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第3章 レジスタンス

第18話 次の仕事

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「データは大分。取れたようだ。今必死で暗号化を解除している」
「デコードユニットが無いと、取り出された瞬間。暗号情報になるのは面倒だな」
「かといって、サーバごとは盗んでこられないだろう。どこかの山の地下に分散配置していて、集めると野球のドーム並みらしいぞ」
「そうなんだよな。システム全体を地下水で冷却。エコだね」

「ところがだ、そのユニットの一部が、北アルプスにあるという情報が取れた」
「ユニットの一部?」
「そうだ、暗号化アルゴリズム。此処で計算され、デーコード用データが配られている。そこに潜り込み。ばらまき装置を勝手に設置。今の使いにくいサービスに対して改善をこちらで勝手に行う。税金も掛けず良い国民だろう」
「まあな。設置は難しいのか?」

 そう聞くと小さなユニットを見せる。
「本当なら、ネットワークラインの間に噛ませば良いが、通信がどうしたって切断するからな。周囲のケーブルにクリップするだけで良い」
 そう言ってみせるのは、ノイズカット用のフェライトコアのような物。
「懐かしいな。しかし、光ラインにこんな物。怪しくないか?」
「そりゃ、分かる奴が見たらだが、気にしないだろう」

「丁度、中根も帰ってきたのだろ」
「ああ。帰ってきたばかりだが」
「施設で1年以上も遊んでいたんだ。仕事させろ。潜入者の本領発揮だ」
「ああ分かったが、ぶつくさ言われるのは俺だぞ。全く」

 だが、思ったより回答のレスポンスは良かった。
「メンバーは、望月流生に上月静流。出浦紡。中根慎一と山本凪。凪は通信系のプロだったな。まあ5人良いか。うん? 望月流生。今回潜入をしてデータを引っ張った本人じゃ無いか。掘り出し物か。いや、望月? 関係者か。まあいい。若いから色々やってみる事だ」

「うし。と言う事で、命令だ。北アルプスにピクニックだ。お弁当が必要だぞ」
 そう言って作戦内容と、メンバー表を見る。
 下に小さく手書きで、5分後に燃え出す事があると書かれている。

 まあ燃えれば燃えたときだ。要点だけかいつまんで見る。
「地下の水脈を遡ると言う事か」
「そうだ。その辺りは体力と根性。水温は15度以下だ」
「ちょっと待て、私は体力が無いぞ。確かに対象はサーバだから、うってつけだが」
「大丈夫だよ。潜入者中根様に任せろ。おぶってでも連れて行ってやるよ」
「僕も始めてなので、よろしくお願いしますね」
 そう言って、山本凪さんに、ニコッと笑い。握手をする。

「あっはい。サポートお願いしますね」
 そう言って、ぽっと赤くなる。

「こら、凪まで盗るんじゃ無い」
「盗るんじゃ無いって。何よあんた。数回寝ただけで彼氏面するんじゃ無いわよ。あっ。いや。若い頃はさあ、色々あるから。いまは何にも無いから安心してね」
 そう言って、俺の方を向いて、ニコッと微笑む。
 静流がおとなしいな。どうしたんだ?

「静流おとなしいな。どうした?」
「あーうん。大丈夫。流生が居るから。がんばりゅ」
「がんばりゅ? 本当に大丈夫か」
 そっと額に手を当てに行ったが、そのまま手を捕まえ自分の頬にあてる。そして、ため息を付く。

「ああ。大丈夫。そいつは洞窟が怖いだけだから。地下のトンネルには、お化けがいるから怖いんだよなぁ。ぐはっ」
 うん殴られて、飛んでいった。今。大分強くなったからな。

 静流もコアを埋めたからな。
 紡が、言った一言。
「細胞の活性化と老化がおかしい。流生と私は凄く長生きになるかも。よろしくね」
 その一言で、埋めた。
 話を聞いた瞬間。引っ張っていったもの。
 紡が手術する間もそばにいて、見張っていた。
 術後になって、意識の戻った静流に問われる。
「私の心。綺麗だった?と聞かれて、答えに困った」
 胸を開いて、心が見えると、それはヤバイ世界になりそうだ。

「ああ。うん。安心して」
 そう言うと、安心してまた眠った。
 気を使い。流れをまともに整えると、結構早く回復をした。

 そして復活後。僕に勝てると自信満々にチャレンジをしたが、早々に気絶をした。
 必殺、感受性強化の技。これは一子相伝の技で、経絡秘穴を突き。……嘘です。
 気をコントロールして、センサーを活性化させるだけ。そのままあげると、痛みを感じるから調節は難しい。
 体全体をなで、安心と暖かさを伝えていく。
 反応から、首筋や胸。望んでいるところを、じらしながら刺激する。
 まあ後は、色々と。

 それはさておき、準備は、薄手のドライスーツや赤外線ライト。暗視スコープは赤外タイプと音響タイプを持って行く。
 ワイヤーや、アイゼン。かぎ爪などの冬装備もしていく。
 ただし、クライミングカムは使えるが、ピッケルやハーケンなどは打ち込んだまま残置するし、打ち込むのに音がする。そのため使えない。
 
 無論、衣服や手袋は、すべて赤外線を通さない。

 登山者を装い歩いてはいるが、途中から、夜間行動で温度の高い水脈を探す。
「他より数度高い。これだろう。上に上がって、どこかクラックか洞穴があれば良いが、無ければ直接アタックでセンサーと根性試しだな」
「私は、それでもいいぞ」
 静流は、穴へ入りたくないのだろう。
「却下。最後の手段だ」
 中根はそう言い切って、登り始める。
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