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第二章 冒険者時代
第24話 馬無し蒸気馬車?
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「馬無し蒸気馬車? 蒸気自動車でよくね?」
「いいやこれは、あくまでも馬車である」
「馬が引くから馬車だろ、居なけりゃ車だろ。蒸気で走るかから蒸気馬車」
こんな話が、ずっと続く。
そうカイゼル髭のおっさんだよ。
「あれは?」
「馬車である」
「あれは?」
「ぬっ、あれはロバであるな、と言う事は荷車である」
「じゃあこれは?」
「馬いらずの馬車である」
少し経つと、名前が変わった。
「おっさんのこだわりは浅い、蒸気自動車で出せ」
そう商業ギルドへの登録のため、名前でもめていた。
蒸気式銃は不作だったが、蒸気式自動車は、ゆっくりだが走った。
クラッチと、変速機付き。
当然ブレーキに、プレート式方向指示器、そしてバックミラー。
前照灯はない。
この世界、夜間にうろつくのは、盗賊だけだ。
それで、銀蒸着式の鏡。
蒸気機関を利用して真空引きをする、そのチャンバーの中で銀を熱する。
すると均一な銀粒子が蒸着できる。
真空ポンプや、電圧とかは判らないが電気も作った。
磁石の中で、コイルが回れば発電できるだろ。
小さな頃から、小さな四駆のおもちゃや、ラジコンにハマっている中川 和宏が教えてくれた。
永久磁石は、南北をしっかりあわせて、熱した状態で叩いた。
それだけで作れるようだ。
この先は、コイル内で同じことをする。
さて、車より、鏡のほうが売れた。
まあ車の方は、大量の薪を荷車に乗せて、走って行かないといけない。
水は途中の川で補給が出来るが、かなりの重労働。
物珍しさで少し売れたが、たいしたものでは無い。
他には、自動車の前に大量の剣をくっ付けて、回転させるマシンとかも作ってみた。
なかなか凶悪だが、、モンスターの素材が全く使えなくなる。
中世の資料を見ても笑えないレベルで、ヘンテコなものを考えて作ってみた。
ああ割と本気で。
一部を除いて、俺達の学校は、そんなレベルなんだよ。
だけど……
「何また新しいものじゃと?」
「はい、売り上げは微妙なようですが、商業ギルドでも話題になっているようでございます」
「やはりあの集団は、この世の者達ではないようじゃな」
そんな妙な確信がついて、評価は絶賛うなぎ登りのようだ。
「やっぱり火薬だ」
「そうだ火薬だ」
「で、作り方は?」
「この前田中が、炭と硫黄がどうとか言っていたぞ」
「よし、田中を化学部部長に任命しよう」
勝手に決めた。
だが……
「助手に、きれいどころが欲しいだと。そんなもの…… くっ、募集をしろ」
そんな事を言っていると、背後に澪と結愛が立っていた。
狩猟とかに付いてきていて、なんだか物騒な体術を、着々と身につけている。
「へー、聞いたぁ結愛。私たちじゃ満足をしていないのかしら?」
「そうね、女は沢山居るし、現地の人って、金髪が居るから龍一たら随分気にしていたしね」
そんな声が、真後ろから聞こえる。
「いやそんな、他意はない。金髪が気になったのは、そのちょっとした興味というか……」
「まあね。気になるわよねぇ。私がちょっと調べてくるわ」
「やめろ。悪かったから」
そう、髪色と、下の毛…… 気になるんだよ。
それでまあ、班を分けて物資調達のため火山へ行く奴らと、硝酸? 硝石を探しに行く奴らで別れて旅に出る。
火山はある。
神々の住まう山々のなか、尾根を二つくらい越えたところらしい。
ただしそれを教えたくれた冒険者から、すごく悲しそうな顔で気を付けろと言われたのが気になる。
まあ、福山達に任せたら、煉獄の薔薇たちが手伝ってくれるようだ。
最初は、マリーに声をかけたらしいが、その後他の者達とも仲良くなり、グループ交際的な感じとなっているようだ。
そう鈴木が言っていたんだ、上が金髪なんだから、下もそうだよ。
そんな軽い調子で、さも当然だというように。
あの中で金髪は、コラーダかヴェスどっちだ……
まあいい。
俺達は、硝石集め。
コウモリの居る洞窟などを探査。
合掌作りで有名な白川郷などは、昔床下で焔硝と呼ばれた硝酸カリウムを作っていた。
湿気に弱いから、日本じゃ産出されなかったので、知恵を働かせて作っていたようだ。
「マスクをしておけ、絶対体に悪い」
俺達は、コウモリが住んでいそうな穴蔵をひたすら調べて、地面に結晶がないか探す。
方や、福山達は、ハイキングのつもりで出たが、もう秋。
山の稜線は、千メートルを越える……
「撤退、出直す」
早々に、装備を取りに来た。
「いやぁ、途中の滝と紅葉は見事だったねえ。実に美しかったよ。いやマリー、君も美しいよ。はっはっは」
などとのんきな感じだったとか。
そして俺達……
洞窟の中で、某隊長よろしくぼやいていていた。
狭いし暗いし、臭いし、もう最悪。
そして秋ともなれば、モンスターはともかく、獣たちは発情期と子育て真っ盛り……
「なあ楓真、あれって何だと思う?」
「体高一メートル七〇センチメートル。四足歩行の獣。狼か何かで体毛は白。えーと、一二のさん…… 五匹。いま、爛々と光る目はこちらを絶賛睨んでおります。さあこの絶望状態、我々は生きて帰れるのでしょうか? どうでしょうか? 解説の龍一君」
絶賛危険状態で、楓真が少し壊れたようだ。
途中で、どこかのスポーツ解説みたいになった。
「鉄則では、目をそらさずにあとずさり」
「りょ」
「判った」
全員が、徐々に下がっていく。
だけど、来るよね。
簡単には、逃がしてくれないようだ。
「いいやこれは、あくまでも馬車である」
「馬が引くから馬車だろ、居なけりゃ車だろ。蒸気で走るかから蒸気馬車」
こんな話が、ずっと続く。
そうカイゼル髭のおっさんだよ。
「あれは?」
「馬車である」
「あれは?」
「ぬっ、あれはロバであるな、と言う事は荷車である」
「じゃあこれは?」
「馬いらずの馬車である」
少し経つと、名前が変わった。
「おっさんのこだわりは浅い、蒸気自動車で出せ」
そう商業ギルドへの登録のため、名前でもめていた。
蒸気式銃は不作だったが、蒸気式自動車は、ゆっくりだが走った。
クラッチと、変速機付き。
当然ブレーキに、プレート式方向指示器、そしてバックミラー。
前照灯はない。
この世界、夜間にうろつくのは、盗賊だけだ。
それで、銀蒸着式の鏡。
蒸気機関を利用して真空引きをする、そのチャンバーの中で銀を熱する。
すると均一な銀粒子が蒸着できる。
真空ポンプや、電圧とかは判らないが電気も作った。
磁石の中で、コイルが回れば発電できるだろ。
小さな頃から、小さな四駆のおもちゃや、ラジコンにハマっている中川 和宏が教えてくれた。
永久磁石は、南北をしっかりあわせて、熱した状態で叩いた。
それだけで作れるようだ。
この先は、コイル内で同じことをする。
さて、車より、鏡のほうが売れた。
まあ車の方は、大量の薪を荷車に乗せて、走って行かないといけない。
水は途中の川で補給が出来るが、かなりの重労働。
物珍しさで少し売れたが、たいしたものでは無い。
他には、自動車の前に大量の剣をくっ付けて、回転させるマシンとかも作ってみた。
なかなか凶悪だが、、モンスターの素材が全く使えなくなる。
中世の資料を見ても笑えないレベルで、ヘンテコなものを考えて作ってみた。
ああ割と本気で。
一部を除いて、俺達の学校は、そんなレベルなんだよ。
だけど……
「何また新しいものじゃと?」
「はい、売り上げは微妙なようですが、商業ギルドでも話題になっているようでございます」
「やはりあの集団は、この世の者達ではないようじゃな」
そんな妙な確信がついて、評価は絶賛うなぎ登りのようだ。
「やっぱり火薬だ」
「そうだ火薬だ」
「で、作り方は?」
「この前田中が、炭と硫黄がどうとか言っていたぞ」
「よし、田中を化学部部長に任命しよう」
勝手に決めた。
だが……
「助手に、きれいどころが欲しいだと。そんなもの…… くっ、募集をしろ」
そんな事を言っていると、背後に澪と結愛が立っていた。
狩猟とかに付いてきていて、なんだか物騒な体術を、着々と身につけている。
「へー、聞いたぁ結愛。私たちじゃ満足をしていないのかしら?」
「そうね、女は沢山居るし、現地の人って、金髪が居るから龍一たら随分気にしていたしね」
そんな声が、真後ろから聞こえる。
「いやそんな、他意はない。金髪が気になったのは、そのちょっとした興味というか……」
「まあね。気になるわよねぇ。私がちょっと調べてくるわ」
「やめろ。悪かったから」
そう、髪色と、下の毛…… 気になるんだよ。
それでまあ、班を分けて物資調達のため火山へ行く奴らと、硝酸? 硝石を探しに行く奴らで別れて旅に出る。
火山はある。
神々の住まう山々のなか、尾根を二つくらい越えたところらしい。
ただしそれを教えたくれた冒険者から、すごく悲しそうな顔で気を付けろと言われたのが気になる。
まあ、福山達に任せたら、煉獄の薔薇たちが手伝ってくれるようだ。
最初は、マリーに声をかけたらしいが、その後他の者達とも仲良くなり、グループ交際的な感じとなっているようだ。
そう鈴木が言っていたんだ、上が金髪なんだから、下もそうだよ。
そんな軽い調子で、さも当然だというように。
あの中で金髪は、コラーダかヴェスどっちだ……
まあいい。
俺達は、硝石集め。
コウモリの居る洞窟などを探査。
合掌作りで有名な白川郷などは、昔床下で焔硝と呼ばれた硝酸カリウムを作っていた。
湿気に弱いから、日本じゃ産出されなかったので、知恵を働かせて作っていたようだ。
「マスクをしておけ、絶対体に悪い」
俺達は、コウモリが住んでいそうな穴蔵をひたすら調べて、地面に結晶がないか探す。
方や、福山達は、ハイキングのつもりで出たが、もう秋。
山の稜線は、千メートルを越える……
「撤退、出直す」
早々に、装備を取りに来た。
「いやぁ、途中の滝と紅葉は見事だったねえ。実に美しかったよ。いやマリー、君も美しいよ。はっはっは」
などとのんきな感じだったとか。
そして俺達……
洞窟の中で、某隊長よろしくぼやいていていた。
狭いし暗いし、臭いし、もう最悪。
そして秋ともなれば、モンスターはともかく、獣たちは発情期と子育て真っ盛り……
「なあ楓真、あれって何だと思う?」
「体高一メートル七〇センチメートル。四足歩行の獣。狼か何かで体毛は白。えーと、一二のさん…… 五匹。いま、爛々と光る目はこちらを絶賛睨んでおります。さあこの絶望状態、我々は生きて帰れるのでしょうか? どうでしょうか? 解説の龍一君」
絶賛危険状態で、楓真が少し壊れたようだ。
途中で、どこかのスポーツ解説みたいになった。
「鉄則では、目をそらさずにあとずさり」
「りょ」
「判った」
全員が、徐々に下がっていく。
だけど、来るよね。
簡単には、逃がしてくれないようだ。
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