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魔王(間男)との戦い。現実世界での話し。相手が魔王のような奴だった。

第1話 ファイト

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 その日は、突然訪れた。
 それまで、俺は全く気付きもしていなかった。でも、その日。気がつかなければ、多分ずっと…… 最後の日まで。


 わたし目撃をしたんです。昨日マンションの階段で。
 後ろから、尻を突かれる女の薄わらい。
「あーいかん。つい現実逃避のあまり、頭の中で中島みゆきさんのファイトが流れる」
 見たのは、俺の幼馴染みであり同居人。
 ちなみに、昨日ではなく、目下絶賛ハッスル中。
 スマホのビデオは回している。

 趣味で、ネトラレを依頼したわけでもない。

 このマンション五階建てで、階数が高くないからさ、仕事を頭痛で早引けして帰ってきたら、どこかですすり泣くような声が聞こえた気がしたんだよ。
 それで、ふと見上げれば、三階から四階への途中。非常階段の壁上部からはみ出した、揉みしだかれている双球と、見たことのある顔。
 一瞬のことで、すぐに引っ込んだが、おれは、エレベーターで四階に上がり、上段の踊り場にハマっている鉄格子から腕だけ出して撮影中。

 このマンション、廊下の突き当たりは重量物搬入用に、壁じゃなく取り外せる鉄格子なんだよ。
 

 あいつは壁に手を掛け、向こう向き。バックから突かれる姿を、ひたすら撮影。
 ――いい加減長いな。

 ちなみにレイプじゃないよ。
 嬉しそうに、男の名前を呼んでいたから。

 ああーん、そんな奥まで。まさおさん。とか? お前なんかまさおじゃねえ。間男で十分だ。

 だが、俺が来て、すでに二十分くらいは突かれている?
 間男じゃなく、魔王だったか。
 そう思ったら、やっと終わるらしく、引く抜くと夕紀の体を反転させ、ものを口に突っ込む。
 見えないけれど、多分な。

 奴らの距離が開いたので、手を少し引っ込め様子を見る。
 夕紀のお尻の下、踊り場の床はかなり濡れている。
 手を引かれて、立ち上がると、おもむろにキス大会。
 そして、こちらへ上がってきそうだったので、もう一段上へと俺は静かに上がる。

 扉からマンション内に入った様だが、俺はこのひどい頭痛と、奴らの情事を目撃して突然やって来た吐き気を抱えて、何処へ行こうかと考える。

 そう、さっき奴らが入った階は、家のある階、四階だ。
 

 おれ、刈穂雅之かりほ まさゆき越水夕紀こしみず ゆきは幼馴染みと呼ばれる関係。小学校へ入って知りあい、当然校区が同じなので家は近い。

 仲間達と、その当時はまだ残っていた田んぼの中を走り回り。
 ああ、稲刈り後ね。

 用水路に、適当なプラスチック容器だとか発泡スチロールの船を浮かべて追いかけまくった。

 近くに、川があったが子供達だけで行くのは禁止されていた。
 両岸にあしとかが繁りふちを踏み抜くと場所によっては削られていて深かったためだ。
 そういうところは、大抵水面から岸まで高さがあり上がれない。
 落ちたときは、素直に流されて、浅いところから上がるのが正解だ。
 深いところであがくと、体力が無くなって死んでしまう。

 まあそんな川だが、橋が架かっていて、その下が秘密基地になる。

 子供の頃、幾度か俺達の持ち込んだ段ボールの上で、中学生だか高校生がやっていたのを見た。
 そう、小さな時は判らなかったが、中学生くらいの時に納得をした。

 そして一緒に走り回っていた、幾人かの女子が、女だと理解したのは何年生だったか。
 仲間内じゃ、力が無くて、泣き虫だとしか思っていなかった。
 いや女子だとは知っていても、そんなに違うものだとは思っていなかったんだよ。
 お母さん達とは、体つきも違ったし。

 小学校高学年では、奴らの独壇場になり男子はか弱い存在となる。

 中学校の一年くらいだと、その関係を引きずる。
 まあでも、仲良しは仲良しで上手くやっていた。
 おかしくなってきたのは、中学校二年生くらいから、ぼちぼち色気づく。

 遊んでいた友達も、くっつき始める。
 だが俺は、あまり気にしていなかった。
 スポーツが好きだし、遊ぶのも好きだし。
 気がつけば、俺は一人で、夕紀だけが応援に来ていた。

 そう部活の友達は増えたよ。
 ガキの頃からの、友達がいなくなっただけ。

 そして、進学をする高校を決め、勉強を始めた三年生の秋だったな。
 どっちからともなくでもなく、告白もなく、キスをして付き合いが変わった。

 あれも、夕紀から、せがまれたのだったか?

 高校になり、本格的に男女の付き合いが始まった。
 ずっと興味があったらしい。

 遊びに行っていて、用水路だったか川だったか、我慢できずにした立ちション。
 それをまじまじと見て、夕紀の頭には何で? というのがあったらしい。
 むろん夕紀だって、お父さんの物は見たことはあったが、俺達には豆粒しかついてなかったと、笑って言いやがった。

 その後せがまれるまま、色んなところでした。
 高校の時の記憶って、そんなのしかなかったな。

 俺はその時、部には入っていなかったが、学校からの命令で応援に行ったり、遠足に行ったり、修学旅行に体育祭。
 文化祭。

 うん。行事すべてで、やる場所を探していた。
 大体そういう時って、先客がいたりして見てたな。
 同校の奴らも、幾人も見た。

 思い返せば、やばい学校生活だった。

 そして、大学へ。
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