上 下
69 / 232
興味に負けた(良人と亜麻衣)

第1話 優しい彼

しおりを挟む
 私は今、建物の影に隠れて、幸せそうに歩いている男女を目で追っている。
 あの人の横。あの優しい顔と、目を向けられる場所は本来私の位置。

 そうあの人は、かけがえのない。私の幼馴染み。
 大事な人。だった。

 私は欲望に負け調子に乗り。あげく彼を裏切り、あんな女に場所を奪われた。


 子どもの頃から、親も知り合いで、保育園の帰り。家が近い良人(よしと)の家へ私は寄るようになった。

 お母さんも一時間もあれば、余裕を持って迎えに来られる。
 だけど保育園は、一八時くらいまで。それ以降は駄目。そのため毎日ギリギリで迎えに来る。お母さんの仕事は、どうしても十七時を超えてしまう。
 
 この保育園じゃなければ、夜まで大丈夫だが、そういう所は電車での送り迎えとなってしまう。
 そのため、この保育園にこだわり、叱られながも、お願いをしていた。

 それを、見かねたのか、良人のお母さんが声をかけてくれた。
「いつも叱られているって聞いたけど、大丈夫?」
「仕事場を定時で出ると、ギリギリなのよ。会社に近い方なら大丈夫なんだろうけれど、電車の中。ラッシュ時に子どもを連れての移動は、ちょっと遠慮したくて」
「そうよね」
 そんな感じで、話が決まったらしい。

 よく分からないが、物心つく頃には、姉弟のような感じ。
 何故か時間になると、私は別のお家へ帰る。

 良人と一緒に居たい、もっと遊びたい。
 私は、何時の頃からかそう考えていた。

 でも、それは、小学校低学年まで。

 私は、理解した。
 彼の家で、私は異物。
 単なるお客さん。

 この家の家族は、良人のみ。

 でも、私は会いたくて。
 それは幼いながらも、彼を求めた私の心。

 小学校の高学年になり、求めるものは姉弟では無いと、友人とのたわいない会話の中で理解する。体の変化とともに。

 中学校でそれはひどくなり、彼の横で落ち着いていることができなくなった。
 付き合いが長いと家族のようになるという、皆とは違う。

 彼は、二年生を越えたくらいから、進化し始める。
 背は高く、体はがっしりし始める。

 学校の帰り、遠回りをして彼の家に寄り道をする。

 私は、彼に会うため部活もせず、真っ直ぐ家にお邪魔をする。
 彼の部屋へ入ると、真っ先にベッドへ倒れ込み深呼吸をする。

 枕、シーツ。ふふっ。

 満足をすると、宿題を取り出し勉強を始める。
 それが日課。

 そして私は失敗する。
 昨日、彼は捻挫をした。
 クラスが違うため、ついうっかり。
 怪我も大したことはなく、保健室で湿布を巻いただけ。
 病院にも行っていない。そんな怪我。本人も笑っていた。

 彼はうちのクラスよりも早く終わり、帰宅途中コンビニへ寄ったようだ。
 そう私は、追い抜いた。

 いつもの様に、至福の時間。
 満足するまで、ゴロゴロして彼を満喫する。

 そして聞こえる、彼の声。
「何してんの?」
「えっ?」
 その時、すごくだらしない顔をしていたと思う。
 だって、彼を満喫していた私。少しくらい驚いても戻らない。

 怪訝そうな彼の目。
 徐々に、私のアドレナリンは分泌を控え、ノルアドレナリンが大量に分泌される。
 多分ね。

 一気に興奮状態から、冷め。
 彼に見られた恐怖。嫌われたらどうしよう。
 そんな気持ちが、私の心を埋め尽くし、気がつけば彼を押し倒す。

 その時の動きは、暗殺者顔負けだっただろう。

 あっという間に、彼はベッドに寝かされ私は唇を奪い、下半身へ手を伸ばす。
 それがどういう事かはもう知っている。
 すぐに彼は、反応する。

 もうそれで、再びアドレナリンと、反応してくれたことでドーパミンも全開。
 その時私は狂っていた。恐怖と快楽。

 彼のものを美味しくいただき。その後告白をした。
 無茶苦茶な順番。
 彼は、「おう。そうだったのか」短くそれだけ。
 だけど彼は、真っ赤になっていた。

「嫌いになってない?」
「いやまあ驚いたけど、おまえだし。その、気持ちよかったし」
 そうして私たちは、付き合い方が変わった。

 ただまあ、普段は彼は部活があり、帰ってすぐにシャワーを浴びて、少しするとお母さんが帰ってきてしまう。
 あの甘美な彼の匂いを味わう事は、なかなか出来ない。

 でも彼は、気に入ってくれたようで求めてくれるし、私の体にも触れたがる。
 髪の毛も彼は長い方が好きだから、校則ギリギリまで伸ばしている。
 しているときに触れるのが、気持ちいいらしい。
 彼は、短髪だしね。

 でも、さすがに最後まではしていない。
 興味はあるけれど、怖いのもある。
 たまに、失敗して大騒ぎになるし。

 私は、満足。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

処理中です...