11 / 95
第二章 冒険者時代
第11話 それぞれの思惑
しおりを挟む
「たすけてくれぇ」
オッサンの叫びが聞こえる。
だが……
「きゃー。誰か助けてぇ」
「よし、助けに行くぞ」
無論、きゃーの方だ。
オッサン。男なら頑張れ。
だが、きゃーと叫んだのは、まるでマツ○デラックス。
どすこいという感じで、モンスターを掴んでは踏みつけ、ひたすらキャーキャ叫んでいるが……
「強えぇ」
皆が呆然とするほどの強さ。
皆が、くるっと向きを変え、オッサンの方へ向かう。
そこには家族だろうか、結構美人の奥さんと、小さな子どもを守りながら戦うオッサンがいた。
「馬鹿野郎、助けを呼ぶなら奥さんにたのめ」
そんな理不尽をぶつけながら、助けに向かう。
だがこの光景で、幾人かの男子生徒が希望を見た。
そうこのオッサン、そんなにモテ系じゃない。
それなのに、守っている美人な奥さんと子ども。
それは一部の生徒にとって希望を与える。
男は顔じゃないんだぁ、オレでもいける。
「いやあ助かったよ。あんたら強いな」
「いえ、あなたの姿に感銘を受けました」
「俺らの希望です。頑張ってください」
皆が口々に、そんな台詞をオッサンに掛ける。
「おっおう。そうか、なんか判らんがありがとう」
オッサンも、急に礼や励ましを言われて困惑顔だ。
「おっさん。何をしている人?」
そう、そこが重要だ。
身なり的には、貴族じゃないだろうし、どちらかと言えば兵士に近い。
「オレは冒険者だ。まあ万年鉄級だが」
そう言って、オッサンはデレ始めた。
さえない感じのオッサンが、高校生に囲まれて質問攻め。
きっと慣れていないのだろう。
「おっ、ギルドがあるのか? オレも冒険者になる」
ラノベとかに詳しい大塚が、オッサンの手を取り宣言をする。
「おお。そうか、頑張れよ」
まあ、オッサンの天下はそこまでだった。
「助けていただきまして、ありがとうございました」
奥さんが、俺達に向けて御礼を言う。
そうその中には、オッサンも混ざっている。
「無事で良かった。オレだけじゃ危なかったが、無事で何よりだ」
「いえ、そんな」
そう言って、奥さんと子どもはいそいそと、どこかへ行ってしまった……
そうオッサンの株価そこで急落。
株式用語に『落ちてくるナイフはつかむな』と言う言葉があるが、誰もフォローすることをなく、オッサンの周りから人が居なくなった……
「あれ?」
ただオッサンだけが、現状が判らず呆然と佇む。
勝手に勘違いされて、勝手に急上昇…… そして急落。
オッサンには迷惑な話。
だが、それが世間だ。
オッサン頑張れ!!
まあそう言う事で、オッサンを放置して、何事もなかったように俺達は討伐に戻る。
「でもまあ拠点を考えたら、仕事がいるか」
この世界には、親も誰も居ないしな。
「大塚、ギルドって何だ?」
「ああ、ラノベと一緒か判らないが、仕事の斡旋をするのがギルドだよ。元々は職人を束ねた組合だったようだが、昔のヨーロッパとかでそんなのがあったらしい。冒険者という事は、きっと何でも屋の仕事斡旋をしてくれるんじゃ無いか?」
ふむふむ。行ってみないと分からんと言うことだな。
「じゃあ、後で行ってみよう」
「そうだな」
その頃学校の解析室。
先生方が集まり、水晶の板を見ていた。
そこに表示される、生徒一人一人のパラメーター。
身体情報から、精神的な物、霊的な物まで表示されている。
「ふうむ、まだまだ甘えじゃの」
そうこの修学旅行は、修行の場。
ある程度の修学レベルを超えないと、終わらない。
ある意味地獄のような授業である。
「ですが校長先生、指導力を示している者は、悟り…… 五力の上昇が見られます」
一部の生徒に、五力項目の念力のほか、信力、勤力、定力、慧力すべてが赤くプラスがついている。
念力は、超能力の方ではなく、経験したことを忘れない事の方である。
信力は信じる心。
これは、友情に厚く人をあざむかないこととか、誠実なことであること。
勤力は、まあ集中力。
定力は、字の通り、心を乱されない力。
慧力とは、まがい物や余計な情報に惑わされず、真実を把握することのできる能力である。
この指標は、修行者の悟りへの道。
そして解脱に至らしめる五種の力と言われている。
それに相反する欲の項目も、おしなべて高いのは高校生であるからだろう。
それがまさか、すべて見られているとは生徒達は知らなかった。
欲とは主に、睡眠欲、食欲、財欲、色欲、名誉欲とされている。
島にいるとき、先ずは食だった、それから睡眠が高くなり、色とか名誉が上がってきた。
結構、皆生きることに一生懸命だった。
その生きるために、五力が必要で、かなり鍛えられていた。
それは、色々が上手く行かない環境だからこそ鍛えられる。
そう、二年目からは、台風などが島を襲い始める。
何かを促すように、徐々に過酷な世界へと、生徒達のおかれる環境は変わっていく。
「頑張ってねぇ」
ウィクトーリア先生は、向こう側の世界を眺めながらつぶやく。
この先生、気に入った生徒がいると、そっと加護を与えたりする。
先ほど頑張ってねと言う前に、小さな光が彼女から飛んでいった。
それは、何処に行ったのか?
オッサンの叫びが聞こえる。
だが……
「きゃー。誰か助けてぇ」
「よし、助けに行くぞ」
無論、きゃーの方だ。
オッサン。男なら頑張れ。
だが、きゃーと叫んだのは、まるでマツ○デラックス。
どすこいという感じで、モンスターを掴んでは踏みつけ、ひたすらキャーキャ叫んでいるが……
「強えぇ」
皆が呆然とするほどの強さ。
皆が、くるっと向きを変え、オッサンの方へ向かう。
そこには家族だろうか、結構美人の奥さんと、小さな子どもを守りながら戦うオッサンがいた。
「馬鹿野郎、助けを呼ぶなら奥さんにたのめ」
そんな理不尽をぶつけながら、助けに向かう。
だがこの光景で、幾人かの男子生徒が希望を見た。
そうこのオッサン、そんなにモテ系じゃない。
それなのに、守っている美人な奥さんと子ども。
それは一部の生徒にとって希望を与える。
男は顔じゃないんだぁ、オレでもいける。
「いやあ助かったよ。あんたら強いな」
「いえ、あなたの姿に感銘を受けました」
「俺らの希望です。頑張ってください」
皆が口々に、そんな台詞をオッサンに掛ける。
「おっおう。そうか、なんか判らんがありがとう」
オッサンも、急に礼や励ましを言われて困惑顔だ。
「おっさん。何をしている人?」
そう、そこが重要だ。
身なり的には、貴族じゃないだろうし、どちらかと言えば兵士に近い。
「オレは冒険者だ。まあ万年鉄級だが」
そう言って、オッサンはデレ始めた。
さえない感じのオッサンが、高校生に囲まれて質問攻め。
きっと慣れていないのだろう。
「おっ、ギルドがあるのか? オレも冒険者になる」
ラノベとかに詳しい大塚が、オッサンの手を取り宣言をする。
「おお。そうか、頑張れよ」
まあ、オッサンの天下はそこまでだった。
「助けていただきまして、ありがとうございました」
奥さんが、俺達に向けて御礼を言う。
そうその中には、オッサンも混ざっている。
「無事で良かった。オレだけじゃ危なかったが、無事で何よりだ」
「いえ、そんな」
そう言って、奥さんと子どもはいそいそと、どこかへ行ってしまった……
そうオッサンの株価そこで急落。
株式用語に『落ちてくるナイフはつかむな』と言う言葉があるが、誰もフォローすることをなく、オッサンの周りから人が居なくなった……
「あれ?」
ただオッサンだけが、現状が判らず呆然と佇む。
勝手に勘違いされて、勝手に急上昇…… そして急落。
オッサンには迷惑な話。
だが、それが世間だ。
オッサン頑張れ!!
まあそう言う事で、オッサンを放置して、何事もなかったように俺達は討伐に戻る。
「でもまあ拠点を考えたら、仕事がいるか」
この世界には、親も誰も居ないしな。
「大塚、ギルドって何だ?」
「ああ、ラノベと一緒か判らないが、仕事の斡旋をするのがギルドだよ。元々は職人を束ねた組合だったようだが、昔のヨーロッパとかでそんなのがあったらしい。冒険者という事は、きっと何でも屋の仕事斡旋をしてくれるんじゃ無いか?」
ふむふむ。行ってみないと分からんと言うことだな。
「じゃあ、後で行ってみよう」
「そうだな」
その頃学校の解析室。
先生方が集まり、水晶の板を見ていた。
そこに表示される、生徒一人一人のパラメーター。
身体情報から、精神的な物、霊的な物まで表示されている。
「ふうむ、まだまだ甘えじゃの」
そうこの修学旅行は、修行の場。
ある程度の修学レベルを超えないと、終わらない。
ある意味地獄のような授業である。
「ですが校長先生、指導力を示している者は、悟り…… 五力の上昇が見られます」
一部の生徒に、五力項目の念力のほか、信力、勤力、定力、慧力すべてが赤くプラスがついている。
念力は、超能力の方ではなく、経験したことを忘れない事の方である。
信力は信じる心。
これは、友情に厚く人をあざむかないこととか、誠実なことであること。
勤力は、まあ集中力。
定力は、字の通り、心を乱されない力。
慧力とは、まがい物や余計な情報に惑わされず、真実を把握することのできる能力である。
この指標は、修行者の悟りへの道。
そして解脱に至らしめる五種の力と言われている。
それに相反する欲の項目も、おしなべて高いのは高校生であるからだろう。
それがまさか、すべて見られているとは生徒達は知らなかった。
欲とは主に、睡眠欲、食欲、財欲、色欲、名誉欲とされている。
島にいるとき、先ずは食だった、それから睡眠が高くなり、色とか名誉が上がってきた。
結構、皆生きることに一生懸命だった。
その生きるために、五力が必要で、かなり鍛えられていた。
それは、色々が上手く行かない環境だからこそ鍛えられる。
そう、二年目からは、台風などが島を襲い始める。
何かを促すように、徐々に過酷な世界へと、生徒達のおかれる環境は変わっていく。
「頑張ってねぇ」
ウィクトーリア先生は、向こう側の世界を眺めながらつぶやく。
この先生、気に入った生徒がいると、そっと加護を与えたりする。
先ほど頑張ってねと言う前に、小さな光が彼女から飛んでいった。
それは、何処に行ったのか?
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる