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人はそれを自業自得と言う

第5話 歴史は繰り返す

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「『覆水盆に返らず』『後悔先に立たず』『時すでに遅し』『後の祭り』どうしようもない奴……」

 皐月が、遅刻をしてきた葉月を捕まえ、話を聞く。
 話を聞いた彼女から出てきたのが、さっき言われた言葉の垂れ流し。

「お客様ぁ。あれほどの物件は、もうございません。最悪になる前にフォローするのが良いと思われますがぁ?」
 ニコニコ顔で忠告。

「でも、嫌って言っちゃった」
「そうねぇ。その結果があれなのね」
 皐月が指さす先には、まるで、猫のように蕩けきった人世と唐多。

「だからね、一緒に勉強することに決めたの。だから、あんた達とは遊ばないから」
「ちょっと待てよ、颯人となら、俺達も遊びに行くぞ」
「そんときには、付いていくわよ」
「じゃあ、一緒じゃねえか」
 そう言われて、首をひねる二人。
「そうね??」

 そもそも、陽介達と遊びに行く颯人を目当てに、麻美と弥子がくっ付いて来ていた。
 だから、同じ。

「まあ良いから、おまえら、淋しい俺達に誰か紹介しろよ」
「えー。まあ良いわよ」
 自分たちが幸せなときには、心も大きくなると言うもの。

 そうして、時は流れていく。
 赤点だったのに、ラーメンもなく……
 別に食べたいわけでもなく、いいけど。
 ただ、いつも行っていた、花火大会も……
 陽介君達と行ったらしい。

 ちゃっかり、皐月は私をのけ者にして、友達を連れて行ったらしく……
「偶然だけど颯人君達に会って、イカ焼きおごって貰っちゃった」
「良かったわね」
 颯人なら、何があってもイカ焼きとベビーカステラの所には絶対行くわよね。

 そして、二年からクラスは別れ、三年ではもうね……
 特別進学クラスと、夏休み特別補習コースへと完全に運命は分かれてしまった。

 そうして当然、大学も雲泥。

 颯人のお母さんとは、お母さん同士が、仲良しなので近況は聞こえてくる。
「大学で、モテモテらしく、困っているんですって」

 ちなみに、人世 麻美と唐多 弥子の学部は違うけれど同大学。
 あの二人、実は賢いのよ。


「はああああっ……」
「ため息を付きつつ、教室移動」
 そう、なぜか皐月は同大学。
 この大学、看護学科と、薬学部がある。
 皐月は薬学部。
 私は人文。

 この時、皐月が颯人に頼まれて、逐一報告をしていたとは知らなかった。

 私はこの時、私はすでに諦めていた。単なる幼馴染みだから、かまってくれていただけ。そんな事は判っている。どうせ私なんか……

 でも、私のそんな思いとは違い、颯人はまだ私のことを思っていてくれたらしい。

 そう、聞こえてきた色々な女との付き合いと別れ、あの二人は、まだ一歩引いて周りをうろついていた。
 私はまあ、母親ラインだから細かなところは知らないが、経験を積んでいたようだ。
 だがそれが、単なる噂だったなんて……


 そうして、何とか単位を取って、卒業にこぎつける。
 だが悲しいかな、就職先はとうとう決まらなかった……

 院へ行こうかと思ったけれど、お母さんからとどめを刺され、一旦卒業をして考えることにする。
「はあ? 大学院へアンタが行ってどうするの?」
 そう、その言葉で、足掻きが終わってしまった。

 そうして卒業式の時。
 大人びて、少し変わった颯人がスーツを着て、花束を持っていた。

に卒業おめでとう葉月はづき
 差し出される薔薇の花束。
 ニヤニヤしているお母さんズ。
「ありがとう」
 そう言って受け取るが、その後の言葉で絶句をする。

「俺と結婚してくれ……」
「はぁ?」
 周りの目。よく見ればあの二人。麻美と弥子も、颯人の後ろで、複雑な顔をして立っている。

 そう高校の時から、あの二人と付き合っているのは聞いた。 
 ついカッときて「ふざけないで」そう言って、颯人の脛を蹴ってしまった。

 だけど彼は……
「そうか……」
 悲しそうな顔で、それだけ言って、家のお母さんに何かを言う。

「やっぱり駄目だそうです。それじゃあまあ、すっぱりと諦めも付きましたので」
 そう言って頭を下げて帰って行く。
 その、颯人に向かって、麻美と弥子が嬉しそうに走って行く。

「じゃあここから、本気で付き合ってね。麻美勝負」
「ええ? 結婚て…… 面倒。私愛人でもいいから、たまに分けて」
 そんな事を言いながら……

 そう高校のあの時から、彼は、待っていたらしい。
 嫌といったのは、妊娠とかのリスクが怖かったのだろうと。

 子供が出来てもいい年になるまで。その区切りまで。
 幸いというか、就職も決まってないから、貰って頂戴と、家の母さんが言ったのが今回の発端。それが無くとも、告白をする予定だったようだが……

 あの二人も、颯人が好きだから、葉月の方が古株だしと言って、ある程度の距離感を持ちつつお友達をしていたらしい。
 途中で現れ消えた奴らは、授業とかゼミとかで関わった人達。
 多少、私に焼き餅でも焼かそうかと、実の母からの嫌がらせが含まれていたようだ。

「あの女の子、お父さんがホテル経営をしていて、付き合っている男がいるなら、連れてこいって言われているみたいね」
 そう言った後、ため息を付き。
「颯人くん。なぜかあなたのことが、好きだったみたいね。未だに…… 就職も決まっていないし貰ってくれないって言ったら、『良いんですか、実は僕も告白するつもりでした』そう言ってねぇ」

 お母さんにそう言われても、訳が分からない私。

「えっじゃあ。冗談じゃなく。プロポーズ。本当だったの??」
「当たり前じゃないの。蹴りまで入れて振るとは…… まあ自分の人生。ふぁいと」

 その時、脳貧血だろうか。さーっという音と共に、確かに目の前が真っ暗になった。その場に静かにしゃがみ。私は後悔しながら泣き続けた。

 その日、色々なものを卒業したようだ……


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お読みくださり、ありがとうございます。
今回は、ほのぼの系破局でした。

元ネタが一応あって、先日見たグッドウィルハンティング。
何処がだよというご意見はあると思いますが、二次では無く参考。結末も真逆ですね。
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