3 / 232
謀略による誘導と自爆(優斗と愛結)
第3話 変化と必然
しおりを挟む
ええ、そう。
私は1年の。いえ。
その前から、あなたを知っているし、あなたを見ていた。
高校の試験日。
誰かに突き飛ばされ、転びそうになった。
その時ふっと手が出て、転びそうな私を支えてくれた。
中学校の時から、目立っていた私に、皆は一歩引いた感じで接して来ていた。
私はニコッと微笑み、お礼を言うつもりで準備をした。
それなのに、あなたは私が転がらなかったことを良しとして、私には一瞥もせず。
礼すら言わせず、さっさと行ってしまった。
まるで私など、眼中にない。
路傍の石のような扱い。
そして、その時。
彼の横には、私をさげすむような眼が、こちらに向いていた。
そして、彼の視線は、その彼女にだけ向いていた。
なんなのあれ?
その後幾度も、彼との接点はあった。
言葉も交わした。
でも、全く興味は私へ向いてこない。
その後、2年になり。
彼がぽつんと教室にいる事が多くなった。
幾度もタイミングを合わせ、彼に近付くが、話をしてもその時だけ。
相変わらず、彼の興味は私に向いてこない。
もう、その時。
いえ。今現在、私は完全にむきになり、興味を向けてくれない彼を、振り向かせるために一所懸命になっていた。
それは、クラスの中でほぼ周知となっていたのに、彼だけが、気が付かない。
そのほかの人に、どれだけ褒められようとも、私の心は満たされず。
落ち込む日々。
ああっ。かれ。
あの人に、こっちを向いてもらえれば、それだけで私は幸せ。
この無駄とも言える努力を、やめることなど考えられない。
この1年と数か月、今日を待ち望んでいた。
彼に声をかけられ、名前は知っていたみたい。うれしい。
ほっぺまで、触れてもらった。
それだけで、私の心臓は高まり、ほっぺをつままれたときには、お尻から頭のてっぺんにまで電気が流れ、腰が砕け思わず膝をつきそうになった。
彼の笑顔、彼の言葉。すべてが私を魅了する。
「あっ待って」
彼の隣。並んで歩く。
欲が出る。手をつなぎたい。
あっ。部室の横を通る。チャンスだわ。
精神を集中する。
彼は、グランドに誰も居ないのを気にしている様子。
まだ日が落ちるには早い。
サッカー部はまだ走り回っている。
私は、彼の手を取り
「ねえ何か聞こえない?」
それだけを、彼に伝える。
「うん? そうか? ……」
素っ気なくそう答えるけれど、彼の目付きが険しくなり、私をどけて一歩部室に向いて踏み出す。
なぜか、その時。周りの空気が、凍り付いたように思える。
私の耳にも、さっきまでの部活の声。
周りの蝉の声。
すべてが聞こえなくなった。
ただ目の前の、彼の表情。そして雰囲気が、それを引き起こしている。
怖い、怖い、怖い。少しでも動けば、私は殴られる?
それが、急に弛緩して、やっと呼吸ができるようになる。
「あーそうか」
彼はただそう言って、私の手をつかむと、握ったまま歩き始める。
手握って……。
手がやはり大きい。
それを感じ、彼の体をまじまじと見る。
部活もしていないのに、引き締まった感じ。
細くはないのね。
夏服のワイシャツ。
彼の筋肉が、かなりあることが、服の上からでも分かる。
私より、目線で10cm以上は高い。
もっと? 180cm近いのかしら?
こうやって歩いていても、無意識だろうか、速度を合わせてくれる。
学校から出ても、車道側へスムーズに移動。
手が離れたときには、あっと思い悲しくなったが、いつの間にか私の鞄を持って彼が車道側へ。そのまま手をつないでくれる。
歩道橋では、彼が一段下がり、手が腰の後ろへ。
距離が近い。
さっきから私の、体がおかしい。
エッチなことをされているのではない、それなのに。
そう、教室でほっぺを引っ張られたとき。
あのときから、多分軽いものだが幾度も絶頂をしている。
昔何かで読んだ記憶がある。
女は、位牌を抱いただけで絶頂できると。
私は、そうか……。
この人が気になるのは、自身でも異常だと思っていたけれど、あのときから私は、この人のことを好きに。一目惚れしていたんだわ。
「そうかぁ。私は好きだったんだ」
思わず口をついて出た言葉が、ストンと私の胸に納まる。
歩道橋の上へ到着間際。
手はつないだまま、先に一歩踏み出して、彼と目線を合わせる。
「私、あなたが好きです」
そう言って、目線がそろった彼にキスをする。
ええ。そこまではよかった。
私主導の、軽いキス。
でも、彼の手が私の腰へ。そして、舌が入ってきた途端。
私の下半身は、力を。立つことを放棄した。
夕暮れとはいえ、歩道橋の上で…… 彼からのキスで、本気でいってしまった……。
信じられない。
立とうと思っても、膝に力は入らず、ガクガクとなる私の体。
「あう。あう」
言葉も出ない。
「どうした? 何か発作でもあるのか。薬でも必要なら教えろ。飲ませてやる」
そう言って彼は、私をお姫様抱っこをして、周辺を見ているようだ。
くるくると、回る感じが気持ちいい。
声が出るなら、盛大にあーっはっはと笑いたい。そんな衝動が出てくる。
だが、実際に彼が見ている私は、ぐったりとして、時折ぷるぷる震えている。
そうよ。繰り返される余震のように、いくのが止まらないの。
発作だと思われても、仕方が無いと思う。
私は1年の。いえ。
その前から、あなたを知っているし、あなたを見ていた。
高校の試験日。
誰かに突き飛ばされ、転びそうになった。
その時ふっと手が出て、転びそうな私を支えてくれた。
中学校の時から、目立っていた私に、皆は一歩引いた感じで接して来ていた。
私はニコッと微笑み、お礼を言うつもりで準備をした。
それなのに、あなたは私が転がらなかったことを良しとして、私には一瞥もせず。
礼すら言わせず、さっさと行ってしまった。
まるで私など、眼中にない。
路傍の石のような扱い。
そして、その時。
彼の横には、私をさげすむような眼が、こちらに向いていた。
そして、彼の視線は、その彼女にだけ向いていた。
なんなのあれ?
その後幾度も、彼との接点はあった。
言葉も交わした。
でも、全く興味は私へ向いてこない。
その後、2年になり。
彼がぽつんと教室にいる事が多くなった。
幾度もタイミングを合わせ、彼に近付くが、話をしてもその時だけ。
相変わらず、彼の興味は私に向いてこない。
もう、その時。
いえ。今現在、私は完全にむきになり、興味を向けてくれない彼を、振り向かせるために一所懸命になっていた。
それは、クラスの中でほぼ周知となっていたのに、彼だけが、気が付かない。
そのほかの人に、どれだけ褒められようとも、私の心は満たされず。
落ち込む日々。
ああっ。かれ。
あの人に、こっちを向いてもらえれば、それだけで私は幸せ。
この無駄とも言える努力を、やめることなど考えられない。
この1年と数か月、今日を待ち望んでいた。
彼に声をかけられ、名前は知っていたみたい。うれしい。
ほっぺまで、触れてもらった。
それだけで、私の心臓は高まり、ほっぺをつままれたときには、お尻から頭のてっぺんにまで電気が流れ、腰が砕け思わず膝をつきそうになった。
彼の笑顔、彼の言葉。すべてが私を魅了する。
「あっ待って」
彼の隣。並んで歩く。
欲が出る。手をつなぎたい。
あっ。部室の横を通る。チャンスだわ。
精神を集中する。
彼は、グランドに誰も居ないのを気にしている様子。
まだ日が落ちるには早い。
サッカー部はまだ走り回っている。
私は、彼の手を取り
「ねえ何か聞こえない?」
それだけを、彼に伝える。
「うん? そうか? ……」
素っ気なくそう答えるけれど、彼の目付きが険しくなり、私をどけて一歩部室に向いて踏み出す。
なぜか、その時。周りの空気が、凍り付いたように思える。
私の耳にも、さっきまでの部活の声。
周りの蝉の声。
すべてが聞こえなくなった。
ただ目の前の、彼の表情。そして雰囲気が、それを引き起こしている。
怖い、怖い、怖い。少しでも動けば、私は殴られる?
それが、急に弛緩して、やっと呼吸ができるようになる。
「あーそうか」
彼はただそう言って、私の手をつかむと、握ったまま歩き始める。
手握って……。
手がやはり大きい。
それを感じ、彼の体をまじまじと見る。
部活もしていないのに、引き締まった感じ。
細くはないのね。
夏服のワイシャツ。
彼の筋肉が、かなりあることが、服の上からでも分かる。
私より、目線で10cm以上は高い。
もっと? 180cm近いのかしら?
こうやって歩いていても、無意識だろうか、速度を合わせてくれる。
学校から出ても、車道側へスムーズに移動。
手が離れたときには、あっと思い悲しくなったが、いつの間にか私の鞄を持って彼が車道側へ。そのまま手をつないでくれる。
歩道橋では、彼が一段下がり、手が腰の後ろへ。
距離が近い。
さっきから私の、体がおかしい。
エッチなことをされているのではない、それなのに。
そう、教室でほっぺを引っ張られたとき。
あのときから、多分軽いものだが幾度も絶頂をしている。
昔何かで読んだ記憶がある。
女は、位牌を抱いただけで絶頂できると。
私は、そうか……。
この人が気になるのは、自身でも異常だと思っていたけれど、あのときから私は、この人のことを好きに。一目惚れしていたんだわ。
「そうかぁ。私は好きだったんだ」
思わず口をついて出た言葉が、ストンと私の胸に納まる。
歩道橋の上へ到着間際。
手はつないだまま、先に一歩踏み出して、彼と目線を合わせる。
「私、あなたが好きです」
そう言って、目線がそろった彼にキスをする。
ええ。そこまではよかった。
私主導の、軽いキス。
でも、彼の手が私の腰へ。そして、舌が入ってきた途端。
私の下半身は、力を。立つことを放棄した。
夕暮れとはいえ、歩道橋の上で…… 彼からのキスで、本気でいってしまった……。
信じられない。
立とうと思っても、膝に力は入らず、ガクガクとなる私の体。
「あう。あう」
言葉も出ない。
「どうした? 何か発作でもあるのか。薬でも必要なら教えろ。飲ませてやる」
そう言って彼は、私をお姫様抱っこをして、周辺を見ているようだ。
くるくると、回る感じが気持ちいい。
声が出るなら、盛大にあーっはっはと笑いたい。そんな衝動が出てくる。
だが、実際に彼が見ている私は、ぐったりとして、時折ぷるぷる震えている。
そうよ。繰り返される余震のように、いくのが止まらないの。
発作だと思われても、仕方が無いと思う。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる