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健康のために、ざまあはほどほどに

追跡。即ざまあ

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「んんっ? あれって涼子じゃない?」
「そうだな」
 男三人と嬉しそうに歩いている。

「お姫様かよ」
 見た目は派手っぽいが、フツメンの奴ら。

「ナンパかね」
「そうかもね。連中見たことない奴らだし。追う?」
「そうだな、俺は暇だけどお前は?」
「モチ暇」
「じゃあ行くか」

 
 涼子と慎二は半同棲中。
 望月涼子もちづき りょうこ鳴瀬美奈なるせ みなそして高瀬慎二たかせ しんじは幼馴染み。

 小学校に入ったときからの腐れ縁。
 近所で評判の、かわいい子と呼ばれていた三人。

 すくすくと育ち、今に至るが、俺慎二は、少し勉強が不得意で、小学校の高学年では周りにばれて、残念イケメンと呼ばれていた。

 だが、残り二人の献身により、中学校でそのおバカを克服。
 普通のイケメンとなった。

 涼子は普通のお嫁さんになると言って、料理とかをしていたが、そっち方面は駄目だった。
 美奈はいい加減だが、何でもそつなくこなす。

 お互いが、意識をしていたのか、キャラがかぶらない方向にして、涼子はミドルの髪でお嬢さん系。
 美奈はボーイッシュでかわいい系を目指す。
 実際、涼子は少し切れ長の涼やかな目と薄めの唇。
 美奈はもっとくりっとした目で、かわいい系で正解だ。

 そして、以外と涼子は褒められたりすると調子に乗る。
 承認欲求が人一倍強い。
 だから、小学校の時学校の校門前で、おっさんから褒められると幾度も付いて行きそうになった。

 いや付いて行って何かあったのか、表情が消えて立っていたことがあった。
 右手にあめ玉を握りしめて。
 あれは、三年生くらいだったか?

 まあいい。

 今朝あいつは、バイトの面接に行くと言っていた。
 あいつは、見た目が良いから、ファミレスとかで受けが良い。

 おれは、家にいたら美奈から連絡が来て、暇だから伴を許すと言われて出てきた。

「あいつ今日、バイトの面接って言って、家を出たんだよなぁ」
「そうなの? 面接って言う感じじゃ無いでしょ」

 そう言いながら追いかけると、一軒のマンションに入って行く。
「セキュリテイは無い」
 エントランスでぼーっと見ると三階で、エレベーターが止まる。
 中庭側に抜けて上を眺めると、笑いながら一つの部屋へ入って行く。

「あそこだな」
 逆側はオフィスビルのようで、覗けそうな窓は無い。
「ちっ」

 こそこそと追いかけて、声でも聞こえないかと窓を見るが、はめ殺しで開かない。
「何だよ」
 そう言って、ドアノブに手を掛けると開いてしまう。
「不用心だな」
 少し開くと、声が聞こえる。

「じゃあしよ。一人三万ね」
「はっ?」
 思わず声が出てしまった。自分の口を押さえる。
 間違いなく、涼子の声。

 廊下を見張っている、美奈のスカートを引っ張る。
 気がつきこちらを見るので、中の声を聞くようにハンドサインを送る。

 代わって、俺が廊下を見張る。

 口を押さえながら、大きな目がさらに大きくなって立ち上がってきた。
 ドアを閉めて、小声でしゃべる。
「真っ黒ね」
「ああ。一人三万だってよ」
「いつからだろう?」
「さあ? いつでも良い」
 俺は、帰ろうかとしたが、美奈に止められる。

「乗り込まないの?」
「気も失せた。美奈。俺と付き合うか?」
「それは良いけど、この状態で告白? 大概ね」
「わりい」
 そう言っていると、にまっと美奈が笑う。

「お金が欲しいなら、手伝ってあげよう」
「なんだ?」
 美奈が何かをしている間に、興が乗ったのか、ドア越しに声が聞こえて来始める。

「できた」
 そう言ってみせられたのは、出会い系のアプリ。
 近くの人に通知が行く。
 顔写真なども貼れるようだ。

「今乱交中。一人三万参加者募集。ドアは開いているのでそっと入って参加をしてね。涼子」
 
 俺達は、場所を移し階段の影に隠れる。

 五分もすると、ふらふらと人が入っていき始める。
 騒動でも起きると思ったが、そんなことも無く、静かな感じが不気味だ。

 やがて、最初に入った奴らは出ていき、次々と人が入れ替わる。

「みんな、結構暇なんだなあ」
 さっき、美奈が買ってきたポテトを囓りながら、ジュースを飲む。
 美奈はバーガーをかじっている。

「ほうねぇ。もう二十人以上。最初の三人は何を考えているんでしょ」

 いやパニックだった。

 三人で好きに攻め、少し待ったりしていると、彼らは来た。
「会場は此処かぁ。おっ、やったのか。じゃあ場所変わってくれ」
「えっ此処俺の家」
 黙って、アプリを見せられる。

「なんだこれ。俺の家が会場になってる」
 流石に三人を相手にして疲れていたが、引き起こされる。

「なあに、元気ねえ」
 準備ができているのを確認されると、いきなり突っ込まれる。
「ああっ。すごい」
 当然後ろからなので、替わったことなど気がつかない。

 次の奴も現れ参加し始める。
 使われているので、口へ突っ込む。

 そうして、途切れることなく。
 途中でおかしいと感じるが、意識は覚醒と快楽による失神を繰り返す。

 三人は、ひたすら渡される金を抱えて呆然とする。

 二時間経っても途切れない。

 警察が踏み込むまで、それは続けられた。

「――終わりかな」
「そうね。あの人数なら涼子も満足をしたんじゃ無い? さて、帰って荷物をまとめて。なんとなく、あんたんちに行くのはいやだわ」
「判った。帰りに解約をするか」

 幼馴染みだったが、気持ちは完全に冷めた。
 涼子の魅力。目の離せない不安さが俺にとって重要だったが、奴は俺の心の許容範囲を踏み越えたようだ。
 俺達は手を繋ぎ、マンションを後にする。


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心がどうも、ダークな方に振っているなあ。
現実にはなさそうなざまあ。
如何だったでしょうか?

お読みくださり、ありがとうございました。
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