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記念日に最悪を
第2話 幸せだった生活は、些細なことで壊れる。
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そして、自家製のラブホ、電気を消さなければ普通だと思う。
そこで、勉強をする。
親にはリビングでと言われたが、二人には今更だった。
今日の学校での出来事と、友達との他愛ない話題。
その内容を検索をして見たり、高校時代は普通の充実した生活。
そしてそれは、大学へ入っても続く。
独立して、同棲は流石に却下されるだろうし、下手すれば一人暮らしも却下される可能性がある。
ただ普通に電車で通うと、俺の学校は遠い。
詩織の大学の方が、実家には近い。
そのささやかな距離の差は、終末のみしか会えない状況をつくる。
いや頑張れば毎日会えるし、始発で動けば同棲だってできるさ。
だが、お互い猿ではない。
学生たるもの、少しは勉強もしなければいけない。
そうして平日は、授業とバイト。
週末は、甘々まったりとしていた。
そして夏休みに帰ったときに、衝撃の話を聞く。
詩織のお父さんが体調を崩して、少し入院をしたという話。
もう、すでに元気にはなっていた。
だけど、詳しい話は聞いてないとのこと。
帰った晩には、うちに来て、焼き肉も食べていたし気にしてはいたが、長引くものとは、思っていなかった。
そして、後期になってから。
詩織は「決めた」と宣言をして、アルバイトを始めた。
心配性な俺は、やきもきもしたのだが、普通のファミレスのバイト、どうということもない。
ただ、どうしたって週末は、忙しくてヘルプが入る。
夜中のビデオ通話が、日課となっていく。
そして勝手に進む季節と、月日。
そうだな。
三年生の夏だった。
暑さが応えたおじさんは、入院をしてしまう。
おじさんの見舞いに行って話をする。
「もし、入院費などで困っているなら言って」
「馬鹿だな、一哉くん。この数年、体を壊してはいるが、蓄えもあるし大丈夫。保険もあるしね」
「そうですか。実は子供の頃から、ちまちまと株なんかをしていて、二千万くらいならあります。気にせず頼ってください」
そういうと、驚いたようだが、ニコッと笑う。
「うーん。そうだね。もし、詩織が困ったと言ったら、助けてやってくれ。その付き合っているんだろ?」
「ええ。事後報告ですが」
そう言うと、にっこと笑う。
「じゃあ、詩織の卒業姿と花嫁姿。ひょっとすると孫までは頑張れるかな」
「ええ、頑張りますから」
「何をだね?」
そう言って、じっとりと睨まれる。
「いえまあ。色々と」
「そうか。よろしく頼むよ」
「はい」
そんな会話をした。
ただそんな話は、詩織までは通じてはいなかったようだ。
後日解った、お父さん達は後期の入金を忘れたようだ。
ツイと言うよりは、うっかりミス。
おじさんが言ったとおり、そこまで金には困っていなかった。
だが学生課から呼び出され、1月末までに払ってねと言われた。
ファミレスでのバイトで、三〇万近くの金は急には用意できない。
親父さんの、病気がなければ、入ってなかったけれどどうしたの?
そう聞けただろう。
そして、詩織は無知だったし、焦った。
学生課に行って、相談し待って貰うこともできれば、最悪、ノンバンクで借りることもできる。
何より、親に言えなくても俺に相談をすれば良かった。
そしてバイト仲間につい言ったようだ。
そいつが、諸悪の根源で最悪だった。
「お金欲しいの? じゃあ紹介するよ」
少し派手目だが、普通だと思っていた。
面接だと言って、連れて行かれた事務所。
その場でその子は、何か封筒を渡され、「まいど」そう言って、さっさと帰ってしまったと。
強面のおっさん二人。
「じゃあ電話が掛かってきたら、部屋に行く。そして、サービスを行って帰ってくる。お金欲しいなら、二四時まではホテルで以降はデリでいいかな?」
「えっと、サービスって?」
「ああ、メニューこれ。一応本番NGだから、それとオプションに、NGある?」
渡されるリスト、略号が多くて解らない言葉ばかり。
「あの、AFとか、黄金とかって」
「なに、本当に初めてなんだ、じゃあ説明するから、それと教育用に一人お願いするから良いね。それとさっきリナちゃんに紹介料を払ったから、最低でも五人程度こなしてね」
「えっ。紹介は確かにでも、紹介料って?」
「うん。リナちゃんに紹介されたよね。だから、嬢の紹介料を彼女に払った。その分は君に回さないと、うちも困るでしょ。すぐにお金要るんじゃないの?」
「必要です」
だが、何とか一人二人は頑張っても精一杯で、チェンジも喰らって結局長引く。
学費は払って、あと部屋代とか紹介料とか、ぐるぐる考えていた最中らしい。
そこへ、電話が入り指名が入る。
来てみれば俺がいる。
俺は、友人? から、嬉しそうな顔で、教えられた。
頭の中、真っ白だよ。
とりあえず中に入り、話したのがさっきの内容。
今日だけで、俺が三人目だという事だ。
そう、今日だけで。
あいつが言っていた。
AFもできるし、頼めば本番もするという噂だぜ。そんな情報まで。
聞けば本番はどうしても、返却を早く終わらせたくて認めたけど、心が耐えられず本当に一回だけだったそうだ。
ペナで罰金を喰らい。三〇万ほど積み上がっているそうなので、誕生日プレゼントとして。五〇万だけ渡す。料金とは別に。
「今日はバレンタインデー。お前の誕生日だ。これをやる。俺に言えば、話は簡単だったのに、そもそも、確認さえすれば……」
それだけ言って、部屋を出る。
きっとこれで、やり直してもお互いに我慢ができないだろう。
ふとしたとき顔を出す、記憶。
彼女は負い目。
俺はそれから、しばらく実家に帰るのをやめた。
二年ほど経つと、水野家は、出身の田舎へ帰ったと聞いた。
おじさんはまだ生きている。
約束のために、頑張っているのだろうか?
--------------------------------------------------------------------
フィクションです。
ディテールが違うと、突っ込まないでください。
全くもって風俗系は詳しくないので。
追伸。彼女は相談できず、やばい方向へ脚を突っ込みましたが、大事だから相談ができなかった。
親に、聞けなかった理由も同じ。
時に考えすぎた優しさが、悲劇になる。と言ったところでしょうか?
相談されれば、彼はきっと何とかしようとする、親も同じ。その辺りで納得をしてください。
そこで、勉強をする。
親にはリビングでと言われたが、二人には今更だった。
今日の学校での出来事と、友達との他愛ない話題。
その内容を検索をして見たり、高校時代は普通の充実した生活。
そしてそれは、大学へ入っても続く。
独立して、同棲は流石に却下されるだろうし、下手すれば一人暮らしも却下される可能性がある。
ただ普通に電車で通うと、俺の学校は遠い。
詩織の大学の方が、実家には近い。
そのささやかな距離の差は、終末のみしか会えない状況をつくる。
いや頑張れば毎日会えるし、始発で動けば同棲だってできるさ。
だが、お互い猿ではない。
学生たるもの、少しは勉強もしなければいけない。
そうして平日は、授業とバイト。
週末は、甘々まったりとしていた。
そして夏休みに帰ったときに、衝撃の話を聞く。
詩織のお父さんが体調を崩して、少し入院をしたという話。
もう、すでに元気にはなっていた。
だけど、詳しい話は聞いてないとのこと。
帰った晩には、うちに来て、焼き肉も食べていたし気にしてはいたが、長引くものとは、思っていなかった。
そして、後期になってから。
詩織は「決めた」と宣言をして、アルバイトを始めた。
心配性な俺は、やきもきもしたのだが、普通のファミレスのバイト、どうということもない。
ただ、どうしたって週末は、忙しくてヘルプが入る。
夜中のビデオ通話が、日課となっていく。
そして勝手に進む季節と、月日。
そうだな。
三年生の夏だった。
暑さが応えたおじさんは、入院をしてしまう。
おじさんの見舞いに行って話をする。
「もし、入院費などで困っているなら言って」
「馬鹿だな、一哉くん。この数年、体を壊してはいるが、蓄えもあるし大丈夫。保険もあるしね」
「そうですか。実は子供の頃から、ちまちまと株なんかをしていて、二千万くらいならあります。気にせず頼ってください」
そういうと、驚いたようだが、ニコッと笑う。
「うーん。そうだね。もし、詩織が困ったと言ったら、助けてやってくれ。その付き合っているんだろ?」
「ええ。事後報告ですが」
そう言うと、にっこと笑う。
「じゃあ、詩織の卒業姿と花嫁姿。ひょっとすると孫までは頑張れるかな」
「ええ、頑張りますから」
「何をだね?」
そう言って、じっとりと睨まれる。
「いえまあ。色々と」
「そうか。よろしく頼むよ」
「はい」
そんな会話をした。
ただそんな話は、詩織までは通じてはいなかったようだ。
後日解った、お父さん達は後期の入金を忘れたようだ。
ツイと言うよりは、うっかりミス。
おじさんが言ったとおり、そこまで金には困っていなかった。
だが学生課から呼び出され、1月末までに払ってねと言われた。
ファミレスでのバイトで、三〇万近くの金は急には用意できない。
親父さんの、病気がなければ、入ってなかったけれどどうしたの?
そう聞けただろう。
そして、詩織は無知だったし、焦った。
学生課に行って、相談し待って貰うこともできれば、最悪、ノンバンクで借りることもできる。
何より、親に言えなくても俺に相談をすれば良かった。
そしてバイト仲間につい言ったようだ。
そいつが、諸悪の根源で最悪だった。
「お金欲しいの? じゃあ紹介するよ」
少し派手目だが、普通だと思っていた。
面接だと言って、連れて行かれた事務所。
その場でその子は、何か封筒を渡され、「まいど」そう言って、さっさと帰ってしまったと。
強面のおっさん二人。
「じゃあ電話が掛かってきたら、部屋に行く。そして、サービスを行って帰ってくる。お金欲しいなら、二四時まではホテルで以降はデリでいいかな?」
「えっと、サービスって?」
「ああ、メニューこれ。一応本番NGだから、それとオプションに、NGある?」
渡されるリスト、略号が多くて解らない言葉ばかり。
「あの、AFとか、黄金とかって」
「なに、本当に初めてなんだ、じゃあ説明するから、それと教育用に一人お願いするから良いね。それとさっきリナちゃんに紹介料を払ったから、最低でも五人程度こなしてね」
「えっ。紹介は確かにでも、紹介料って?」
「うん。リナちゃんに紹介されたよね。だから、嬢の紹介料を彼女に払った。その分は君に回さないと、うちも困るでしょ。すぐにお金要るんじゃないの?」
「必要です」
だが、何とか一人二人は頑張っても精一杯で、チェンジも喰らって結局長引く。
学費は払って、あと部屋代とか紹介料とか、ぐるぐる考えていた最中らしい。
そこへ、電話が入り指名が入る。
来てみれば俺がいる。
俺は、友人? から、嬉しそうな顔で、教えられた。
頭の中、真っ白だよ。
とりあえず中に入り、話したのがさっきの内容。
今日だけで、俺が三人目だという事だ。
そう、今日だけで。
あいつが言っていた。
AFもできるし、頼めば本番もするという噂だぜ。そんな情報まで。
聞けば本番はどうしても、返却を早く終わらせたくて認めたけど、心が耐えられず本当に一回だけだったそうだ。
ペナで罰金を喰らい。三〇万ほど積み上がっているそうなので、誕生日プレゼントとして。五〇万だけ渡す。料金とは別に。
「今日はバレンタインデー。お前の誕生日だ。これをやる。俺に言えば、話は簡単だったのに、そもそも、確認さえすれば……」
それだけ言って、部屋を出る。
きっとこれで、やり直してもお互いに我慢ができないだろう。
ふとしたとき顔を出す、記憶。
彼女は負い目。
俺はそれから、しばらく実家に帰るのをやめた。
二年ほど経つと、水野家は、出身の田舎へ帰ったと聞いた。
おじさんはまだ生きている。
約束のために、頑張っているのだろうか?
--------------------------------------------------------------------
フィクションです。
ディテールが違うと、突っ込まないでください。
全くもって風俗系は詳しくないので。
追伸。彼女は相談できず、やばい方向へ脚を突っ込みましたが、大事だから相談ができなかった。
親に、聞けなかった理由も同じ。
時に考えすぎた優しさが、悲劇になる。と言ったところでしょうか?
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