上 下
98 / 221
本日は、所により最悪が目撃されるでしょう

第2話 切っ掛け

しおりを挟む
「こんどは、途中で食うな。それに棒タイプだと、転んだ拍子に喉の奥を突いて危ないんだぞ」
「はーい。あっ溶けちゃったね」
 さっきの事件現場。

 アイスが溶けて、棒が出ていたので、拾って帰る。

 白濁した液体には、すでに蟻が来始めていた。
「その棒どうするの?」
「どうもしない。ゴミとして、持って帰って捨てるだけ」
「ふーん。結構綺麗だし、汁がついているし」
「食うな、舐めるな。拾い食い禁止」
「ちぇぇー」

 まあ、いつものことだが、そんな感じで少し考えが飛び抜けている。

 結局、家まで待ちきれず、距離的に近い、うちの家へ寄っていくことに。
 まだ十月前で、二階だと風が気持ちいい。

「あいす。早くしないと溶ける」
「判ったから手を洗え、洗剤を付ける事。そしてきちんとゴシゴシしろ」
「ええっ」
 面倒と、顔に書かれている。

 だがじっと睨む。
「もうっ」
 そう言って洗い出すが、適当すぎるので、花蓮の脇から、手を突きだし、自分も洗剤を取り、ヌメヌメと泡立てたあと、花蓮の手も一緒に洗う。

 丁度さっきと同じような、花蓮を背中から抱える感じ。
 中一だから、今は身長がほとんど変わらない。
「ひゃん。くすぐったい」
「逃げるな。きちんと、この指の股とか、指先もこう洗って……」
「ひえええぇ、ゾクゾクする」
 妙なことを言い始める。

 しっかりすすいで、タオルを渡す。
 すると、軽く手を拭き飛ばして、二階へ走り上がる。
 見上げると、片側だけお尻に食い込んだ、白いパンツ。
「なんで?」
 少し、何故ああなったのかを気にしながら、自分の部屋へと戻る。

 奴は待つことなく、当然アイスを食っている。
 俺のカップの奴を??
「何で?」
「棒のは、抜けた」
 ああ、いつものだろう。

 溶けかかった棒の奴は、袋を中途半端に開けて、棒を引っ張ると棒だけが抜ける。
 花蓮の得意技だ。

 皿とスプーンを取りに降りる。
 ついでにグラスと、麦茶も。

 カーペットにしいた、クッションの上。
 スカートで、すべてを見せながら、胡座をかいている。
「見えるぞ」
「んーいいよ。見て、だからアイスなくなったけど良いよね」
 そう言って、空のカップを見せてくる。

「まあ良いけれど、又トイレに籠もるなよ」
「わかった」
 そう、前科が何度もある。

 スイカ独り占め、腹下し事件。
 別件で、スイカを食べて、人のベッドで眠り込み。お漏らし事件。
 これはなんと、小学校五年の時だ。

 アイスでも腹を壊した。

 『もう雰囲気が、長年連れ添った夫婦のよう』
 これは、花蓮のお母さんコメント。
 何かのイベントで、俺が世話を焼いていたときに言われた。

 でも、家の母親は、実は花蓮を嫌っている。
「あの子ちょっと、考えが」
 そんな感じで。

 確かに、見ていると危なっかしいことは、ちょっと、いや少し、かなり多い。
 何というか、餌くれる? じゃあ付いていく。これを本当にやりそうになる。

 小学校の時も、コート着た変なおっさんが、「飴あげる」と言ったら、ついて行きそうになるし。
 あのおっさんは、有名人で警察に連れて行かれても、戻ってくる困った人。
 コートの下は、服を着ていないが、診断書がどうこうで逮捕できないらしい。
 先生は、大人の事情。見かけても近寄らないようにと言っていた。

「ほら、皿とスプーン」
「いいの? わーい」
 まるで、半練りのおやつを見た、ねこのようだ。

 暇になり、せっかくだから、さっきの感触を確かめる。
 胸じゃなく太ももだが。どうして、こんなに柔らかいんだろう。

 俺の太ももと全然違う。
 毎日数は少ないが、シャトルランやミニラリー。ストロークやボレー。
 とにかく、コートを前後左右走り回るのがテニスだ。
 基本は、ストップアンドゴーの繰り返し。
 慣れない内は、一セットでへろへろになる。

「んんんっ」
 妙な声で、はっと我に返る。

 花蓮はスプーンをくわえて、肩で息をしていた。
「うん、どうした?」
「触られると、お尻の穴がきゅっとなるの」
「なんで?」
「さあっ?」
 そういって、何もなかったようにアイスを食べ出す。

 花蓮の膝を枕にして、寝転がる。
 気がついたのか、足を伸ばしてくれる。
 向きを変え、きゅっと締まったふくらはぎ、そこから伸びるアキレス腱。
 少しその辺りを、揉んでマッサージをする。

 右利きだと、左足の足首周りは痛めやすい。
 止まるときに踏ん張るから、その時にブチッといくらしい。

「そこ気持ちいい」
 仕方が無いから、揉みほぐす。

「こっちも」
 頭を挟むように、右足が振ってきた。
 仕方が無いから、揉み始めるが、右足は浮いている状態。
「これキツい」
 そう言って力が抜け、俺の頭は太ももに挟まれる。
「これ、どうしろと」

「んー。とりあえず、動かないで」
 耳が挟まれて、ゴーッという音が聞こえる。

 やがて、俺の左手が引かれ、さっきの感触。
籠もった音の中で「やっぱりちがう」とか聞こえるが、体勢的に顔は右向きで固定されて、左手は、左上部に引き上げられている。
 いい加減キツい。

 強引に、左手を抜き頭を回転させる。

 うん。距離が近くて見えないが、鼻面をとんでもないところに向けた。
 左目の先には、さっきの半ケツ? どっちだ、そうだな花蓮の左か。布がなく、もろ尻。それが、目の前。

「ねえちょっと、起きて」
 そう言ってパカッと足が開く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

【R18】お父さんは娘に夢中

ねんごろ
恋愛
 いけない関係のお話。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

処理中です...