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異世界では常識が通じない

第2話 異世界では常識が通じない。 貴族編1

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 とある王国。
 その王国内にある、特別自治区旧精霊国。
 森を守り、森と生きる。
 過去の約定により、国は守られている。

 だが、その年、おかしなことが起こった。

「はっ? 娘をよこせだと。何を言う」
「王がお求めなのだ、素直によこした方が良い」
 使いは、疲れた感じでそう伝えてくる。


 その国の王は、数年前に白く輝く鹿を見事に討ち取った。

 だがそれを捌き、食してみたいが、その姿も残したい。
 そうして、まるで生きているように残す剥製という物を知る。

 それから、剥製にはまる。
 美しければ残す。
 珍しければ残す。
 そうして城の地下室には、あっという間に剥製がならんでいくことになる。

 だが、仲間の貴族と話していた際に、剥製にして困難なのは人間だと気がつく。
「ふうむ。絞殺すれば、縄の跡とうっ血。刺せば刺し傷。毒殺なら変色。なるほどのう。そうじゃな」

 そうして、技術的な試みで、罪人達は殺されていく。

「やはり、血の色が肌に影響しますな」
 そうして、理想の剥製作りは、ピグマリオンコンプレックスの一端である、偏執的な様相を見せてくる。

 より美しく、理想の形を求めて。


「ねえ。アウノ」
「なんでしょう姫様。なにかご用でしょうか」
 そう問いかけると、もじもじとしながらも、姫さまは言葉を紡ぐ。

「今晩。休みの鐘の音が鳴った後、私の部屋へ来て。誰にもばれては駄目よ」

 姫様と俺は、幼馴染みで、この年まで良き友人として過ごしてきた。
 ヒト族の王と違い、巫女や神官である王族は民と距離が近い。

 家での夕食に招待もしたし、逆に招待をされたりもした。
 体が変わって来始めてからは、流石に二人だけで遊ぶことは許されなくなったが、これは巫女としての穢れを嫌うためだ。
「男女としての営みを、姫様としてはいけないよ」

 ある程度の歳から、ずっと言われて来た。

 だがなぜか、人間への嫁入りが決まり、もうすぐ姫様は巫女の座を降りる。
 妹の、アルビーナへとその地位を譲るのだろう。

 夕食を食べながら、親に聞いてみる。
「ねえ。姫様。サルド=カランサが、人間の王国に行かずに、逃げたいと言ったら、僕たちはどうなるの?」
「何か言われたのか?」
「そうではないけれど」
「そうか、でも。姫様が連れて逃げてと仰れば、逃げるが良い。この国のことは我々大人が何とかしよう」
 じっと見られながらそう聞かれて、一瞬ドキッとしてしまった。

「父さん。判ったよ」

 その夜、本来は外出禁止の時間。
 僕は家を出た。
 妖精達が飛び交い、道は明るい。
 そして導かれるように、王城へ行く。

 流石に正面からはいけないがと思い考える。すると、クルクルと妖精達が導いてくれる。堀を渡る橋の下へ、案内をされる。

 いくつかの、板壁がありその中の一つが少しヘコむ。
 手を戻せば戻る。
「うん?」
 逆側は動かないし、ヘコまない。

 もう一度ヘコむ方を押し込み、そのままスライドをさせると、板の逆側。板のめ合わせている部分が抜けて、跳ね上がってくる。そのまま板は縦に差し込めるようだが中から元に戻す。

 その後も、罠のあるところは赤くなり教えてくれる。
 そうして、明かりが見えるところに一度突き当たる。

 だが、足下にくぐれる穴があり、横に移動をする。
 そこからは、かなり狭いが上に向かって上がっていく。
 やはり今日、姫様は逃げる気なんだろう。

 明かりに導かれて、壁の一部をやはりスライドさせる。
 此処は、素直にドアのように開いた。

 彼女は座って待っていた。
 巫女の礼装はとても薄く、透けて体が見えてしまう。
「お疲れなさい。手足を洗いましょう」
「でも、そんな事をしていないで逃げないと。君は」
「静かに。ねっ」
 そう言って、彼女は布を絞り、手やからだ脚と服を脱がしながら拭いてくれる。

「えーとあのサルド。流石にちょっと恥ずかしいんだけど」
「そうね。随分男の人になったのね」
 そう言って俺の貧弱な胸板をさする。

「恥ずかしいけれど、私もこれを脱ぐわ。それなら良いでしょ」
 そう言って、彼女はそれを脱ぐと、壁に掛ける。

「ねえアウノ」
「はい。何でしょう?」
「堅苦しいわね」
「そうは言っても、姫さんだし」
「昔は、そんなの気にしていなかったじゃない」
 そう言って彼女は、昔のように口を尖らせる。

「もう他国に行くから、巫女じゃなくていいのよ。つまり純潔じゃなくていいの」
 人の胸にしなだれかかり、上目でこっちを見てくる。
 彼女の右肘と脇の間に、俺の物がやばい状態で。

「えっ、それって国的には何かやばくないの?」
 一応、理性はまだ働いている。
 そう言ってみたが、とうとう彼女は、俺のを握り締める。

「良いのよ。向こうにはすでに奥方が幾人もいるし、私たちは、ヒトでは無いから正式な結婚でもないみたいなの。笑っちゃうよね」
 そう言って、なぜか口に……

「ああ、それ駄目やばい」
「あんなり良くない?」
「逆だよ、良すぎてすぐに」
「じゃあ良い。あんまり目だつほどは、下が使えないから、別の方法で満足させる」
 そう言ってなぜか、気合いを入れて搾り取られました。

 最後の最後に、純潔を奪うだけの行為をして、最後にする。
「ごめんなさいね。私が巫女じゃなかったら、アウノと幸せに暮らせたのに」
 そう言って、また絞られた。

「サルドって、こういうの好きなの?」
「どうだろ、アウノが相手ならずっとしていたい。心が一杯になってくるの……。――今、お母さん達と今比べた?」
 なぜか、サルドの視線が自分の胸と、俺の目を行き来する。

「いや、比べてないから」
「まあいいわ。もう精霊の巫女じゃなくなったから、妖精が離れちゃう。早くしないと罠にはまるわよ」
「げっ、やばい」
 キスをして、あわてて通路に戻る。

 その時に見た半笑いの泣き顔が、サルドの生きてみた最後の顔だった。
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