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思いを言葉にできたら
第2話 司の裏切り
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やがて二人は高校へ。
高校でも、司はモテる。
それを、目で追う私。
私は、美人でもなく普通だから。
幼馴染み。腐れ縁。
こんな言葉を幾度も聞く。
むろん私にでは無く、司が友人へと話す言葉。
心に突き刺さる。グサグサと。
そんな事は言っても、二人はいつも変わらず。
ただこの頃には、一線を越えていた。
二人とも、若いからなのか、あの頃は毎日のように求め合った。
私ができない時には、前と同じように口で受け止める。
ある日気がつく。
薄い?
多分わずかな差。
我慢ができず、自分でした?
当然そんな事は聞かない。
でも、やっぱり気になる。
「ねえ最近、じぶんでしてる?」
「えっなんで?」
コントローラーを持ちながら、平然とした態度をとる。
でも、目が一瞬此方を見る。
今ゲームに集中をしていた司に、私がちょっかいを出しているところ。
ちろちろと、先の割れ目に舌を這わせる。
最近は、学校から帰ると司はシャワーを浴びる。
大抵私が手を出すから、気遣いかもしれないが、怪しい。
「言わないと噛むよ」
「悪い。彼女ができた」
思わず噛んでしまった。
「痛え」
「ああ、ごめん。彼女ってなあに? 聞いてないんだけど。私は何かな?」
「お前は、幼馴染みでそのなんだ、セフレ?」
「ほうー」
そう言いながら、彼のをぐにぐにと揉む。
「おい」
「おいはこっちの台詞。確かにお互い告ってはないけれど、スキでもないのにこんな事しないでしょう? 違う?」
「おまえ、興味があってって、言っていたじゃないか」
「あー。言ったかもしれないけれど、それにしたって」
初期の頃。
「面白いわね」
そう言って、遊んでいたのは確か。でもね。
ああ。そうね。最初の頃は、自信も無く、かわいいとも自身で思えない。
それは今でもそうだけれど、確かに司はモテる。
それも知っているし、納得している。
「あっ。おい。口」
そうね、いつも出るときには咥えていた。
「自分で咥えれば」
そう言って、部屋を後にした。
そうは言っても、家はすぐ隣り。
下手をすれば、窓から窓へ飛んだ方が近い。
だけど、漫画のように屋根が張り出しているわけでもなく、飛ぼうと思えば確実に落ちる距離。
そう近くて遠い。
その日から、本気でそう思うようになった。
窓越しに、見せ合いっこをしたこともあったのに。
そして、都合が良いのか悪いのか、冬休み。
なにもしないクリスマス。
年末は、田舎へ帰るから、どちらにしろ何もない。
だけど、正月明け、戻ってくると、おバカな声が隣から聞こえる。
あの声知っている。
司の居る、サッカー部に出入りしているおバカ。
あの子は確か、別の男と春頃まで付き合っていたはず。
「あーまあ良いけど。あれよりは、私の方が良いと思うけどな」
つい口に出る。
腹も立つし、外へ出る。
「行っていないし、初詣でも行こう」
そうしてぷらぷらと出かけるが、今まで気にならなかったカップルばかり目に入る。
「けっ。どいつもこいつも」
つい口に出る。
一人だと、独り言を言ってしまうのはどうしてだろう? 一人だから当然独り言か。
そんな馬鹿なことを考える。
神社へ行き、司がこっぴどく振られますようにと、念入りにお参りをする。
神社で、呪いの様な願い良いのだろうか?
そう思い、拝み直す。
「私にい。いい人が現れますように!!」
気合いを入れて、柏手を打つ。
帰り道、参道に出ている店のたこ焼きを、買うか買わないべきかを悩む。
これはお金の問題ではない。
年末年始に、少しやけ食いをしたせいで、お腹周りにお餅が引っ付いている。
それも、初めて見るような感じで。うん。搗き立てのぷにょぷにょ。
だからと言ってはなんだが、今は、たった六個しか入っていなくて、四〇〇円もする高価なたこ焼きが目に毒なのだよ。
「あれー。小野寺さん。たこ焼き欲しいの? 買ってあげようか」
背後から声が掛かる。
軽薄そうな声に、警戒しながら振り返る。
だけど、そこにいたのは真面目君。
いや、多分そう呼んでいるのは、私だけ。
クラス委員をやっていて、黒縁のメガネをかけて……? テストの点は良い。
後はよく知らない。クラスにいても人と関わらないタイプ。
「メガネは?」
「ああ、あれは何というか、人除け? 伊達眼鏡」
「そうだったんだ。何というか、いつもと雰囲気が違うからびっくり」
「そうだろうね。実はね、僕はある目的のために正体を隠しているのさ」
ビシッと言う感じで、言ってきた。
普段、こんな感じじゃないよね。
「あっあれ、外した?」
しらけて見えたのか、彼が焦りだした。
「いやまあ、それ以前」
「なんかごめん」
そう言って、すごく落ち込む彼。
「あっあっ。そうだ。たこ焼き。買おうか?」
そう聞かれて、思いが再燃する。
「一個買って分けよう。そうねそれが良い」
一個買って、神社の階段脇のベンチへ座る。
「これって、六個だし、多くないのにどうしたの?」
「いや、突っ込むね。正月というか年末年始にちょっと、やけぐ…… いえ、暴飲暴食が身について」
「暴食暴飲が身につ…… ああそうか」
そう言うと彼は、失礼なことに私の体を、じろじろ見る。
「服が、ゴツメだけど、そんなに言うほどじゃないでしょ。丁度抱き心地が良さそうな感じだし、痩せると刺さるんだよね」
そんな台詞を吐く彼にびっくり。
あまりにも、ギャップがありすぎる。
「どうしたの?」
「えっいや。いつもそんな感じ?」
「うん。フリーの時は、学校はじゃまされないように真面目君」
それを聞いて思わず噴き出す。
高校でも、司はモテる。
それを、目で追う私。
私は、美人でもなく普通だから。
幼馴染み。腐れ縁。
こんな言葉を幾度も聞く。
むろん私にでは無く、司が友人へと話す言葉。
心に突き刺さる。グサグサと。
そんな事は言っても、二人はいつも変わらず。
ただこの頃には、一線を越えていた。
二人とも、若いからなのか、あの頃は毎日のように求め合った。
私ができない時には、前と同じように口で受け止める。
ある日気がつく。
薄い?
多分わずかな差。
我慢ができず、自分でした?
当然そんな事は聞かない。
でも、やっぱり気になる。
「ねえ最近、じぶんでしてる?」
「えっなんで?」
コントローラーを持ちながら、平然とした態度をとる。
でも、目が一瞬此方を見る。
今ゲームに集中をしていた司に、私がちょっかいを出しているところ。
ちろちろと、先の割れ目に舌を這わせる。
最近は、学校から帰ると司はシャワーを浴びる。
大抵私が手を出すから、気遣いかもしれないが、怪しい。
「言わないと噛むよ」
「悪い。彼女ができた」
思わず噛んでしまった。
「痛え」
「ああ、ごめん。彼女ってなあに? 聞いてないんだけど。私は何かな?」
「お前は、幼馴染みでそのなんだ、セフレ?」
「ほうー」
そう言いながら、彼のをぐにぐにと揉む。
「おい」
「おいはこっちの台詞。確かにお互い告ってはないけれど、スキでもないのにこんな事しないでしょう? 違う?」
「おまえ、興味があってって、言っていたじゃないか」
「あー。言ったかもしれないけれど、それにしたって」
初期の頃。
「面白いわね」
そう言って、遊んでいたのは確か。でもね。
ああ。そうね。最初の頃は、自信も無く、かわいいとも自身で思えない。
それは今でもそうだけれど、確かに司はモテる。
それも知っているし、納得している。
「あっ。おい。口」
そうね、いつも出るときには咥えていた。
「自分で咥えれば」
そう言って、部屋を後にした。
そうは言っても、家はすぐ隣り。
下手をすれば、窓から窓へ飛んだ方が近い。
だけど、漫画のように屋根が張り出しているわけでもなく、飛ぼうと思えば確実に落ちる距離。
そう近くて遠い。
その日から、本気でそう思うようになった。
窓越しに、見せ合いっこをしたこともあったのに。
そして、都合が良いのか悪いのか、冬休み。
なにもしないクリスマス。
年末は、田舎へ帰るから、どちらにしろ何もない。
だけど、正月明け、戻ってくると、おバカな声が隣から聞こえる。
あの声知っている。
司の居る、サッカー部に出入りしているおバカ。
あの子は確か、別の男と春頃まで付き合っていたはず。
「あーまあ良いけど。あれよりは、私の方が良いと思うけどな」
つい口に出る。
腹も立つし、外へ出る。
「行っていないし、初詣でも行こう」
そうしてぷらぷらと出かけるが、今まで気にならなかったカップルばかり目に入る。
「けっ。どいつもこいつも」
つい口に出る。
一人だと、独り言を言ってしまうのはどうしてだろう? 一人だから当然独り言か。
そんな馬鹿なことを考える。
神社へ行き、司がこっぴどく振られますようにと、念入りにお参りをする。
神社で、呪いの様な願い良いのだろうか?
そう思い、拝み直す。
「私にい。いい人が現れますように!!」
気合いを入れて、柏手を打つ。
帰り道、参道に出ている店のたこ焼きを、買うか買わないべきかを悩む。
これはお金の問題ではない。
年末年始に、少しやけ食いをしたせいで、お腹周りにお餅が引っ付いている。
それも、初めて見るような感じで。うん。搗き立てのぷにょぷにょ。
だからと言ってはなんだが、今は、たった六個しか入っていなくて、四〇〇円もする高価なたこ焼きが目に毒なのだよ。
「あれー。小野寺さん。たこ焼き欲しいの? 買ってあげようか」
背後から声が掛かる。
軽薄そうな声に、警戒しながら振り返る。
だけど、そこにいたのは真面目君。
いや、多分そう呼んでいるのは、私だけ。
クラス委員をやっていて、黒縁のメガネをかけて……? テストの点は良い。
後はよく知らない。クラスにいても人と関わらないタイプ。
「メガネは?」
「ああ、あれは何というか、人除け? 伊達眼鏡」
「そうだったんだ。何というか、いつもと雰囲気が違うからびっくり」
「そうだろうね。実はね、僕はある目的のために正体を隠しているのさ」
ビシッと言う感じで、言ってきた。
普段、こんな感じじゃないよね。
「あっあれ、外した?」
しらけて見えたのか、彼が焦りだした。
「いやまあ、それ以前」
「なんかごめん」
そう言って、すごく落ち込む彼。
「あっあっ。そうだ。たこ焼き。買おうか?」
そう聞かれて、思いが再燃する。
「一個買って分けよう。そうねそれが良い」
一個買って、神社の階段脇のベンチへ座る。
「これって、六個だし、多くないのにどうしたの?」
「いや、突っ込むね。正月というか年末年始にちょっと、やけぐ…… いえ、暴飲暴食が身について」
「暴食暴飲が身につ…… ああそうか」
そう言うと彼は、失礼なことに私の体を、じろじろ見る。
「服が、ゴツメだけど、そんなに言うほどじゃないでしょ。丁度抱き心地が良さそうな感じだし、痩せると刺さるんだよね」
そんな台詞を吐く彼にびっくり。
あまりにも、ギャップがありすぎる。
「どうしたの?」
「えっいや。いつもそんな感じ?」
「うん。フリーの時は、学校はじゃまされないように真面目君」
それを聞いて思わず噴き出す。
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