はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

文字の大きさ
上 下
23 / 95
第二章 冒険者時代

第23話 天才と試行錯誤

しおりを挟む
「なに? 商業ギルドに蒸気機関が登録されている? それも最近だと」
「そんな天才が、この世界にも居たのか、ぜひ会おう。デーモンを倒すのに協力をしてもらおう」

 蒸気機関を出したのは、スイヤッセン=カッスメルという、男爵家の二男坊だった。
 家督が継げず、町の外れで機械の開発を行っていた。
 今使われている、足踏み式の織機などを作ったのも彼のようだと言われている…… だが。


 俺達が、五人と親方二人。
 そして商業ギルドの人間一人。

 家の前、土の上で、土下座をしているのが本人。

 蒸気機関を出したとき、実は親方達が言っていた、水の体積が増えると話を聞いて、水鉄砲的な物で羽を回すそんな基本原理を書いた。
 つまり蒸気機関ではない。

 だが出すときに、商業ギルドの係員と話しているうちに、蒸気になった。
 それをギルドの人間は、実際作り、動作をすることが確認をされて認証された。

 この世界特有のいい加減な産物。

 本気でこんなものなど作られないだろうと思っていたら、俺達が現れて、目を回し、細かな設定を聞こうと思ったら、土下座された。
 そこで親方が、商業ギルドの担当者を呼んできて、話をする羽目に…… 

 今ここである。

「まあ良いや、足りないところは俺達が補足をする。共著で権利を半分くれ」
「いやすでに出されており、王国中に通知されています」
「だが本人が言った様に、本来とは違う物が登録されているのはまずくないか? 補足をして、原理などを足すから。それでどうだ」
 そう言うと、それもそうかと、担当者は考える。
 中途半端な物を、勘違いで受け取り、勝手に違う物を作ったら動作をした。

 バレれば非常にまずい。
 それにこれから、俺達はその原理を使った何かを商品として作る予定。
 それが良いものなら、当然のように広がり、登録された資料は目にとまることになる。

「よろしい、許可をいたしましょう。そのかわり再現性と原理を記述してください」
「判ったよ。あんたもそれで良いな?」
 そう聞くと、かれは、残像が残るほどのスピードで、ヘッドバンキングをする。
 死ぬぞ……

 ヘビメタっぽいが、本人は、貴族の端くれ、カイゼル髭のおっさん。
 カイゼル髭は、両側の口角で細くなり、ピンと上に向ける髭のデザイン。
 真ん中で髪をぴっちりと分けて、何だろう。駄目な貴族の典型のような貴族らしい貴族。
 貴族位も、成人の時になくなったらしいので、本人は平民になったから、貴族へのこだわりがあるのかもしれない。

「さておっさん、書き直すぞ」
「はい」
「なら良い。そのまま兵器への転用と、乗り物のエンジンとして使う」
 そう高校生の知識で、安易に蒸気機関を使おうぜと考えたが、なぜ現代に残っていなかったのか、そこを考えていなかった。

 特に蒸気式の銃は今残っていない。
 火薬の方が、安定で使いやすい。

 蒸気も、水を足せば圧が上がるまで待たねばならないし、水がなくなれば空だきで釜が壊れる。
 まあそんなものだが、試作品を作り、動作させる。

「なあ、楓真。これって、いまいち力が無いなぁ」
「ああ、見た目はごついんだがな」
 ハンドルを付けて、弾の入った枠を回す。

 蒸気の経路が、真っ直ぐになったら弾が飛んでいく。
 おかしい蒸気機関車が走り、半分ゾンビになった主人公達が使っていたものは、もっと力があるように見えた。

 だが出来上がったのは、ちょっと圧の強い吹き矢だ。
 だが、紙を丸めたような弾なら良いが、鉛玉だと重くて飛距離が出ない。

 漏斗式にして、テーパーを付ける。
「重さと、摩擦か」
「昔狩猟用の、空気銃を見たら、弾は前方後円墳ぜんぽうこうえんふん型だったぞ」
 おもちゃの空気銃はプラスチックの弾だが、狩猟用はアルミとかでできているらしい。飛距離は七十メートルほどあるようだ。


「おいおっさん、何か考えろよ」
「むっ、我が輩もか」
 このおっさん、やはり貧乏家の次男、基礎的な知識が足りない。
 偉そうなのだが、町民だし。

 カイゼル髭がおもしろいのか、意外と人気がある。
 この前、暇な奴らに方程式を習っていた。

 重力加速度がどうたらこうたらと、定数が九・八だからとか教えて大丈夫なのか知らないが教育をされていた。

 なんか有名な、いMCが、二畳に住んでいるとか、それは教えちゃやばいとか盛り上がっていた。

 そうその時、俺達は、ピンときていなかった。
 語られていたのは、E=mc2乗の話だった。
 うちの学校に来ている奴、危ない公式や難しい漢字が得意な奴が多い。
 そうそこに気がつけば、火薬や兵器の作り方を知っているマニアがいた。
 何たら時計という薄い本を、じいさんがマニアで持っていたらしい。
 発禁本らしいが、かなりの高値らしい。


 話を戻すと、まあ式を知っても、すぐに核へと行き着けるわけもないと思っていた。
 だが、この世界には魔法がある。
 ただ、その魔法は身内からではなく、敵が使ってくるのだが、この時はまだ知らず、平和な時を生きていた。

 そう俺達はその魔法で、戦場にいた兵達、そして仲良くなった冒険者達もろとも一度死ぬことになる。
 俺が必死で、シールドを張って、光と爆風は防いだ。
 だが、直撃を受けなくとも、あの光は体を蝕んだ。
 その時、福山達は……

 そう、だがそれまでに、大変な思いをしながら俺達は出来ることを行う。

 まあ、あれを受けて死んだと思ったら、グランドで、懐かしい先生達。そして、笑顔で差し出される、反省文用の原稿用紙。
 そこから島に戻ったときは、愕然とした。
 また一からだ。

 その時、死に戻った者は、高校の時へ戻り体が若くなることを発見。一部の女の子は、必死で彼氏の元へと帰った。

 そう、元彼との付き合いがなかった事になり、私の初めてをあげると……
 今となってはそんなに重要ではないが、若くなった嫁さんは意外と好評だったようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...