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第二章 冒険者時代
第21話 最近のお悩み
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「ああー、判らん」
「何が?」
神野 龍一は、森 澪と、一つのベッドで仲良く話をしていた。
時刻は、午後七時位。
そうこの世界では、日が沈み暗くなるとよい子は寝る時間。
軽くスキンシップと、気合いの入った筋力強化に励み、二人はあっつあつ状態。
「この修学旅行は、どうすれば終わるのか、期間かそれとも、みんなが言うように、何かをしないといけないのか…… それと…… 感じるのは此処かなぁ?」
「こら…… またっ。ううんっ、あんっ」
彼らは再び運動を開始した。
そうこの厳しい世界、トレーニングは重要だ。
同じ時間、隣の部屋でも杉原 楓真が唸っていた。
「どうしたの? 寝よっ」
「ああ、そうだな」
濱田 結愛は、もう準備は万全。
この世界に来てから、女子は全員月のものが来なくなっていた。
最初は驚いたが、便利だし、楽なので開きなおっていた。
そう……
普通にある現象だが、結構毎月大変らしく、なくなったのはある意味ラッキーだと、そういう仕様なのだと理解して、皆開き直った。
「楓真、どうしたの?」
「うん? 新しい寮だが、風呂場は欲しいだろ」
「いる!!」
結愛がベッドから出てきて、テーブルに向かっていた、楓真の背中に張り付く。
ふよんとすてきな感触。
「キッチンとかは各部屋と、中央に一つ、食堂。皆が料理ができるわけじゃないからな」
「そうね、でもそれなら、料理が出来る人間の負担が大きくならない?」
「それは現地の人を雇う。皆から食費を取って、それで給料をまかなえば良い。人件費は意外と安いからな。風呂もそうだ、水魔法で水をためて、湯を沸かす。沸かす循環釜は鍛冶屋さんに図面を渡すが、漏水がない様にきちっと止めることができるかだな」
彼がそう言っていると、こっちでも……
「漏水しているわよ」
「それは、おまえがいじるからだろ…… 人のことは言えないじゃないか、お前もジャバジャバだ」
「もうっ、さっきから待っていたの、早くぅ」
「仕方ないな」
そうして、せがまれ、お姫様抱っこでベッドに向かう。
まさに、性旬。
「それでね、私だけがあぶれちゃって、ひどいと思わない、毎日周りでアンアン言っているのよ」
「それは大変だったね。いまは僕がいるから良いじゃないか。僕としては君があぶれていて良かったよ」
間中 美加は、一組と合流して幸せを見つけたようだ。
ただ、葛野 大二郎は、こちらに来てからのはっちゃけ組。
「これで五人目。感度はいまいち、だけど好奇心は旺盛……」
そんな日記を彼は書いていた。
だがまあ、こちら側は概ね平和なようだ。
「―― そうか、では数は今増えておらんな」
「はい」
代官である男爵は、日々彼らの動向を、調べて報告させていた。
「変化がないなら良い。宿舎についての希望は?」
「それが今、鍛冶師と何やら相談中だそうです。鍛冶師のカークスと言う男と技術的な問題で話し合いだそうです」
「そうか」
鍛冶屋の親父、カークスは同業の鍛冶師、ミスオーヒクに協力を求めていた。
だが、基本的な水の対流がどうしても理解できない。
「こんなパイプを突き刺して、どうやって混ぜるんだ? ここだけで湯が沸いても駄目だろう」
とうぜん、飲みながらの話。
まとまるものも、まとまらず、日々深酒になって同じ事を繰り返す。
「だから説明をしただろう」
「何がだ?」
「水は温まると、軽くなるのだそうだ」
「ああっ? 水は湯になっても同じものだろう?」
「それが違うらしい」
「違うだと?」
何度目かの怪訝そうな顔。
近くの席では……
「また同じ事を話してやがる。熱で膨張をして実体積が増えるとか言っていたが、オレの方が覚えちまった」
「まあまあ、酔っ払いだからな」
どうも親方達は、周囲に向かい物理学の講義をしていたようだ。
だがそれは、この世界では新鮮なようで、それを聴いていた男が何かを思いつき走っていく。
後に蒸気機関が、この世界で発明をされることになる。
これの後に、ミスオーヒク親方は彼らから、蒸気機関の設計を頼まれたときに、調べに行くと、すでに商業ギルドに対して、占有技術新案が提出されていた。
まあこちらで言う、特許である。
そう酒場での会話、これのおかげで大きな儲け話を捨てることになった。
「教会の方で何とか出来ないのか?」
「それは、ゾンビ相手に戦闘をしろという事でしょうか?」
状態のひどさに困った王は、教会の関係者を呼びつけていた。
「こう股になった棒とかで押さえ込み、その隙に浄化とかできんものか?」
「それができるなら、杭を刺しても同じことでは?」
どう言ってもへりくつを捏ねて、協力をしない教会関係者。
忌々しく感じる王……
「そういえば、教会が売っている聖なる水、何の効き目もないようじゃ無いか。以降販売禁止だ」
そう言って、にやり。
「なっ、あれはゾンビ用ではなく悪霊の類いを払うための物、使い方が違います」
「奴らも、悪霊の類いじゃなかったのか?」
「それはそうですが……」
司祭の悔しそうな顔を見て、王は多少溜飲が下がる。
「ゾンビ退治に協力を行うように」
「それは…… はい……」
渋々、返事を返す。
無論教会に帰ったときに、何を言われるか分かっているからだ……
司祭が、城を出た後、まるでゾンビのように重い足取りで町中に消えていった。
それを見たのか、どこかで鳥の鳴き声が、ケケケと聞こえる。
※アオゲラというキツツキの仲間が発する警戒声が、ケケケと聞こえるそうです。
「何が?」
神野 龍一は、森 澪と、一つのベッドで仲良く話をしていた。
時刻は、午後七時位。
そうこの世界では、日が沈み暗くなるとよい子は寝る時間。
軽くスキンシップと、気合いの入った筋力強化に励み、二人はあっつあつ状態。
「この修学旅行は、どうすれば終わるのか、期間かそれとも、みんなが言うように、何かをしないといけないのか…… それと…… 感じるのは此処かなぁ?」
「こら…… またっ。ううんっ、あんっ」
彼らは再び運動を開始した。
そうこの厳しい世界、トレーニングは重要だ。
同じ時間、隣の部屋でも杉原 楓真が唸っていた。
「どうしたの? 寝よっ」
「ああ、そうだな」
濱田 結愛は、もう準備は万全。
この世界に来てから、女子は全員月のものが来なくなっていた。
最初は驚いたが、便利だし、楽なので開きなおっていた。
そう……
普通にある現象だが、結構毎月大変らしく、なくなったのはある意味ラッキーだと、そういう仕様なのだと理解して、皆開き直った。
「楓真、どうしたの?」
「うん? 新しい寮だが、風呂場は欲しいだろ」
「いる!!」
結愛がベッドから出てきて、テーブルに向かっていた、楓真の背中に張り付く。
ふよんとすてきな感触。
「キッチンとかは各部屋と、中央に一つ、食堂。皆が料理ができるわけじゃないからな」
「そうね、でもそれなら、料理が出来る人間の負担が大きくならない?」
「それは現地の人を雇う。皆から食費を取って、それで給料をまかなえば良い。人件費は意外と安いからな。風呂もそうだ、水魔法で水をためて、湯を沸かす。沸かす循環釜は鍛冶屋さんに図面を渡すが、漏水がない様にきちっと止めることができるかだな」
彼がそう言っていると、こっちでも……
「漏水しているわよ」
「それは、おまえがいじるからだろ…… 人のことは言えないじゃないか、お前もジャバジャバだ」
「もうっ、さっきから待っていたの、早くぅ」
「仕方ないな」
そうして、せがまれ、お姫様抱っこでベッドに向かう。
まさに、性旬。
「それでね、私だけがあぶれちゃって、ひどいと思わない、毎日周りでアンアン言っているのよ」
「それは大変だったね。いまは僕がいるから良いじゃないか。僕としては君があぶれていて良かったよ」
間中 美加は、一組と合流して幸せを見つけたようだ。
ただ、葛野 大二郎は、こちらに来てからのはっちゃけ組。
「これで五人目。感度はいまいち、だけど好奇心は旺盛……」
そんな日記を彼は書いていた。
だがまあ、こちら側は概ね平和なようだ。
「―― そうか、では数は今増えておらんな」
「はい」
代官である男爵は、日々彼らの動向を、調べて報告させていた。
「変化がないなら良い。宿舎についての希望は?」
「それが今、鍛冶師と何やら相談中だそうです。鍛冶師のカークスと言う男と技術的な問題で話し合いだそうです」
「そうか」
鍛冶屋の親父、カークスは同業の鍛冶師、ミスオーヒクに協力を求めていた。
だが、基本的な水の対流がどうしても理解できない。
「こんなパイプを突き刺して、どうやって混ぜるんだ? ここだけで湯が沸いても駄目だろう」
とうぜん、飲みながらの話。
まとまるものも、まとまらず、日々深酒になって同じ事を繰り返す。
「だから説明をしただろう」
「何がだ?」
「水は温まると、軽くなるのだそうだ」
「ああっ? 水は湯になっても同じものだろう?」
「それが違うらしい」
「違うだと?」
何度目かの怪訝そうな顔。
近くの席では……
「また同じ事を話してやがる。熱で膨張をして実体積が増えるとか言っていたが、オレの方が覚えちまった」
「まあまあ、酔っ払いだからな」
どうも親方達は、周囲に向かい物理学の講義をしていたようだ。
だがそれは、この世界では新鮮なようで、それを聴いていた男が何かを思いつき走っていく。
後に蒸気機関が、この世界で発明をされることになる。
これの後に、ミスオーヒク親方は彼らから、蒸気機関の設計を頼まれたときに、調べに行くと、すでに商業ギルドに対して、占有技術新案が提出されていた。
まあこちらで言う、特許である。
そう酒場での会話、これのおかげで大きな儲け話を捨てることになった。
「教会の方で何とか出来ないのか?」
「それは、ゾンビ相手に戦闘をしろという事でしょうか?」
状態のひどさに困った王は、教会の関係者を呼びつけていた。
「こう股になった棒とかで押さえ込み、その隙に浄化とかできんものか?」
「それができるなら、杭を刺しても同じことでは?」
どう言ってもへりくつを捏ねて、協力をしない教会関係者。
忌々しく感じる王……
「そういえば、教会が売っている聖なる水、何の効き目もないようじゃ無いか。以降販売禁止だ」
そう言って、にやり。
「なっ、あれはゾンビ用ではなく悪霊の類いを払うための物、使い方が違います」
「奴らも、悪霊の類いじゃなかったのか?」
「それはそうですが……」
司祭の悔しそうな顔を見て、王は多少溜飲が下がる。
「ゾンビ退治に協力を行うように」
「それは…… はい……」
渋々、返事を返す。
無論教会に帰ったときに、何を言われるか分かっているからだ……
司祭が、城を出た後、まるでゾンビのように重い足取りで町中に消えていった。
それを見たのか、どこかで鳥の鳴き声が、ケケケと聞こえる。
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