以上続き幹部が輪廻に戻った。
 魔王軍が復活するためには、それから六百六十六年ほど掛かった様だ。

「待っていた方が良い」
「そうだな……」
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