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第二章 冒険者時代
第16話 縁(えにし)
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「あれは…… 女達が来た。ものを隠せ」
「どう? 食材はなにかある?」
「隠さずに出しなさいよ」
やって来たのは、冨士本 里絵、笹岡 万寿美、殖栗 由梨香の三人。
日々、やっとの思いで集めた食材が、持って行かれる。
この女達は、クラスのBグループ。
断ると、宮内 竜也、市原 慎太郎、山本 一大達三人がやって来てボコボコにされる。
「なあ、やっぱりやろうぜ……」
「だが……」
相手は総勢六人程度、それに対して、こっちは男三人と女八人も居る。
途中で、困っていた河野 沙百合達四人が合流して女の子比率が増えた。
一見するとハーレムぽいが、多勢に無勢集団になると理不尽のオンパレード、さらにBグループの連中に見つかったのが運の尽き。
男三人、いつ逃げだそうかと考える日々。
三人は日々、海に入り山に入り、皆のために食料を探す。
初期の四人森本 さあや、間中 美加、岡山 理穂、富澤 惠は一緒に抜け出した仲間だけあって優しかったし、労りもあった。
だが、なにもできず徘徊していた四人河野 沙百合、武井 奈弓、田宮 真美、伊部 由香子は同じDグループの中でも、さらに使い物にならない。
そう、口を開けば文句ばかり。
「男でしょ」
これだよ、男だからなんだよ……
「森本達はどうする?」
博之は森本のことを気に入っている。
だが、少しでも仲の良いところを見せると、馬鹿達が揶揄い始めるので少し距離ができてしまった。
「一応、出る直前に話しをしてみるか」
あらかじめだと、奴ら四人の女達ともし話しが通じていると、鬱陶しいことになる。
「間中 美加はどうする?」
そう彼女は、女の子が四人居る中で、彼らが三人のためにあぶれた女の子。
性格は悪くない。
だが、容姿的に好みから外れてしまう。
「あいつら、仲が良いからな。連れて行くなら連れて行こう」
そして彼らは、深夜行動を起こす。
今夜は新月。
月と太陽が同じ方向にあるため、潮汐力が助け合う。そのため潮の満ち引きが大きく、大潮と呼ばれる晩。
「森本」
そっと体を揺する。
「だれ?」
「しっ、オレだ、博之だよ」
亀井 博之は彼女の耳元に囁く。
「亀井君? えっと、夜這い? いいけど皆がいるし、場所を変えない?」
思っても居なかった答えが来て、少し舞い上がる。
「夜這いじゃ無いけど、場所は変えよう。荷物を持って……」
それだけで、彼の言いたいことが判ったようだ。
彼女達を切り捨てる。
元々仲が良かった訳ではないし、日々の傍若無人ぶりは少し呆れていた。
元々は何ともならなくて、助けてと言っていた彼女達。
だけど、亀井君達が優しいことにつけあがり、文句ばかり。
そこに、Bグループの連中に見つかったという最悪な状態。
彼らに請求されて、獲物を採取する量が三倍以上必要となったのだ。彼らが、苦しんでいたことを見ていた。
でまあ、つい夜這いくらいなら良いかなとか……
好きかと言われると、好き…… なのかなぁとハッキリしない関係。
感謝はしている。
そう彼女が、自分気持ちに気がつくには、イベントが必要だった。
多分、体の関係を受け入れても気がついたのだが、もう少しハードなイベントになった。
「あいつら逃げた、追いかけて」
暗闇の海岸を大急ぎで移動する者達。
だが、追いかける奴らは、普段ぐうたら、すぐにへばる。
「急いで、あそこの岬に海蝕洞があるんだ」
「かいしょくどう?」
女の子達は、知らなかったようだ。
そして、たどり着いて唖然とする。
「穴が無い」
「満潮で塞がったんだ」
男達が騒ぎ始める。
だが状態はもっと悪かった。
「ねえ、あんな所に筏がある」
そう言われて気がつく。
「あれだ、潮が満ちて先に流されたのか」
海食洞窟の奥で作っていたいかだ。
大潮で普段より潮位が高く、奥の岩だなにすえてあった筏が、勝手に流れ出してしまった。
「皆気を付けて、泳ぐぞ」
だがそこは真っ暗な海。
飛び込むには躊躇がある。
だが、彼女達に聞こえた声。
「行こう新天地に。ここに居たってじり貧だ」
握られた手は温かく力強い。
「えっあっ、わたしは?」
薄暗い中でペアができて、順に海の中へ入って行く。
取り残された彼女。
「行くわよ」
美加の手を握ったのは、男子では無く理穂だった。
彼女は、少し悲しくなる。
彼……、阿部 和宏と、良い感じだと自分では思っていた。
だが彼は、富澤 惠の手を取った。
暗い海の中、彼女が流した涙は、幸い誰にも見られることはなかった。
なんとか筏にたどり着く。
それから数分して潮が動き始めて、急速に離岸していく。
彼らは抱き合い、ぬくもりを取ろうとする。
荷物は、防水のザックに入っていたため大丈夫だが、服は表面に撥水加工がされていても、泳げば濡れる。
ただこの暗い所で脱げば、海に落ちて無くなる可能性もある。
彼らは我慢しつつ、星を隠す真っ暗な大陸に向かって漕いでいく。
潮目が変わり、再び満潮に向かう所で砂浜へとたどり着く。
タープで簡易テントを作り、中で着替える。
翌朝見ると、いくつかの筏と、キャンプの痕跡がその砂浜には残っていた。
「もう何人か来ているんだな。行こう」
そうして彼らは手を取る。
「ねえ、わたしは…… ねえってばぁ」
「どう? 食材はなにかある?」
「隠さずに出しなさいよ」
やって来たのは、冨士本 里絵、笹岡 万寿美、殖栗 由梨香の三人。
日々、やっとの思いで集めた食材が、持って行かれる。
この女達は、クラスのBグループ。
断ると、宮内 竜也、市原 慎太郎、山本 一大達三人がやって来てボコボコにされる。
「なあ、やっぱりやろうぜ……」
「だが……」
相手は総勢六人程度、それに対して、こっちは男三人と女八人も居る。
途中で、困っていた河野 沙百合達四人が合流して女の子比率が増えた。
一見するとハーレムぽいが、多勢に無勢集団になると理不尽のオンパレード、さらにBグループの連中に見つかったのが運の尽き。
男三人、いつ逃げだそうかと考える日々。
三人は日々、海に入り山に入り、皆のために食料を探す。
初期の四人森本 さあや、間中 美加、岡山 理穂、富澤 惠は一緒に抜け出した仲間だけあって優しかったし、労りもあった。
だが、なにもできず徘徊していた四人河野 沙百合、武井 奈弓、田宮 真美、伊部 由香子は同じDグループの中でも、さらに使い物にならない。
そう、口を開けば文句ばかり。
「男でしょ」
これだよ、男だからなんだよ……
「森本達はどうする?」
博之は森本のことを気に入っている。
だが、少しでも仲の良いところを見せると、馬鹿達が揶揄い始めるので少し距離ができてしまった。
「一応、出る直前に話しをしてみるか」
あらかじめだと、奴ら四人の女達ともし話しが通じていると、鬱陶しいことになる。
「間中 美加はどうする?」
そう彼女は、女の子が四人居る中で、彼らが三人のためにあぶれた女の子。
性格は悪くない。
だが、容姿的に好みから外れてしまう。
「あいつら、仲が良いからな。連れて行くなら連れて行こう」
そして彼らは、深夜行動を起こす。
今夜は新月。
月と太陽が同じ方向にあるため、潮汐力が助け合う。そのため潮の満ち引きが大きく、大潮と呼ばれる晩。
「森本」
そっと体を揺する。
「だれ?」
「しっ、オレだ、博之だよ」
亀井 博之は彼女の耳元に囁く。
「亀井君? えっと、夜這い? いいけど皆がいるし、場所を変えない?」
思っても居なかった答えが来て、少し舞い上がる。
「夜這いじゃ無いけど、場所は変えよう。荷物を持って……」
それだけで、彼の言いたいことが判ったようだ。
彼女達を切り捨てる。
元々仲が良かった訳ではないし、日々の傍若無人ぶりは少し呆れていた。
元々は何ともならなくて、助けてと言っていた彼女達。
だけど、亀井君達が優しいことにつけあがり、文句ばかり。
そこに、Bグループの連中に見つかったという最悪な状態。
彼らに請求されて、獲物を採取する量が三倍以上必要となったのだ。彼らが、苦しんでいたことを見ていた。
でまあ、つい夜這いくらいなら良いかなとか……
好きかと言われると、好き…… なのかなぁとハッキリしない関係。
感謝はしている。
そう彼女が、自分気持ちに気がつくには、イベントが必要だった。
多分、体の関係を受け入れても気がついたのだが、もう少しハードなイベントになった。
「あいつら逃げた、追いかけて」
暗闇の海岸を大急ぎで移動する者達。
だが、追いかける奴らは、普段ぐうたら、すぐにへばる。
「急いで、あそこの岬に海蝕洞があるんだ」
「かいしょくどう?」
女の子達は、知らなかったようだ。
そして、たどり着いて唖然とする。
「穴が無い」
「満潮で塞がったんだ」
男達が騒ぎ始める。
だが状態はもっと悪かった。
「ねえ、あんな所に筏がある」
そう言われて気がつく。
「あれだ、潮が満ちて先に流されたのか」
海食洞窟の奥で作っていたいかだ。
大潮で普段より潮位が高く、奥の岩だなにすえてあった筏が、勝手に流れ出してしまった。
「皆気を付けて、泳ぐぞ」
だがそこは真っ暗な海。
飛び込むには躊躇がある。
だが、彼女達に聞こえた声。
「行こう新天地に。ここに居たってじり貧だ」
握られた手は温かく力強い。
「えっあっ、わたしは?」
薄暗い中でペアができて、順に海の中へ入って行く。
取り残された彼女。
「行くわよ」
美加の手を握ったのは、男子では無く理穂だった。
彼女は、少し悲しくなる。
彼……、阿部 和宏と、良い感じだと自分では思っていた。
だが彼は、富澤 惠の手を取った。
暗い海の中、彼女が流した涙は、幸い誰にも見られることはなかった。
なんとか筏にたどり着く。
それから数分して潮が動き始めて、急速に離岸していく。
彼らは抱き合い、ぬくもりを取ろうとする。
荷物は、防水のザックに入っていたため大丈夫だが、服は表面に撥水加工がされていても、泳げば濡れる。
ただこの暗い所で脱げば、海に落ちて無くなる可能性もある。
彼らは我慢しつつ、星を隠す真っ暗な大陸に向かって漕いでいく。
潮目が変わり、再び満潮に向かう所で砂浜へとたどり着く。
タープで簡易テントを作り、中で着替える。
翌朝見ると、いくつかの筏と、キャンプの痕跡がその砂浜には残っていた。
「もう何人か来ているんだな。行こう」
そうして彼らは手を取る。
「ねえ、わたしは…… ねえってばぁ」
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