幼馴染みが、知り合いになった夜 短編集

久遠 れんり

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勘違い(梨乃と優悟)

第2話 優しさと勘違い その2

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 あの子は胸が、あの子は顔が。ヒイヒイ言わせたい。
 たむろして、くだらないことを言っていた男子を、一人捕まえる。

「あんた、エッチ上手なの?」
「えっ」
「放課後付き合って」
 妊娠なんてまっぴらだから、避妊具を買って家に帰る。

 うだうだ言っていた割に、オロオロしている男子。
「部屋にいて、色々触らないで」
 命令して、シャワーを浴びに行く。
 今日お兄ちゃんは、部屋にいるはず。今日しかない。

「あんたもシャワー浴びるの」
「えっ、どうしよう」
「浴びないのなら良いわ。さっさとして」
 そう言うと、ベッドに寝転がった私に覆い被さる。

 私はタンクトップとショートパンツ。

 いきなり、キスをしようとしたので釘を刺す。
「キスなんかしないで」
 すると、胸を揉み始める。
 気持ち悪いけど、まあいいわ。

 ギクシャクした動きで、ごそごそしていると思ったら、いきなりうめき声が聞こえる。
「ごめん。すぐに元気にするから」
 それが何を意味するのか位は分かる。

 ただ、匂いが気になり、カーテンだけではなく、少し開けていた窓も開け放つ。
 これで、大げさに声を出せば、向こうに聞こえるはず。
 やきもちを焼き、悔しがるお兄ちゃんを想像する。
 あんな女に、現を抜かすから。

 もたもたしている男子のズボンを脱がし、気味の悪い液体を見もせずに拭き取る。
 見ていると、ナマイキにも大きくなったので、またがる。
 枕に乗っている頭が気に入らず、引き抜いて顔にかぶせる。
「見ないで。そのままでやって」
 そう、見せることはない。

 大きくなったものに、避妊具をかぶせて、これはお兄ちゃんのもの。そう思い込む事にする。
 すると、私の中で何かが起こり大洪水。
 自分でもびっくりしたわ。
 下着を片足だけ脱いで、上に乗る。

 痛みと押し上げる何か。でも気にしない。

 わざと、声を出す。
 聞いて、あなたがもたもたするから、梨乃は悪い子になったわ。
 心配なら、振り向いて、そして恋人として愛して。

 窓の向こうに向かって、色々なものに耐えながら嬌声を伝える。

 でもすぐに、私の下の男子は元気が無くなりその後、元気にならなくなった。
 服を直して上から退くと、何故か泣きながら帰って行った。

 後日、言いふらすのを心配したけれど、それも無かった。

 そう彼は、すぐに意図に気がついた。
 だが、行為が出来ることに満足をしようとしたが、さすが男の子。
 プライドが勝った。

 彼はこの出来事をバネに、女の子を馬鹿にするきらいがあるが、立派なたらしとなっていく。

 そして後日。お兄ちゃんと会ったとき、私は愕然とすることになる。
 声は届いていた。しっかりと。

「いや。おまえのことがあるし断っていたが、彼女と付き合うことに決めた」
 そう言って、照れくさそうに言う。

「付き合っていたのじゃないの、この前泣いている彼女とキスをしていたじゃない」
 んん? と言う顔をした後。
「目にまつげが入って、痛いって言っていた時か。あんときはとってあげただけだが?」
「でもその後、手を繋いで」
「ああ取れたが、自分でこすった時に、傷でも入ったのか目が開かなくて、まあ誘導の為だな。見られていたのか。そう、あの彼女が付き合うことになった子だよ。おまえのことは妹みたいなだけではなく、卒業すれば、こ……。いや、いい。彼氏と仲良くしろよ。おまえは、言葉がきつくて誤解されやすいし。結構我が儘だからな。注意しろ」
 
 そう言って、お兄ちゃんは家へと入っていった。
 嬉しそうに、スマホの画面を眺めながら。

 そうして、一人暮らしをすると言って、家を出て行ってしまった。

「あの子ったら、梨乃ちゃんが困ったら、勉強も見ないといけないしとか言ってたのに。梨乃ちゃんが好きで離れたくなかったみたいだけど、いきなり振られたようだって言って、一人暮らしを始めたみたい。梨乃ちゃんも彼氏と仲良くね」
 彼のお母さんから、押しつけられた情報。きっと、再び私の嬌声が響く日のことを考えたのだろう。

 漫画の様な勘違い。
「まつげなんて、目に入れるなよ。それくらいで泣くなよぉ」
 かわいい女ねえ。

 そして私は、目の前からお兄ちゃんがいなくなり、学校での自分に目が向くと意外と嫌われていた。お兄ちゃんが言っていた通り。
 言葉がきつく、我が儘。それの度が過ぎてていたようだ。

「彼氏と仲良くか…… 顔も名前も分からないのが致命傷。付き合う気も無いけれど、私は誰に初めてをあげたのかしら」

 ぽっかりと、何かが抜けてしまった、ただ暑いだけの夏休みがくる。


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 ええ、暑さに負けて、現実逃避しました。
 一応、着替えて外へ、出はしたんです。
 でも、熱風とあたるだけでくらっとくる太陽光。
 バンパイアじゃないが、それだけで灰になりました。
 草刈り。無理。
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