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第二章 冒険者時代
第11話 それぞれの思惑
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「たすけてくれぇ」
オッサンの叫びが聞こえる。
だが……
「きゃー。誰か助けてぇ」
「よし、助けに行くぞ」
無論、きゃーの方だ。
オッサン。男なら頑張れ。
だが、きゃーと叫んだのは、まるでマツ○デラックス。
どすこいという感じで、モンスターを掴んでは踏みつけ、ひたすらキャーキャ叫んでいるが……
「強えぇ」
皆が呆然とするほどの強さ。
皆が、くるっと向きを変え、オッサンの方へ向かう。
そこには家族だろうか、結構美人の奥さんと、小さな子どもを守りながら戦うオッサンがいた。
「馬鹿野郎、助けを呼ぶなら奥さんにたのめ」
そんな理不尽をぶつけながら、助けに向かう。
だがこの光景で、幾人かの男子生徒が希望を見た。
そうこのオッサン、そんなにモテ系じゃない。
それなのに、守っている美人な奥さんと子ども。
それは一部の生徒にとって希望を与える。
男は顔じゃないんだぁ、オレでもいける。
「いやあ助かったよ。あんたら強いな」
「いえ、あなたの姿に感銘を受けました」
「俺らの希望です。頑張ってください」
皆が口々に、そんな台詞をオッサンに掛ける。
「おっおう。そうか、なんか判らんがありがとう」
オッサンも、急に礼や励ましを言われて困惑顔だ。
「おっさん。何をしている人?」
そう、そこが重要だ。
身なり的には、貴族じゃないだろうし、どちらかと言えば兵士に近い。
「オレは冒険者だ。まあ万年鉄級だが」
そう言って、オッサンはデレ始めた。
さえない感じのオッサンが、高校生に囲まれて質問攻め。
きっと慣れていないのだろう。
「おっ、ギルドがあるのか? オレも冒険者になる」
ラノベとかに詳しい大塚が、オッサンの手を取り宣言をする。
「おお。そうか、頑張れよ」
まあ、オッサンの天下はそこまでだった。
「助けていただきまして、ありがとうございました」
奥さんが、俺達に向けて御礼を言う。
そうその中には、オッサンも混ざっている。
「無事で良かった。オレだけじゃ危なかったが、無事で何よりだ」
「いえ、そんな」
そう言って、奥さんと子どもはいそいそと、どこかへ行ってしまった……
そうオッサンの株価そこで急落。
株式用語に『落ちてくるナイフはつかむな』と言う言葉があるが、誰もフォローすることをなく、オッサンの周りから人が居なくなった……
「あれ?」
ただオッサンだけが、現状が判らず呆然と佇む。
勝手に勘違いされて、勝手に急上昇…… そして急落。
オッサンには迷惑な話。
だが、それが世間だ。
オッサン頑張れ!!
まあそう言う事で、オッサンを放置して、何事もなかったように俺達は討伐に戻る。
「でもまあ拠点を考えたら、仕事がいるか」
この世界には、親も誰も居ないしな。
「大塚、ギルドって何だ?」
「ああ、ラノベと一緒か判らないが、仕事の斡旋をするのがギルドだよ。元々は職人を束ねた組合だったようだが、昔のヨーロッパとかでそんなのがあったらしい。冒険者という事は、きっと何でも屋の仕事斡旋をしてくれるんじゃ無いか?」
ふむふむ。行ってみないと分からんと言うことだな。
「じゃあ、後で行ってみよう」
「そうだな」
その頃学校の解析室。
先生方が集まり、水晶の板を見ていた。
そこに表示される、生徒一人一人のパラメーター。
身体情報から、精神的な物、霊的な物まで表示されている。
「ふうむ、まだまだ甘えじゃの」
そうこの修学旅行は、修行の場。
ある程度の修学レベルを超えないと、終わらない。
ある意味地獄のような授業である。
「ですが校長先生、指導力を示している者は、悟り…… 五力の上昇が見られます」
一部の生徒に、五力項目の念力のほか、信力、勤力、定力、慧力すべてが赤くプラスがついている。
念力は、超能力の方ではなく、経験したことを忘れない事の方である。
信力は信じる心。
これは、友情に厚く人をあざむかないこととか、誠実なことであること。
勤力は、まあ集中力。
定力は、字の通り、心を乱されない力。
慧力とは、まがい物や余計な情報に惑わされず、真実を把握することのできる能力である。
この指標は、修行者の悟りへの道。
そして解脱に至らしめる五種の力と言われている。
それに相反する欲の項目も、おしなべて高いのは高校生であるからだろう。
それがまさか、すべて見られているとは生徒達は知らなかった。
欲とは主に、睡眠欲、食欲、財欲、色欲、名誉欲とされている。
島にいるとき、先ずは食だった、それから睡眠が高くなり、色とか名誉が上がってきた。
結構、皆生きることに一生懸命だった。
その生きるために、五力が必要で、かなり鍛えられていた。
それは、色々が上手く行かない環境だからこそ鍛えられる。
そう、二年目からは、台風などが島を襲い始める。
何かを促すように、徐々に過酷な世界へと、生徒達のおかれる環境は変わっていく。
「頑張ってねぇ」
ウィクトーリア先生は、向こう側の世界を眺めながらつぶやく。
この先生、気に入った生徒がいると、そっと加護を与えたりする。
先ほど頑張ってねと言う前に、小さな光が彼女から飛んでいった。
それは、何処に行ったのか?
オッサンの叫びが聞こえる。
だが……
「きゃー。誰か助けてぇ」
「よし、助けに行くぞ」
無論、きゃーの方だ。
オッサン。男なら頑張れ。
だが、きゃーと叫んだのは、まるでマツ○デラックス。
どすこいという感じで、モンスターを掴んでは踏みつけ、ひたすらキャーキャ叫んでいるが……
「強えぇ」
皆が呆然とするほどの強さ。
皆が、くるっと向きを変え、オッサンの方へ向かう。
そこには家族だろうか、結構美人の奥さんと、小さな子どもを守りながら戦うオッサンがいた。
「馬鹿野郎、助けを呼ぶなら奥さんにたのめ」
そんな理不尽をぶつけながら、助けに向かう。
だがこの光景で、幾人かの男子生徒が希望を見た。
そうこのオッサン、そんなにモテ系じゃない。
それなのに、守っている美人な奥さんと子ども。
それは一部の生徒にとって希望を与える。
男は顔じゃないんだぁ、オレでもいける。
「いやあ助かったよ。あんたら強いな」
「いえ、あなたの姿に感銘を受けました」
「俺らの希望です。頑張ってください」
皆が口々に、そんな台詞をオッサンに掛ける。
「おっおう。そうか、なんか判らんがありがとう」
オッサンも、急に礼や励ましを言われて困惑顔だ。
「おっさん。何をしている人?」
そう、そこが重要だ。
身なり的には、貴族じゃないだろうし、どちらかと言えば兵士に近い。
「オレは冒険者だ。まあ万年鉄級だが」
そう言って、オッサンはデレ始めた。
さえない感じのオッサンが、高校生に囲まれて質問攻め。
きっと慣れていないのだろう。
「おっ、ギルドがあるのか? オレも冒険者になる」
ラノベとかに詳しい大塚が、オッサンの手を取り宣言をする。
「おお。そうか、頑張れよ」
まあ、オッサンの天下はそこまでだった。
「助けていただきまして、ありがとうございました」
奥さんが、俺達に向けて御礼を言う。
そうその中には、オッサンも混ざっている。
「無事で良かった。オレだけじゃ危なかったが、無事で何よりだ」
「いえ、そんな」
そう言って、奥さんと子どもはいそいそと、どこかへ行ってしまった……
そうオッサンの株価そこで急落。
株式用語に『落ちてくるナイフはつかむな』と言う言葉があるが、誰もフォローすることをなく、オッサンの周りから人が居なくなった……
「あれ?」
ただオッサンだけが、現状が判らず呆然と佇む。
勝手に勘違いされて、勝手に急上昇…… そして急落。
オッサンには迷惑な話。
だが、それが世間だ。
オッサン頑張れ!!
まあそう言う事で、オッサンを放置して、何事もなかったように俺達は討伐に戻る。
「でもまあ拠点を考えたら、仕事がいるか」
この世界には、親も誰も居ないしな。
「大塚、ギルドって何だ?」
「ああ、ラノベと一緒か判らないが、仕事の斡旋をするのがギルドだよ。元々は職人を束ねた組合だったようだが、昔のヨーロッパとかでそんなのがあったらしい。冒険者という事は、きっと何でも屋の仕事斡旋をしてくれるんじゃ無いか?」
ふむふむ。行ってみないと分からんと言うことだな。
「じゃあ、後で行ってみよう」
「そうだな」
その頃学校の解析室。
先生方が集まり、水晶の板を見ていた。
そこに表示される、生徒一人一人のパラメーター。
身体情報から、精神的な物、霊的な物まで表示されている。
「ふうむ、まだまだ甘えじゃの」
そうこの修学旅行は、修行の場。
ある程度の修学レベルを超えないと、終わらない。
ある意味地獄のような授業である。
「ですが校長先生、指導力を示している者は、悟り…… 五力の上昇が見られます」
一部の生徒に、五力項目の念力のほか、信力、勤力、定力、慧力すべてが赤くプラスがついている。
念力は、超能力の方ではなく、経験したことを忘れない事の方である。
信力は信じる心。
これは、友情に厚く人をあざむかないこととか、誠実なことであること。
勤力は、まあ集中力。
定力は、字の通り、心を乱されない力。
慧力とは、まがい物や余計な情報に惑わされず、真実を把握することのできる能力である。
この指標は、修行者の悟りへの道。
そして解脱に至らしめる五種の力と言われている。
それに相反する欲の項目も、おしなべて高いのは高校生であるからだろう。
それがまさか、すべて見られているとは生徒達は知らなかった。
欲とは主に、睡眠欲、食欲、財欲、色欲、名誉欲とされている。
島にいるとき、先ずは食だった、それから睡眠が高くなり、色とか名誉が上がってきた。
結構、皆生きることに一生懸命だった。
その生きるために、五力が必要で、かなり鍛えられていた。
それは、色々が上手く行かない環境だからこそ鍛えられる。
そう、二年目からは、台風などが島を襲い始める。
何かを促すように、徐々に過酷な世界へと、生徒達のおかれる環境は変わっていく。
「頑張ってねぇ」
ウィクトーリア先生は、向こう側の世界を眺めながらつぶやく。
この先生、気に入った生徒がいると、そっと加護を与えたりする。
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それは、何処に行ったのか?
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