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幼馴染みは見ている

幼馴染みは見ている

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 如月信二きさらぎ しんじ。高校二年生。
 一年の時から付き合っている彼女が居て、成瀬みゆき。
 彼女は、幼馴染み。

「ふーん。しんちゃん。――そうなんだぁ」



 両親ともに、小さな電気屋を営み、ぼくは小さな頃から半田ごてを振り回していた。

 みゆきのお父さんもマニアで、パソコンは、初期の初期からいじっていたそうだ。
 当然入り浸る親父さんにくっ付いて、みゆきも遊びに来て、僕の部屋で一緒に遊ぶ。そんな子供時代だった。

 一時期は、究極の小さな四駆に拘り、モーターの巻き線数をいじったり、ネオジム磁石を組み込んだりそんな遊びをしていた。

 その内無線コントロールの電動カーや飛行機、自転車の電動アシスト。まあ正常進化だっただろう。その頃には、電気だけではなく加工にも興味を示し、木はもちろん、金属にグラスファイバーからカーボンへとその幅は広がった。

 中学校に入り、サッカーにも興味が出た僕は、部活で汗を流す。
 当然、子供の頃からやっていた連中がメインで、俺達は雰囲気組と呼ばれて、戦力からは少し離れた存在。だが、たまに出番が来る。

 それを撮ることに張り切り、みゆきは映像系にも手を出していく。

 それは日常にも広がっていく。

「それって、ずっと撮っているの?」
「そう。素敵でしょ」
 この頃から、アクションカメラにハマっていたようだ。

 通学から、帰宅までバッチリ撮られる生活。
 それはすぐ慣れて、気にならなくなる。

 ただ不公平。
「お前のも撮れよ」
 そう言って、日々カードの交換。
 お互いに、それを見るのが日課という、変な関係となった。
 付き合っている訳ではない。

 変わったのは、高校に入って周りが浮かれ出してから。
「もうあれだし、付き合うか?」
 昔からの、気の知れた関係。

 特に、問題は無かった。

 ただ、実際に触れ合う。

 男は視覚で興奮するが、女は触覚という。
 実際触れると、随分違い、みゆきは、はまったらしい。

 会うと求め合い、それを撮る。
 外から見ればおかしな二人だが、昔からの関係があり気にもならない。

 そうして、大学。

 当然工学部。

「何見てんだ?」
「えっ?」
 みゆきは、食べかけのアイスをいきなり落とす。

「あっ」
「食うか」
 食べかけだが、俺のを渡す。

「しんちゃんて、いっつもバニラだね」
 文句を言いながら、食いつく。

「でっ? 何を見ていた」
 差し出されたのは、先日のグループワークでメンバーが家に来たときの場面。

「この子ってさ、しんちゃんの事好きなんだよ」
「そうか? 普通だぜ」
 彼女は、呆れたように首を振る。

「鈍感」
「と言われてもな」
 実際、みゆきがいるので、他には興味が無い。

「してみないの?」
 彼女はアイスをなめながら、真顔でそんな事を言ってくる。

「はっ? なんで、おかしいだろう」
「――あー。何というか見てみたいの。だめ?」
「だめだろ」
「ケチ」
「別れたいの?」
「それは嫌」
 よくわからん。

 そして。
「一回だけして、後腐れ無く別れるなんて、器用なことはできない事がよく分かった」
「――しんちゃんだもんね」

 そうして、幼馴染みに戻ったはずだったが、新しい彼女とは、一年も続かず別れることになった。

 おれは、部屋の隅にいるクマのぬいぐるみに声をかける。
「見ていただろ。彼女とは終わったよ」

 すると、スマホに着信がくる。
「末期のカップルは、会話がすべて否定なのは受けた。慰めようか?」
 そんな、メッセージ。

 俺は、「当然だろ、早く来い。エロ女」そんなメッセージを返す。

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いけない。
ハッピーエンドになってしまった。
ネタがもうね。
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