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第四章 中等部

第65話 さあ、なんだ此処?

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 そうして、ガンガンと奪還は進んでいった。
 そんな中、一部の隊が、全体を飛び抜けて進んでいた。

 そうシン達。
 後ろに、護衛兼物見が居たが、モンスターに阻まれてついて行けない。

 そうして数日後。ダンジョンを見つける。
 山間の谷間に、奇妙に隆起をして口を開いている。

「あそこだ。行くぞ」
 シンと学生達。
 ちびっ子軍団が行く。
 その後に、アダルトなマッテイスや物見達が続く。

 洞穴タイプ。
 分かれ道も探査をしながら進んでいく。
 一見するとダンジョン。

 だが本来のダンジョンシステムというか、昔からあった物よりシステムが洗練されている。
「ダンジョンが…… 進化版か? それに中に漂う気配。なんだか懐かしい気がする」
 まあ、他の者達には、シンが言っていることは理解できない。
 懐かしいのは、向こうの世界からやって来た神気の影響。

 そうリッチとして暮らした記憶は無いが、魂の奥底で共鳴をするようだ。
 それは、魂の記憶。その残滓に触れる何か……

「うむむ」
 そんな事を言いながら、速度が上がっていく。


「あれ? モンスターの勢いが止まったのか?」
 湧きは、実質ダンジョン内で討伐をされているので、表には上がってこない。
 数千人が手こずっていた物を、シン達だけで対処する。

 まあ実質本気を出すシンと、そのフォローをするローラ。
 モンスターなど、移動の障壁にもならない。
 かなり離れたところ、見えた瞬間に破裂でもするように倒れていく。
 それは魔法とも言えない技。
 体に持つ魔力。それに対して、シンから強制的に魔力が供給されて、内側から爆散をしている。

 そう、その中にはオルトロスやケルベロス。
 オーガや、他では見なかったゴーレムまで。
 シンの圧倒的な魔力。
 それはすべてを破壊する。

 水場では、ローラがすべてを支配する。
 サーペント系やクラーケン。
 彼らは、まるで水から拒否をされるように、水中から放り出されて水面でのたうち回る。

「すごいな」
 後ろからついて行くクリスティアーノ達も、本気のシンが行う戦闘は見たことがない。
 いつも訓練で、一方的にやられるだけなのだから。

 だが、最近やって来たローラ。
 彼女は、人間ではなく精霊に近いと教えて貰った。
 だけど、彼女でもシンにはかなわない。

 そして、思いだけでなく、力でも一番だったヘルミーナだったが、最近はみんなに抜かれてきた。
 魔力回路の拡張と身体能力。
 そろそろ、第二次成長期と共に成長限界が見え始めてきた。

 いま、シンには熟練度、無駄を省き駆け引きを考えろと言われている。

 強化をしても、人間の組織そのものはある程度で限界を迎える。
 骨、筋肉、神経。
 それは、生物としての限界。

 シンは、それを超えているのだが、本人でもよく分からないらしい。
 人間ではないローラにも呆れられているし。

 そうして奥へ行くと、ここでもゴーストエリアはあった。
 スケルトンの軍団。
 現れる端から清められ掃除をされる。
 すっかり掃除用となった浄化魔法。
 これのおかげで、学園はピカピカだ。

 ゾンビ達の匂いも残らず消されていく。

 目の前に、空間が揺らぐほど高位のリッチが現れ崩れていく……
「鍛え方が足りん」
 シンがぼやく。
 敵は、魔法すら使わせてもらえない。

 そして、神話級モンスター。
 ヒュドラや、ベヒーモス。
 そしてドラゴン達。

 人に比べれば巨大で強力。
 ローラの使う魔法すら、体表でレジストをしてしまう。

 だが、シンは空間事切ってしまう。
 ダンジョン内の大気が軋む。

 それは、ギギとかキシッとか異様な音をみんなの耳に残す。
「おいおい。ダンジョンが崩れるんじゃないだろうな?」
 周囲は、モンスターにあわせたのか、かなり広い空間となっているが、壁にまで切れ目が入っている。

 そうモンスターごとダンジョンまで切り裂く。
「前には出るな」
 シンは忠告をする。

 まあそれ以前に、ついて行くので必死なみんな。
 ここに来てもスピードが落ちないシンに、みんなは首をかしげる。
 一体どんな訓練をすれば、ここまで至れるんだ?
 自分たちは付いて行くだけだが、シンはずっと魔法を使っている。
 その無尽蔵の魔力はどこから?

 エンシェントドラゴンが『貴様一体? ふざけるなぁ』と叫んで消えていった後、奥の部屋には六角柱のクリスタルが、淡い光を周囲に撒き散らかしていた。

「ふむ」
 そう言うと、シンは調べ始める。

 竜脈への干渉もなく、これ自身が力のもと。
 何かのエネルギーが結晶となったもの。

「これがダンジョン発生の原因のようだな」
 少し考える。
 この国にとっては、ダンジョンの恩恵は計り知れない。
 一方、命令としては、氾濫を収めろという命令だったはず。

 考えた末。
 彼はクリスタルに手を当てる。
 どうやら、このエネルギーは個としての存在。
 何時までも、存在はせず。緩やかに消えていくだろう。

 その力を、自身の体に取り込みクリスタルを弱体化させる。

 まあ取り込んでみたのは良いが、シンはその晩から三日ほど寝込むことになる。

 そう、上位のエネルギーによる体の変質。
 イングヴァル帝国の民に起こった変化と近いもの。
 この世界、すべてがいい加減で、地球なら起こらないことが平然と実行される。
 シンは魂と肉体の階位が上昇をした様だ。

 その時、こそっとローラも取り込んだ。
 そして、その力は、精霊王をもしのぐことになる。
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