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第三章 大陸統一
第36話 お話し合い
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「久しぶり竜一」
「おっおう。くるしゅうない、皆の者、面を上げよ」
そういう竜一だが、最初っから皆は礼など取っていない。
近衛達の緊張が半端ない。
ずかずかと、澪は階段を上がる。
無論姫様はここには居ない。
宰相となった楓真が横に立ち、ニヤついているだけ。
結愛の顔を見つけて、手を振っている。
近衛達に、楓真が合図を出して、抑える。
そう王と宰相はこちら側だが、それ以外は王家の生き残り、常識が違う。
竜一に、一瞬背を向けると、この状態で澪は彼の膝に座る。
体を倒しながらねじり、竜一の耳に口を近づける。
「何があったの? 怒らないから言ってみ」
「本当か?」
「ええ本当、怒りはしないわ、話しによっては、絶望してあなたを刺すだけ、以降口はきかなくなるかも」
「刺すって……」
「知らないの? グランドに戻るだけみたいよ。あなただけ島からやり直して」
「それは知っているが、そうじゃなくて」
わたわたしている二人に、楓真が助け船。
「此処じゃなんだから、今晩ゆっくり話せば良い、姫さんも呼ぶから」
そんな事を言ってくる楓真に、澪の冷たい目。
その目で、楓真の背中に冷たい汗が流れる。
森って、こええ。
結愛でよかった。
自身の恋人、結愛のほのぼのしている性格に安心をした杉原。
澪の方が、美人系だが、美人が怒ると顔が怖い。
「それでは、部屋を割り振るからゆっくりしてくれ、後で何があったのかを説明をするからな」
「おう頼むぜ、向こうじゃちょっとしたわ騒ぎになっていたからな」
ざわざわとした雰囲気、根っからの貴族はその状態に我慢が出来ないが、場は混沌。
王が何も言わない以上、臣下が諫めるわけにもいかない。
ぐおおっ、ストレスがぁ。
だが、光が空間を埋める。
壊れた胃も一瞬で回復。
現場の空気も、一瞬で清浄になる。
やったのは王ではなく、グループの誰か……
そう非常識な光景に、オイノェル=コストコ準男爵の限界が近くなっていた。
それに気がつき、間中 美加が適当な奴を捕まえて命令した。
そう彼も、過去の被害者にあった一人。
逆らうことはしない。
この集団も王と同じ能力を……
その事実が、現場を驚かせる。
その頃、インセプトラ―王国の王は、絶望をしていた。
連絡が入らず、一行はサンドウ皇国の検問を越えたことが判っているのみ。
「彼らはどうなったのか、これからどうなるのか」
その晩。
王城は異様な雰囲気に包まれていたぁ……
「初めまして、デレシアと申します。遠路はるばるお越しくださいましてありがとうございます。ごゆっくりとご歓談を……」
彼女は、竜一の脇に立ち、挨拶をかます。
言葉と笑顔、冷めた目。
竜一を挟んで反対側。
能面が座っていた。
だが、その表情の無さと、うちに秘めた物はきっと違う。
どんな奴よと、身構えていたら、そう、まるで少女漫画のお姫様、金髪クリクリ、目はブラウンだが、お姫様だった。
まああ、基本王家に嫁ぐのは器量よし。
娘である王女も当然器量よし。
ぐっ、かわいいじゃない。
そこから始まる、竜一達の英雄譚。
目の前で親達を殺され、うろたえていたところを、『大丈夫だ、俺がついている』、そんな脚色された台詞と共に語られる。
だがそれで、澪は心が落ちつく。
嘘ね、竜一葉切羽詰まれば、ドンドン無口になる。
そんな気の利いた台詞が吐けるなら、竜一ではない。
そう、たまには気の利いた台詞で褒めなさいと、幾度注意をしたことか。
言わなくったって分かるだろう。
そう言うタイプだ。
軽薄な台詞は、杉原くんか、松本くんの方がおおい。
能面が多少ましになる。
張り付いた笑顔へと。
それはそれで怖いが……
奇妙なお食事会の後、ワインで多少酔った面々は個室に移動。
「さて、デレシアとやら、話はまるっと聞いたわ。間違いのキスから始まる脅し、申し開きは?」
そう、一瞬の間にデレシアとの事を竜一は説明をした。
文字一言に百の言葉を圧縮して乗せて、仲直りのキスまで……
「申し開きなど、竜一は受け入れてくださいました。まだ、情は交わしておりませんが、守ってくださると」
胸の前で指を組み、彼女は語る。
その姿が、絵になるのが気に食わない。
そんな所に、王妃マリアーヌが割り込む。
「皆様の事情は理解いたしました。ですがこのお国を襲った未曾有の厄災。それのおかげで、この国は疲弊しております。竜一達の持つ力と知恵にすがらなくては、この国は終わってしまいます。英雄譚と共に王位に即いた英雄、かのような存在なくば、疲弊しきった民は、絶望の中に沈むことでしょう。皆様が、他国の民の事など、関係ないと考える、非情で冷酷、血も涙も無い方々でないことを願い、すがることしか出来ないのです」
そんな事を、ぶっ込んできた。
「血も涙もないとか、そんなわけないじゃない」
そう答えるしかない。
それを聞いて、マリアーヌはにっこり。
「それならば、王を横で支える悲劇の王女は、娘が適任ですわね。ええ、それがどうしても許せないという、狭小なお心なら、国を諦めて、竜一をお返ししましょう。その時には、国を失う民の鬱憤を晴らすため、矢面に立つことで我が身を捧げて…… タターリメ=ヨワーリ王と我が息子のヘルプゴッドの下へと向かいましょう……」
よよよと、泣き始める。
この狐……
一筋縄ではない様だ。
「おっおう。くるしゅうない、皆の者、面を上げよ」
そういう竜一だが、最初っから皆は礼など取っていない。
近衛達の緊張が半端ない。
ずかずかと、澪は階段を上がる。
無論姫様はここには居ない。
宰相となった楓真が横に立ち、ニヤついているだけ。
結愛の顔を見つけて、手を振っている。
近衛達に、楓真が合図を出して、抑える。
そう王と宰相はこちら側だが、それ以外は王家の生き残り、常識が違う。
竜一に、一瞬背を向けると、この状態で澪は彼の膝に座る。
体を倒しながらねじり、竜一の耳に口を近づける。
「何があったの? 怒らないから言ってみ」
「本当か?」
「ええ本当、怒りはしないわ、話しによっては、絶望してあなたを刺すだけ、以降口はきかなくなるかも」
「刺すって……」
「知らないの? グランドに戻るだけみたいよ。あなただけ島からやり直して」
「それは知っているが、そうじゃなくて」
わたわたしている二人に、楓真が助け船。
「此処じゃなんだから、今晩ゆっくり話せば良い、姫さんも呼ぶから」
そんな事を言ってくる楓真に、澪の冷たい目。
その目で、楓真の背中に冷たい汗が流れる。
森って、こええ。
結愛でよかった。
自身の恋人、結愛のほのぼのしている性格に安心をした杉原。
澪の方が、美人系だが、美人が怒ると顔が怖い。
「それでは、部屋を割り振るからゆっくりしてくれ、後で何があったのかを説明をするからな」
「おう頼むぜ、向こうじゃちょっとしたわ騒ぎになっていたからな」
ざわざわとした雰囲気、根っからの貴族はその状態に我慢が出来ないが、場は混沌。
王が何も言わない以上、臣下が諫めるわけにもいかない。
ぐおおっ、ストレスがぁ。
だが、光が空間を埋める。
壊れた胃も一瞬で回復。
現場の空気も、一瞬で清浄になる。
やったのは王ではなく、グループの誰か……
そう非常識な光景に、オイノェル=コストコ準男爵の限界が近くなっていた。
それに気がつき、間中 美加が適当な奴を捕まえて命令した。
そう彼も、過去の被害者にあった一人。
逆らうことはしない。
この集団も王と同じ能力を……
その事実が、現場を驚かせる。
その頃、インセプトラ―王国の王は、絶望をしていた。
連絡が入らず、一行はサンドウ皇国の検問を越えたことが判っているのみ。
「彼らはどうなったのか、これからどうなるのか」
その晩。
王城は異様な雰囲気に包まれていたぁ……
「初めまして、デレシアと申します。遠路はるばるお越しくださいましてありがとうございます。ごゆっくりとご歓談を……」
彼女は、竜一の脇に立ち、挨拶をかます。
言葉と笑顔、冷めた目。
竜一を挟んで反対側。
能面が座っていた。
だが、その表情の無さと、うちに秘めた物はきっと違う。
どんな奴よと、身構えていたら、そう、まるで少女漫画のお姫様、金髪クリクリ、目はブラウンだが、お姫様だった。
まああ、基本王家に嫁ぐのは器量よし。
娘である王女も当然器量よし。
ぐっ、かわいいじゃない。
そこから始まる、竜一達の英雄譚。
目の前で親達を殺され、うろたえていたところを、『大丈夫だ、俺がついている』、そんな脚色された台詞と共に語られる。
だがそれで、澪は心が落ちつく。
嘘ね、竜一葉切羽詰まれば、ドンドン無口になる。
そんな気の利いた台詞が吐けるなら、竜一ではない。
そう、たまには気の利いた台詞で褒めなさいと、幾度注意をしたことか。
言わなくったって分かるだろう。
そう言うタイプだ。
軽薄な台詞は、杉原くんか、松本くんの方がおおい。
能面が多少ましになる。
張り付いた笑顔へと。
それはそれで怖いが……
奇妙なお食事会の後、ワインで多少酔った面々は個室に移動。
「さて、デレシアとやら、話はまるっと聞いたわ。間違いのキスから始まる脅し、申し開きは?」
そう、一瞬の間にデレシアとの事を竜一は説明をした。
文字一言に百の言葉を圧縮して乗せて、仲直りのキスまで……
「申し開きなど、竜一は受け入れてくださいました。まだ、情は交わしておりませんが、守ってくださると」
胸の前で指を組み、彼女は語る。
その姿が、絵になるのが気に食わない。
そんな所に、王妃マリアーヌが割り込む。
「皆様の事情は理解いたしました。ですがこのお国を襲った未曾有の厄災。それのおかげで、この国は疲弊しております。竜一達の持つ力と知恵にすがらなくては、この国は終わってしまいます。英雄譚と共に王位に即いた英雄、かのような存在なくば、疲弊しきった民は、絶望の中に沈むことでしょう。皆様が、他国の民の事など、関係ないと考える、非情で冷酷、血も涙も無い方々でないことを願い、すがることしか出来ないのです」
そんな事を、ぶっ込んできた。
「血も涙もないとか、そんなわけないじゃない」
そう答えるしかない。
それを聞いて、マリアーヌはにっこり。
「それならば、王を横で支える悲劇の王女は、娘が適任ですわね。ええ、それがどうしても許せないという、狭小なお心なら、国を諦めて、竜一をお返ししましょう。その時には、国を失う民の鬱憤を晴らすため、矢面に立つことで我が身を捧げて…… タターリメ=ヨワーリ王と我が息子のヘルプゴッドの下へと向かいましょう……」
よよよと、泣き始める。
この狐……
一筋縄ではない様だ。
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