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第二章 冒険者時代
第31話 安息が……
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ヘイド=ハンター達は思わず、目を開けたまま目をこすってしまう。
だが……
「いたくなーい」
そう、なぜかこの光の中では、怪我をしない。
国へ入ってから、頻繁に襲ってくるゾンビたち、神野達は対応するため省エネモードで光を周囲に張り巡らせる。
すると、ふらふらとやって来たゾンビたちは、光に触れると一瞬苦しみ、その後、笑顔になってもろもろと崩れていく。
その光景は、調査隊の皆を驚かすには十分だった。
「光に触れた者達が、笑顔で消えていく」
「ああ、実に幸せそうな」
そんな喜びとは裏腹に、田中達は悩んでいた。
銃が撃てない、今出して撃てば、どう考えてもひんしゅくを買いそうな気がする。
リアルシューティングゲームが……
だが思っていたのと違い、実際に見ると人なのだ。
ゾンビらしい怪我をした者達もいるが、なかなかそれに向かって攻撃をすることができない。まあ、普通のメンタルなら躊躇をする。
だから、ゾンビによる被害が拡大をするのだが……
周囲に張った光の膜。
考えれば、これぞ最適解だと思ってしまう。
途中、頼まれて村々の様子を確認をする。
だがどこにも生者はおらず、死に果てた集落ばかり。
途中の町でもそれは同じで、会いに行けば、もう町を捨てて別の町へと移ろうと代官達が考えていたようだ。
暫定的なものだとは言っていたが、いつ収束をするのか判らない。
国全体で、どのくらいの人が居なくなったのか、その時には誰も知らなかった。
集団は大きくなり、村から村、町から町へと移動をする。
夜間も明るいのは少し難があるが、ゾンビに襲われず寝られるのは喜ばれた。
だが、神野達は少しずつ消耗をして行く。
絶えず広範囲に、光の壁を張っておく必要がある。
夜間は交代で数時間睡眠。
昼は荷台で寝るが、移動は未舗装路、ガタガタと揺れて起こしてくれる。
そんな中でもでてくるモンスター達と、盗賊達。
王都へ到着をしたときにはへろへろだった。
そのまま、王城へと向かい王と面会をする。
「ああ、よくぞ我が国のために参集をしてくれた、感謝をする」
カイゼル髭を蓄えた、王様のような王様。
ただ、ひどくやつれている。
横の宰相は、元気そうなんだがな。
この宰相が、この時俺達の纏う光を嫌がっていたことに、気がついていればあんな悲劇は起こらなかっただろう。
そう、気がつけば神野 龍一は王となり、杉原 楓真が宰相になっていた……
「なぜこんな事に……」
「まあ、なったものは仕方が無い。復興をしようぜ」
「そうだな」
―― そう、謁見したあの日。
「あやつら、何者だ。終始怪しげな光を纏いおって」
宰相である宰相メフィスト=フェレットは、計画を進めるため、部下に通信コウモリを放つ。
受け取った相手は、ガミジン=ホース侯爵。
そうゾンビ騒動の起点であり、魔族。
ネクロマンサーだ。
この王国に入り込むと、手荒なことをせずに王国を乗っ取る予定だった。
そうよくある定番、魔王様のために。
この世界に、設定をされた闇の気配。
それが増えたときに、精霊種たちは影響を受けて魔人となった。
そう魔族である。
世界樹の波動を嫌い、大陸を渡り、この地に拠点を造ろうとしていた。
魔法で姿を変えて、王国へと潜り込んだ。
そう貴族達は、いつの間にか魔族へと変わっていたのである。
状態を知っていれば、きっと王は彼らに言っただろう。
『我が国を、魔王の手から救ってくだされ、勇者様方』と。
だが状態は少し違い、もっと悪い。
ゾンビとなった人間達は、ある日、王都に来襲、そして王国は滅ぶ予定だった。
そこにやって来た変な集団。
宰相の予定は狂い、計画を前倒しにする。
まあ助っ人は、今なら十人程度。
国へ帰れば、さらに居るため、お願いをすれば来てくれるだろうという報告。
ニコニコ顔の調査隊、インセプトラ―王国方面第三班隊長ヘイド=ハンター準男爵からの報告である。
「ぐぬぬ。余計なことを」
である。
そしてゾンビを連れた集団が、王都に向かってやって来始める。
彼らは、飲まず食わずでぞろぞろと。
それに押される形で、他の町から逃げてきた人達が王都に向けてやって来る。
そう、助けてくださいと願いながら。
その時、宰相は時をあわせながら、王城の中で暗躍を始める。
近衛兵達をゾンビ化させて、王達を捕らえに行く。
そして、王都にいる貴族達は、人間側と魔族側で別れて戦闘が始まる。
俺達がやって来て、ここまでで数時間の話し。
物事は、急展開。
「助けてくれ」
王達との窮屈で風変わりな食事の後、俺達はやっと休めると安心をしていた。
そうしたら、王城内は騒がしくなり、剣戟の音が聞こえ始める。
人間側は食堂に集まり、それを外からゾンビたちが襲ってくる。
「ああ、うぜえ」
俺達は、廊下側へと戦いに行こうとする。
だが、その後ろで声がする。
「ああ、御父様ぁ」
第一王女デレシア様達が、腹に剣を生やした王様に駆け寄る。
「父上ぇ」
王太子である、ヘルプゴッド君が剣を抜き賊と応戦。
王様を刺したのは、近衛兵の一人だった。
「苦戦をしているから、助けに行く」
「おう頑張れ」
近衛たちを、一気に倒す。
意外と弱い。
その時に聞こえた小さな声。
「ステキ……」
だが……
「いたくなーい」
そう、なぜかこの光の中では、怪我をしない。
国へ入ってから、頻繁に襲ってくるゾンビたち、神野達は対応するため省エネモードで光を周囲に張り巡らせる。
すると、ふらふらとやって来たゾンビたちは、光に触れると一瞬苦しみ、その後、笑顔になってもろもろと崩れていく。
その光景は、調査隊の皆を驚かすには十分だった。
「光に触れた者達が、笑顔で消えていく」
「ああ、実に幸せそうな」
そんな喜びとは裏腹に、田中達は悩んでいた。
銃が撃てない、今出して撃てば、どう考えてもひんしゅくを買いそうな気がする。
リアルシューティングゲームが……
だが思っていたのと違い、実際に見ると人なのだ。
ゾンビらしい怪我をした者達もいるが、なかなかそれに向かって攻撃をすることができない。まあ、普通のメンタルなら躊躇をする。
だから、ゾンビによる被害が拡大をするのだが……
周囲に張った光の膜。
考えれば、これぞ最適解だと思ってしまう。
途中、頼まれて村々の様子を確認をする。
だがどこにも生者はおらず、死に果てた集落ばかり。
途中の町でもそれは同じで、会いに行けば、もう町を捨てて別の町へと移ろうと代官達が考えていたようだ。
暫定的なものだとは言っていたが、いつ収束をするのか判らない。
国全体で、どのくらいの人が居なくなったのか、その時には誰も知らなかった。
集団は大きくなり、村から村、町から町へと移動をする。
夜間も明るいのは少し難があるが、ゾンビに襲われず寝られるのは喜ばれた。
だが、神野達は少しずつ消耗をして行く。
絶えず広範囲に、光の壁を張っておく必要がある。
夜間は交代で数時間睡眠。
昼は荷台で寝るが、移動は未舗装路、ガタガタと揺れて起こしてくれる。
そんな中でもでてくるモンスター達と、盗賊達。
王都へ到着をしたときにはへろへろだった。
そのまま、王城へと向かい王と面会をする。
「ああ、よくぞ我が国のために参集をしてくれた、感謝をする」
カイゼル髭を蓄えた、王様のような王様。
ただ、ひどくやつれている。
横の宰相は、元気そうなんだがな。
この宰相が、この時俺達の纏う光を嫌がっていたことに、気がついていればあんな悲劇は起こらなかっただろう。
そう、気がつけば神野 龍一は王となり、杉原 楓真が宰相になっていた……
「なぜこんな事に……」
「まあ、なったものは仕方が無い。復興をしようぜ」
「そうだな」
―― そう、謁見したあの日。
「あやつら、何者だ。終始怪しげな光を纏いおって」
宰相である宰相メフィスト=フェレットは、計画を進めるため、部下に通信コウモリを放つ。
受け取った相手は、ガミジン=ホース侯爵。
そうゾンビ騒動の起点であり、魔族。
ネクロマンサーだ。
この王国に入り込むと、手荒なことをせずに王国を乗っ取る予定だった。
そうよくある定番、魔王様のために。
この世界に、設定をされた闇の気配。
それが増えたときに、精霊種たちは影響を受けて魔人となった。
そう魔族である。
世界樹の波動を嫌い、大陸を渡り、この地に拠点を造ろうとしていた。
魔法で姿を変えて、王国へと潜り込んだ。
そう貴族達は、いつの間にか魔族へと変わっていたのである。
状態を知っていれば、きっと王は彼らに言っただろう。
『我が国を、魔王の手から救ってくだされ、勇者様方』と。
だが状態は少し違い、もっと悪い。
ゾンビとなった人間達は、ある日、王都に来襲、そして王国は滅ぶ予定だった。
そこにやって来た変な集団。
宰相の予定は狂い、計画を前倒しにする。
まあ助っ人は、今なら十人程度。
国へ帰れば、さらに居るため、お願いをすれば来てくれるだろうという報告。
ニコニコ顔の調査隊、インセプトラ―王国方面第三班隊長ヘイド=ハンター準男爵からの報告である。
「ぐぬぬ。余計なことを」
である。
そしてゾンビを連れた集団が、王都に向かってやって来始める。
彼らは、飲まず食わずでぞろぞろと。
それに押される形で、他の町から逃げてきた人達が王都に向けてやって来る。
そう、助けてくださいと願いながら。
その時、宰相は時をあわせながら、王城の中で暗躍を始める。
近衛兵達をゾンビ化させて、王達を捕らえに行く。
そして、王都にいる貴族達は、人間側と魔族側で別れて戦闘が始まる。
俺達がやって来て、ここまでで数時間の話し。
物事は、急展開。
「助けてくれ」
王達との窮屈で風変わりな食事の後、俺達はやっと休めると安心をしていた。
そうしたら、王城内は騒がしくなり、剣戟の音が聞こえ始める。
人間側は食堂に集まり、それを外からゾンビたちが襲ってくる。
「ああ、うぜえ」
俺達は、廊下側へと戦いに行こうとする。
だが、その後ろで声がする。
「ああ、御父様ぁ」
第一王女デレシア様達が、腹に剣を生やした王様に駆け寄る。
「父上ぇ」
王太子である、ヘルプゴッド君が剣を抜き賊と応戦。
王様を刺したのは、近衛兵の一人だった。
「苦戦をしているから、助けに行く」
「おう頑張れ」
近衛たちを、一気に倒す。
意外と弱い。
その時に聞こえた小さな声。
「ステキ……」
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