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秘密は、希望か絶望か
第2話 彼女の住処
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「そうかね。なかなか君優秀だね。うちへ来ないかね。助手なら、今彼がいるが、君が来てくれるなら、彼は、春にはいなくなるだろから。どわっは、はっは」
おおう。笑えねえ、見ろ木村さんという、助手の人も引きつっているぞ。
「それって、冗談でもパワハラになりますよ。大学って大丈夫なんですか?」
「おう最近は厳しいな。ちょっと触ればセクハラ、しかればパワハラ、成績の底上げに用事を頼めばアカハラだ。俺達の時代、教授から何かを頼まれたら嬉しかったけどなあ」
とまあ、良くあるゼミの飲み会乗りで酒宴を済ませる。
そして登録した、アプリに愚痴を流す。
今すでに、十一時だが、このくらい良いだろ。
あまりにも私的だとハラスメントだが、宴会の終わりを報告だ。
送信して、近くにあったラーメン屋に入る。
ラーメンと、半チャンセットを食っていると、着信が入る。
「んあっ」
『今どこ?』
「角のラーメン屋っと」
送信する。
『パソコンが壊れたの、直せる?』
「今から?」
送信。
『今日金曜だから、土日に使いたいの。個人持ちの分だし』
「わかった、何処で待ち合わせ」
ちょっと時間がかかったが、返事が来る。
『中央公園の東入口辺り』
えらく中途半端な所だが、まあいい。
「わかった」
そう言って送る。
一応、要らないかと思ったが、チャーハンを持ち帰りで頼み。手土産代わりにする。ついでに自分用の唐揚げも。
その袋を下げて、気持ちいい位の冷たい風を感じながら、月が出ている世界を、公園へと向かう。
中央公園と言っても、そんなに大きい訳ではない。
一区画、百メートル四方くらいだろう。
ぼーっとベンチに座り、彼女を待つ。
サクラが、まだちらほらと残っている。
だが流石に、宴会しているような奴らは居ない。
ぼーっと見ていると、南側から彼女らしき人物が走ってくる。
「まったぁ。ごめんなさい」
少し息を切らせながら彼女が言う。
その様子を見ながら俺は答える。
「家が近くなんだな」
彼女の問いには、沿わない答えだが、格好でそう判断をする。
薄手のコートだが、チラリと見える中身は、ルームウエアか下手すりゃパジャマだ。
「あっ、そうなんだよ」
そう言って指を指す先に、七階建て? のビルが見える。
「お金持ち」
そう反射的に言ってしまう。
その言葉を聞いて、少し困った表情を彼女はする。
「お金持ちじゃ無いけれど、お父さんが心配性で、セキュリティの高いところが良いって。おかげで支払いがちょっと厳しいの」
「大学なら、半額とか出ないのか」
「出るけれど、限度があって二万八千円くらい? かなあ。持ち出しが八万以上なのよ」
「もっと田舎へ行け」
そう言うと、えーという顔になる。
「まあいい。行こうか」
そう言って移動を始めるが、数歩歩いて動きが止まる。
「どうした?」
「あーえーちょっと。困った時に連絡が来たから、とっさに頼んだけど…… 今彼女さんとか、結婚とかしてる?」
困った顔で聞いてくる。
「どっちもいない」
「じゃあ、見たことは口外しないでね。アウティングはパワハラだからね」
「アウティングって言うのは、他人の秘密を言いふらすことだな」
実際は、秘密でも性癖とかまあ、SOGIと呼ばれる項目を含んだモノが厳しい。
「あらかじめ、釘を刺すことなのか?」
「うーん。ちょっとね。あとで話すわ。ちょっとコンビニへ寄る」
そう言って、走って行ってしまった。
俺は唐揚げとチャーハンも持っているし、どうしようかと思ったが、お茶でも欲しいと中へ入る。
お茶と、お邪魔するから、スナック菓子をいくつか持ち会計をしに行く。
すると前で、会計をしていた静海だが、中に装着用具が一ダース。
速攻で袋へ入ったため不明瞭だが、何だろう?
さっきの問いの続きか?
そして大量の酎ハイとつまみ。
会計をして、振り返り俺がいたことで驚き大声を出す。
「何でいるの?」
黙って買い物カゴを見せる。
「あっ、お茶くらい出すのに」
「いいよ」
そう言ってレジにカゴを乗せる。
「袋はありますか?」
「入りそうなのください」
そう答えるが、レジの兄ちゃん、あからさまにニヤニヤしている。
ああ、さっきのはやっぱり。
俺今晩、静海に食われるのか? まあ良いけど。
嫌で別れたわけじゃ無く、追いかける気も無くて、別れただけだし。
「お待たせ」
そう言って外へ出る。
近くへ行くと、かなり立派なマンションだった。
エントランスに入り、番号とパスワードかな? 何か操作している。
すると、分厚目のガラス扉が開く。
脇には、観音開きの扉があるが、そちらは、非常用だろう。奥に非常階段が見える。
そして、エレベーターのボタンは八階まであるが、最上階は大家さんらしく、七階。上にちょこんと、大家さん用の住居が乗っかっているようだ。
エレベーターから降りて、非常階段に近い端の部屋。
「ねっ心配性。セキュリティがって言っていたのに、非常階段近くの部屋。安全だか物騒なんだか」
そう言って彼女は苦笑をする。
おおう。笑えねえ、見ろ木村さんという、助手の人も引きつっているぞ。
「それって、冗談でもパワハラになりますよ。大学って大丈夫なんですか?」
「おう最近は厳しいな。ちょっと触ればセクハラ、しかればパワハラ、成績の底上げに用事を頼めばアカハラだ。俺達の時代、教授から何かを頼まれたら嬉しかったけどなあ」
とまあ、良くあるゼミの飲み会乗りで酒宴を済ませる。
そして登録した、アプリに愚痴を流す。
今すでに、十一時だが、このくらい良いだろ。
あまりにも私的だとハラスメントだが、宴会の終わりを報告だ。
送信して、近くにあったラーメン屋に入る。
ラーメンと、半チャンセットを食っていると、着信が入る。
「んあっ」
『今どこ?』
「角のラーメン屋っと」
送信する。
『パソコンが壊れたの、直せる?』
「今から?」
送信。
『今日金曜だから、土日に使いたいの。個人持ちの分だし』
「わかった、何処で待ち合わせ」
ちょっと時間がかかったが、返事が来る。
『中央公園の東入口辺り』
えらく中途半端な所だが、まあいい。
「わかった」
そう言って送る。
一応、要らないかと思ったが、チャーハンを持ち帰りで頼み。手土産代わりにする。ついでに自分用の唐揚げも。
その袋を下げて、気持ちいい位の冷たい風を感じながら、月が出ている世界を、公園へと向かう。
中央公園と言っても、そんなに大きい訳ではない。
一区画、百メートル四方くらいだろう。
ぼーっとベンチに座り、彼女を待つ。
サクラが、まだちらほらと残っている。
だが流石に、宴会しているような奴らは居ない。
ぼーっと見ていると、南側から彼女らしき人物が走ってくる。
「まったぁ。ごめんなさい」
少し息を切らせながら彼女が言う。
その様子を見ながら俺は答える。
「家が近くなんだな」
彼女の問いには、沿わない答えだが、格好でそう判断をする。
薄手のコートだが、チラリと見える中身は、ルームウエアか下手すりゃパジャマだ。
「あっ、そうなんだよ」
そう言って指を指す先に、七階建て? のビルが見える。
「お金持ち」
そう反射的に言ってしまう。
その言葉を聞いて、少し困った表情を彼女はする。
「お金持ちじゃ無いけれど、お父さんが心配性で、セキュリティの高いところが良いって。おかげで支払いがちょっと厳しいの」
「大学なら、半額とか出ないのか」
「出るけれど、限度があって二万八千円くらい? かなあ。持ち出しが八万以上なのよ」
「もっと田舎へ行け」
そう言うと、えーという顔になる。
「まあいい。行こうか」
そう言って移動を始めるが、数歩歩いて動きが止まる。
「どうした?」
「あーえーちょっと。困った時に連絡が来たから、とっさに頼んだけど…… 今彼女さんとか、結婚とかしてる?」
困った顔で聞いてくる。
「どっちもいない」
「じゃあ、見たことは口外しないでね。アウティングはパワハラだからね」
「アウティングって言うのは、他人の秘密を言いふらすことだな」
実際は、秘密でも性癖とかまあ、SOGIと呼ばれる項目を含んだモノが厳しい。
「あらかじめ、釘を刺すことなのか?」
「うーん。ちょっとね。あとで話すわ。ちょっとコンビニへ寄る」
そう言って、走って行ってしまった。
俺は唐揚げとチャーハンも持っているし、どうしようかと思ったが、お茶でも欲しいと中へ入る。
お茶と、お邪魔するから、スナック菓子をいくつか持ち会計をしに行く。
すると前で、会計をしていた静海だが、中に装着用具が一ダース。
速攻で袋へ入ったため不明瞭だが、何だろう?
さっきの問いの続きか?
そして大量の酎ハイとつまみ。
会計をして、振り返り俺がいたことで驚き大声を出す。
「何でいるの?」
黙って買い物カゴを見せる。
「あっ、お茶くらい出すのに」
「いいよ」
そう言ってレジにカゴを乗せる。
「袋はありますか?」
「入りそうなのください」
そう答えるが、レジの兄ちゃん、あからさまにニヤニヤしている。
ああ、さっきのはやっぱり。
俺今晩、静海に食われるのか? まあ良いけど。
嫌で別れたわけじゃ無く、追いかける気も無くて、別れただけだし。
「お待たせ」
そう言って外へ出る。
近くへ行くと、かなり立派なマンションだった。
エントランスに入り、番号とパスワードかな? 何か操作している。
すると、分厚目のガラス扉が開く。
脇には、観音開きの扉があるが、そちらは、非常用だろう。奥に非常階段が見える。
そして、エレベーターのボタンは八階まであるが、最上階は大家さんらしく、七階。上にちょこんと、大家さん用の住居が乗っかっているようだ。
エレベーターから降りて、非常階段に近い端の部屋。
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そう言って彼女は苦笑をする。
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