はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第二章 冒険者時代

第13話 意外なこと

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「えっやっぱり、将文君が好き」
 叶恵がそう言ったのは、まあ順当……
 だが、真澄までもがなびいてしまった。

「わたしも、将文君が好き」
 それを聞き愕然とする明宏。
「なぜだ……」
 そう言うと、困った顔をする、真澄。

 そうお試し期間中、将文は二人共に手を出した。
 それが思ったより良かったらしい。
 優しかったし、気持ちよかった……
 それが敗因らしい。
 
 明宏は真面目に生活をした。
 だが、いい加減飽きてきたキャンプ生活。
 そこに新しい刺激をくれた、将文……

 よく聞く、体に感情が引かれると言う現象。
 好きだと囁かれて、自身を求められた。
 一度くらいならと思った瞬間に、彼女は受け入れてしまったのだ。

 そう、嫌いな人に抱かれたりなどはしない。
 お互いに、一年近く一緒に暮らし、その性格は知っている。
 少しだけ軽いのが玉に瑕たまにきずだが、それだって気軽に話しやすいと良い方に取れば問題が無い。

 明宏は真面目な分、取っつき辛い。
 そう、わずかな差だった。

 だが、バランスが悪いと、色々弊害が現れる。
 叶恵は、真澄までが将文になびいたのがちょっと許せなかった。
 だから、明宏を揶揄い、将文に焼き餅を焼かせるつもりだったのだが、彼から離れなくなってしまう。
 なんと言うか、明宏からすれば、元々好きだった叶恵からのお誘い。

 愛し方が違った。
「あっ違う。これ好き」
 多分それすらもわずかな違いだろう。
 未熟ながらも、ゆっくりと、愛おしむような行為。
 それが心を優しく包む。
 
 ゆっくりだから、意識が集中、そしてじっくり感じる。

 昔から愛するよりも愛された方が幸せになると言うが、愛しているから相手が大事になる。
 それは仕方が無いこと。

「また浮気をされたの、でも好きだから別れられない」
 そんな話は良くある。
 男は、追いかけられると調子に乗ることがある。

 叶恵は彼からの愛を感じて、最初っから、彼の告白を受けていれば良かった。
 彼女は初めてを将文としたことを後悔をして、その分優しくなり、なる様になったとか。


 そして……
「あれが、『煉獄の薔薇』だ、気を付けろ」
 厳つい装備、そして集団で道の真ん中をザッザと歩く。

 そして、ピタッと止まると、上位十人のみがギルド内に足を踏み入れる。

 彼女達がギルド内に入ると、丁度俺達が登録をしていて、混雑をしていた。
 いつもなら、自分たちを見ただけで前が開く。
 だが、きゃいきゃいと言いながら、登録は続く。

 そしてこの世界、栄養状態の差で、体つきが違う。
 俺達は、高校生とはいえもう二年生。いやこっちへ来て一年、身長百七十を超えた人間がちょくちょくいる。

 だが原住民というか、土着の人間は身長百六十センチ台が多い。
 女の子達は、その十センチ下になる。
 つまり、前を塞いでいる女子でも、その辺りのオッサン達と身長が変わらず、俺達はさらにでかい。

 松岡 大翔まつおか ひろとなどは、百八十五センチある。
 まあボスキャラだな。

 そのためなのか、マリーは横から文句を言うつもりで、前に出ようとしていたアガサの前に左手を突き出す。

 丁度それが、町中のため緩めていた防具との間に入る。
「あんっ」
 突然の事に驚いたアガサだが、その手がマリーの手だとわかり、少し喜ぶ。

 元々、彼女に憧れて入ったチーム。
 今まで、そんな事はなかったし、基本ノーマルだが、マリーが望むなら……
 そう思ったが違ったようだ。
「ああ、すまん。丁度団体の登録のようだな。少し待とう」
 手が引っこ抜かれて、さらに、珍しく、マリーが引いた。
 皆は、酒場の方へ移動をする。

 すごい。何この集団?
 黒髪に黒目、格好いい。
 あの指のない手袋、何か引かれる。
 マリーは少しダークな感じが好きなようだ。

 ちょっとだけ、雑に扱われるのが好き。
 でも困った人を助けていて、気がつけばこの集団。
 最近では、見ただけで皆が下がってしまう。
 つまんない……
 そう思っていた。

 そんな中、集団の中で、ふざけていた一部が押し出される。
 彼は、マリー達が座っていたテーブルに手を掛け、転ぶことなく耐えた。

「ああ、すまない。怪我は無かったかい」
 キラリとした笑顔で、彼女達に臆することなく声をかける。
 彼は、福山 健太郎ふくやま けんたろう身長も百八十センチもある。
 そして、同じ苗字をしたシンガーソングライターがいるが、彼も同じ様な性格をしている。

 一軍メンバーが見ている中、マリーに目を付ける。
 少し細面ほそおもてで、亜麻色の髪を後ろで束ねている。
 ブラウンの瞳と、通った鼻筋でキリリとした目。
 いわゆる北欧系の美人顔。

 すこし引い声で彼は言う。
「きみぃ、良いおっぱいしているね。揉ませてくれないかい?」
 そう、彼は照れもせず、真顔で彼女にそんな事を言う。

 メンバーの首が、音を立てるような動きで、そんな事を言いだした福山に向く。
 当然だが、しっかり手は、剣のグリップを持っている。

 だが……
「えっ触りたいの? 揉んでもおっぱいはでないわよ」
 きょとんとした顔で、そんな答えを返してしまう。

「「「「はっ??」」」」
「ありがとう。どれ……」
 そう言ったかと思うと、福山の手はすでに動いていた。

「うーん。すばらしいぃ。この弾力、エクセレント。君ぃ名前は?」
 もみもみしながら、彼女の顔をじっと見つめる。

「んんっ。あっ、えっ、マリー」
 少し思ったのと違う感じに、ビックリしながらも彼女は答える。なに? 自分で触るのとは全然違う…… 腰から背中、ぞくぞくする……

「僕と、会わないかい?」
「えっ、あっはい」
 完全にマリーは、素の状態。普段、皆に見せる、凜とした姿はそこには無く、少し頬を赤らめる女の子がいた。

「らぁっきぃー」
 そう言って、彼女の胸から手を離すと、そのまま彼女の顎をくいっとあげる。
 そして、流れるようなキス。

 だがそれは軽いもの。
「僕の名前は、福山 健太郎ふくやま けんたろう。よろしくね…… マリー」
 彼女の様子を見て、大丈夫だと判断をしたのだろう、そう言ってもう一度キス。

 今度は少し長く、念入りに彼女の口腔を刺激する。
「はふっ……」
 マリーは、離れていく健太郎を、つい追いかけて行きそうになる。

 後ろから追いかけてきた、鈴木 洋史すずき ひろし武藤 伸むとう しんはそれを見て呆然とする。

「福山が殴られなかったぁ」
「福山が通報されなかったぁ」
 そして誰もが、付き合うのニュアンスに気がつかなかった。

 そして彼女達、囲まれた男達の大きさに戸惑う。

 鈴木は身長百七十センチ、福山が身長百八十センチ。
 そして、よほど驚いたのか、両手の人差し指と小指を立て、手を広げるプロレスラブポーズを決める男。武藤 伸むとう しんは、百八十五センチもあった。
 体つきも、ある人に憧れがあり、当然のように鍛えに鍛え、ものすごい体をしている。

 ―― 彼女達は、それを見て動けなかった。
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