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病気とラブコメ多少(一葉と一希)

第4話 本当のこと?

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「ふっはっはっは。なかなかよろしい」
 予想と違ったが、うまく行っている。

 思っていたのとは随分違ったが、一葉との仲も進展をした。
 あれからさらに、ラブラブとなり青春を楽しんでいた折。

 夏休みを利用して、一葉は手術を受けることになったようだ。
 自然治癒を期待したが、できないようだし、本当なら小さな頃に塞がらなければ難しいという話はご両親も知っていたが、娘の体に傷をつけたくないと。ここまで待った。
 だけど、これから後になると、体も変化していくし、本人も健康になるならと納得しているようだ。

 まあちょっと前に、
「一葉が健康になるならそれが一番だ。傷など気にしないよ。僕が信じられない?」
 などと言う会話が、あった。

「じゃ。ちょっとくらい、激しく動いても、大丈夫な体になる」
 そう言って、彼女は手術を受けることになった。
 そう。一葉の動機はエッチをするため。
 だと僕は思っている。本意は知らんが。


「じゃあ病院へ行ってくるよ」
「ああ。お母さん達も後で行くから」
 今日、一葉は手術を受ける。

 僕は駅に向かいながら、これからのあれこれを考えていた。
 おりょ、急いでいるのに信号が点滅し始めた。
 いつもの僕なら、次の青を待つ。
 だがしかし、今日の僕はハイテンションで急いでもいる。

 本人は、軽快に走っていくカモシカのような自分を想像しつつ、ドタバタと地面を揺らしながら走る。

 暑いせいか、最近余計に運動が嫌いになり、少し体重も増えた。
「体に悪いから、痩せた方が良いよ。抱き心地は良いけど」
 一葉にもそう言われた。

 横断歩道半ばで、歩行者信号が赤になる。
「げっ」
 その状態で、横の自動車用も赤信号となり、右折のみの矢印がついた。
 やべ。こっちへ車が来る。
 そう思い。さらにバタバタと、走る。

 するとなぜか、僕の正面。
 僕はその時、大きな道路の右側歩道を歩いていた。
 当然、車は車道だが、対向するように走ってくる。

 左前に見える車線を、止まるはずのトラックが、交差点へ入る。当然矢印により僕の背後方面から来た車は、右折をしてくる。
 もう少しで、渡り切れたのに。

 トラックか、乗用車か。どちらにはねられたのか分からない。
 僕は状況的にやばいと思い、正面をにらみ。飛び込むように体を必死に動かしたが、後ろから何かに押され、空を飛んだ。

 

「いてぇ。ああ、驚いた」
 ブツブツと言いながら、体を起こす。
 痛かった記憶があって、つい痛いといったが、あれ? 痛くない。

 何で、周りは白い部屋?

「おお来たか。ほっほっほ」
 偉そうなじいさんが、杖を持って立っている。

「さて早速だが、君にはこの世界へ行って貰おう。無論力は与えてやる」
 空中に映し出された、違和感のある大陸の星。

「はっ。そんなことを、言っている場合じゃないんだ。今急いでいるんだよ」
「意外とおバカじゃの。すでに、貴様は死んでおる。この場所からも、わしの力なしでは出られん。ぬっ。おおそうか、そうか。心残りはその子か。特別じゃ見せてやる」
「見せてやる?」
 その瞬間に映像が、頭の中に降ってくる。


「手術成功だよ」
 明るくしゃべる、一葉の両親。
 麻酔から覚めた一葉は、ぼーっとした感じで周りを見る。
 心臓の手術は、術中心臓を一度止める。
 そのため、全身麻酔だ。
「気持ちは悪くない?」
 一葉は頷く。

「麻酔が覚めるに従って、痛みが出始める。その時は言うんだよ」
 一葉パパも一葉をのぞき込んでいる。

「ねえ、一希にいちゃんは?」
「にいちゃん? ああ彼のことをそんな風に呼んでいたのか。彼なら、何かあって遅れているんだろう」
 そう言いながら、パパさんは背中に冷や汗をかいていた。
 娘は手術を受けたばかり、それも心臓の。

 彼が亡くなったことは聞いている。
 奇しくも、救急病院のため彼の体はここにある。
 だけど、家族ですら。顔が潰れ、最初は誰か分からなかったと言っていた。
 そんな状態。娘には、見せられない。

 ちょうど、入院中に。
 彼の葬儀は、行われるだろう。

 引きつった笑いを、一葉にむける。

「おう。成功したのか良かったな」
 一葉にはそんな声が聞こえた気がした。

 この時、一希に与えられた能力の一つだったのか、精神感応的なものが発動され声が届いた。

 時系列はどうなっているのか分からないが、確かに届き。
 一葉その声で安心して、眠る。

 最近の病院は、入院が短い。
 無理をしてはいけないが、2週間程度で退院。
 これは、一葉の希望でもあった。
 家族は隠しているが、あまりにもおかしい。
 一希が私の一大事に、来ないはずはない。

 家族と一緒に帰り、家の玄関を通り抜ける。
「一葉」
 パパがあわてて、私を呼ぶ。
 そんなの駄目だよ。
 私は核心を得る。
 お兄ちゃんに何かがあった。私な会いに来られないほどの何か。

 いつか、他愛なく言ったあの会話。
 本当なんだよ。
『一葉に何かあると、僕はもうだめだと思うよ。僕たちは互いに、互いがいないと駄目なんだよ』
『そうだねえ。私も困るかな』

 チャイムを押すと同時に、玄関ノブを回す。
 誰かがいれば、ドアは開いている。

 開いている。
「お邪魔します」
 ああ。ドキドキが止まらない。
 せっかくの手術。何かあったら、お兄ちゃんに文句を言ってやる。
 
「あっ。……そう。今日退院だったのね」
「お兄ちゃんは。お兄ちゃんは何処?」
「お兄ちゃん? ああ一希のことなの?」
「はい。お兄ちゃんです」
「そう。……一希はこっちだけど、一葉ちゃん。あのね」
 そう言っている間に、私は移動する。
 ここの家、仏間がある。そっちということ。
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