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第三章 大陸統一
第34話 旅は危険
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「それでは、お気を付けて」
サンドウ皇国の検問だが、実に和やかに相手をしてくれて、見送られる。
「前に、同じ様な格好の方達が入国をしましたが、インセプトラ―王国ではその格好は一般的でしょうか?」
非常に柔らかな物腰で聞いてくる検問の兵。
少し離れた所にいる兵は、こちらに槍を向けて震えているようだが、危険は無さそう。
「いえこの格好は、私たちのがっ…… いえ、ユニフォームです」
「いやあ、そうでしたか、どうぞ、良い旅を」
周りを囲んでいた兵達が、道を空けてくれる。
その脇では。
「おらあ、荷物を見せろや。さっさとしろ」
そんな感じだから、特別この検問所が緩いという事も無いらしい。
そう、検問の兵達も人間。命は惜しい。
そのために、日々聞こえてくる情報は聞き逃さない。
あるときから流れ始めてきた変な噂。
サンカウロスの町へやって来た正体不明の連中。
強いし、着ているものも、妙な格好だがあれは、森に入ると目立たなくなる。
奴らは特別に訓練されたやばい奴らだ。
何だそりゃと思っていたら、そんな格好をした奴らが、他国の貴族を連れてやって来た。
あからさまに怪しい荷車を引いて。
だがその荷車、魔道具が使われ、錠の掛かった箱を積んでいた。
「見て良いか?」
生唾を飲み込みながら、職務だし、仕方が無いと聞いてみた。
「なにを?」
「その下側、怪しい箱だ」
そう聞くと、怪訝そうな顔をされる。
「何だそりゃ、これは荷車の床だ、箱などどこにも無いじゃないか」
そう言い張る。
だがその時の気配、少し動いただけで、首が胴体から離れるような殺気を覚える。
こいつらがそうだ。
あの奇妙な噂、凶悪な戦闘集団。
そう、何もせず…… いや何も出来ずに通してしまった。
だがその後、町を救ったと噂が流れた。
奴らは、人間離れした戦闘集団、関わってはいけない。
「今回も通したが、問題ないだろう」
兵がそう言ったとおり、街道沿いの野党や盗賊は根絶やしとなる。
「また居たわよ」
そう、この国で長引く不作。その影響で限界を超えた農民達が、野盗などにジョブチェンジした。
決まった村から抜けてしまうと犯罪人。
もう先がなくなる。
野党達は、いつもの様に街道を見張りながら、山の中を先回りをして罠を仕掛ける。
だが、そいつらは……
山の中を、いつもの様にこそこそと移動していく集団。
その後頭部に、音もなく飛来した矢が刺さる。
「あっおい。がっ……」
「うわっ」
「ぎゃあ」
その攻撃は無慈悲。
彼らは、昔出会った盗賊のせいで、盗賊に対する慈悲はなくなっていた。
まるで、台所に出没する黒い虫と同じ様な扱い。
「あいつら、女性を捕まえたら性奴隷にするのよ。許せない」
そう、それはひどい現場だった。
人をおもちゃにして弄ぶ、そこに尊厳とか慈悲はなかった。
だから……
「等しく報いを受けよ……」
氷のような殺気を放つ矢は、盗賊を倒していく。
実際に氷の矢。
回収をしなくて良いので非情に便利。
強度が必要なら土属性の矢。
後ろ半分軽石、鏃は金属系。
刺さるとパキッと折れる凶悪な逸品。
「本当は、外周に穴が開いたパイプがいいんだけど」
ラノベとかに詳しい大塚君が言っていた。
「暗殺とは」
とか言って、ナイフの刃先は黒くしたし、ロープなども黒く塗ったものを用意している。
人が集まれば、以外と色々な知識が集まる。
それはひょんな時に役に立つ。
そうして彼らは、順調な旅を続けるが、その頃、サンカウロスの町では定期便が来ていた。
その中に、久しぶりに翼人、大ディイールが混ざっていた。
ちょっと間違えると、昔のアニメの主人公だが、こいつは悪役。
いつの間にか、生活魔法の仲間入りをした、浄化。
それを纏わした剣が振られ、簡単に退治されていく。
「いやあ、こんなに楽になるとはな」
「全くだ、今は留守だが、しっかり町を守るぞ」
町の住人に慕われ、彼らの帰りは心待ちにされている。
だが次に出会ったとき、敵と味方となってしまう。
「嘘だろ……」
「あいつらと戦うのか?」
「そんなのは……」
さてご期待。
そう奴らが出たと言う事は、新月。
新月の夜は暗い。
彼らは、野営中で一部が見張りをしていた。
「うん? ああお前か、がんばれよ」
そう言って彼は、親指を立てる。
ざくざくと、足音を立て彼女は目標に近付く。
そして……
彼は、一瞬何が起こったのか判らなかった。
連絡兵として、訓練は欠かしていない。
父親は、騎士爵で、一代限りのため幼いころから特訓を受けた。
そのおかげか出世をして、準男爵となり父を抜いた。
伝令係として、火急の場合なら王に謁見まで許される立場。
そう彼の未来は、順風満帆だった。
だが、迂闊なミス。
些細だが、致命的だろう。
挽回をするため、王が目を掛けているこの方達に庇護を受けよう。
そう考えた。
最低でも命。
上手く行けば役職も。
驚くことばかりだが、彼らは若くても良識的で強く、そして美しい人も居る。
懇意になれぬものか。
彼は、気を抜いてはいなかった。
だが、体に掛かる重み。
そして口元にキス。
それと同時に、女性独特の匂いを感じる。
だれだ?
彼は目を開ける。
そして……
サンドウ皇国の検問だが、実に和やかに相手をしてくれて、見送られる。
「前に、同じ様な格好の方達が入国をしましたが、インセプトラ―王国ではその格好は一般的でしょうか?」
非常に柔らかな物腰で聞いてくる検問の兵。
少し離れた所にいる兵は、こちらに槍を向けて震えているようだが、危険は無さそう。
「いえこの格好は、私たちのがっ…… いえ、ユニフォームです」
「いやあ、そうでしたか、どうぞ、良い旅を」
周りを囲んでいた兵達が、道を空けてくれる。
その脇では。
「おらあ、荷物を見せろや。さっさとしろ」
そんな感じだから、特別この検問所が緩いという事も無いらしい。
そう、検問の兵達も人間。命は惜しい。
そのために、日々聞こえてくる情報は聞き逃さない。
あるときから流れ始めてきた変な噂。
サンカウロスの町へやって来た正体不明の連中。
強いし、着ているものも、妙な格好だがあれは、森に入ると目立たなくなる。
奴らは特別に訓練されたやばい奴らだ。
何だそりゃと思っていたら、そんな格好をした奴らが、他国の貴族を連れてやって来た。
あからさまに怪しい荷車を引いて。
だがその荷車、魔道具が使われ、錠の掛かった箱を積んでいた。
「見て良いか?」
生唾を飲み込みながら、職務だし、仕方が無いと聞いてみた。
「なにを?」
「その下側、怪しい箱だ」
そう聞くと、怪訝そうな顔をされる。
「何だそりゃ、これは荷車の床だ、箱などどこにも無いじゃないか」
そう言い張る。
だがその時の気配、少し動いただけで、首が胴体から離れるような殺気を覚える。
こいつらがそうだ。
あの奇妙な噂、凶悪な戦闘集団。
そう、何もせず…… いや何も出来ずに通してしまった。
だがその後、町を救ったと噂が流れた。
奴らは、人間離れした戦闘集団、関わってはいけない。
「今回も通したが、問題ないだろう」
兵がそう言ったとおり、街道沿いの野党や盗賊は根絶やしとなる。
「また居たわよ」
そう、この国で長引く不作。その影響で限界を超えた農民達が、野盗などにジョブチェンジした。
決まった村から抜けてしまうと犯罪人。
もう先がなくなる。
野党達は、いつもの様に街道を見張りながら、山の中を先回りをして罠を仕掛ける。
だが、そいつらは……
山の中を、いつもの様にこそこそと移動していく集団。
その後頭部に、音もなく飛来した矢が刺さる。
「あっおい。がっ……」
「うわっ」
「ぎゃあ」
その攻撃は無慈悲。
彼らは、昔出会った盗賊のせいで、盗賊に対する慈悲はなくなっていた。
まるで、台所に出没する黒い虫と同じ様な扱い。
「あいつら、女性を捕まえたら性奴隷にするのよ。許せない」
そう、それはひどい現場だった。
人をおもちゃにして弄ぶ、そこに尊厳とか慈悲はなかった。
だから……
「等しく報いを受けよ……」
氷のような殺気を放つ矢は、盗賊を倒していく。
実際に氷の矢。
回収をしなくて良いので非情に便利。
強度が必要なら土属性の矢。
後ろ半分軽石、鏃は金属系。
刺さるとパキッと折れる凶悪な逸品。
「本当は、外周に穴が開いたパイプがいいんだけど」
ラノベとかに詳しい大塚君が言っていた。
「暗殺とは」
とか言って、ナイフの刃先は黒くしたし、ロープなども黒く塗ったものを用意している。
人が集まれば、以外と色々な知識が集まる。
それはひょんな時に役に立つ。
そうして彼らは、順調な旅を続けるが、その頃、サンカウロスの町では定期便が来ていた。
その中に、久しぶりに翼人、大ディイールが混ざっていた。
ちょっと間違えると、昔のアニメの主人公だが、こいつは悪役。
いつの間にか、生活魔法の仲間入りをした、浄化。
それを纏わした剣が振られ、簡単に退治されていく。
「いやあ、こんなに楽になるとはな」
「全くだ、今は留守だが、しっかり町を守るぞ」
町の住人に慕われ、彼らの帰りは心待ちにされている。
だが次に出会ったとき、敵と味方となってしまう。
「嘘だろ……」
「あいつらと戦うのか?」
「そんなのは……」
さてご期待。
そう奴らが出たと言う事は、新月。
新月の夜は暗い。
彼らは、野営中で一部が見張りをしていた。
「うん? ああお前か、がんばれよ」
そう言って彼は、親指を立てる。
ざくざくと、足音を立て彼女は目標に近付く。
そして……
彼は、一瞬何が起こったのか判らなかった。
連絡兵として、訓練は欠かしていない。
父親は、騎士爵で、一代限りのため幼いころから特訓を受けた。
そのおかげか出世をして、準男爵となり父を抜いた。
伝令係として、火急の場合なら王に謁見まで許される立場。
そう彼の未来は、順風満帆だった。
だが、迂闊なミス。
些細だが、致命的だろう。
挽回をするため、王が目を掛けているこの方達に庇護を受けよう。
そう考えた。
最低でも命。
上手く行けば役職も。
驚くことばかりだが、彼らは若くても良識的で強く、そして美しい人も居る。
懇意になれぬものか。
彼は、気を抜いてはいなかった。
だが、体に掛かる重み。
そして口元にキス。
それと同時に、女性独特の匂いを感じる。
だれだ?
彼は目を開ける。
そして……
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