幼馴染みが、知り合いになった夜 短編集

久遠 れんり

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本日は、所により最悪が目撃されるでしょう

第2話 切っ掛け

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「こんどは、途中で食うな。それに棒タイプだと、転んだ拍子に喉の奥を突いて危ないんだぞ」
「はーい。あっ溶けちゃったね」
 さっきの事件現場。

 アイスが溶けて、棒が出ていたので、拾って帰る。

 白濁した液体には、すでに蟻が来始めていた。
「その棒どうするの?」
「どうもしない。ゴミとして、持って帰って捨てるだけ」
「ふーん。結構綺麗だし、汁がついているし」
「食うな、舐めるな。拾い食い禁止」
「ちぇぇー」

 まあ、いつものことだが、そんな感じで少し考えが飛び抜けている。

 結局、家まで待ちきれず、距離的に近い、うちの家へ寄っていくことに。
 まだ十月前で、二階だと風が気持ちいい。

「あいす。早くしないと溶ける」
「判ったから手を洗え、洗剤を付ける事。そしてきちんとゴシゴシしろ」
「ええっ」
 面倒と、顔に書かれている。

 だがじっと睨む。
「もうっ」
 そう言って洗い出すが、適当すぎるので、花蓮の脇から、手を突きだし、自分も洗剤を取り、ヌメヌメと泡立てたあと、花蓮の手も一緒に洗う。

 丁度さっきと同じような、花蓮を背中から抱える感じ。
 中一だから、今は身長がほとんど変わらない。
「ひゃん。くすぐったい」
「逃げるな。きちんと、この指の股とか、指先もこう洗って……」
「ひえええぇ、ゾクゾクする」
 妙なことを言い始める。

 しっかりすすいで、タオルを渡す。
 すると、軽く手を拭き飛ばして、二階へ走り上がる。
 見上げると、片側だけお尻に食い込んだ、白いパンツ。
「なんで?」
 少し、何故ああなったのかを気にしながら、自分の部屋へと戻る。

 奴は待つことなく、当然アイスを食っている。
 俺のカップの奴を??
「何で?」
「棒のは、抜けた」
 ああ、いつものだろう。

 溶けかかった棒の奴は、袋を中途半端に開けて、棒を引っ張ると棒だけが抜ける。
 花蓮の得意技だ。

 皿とスプーンを取りに降りる。
 ついでにグラスと、麦茶も。

 カーペットにしいた、クッションの上。
 スカートで、すべてを見せながら、胡座をかいている。
「見えるぞ」
「んーいいよ。見て、だからアイスなくなったけど良いよね」
 そう言って、空のカップを見せてくる。

「まあ良いけれど、又トイレに籠もるなよ」
「わかった」
 そう、前科が何度もある。

 スイカ独り占め、腹下し事件。
 別件で、スイカを食べて、人のベッドで眠り込み。お漏らし事件。
 これはなんと、小学校五年の時だ。

 アイスでも腹を壊した。

 『もう雰囲気が、長年連れ添った夫婦のよう』
 これは、花蓮のお母さんコメント。
 何かのイベントで、俺が世話を焼いていたときに言われた。

 でも、家の母親は、実は花蓮を嫌っている。
「あの子ちょっと、考えが」
 そんな感じで。

 確かに、見ていると危なっかしいことは、ちょっと、いや少し、かなり多い。
 何というか、餌くれる? じゃあ付いていく。これを本当にやりそうになる。

 小学校の時も、コート着た変なおっさんが、「飴あげる」と言ったら、ついて行きそうになるし。
 あのおっさんは、有名人で警察に連れて行かれても、戻ってくる困った人。
 コートの下は、服を着ていないが、診断書がどうこうで逮捕できないらしい。
 先生は、大人の事情。見かけても近寄らないようにと言っていた。

「ほら、皿とスプーン」
「いいの? わーい」
 まるで、半練りのおやつを見た、ねこのようだ。

 暇になり、せっかくだから、さっきの感触を確かめる。
 胸じゃなく太ももだが。どうして、こんなに柔らかいんだろう。

 俺の太ももと全然違う。
 毎日数は少ないが、シャトルランやミニラリー。ストロークやボレー。
 とにかく、コートを前後左右走り回るのがテニスだ。
 基本は、ストップアンドゴーの繰り返し。
 慣れない内は、一セットでへろへろになる。

「んんんっ」
 妙な声で、はっと我に返る。

 花蓮はスプーンをくわえて、肩で息をしていた。
「うん、どうした?」
「触られると、お尻の穴がきゅっとなるの」
「なんで?」
「さあっ?」
 そういって、何もなかったようにアイスを食べ出す。

 花蓮の膝を枕にして、寝転がる。
 気がついたのか、足を伸ばしてくれる。
 向きを変え、きゅっと締まったふくらはぎ、そこから伸びるアキレス腱。
 少しその辺りを、揉んでマッサージをする。

 右利きだと、左足の足首周りは痛めやすい。
 止まるときに踏ん張るから、その時にブチッといくらしい。

「そこ気持ちいい」
 仕方が無いから、揉みほぐす。

「こっちも」
 頭を挟むように、右足が振ってきた。
 仕方が無いから、揉み始めるが、右足は浮いている状態。
「これキツい」
 そう言って力が抜け、俺の頭は太ももに挟まれる。
「これ、どうしろと」

「んー。とりあえず、動かないで」
 耳が挟まれて、ゴーッという音が聞こえる。

 やがて、俺の左手が引かれ、さっきの感触。
籠もった音の中で「やっぱりちがう」とか聞こえるが、体勢的に顔は右向きで固定されて、左手は、左上部に引き上げられている。
 いい加減キツい。

 強引に、左手を抜き頭を回転させる。

 うん。距離が近くて見えないが、鼻面をとんでもないところに向けた。
 左目の先には、さっきの半ケツ? どっちだ、そうだな花蓮の左か。布がなく、もろ尻。それが、目の前。

「ねえちょっと、起きて」
 そう言ってパカッと足が開く。
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