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第1章 いくつかの起点
第6話 予想外
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森へ入れば、すぐに見つかった。
森の景色が、一部ズレている。
「お待たせしました」
「いいえ。大丈夫よ。それよりも、聞きたいことがあるの」
「はい何でしょう?」
「無線の情報とこの場所。どうやって知ったの?」
「ネット上に散らばった情報を、集めて到着しました」
「ネット? ちっ何処の馬鹿よ。AIが検索しているのは知っているでしょうに。分かったわ。ありがとうじゃあね」
「いえ。ちょっと待ってください。私を仲間に。レジスタントに」
「しっ。そんな単語を言わないで。何処に耳があるか分からないし。あなた端末を持って、いるのでしょ」
「持っています」
「まだ学生でしょ。さっきに彼氏と一緒に。いちゃついていなさい。その方があなたの為よ」
「でも私」
そう言うと、ため息を付く。女性。
「いい。潜入任務のために、見知らぬ相手に体を使うこともある。そんなことがあなたに出来るの?」
「それは。今は出来ませんが。そのうち心を決めて」
「できるの? 彼が好きなんでしょう」
「そうですけど」
「悪いことは言わない。活動は、あなたがきっと思っているよりずっと辛いし苦しいものよ。おやめなさい」
「わたし、中林未希(なかばやしみき)です」
「中林?」
奥に向かおうとした揺らぎが止まる。
「あの彼は?」
「えっどうして」
「彼の名前は?」
「望月流生(もちずきりゅうせい)です」
「そう。望月の。じゃあ。やはりおとなしく暮らしなさい。あわてなくて大丈夫。先祖からの情報を。成人後に読ませてもらいなさい。幼いくノ一さん」
「ちっ。離れろ。レジスタンスが、こんな所で何をしている」
あっ。流生。何とか彼を抑えようとしたけれど、逆に私が、レジスタンスのお姉さんに突き飛ばされてしまう。
「この野郎」
流生が認識阻害シートを引っぺがす。ああまずい。
お姉さんの姿を見て、流生の動きが止まる。
何今の動き。チクッと胸がする。
お姉さんにいきなり顔を殴られ、流生が川に向かって転がり落ちていく。
「ちぃ」
下で流生が叫んだけど。もう遅い。逃げ始めていた。
流生が私の方へ駆け上がってくる。
「大丈夫か?」
「うん大丈夫。でもどうして?」
「帰りが遅いから、気になったんだよ。それより、あいつレジスタンスだろう。どうしてこんな所に」
流生がそう言って、手に持った認識阻害シートを見たとき、私は引き留めてしまった自分を責めた。
キャンプの片付けをして、家へ帰っているとき。端末からアラートが流れる。
『緊急避難命令。速やかに家へ帰り待機』
あわてて、二人で走って帰る。
ああ。認識阻害シートを取られたから、警戒網にひっかかったのね。
悪いことをしちゃった。でも、あの人が言った言葉。頭の中で繰り返す。
『望月の。じゃあ。やはりおとなしく暮らしなさい。あわてなくて大丈夫。先祖からの情報を。成人後に読ませてもらいなさい』
先祖からの情報? 私がくノ一? 確かに、おじいちゃんの家は。伊賀にある。
それに、望月の。と言うことは、彼のこと。いえ実家ね。距離は近いし。
家に帰る途中、治安部隊がすでに警戒線を張っていた。
「端末と手のひらをここに」
素直に従う。
「出ていた目的は?」
そう問われ、流生が答える。
「単位取得の為。サバイバル訓練です」
「2人共かね?」
「そうです」
そう言うと、隊員さんの表情が和らぐ。
「手助けは、していないよね」
にやつきながら聞いてきた。私は頭の中に彼にもらった魚がふとよぎる。
「その辺りは、きっちりしました」
流生がそう言うと、うんうんと頷く。
「では。早く帰りなさい。警戒中だ。怪しい者は見ていないよね」
「ええ。みて……」
流生がそこまで言ったとき、私は彼に託した。
私の思い、きっと彼なら分かってくれる。
きっと、理解して。私が好きなら。お願い私の願い。
「彼が手引きをしたのを、見ました」
私が言った、その瞬間。捜査官の雰囲気が変わる。
「本当かね。冗談でしたは、通じないよ」
「証拠に彼は、認識阻害シートを持っています」
それを聞き、捜査官は銃に手をかける。
「持っているなら出しなさい。まあ。本当に持っているなら、持っているだけで、有罪だがね」
俺は片手は上げ。左手で、ポケットから。
認識阻害シートを取り出す。
捜査官は、確認し。すぐに流生の端末は、没収された。
連れて行かれる流生に託す。繋がりを。お願い。理解して。そう思いながら、私は流生を見送る。
私は、解放され家へと帰る。
流生のお父さん達に、顛末を説明する。
「そうか。疲れただろう。休みなさい」
その夜。
「なんだか予想外だな」
「ああ。未希ちゃんが、こそこそしていたが。流生が捕まるとはな」
「ああいや。多分に未希が暴走をしたのだろう。ご子息には苦労させるな」
「いいや。まあ昔から言うじゃないか。かわいい子には旅をさせろと。あの鈍感馬鹿には、いい修行だろう」
「少し、前倒しにするかね」
「ああじいさん。まあいいだろう。3年もすれば出てくる。出てこず。どこかに行けば気づきがあったということ。それはそれで、手が省けるさ」
「望月家は厳しいなあ。うちは娘だし、甘やかしすぎたかな?」
「いや十分才女だ。後はあいつ次第」
森の景色が、一部ズレている。
「お待たせしました」
「いいえ。大丈夫よ。それよりも、聞きたいことがあるの」
「はい何でしょう?」
「無線の情報とこの場所。どうやって知ったの?」
「ネット上に散らばった情報を、集めて到着しました」
「ネット? ちっ何処の馬鹿よ。AIが検索しているのは知っているでしょうに。分かったわ。ありがとうじゃあね」
「いえ。ちょっと待ってください。私を仲間に。レジスタントに」
「しっ。そんな単語を言わないで。何処に耳があるか分からないし。あなた端末を持って、いるのでしょ」
「持っています」
「まだ学生でしょ。さっきに彼氏と一緒に。いちゃついていなさい。その方があなたの為よ」
「でも私」
そう言うと、ため息を付く。女性。
「いい。潜入任務のために、見知らぬ相手に体を使うこともある。そんなことがあなたに出来るの?」
「それは。今は出来ませんが。そのうち心を決めて」
「できるの? 彼が好きなんでしょう」
「そうですけど」
「悪いことは言わない。活動は、あなたがきっと思っているよりずっと辛いし苦しいものよ。おやめなさい」
「わたし、中林未希(なかばやしみき)です」
「中林?」
奥に向かおうとした揺らぎが止まる。
「あの彼は?」
「えっどうして」
「彼の名前は?」
「望月流生(もちずきりゅうせい)です」
「そう。望月の。じゃあ。やはりおとなしく暮らしなさい。あわてなくて大丈夫。先祖からの情報を。成人後に読ませてもらいなさい。幼いくノ一さん」
「ちっ。離れろ。レジスタンスが、こんな所で何をしている」
あっ。流生。何とか彼を抑えようとしたけれど、逆に私が、レジスタンスのお姉さんに突き飛ばされてしまう。
「この野郎」
流生が認識阻害シートを引っぺがす。ああまずい。
お姉さんの姿を見て、流生の動きが止まる。
何今の動き。チクッと胸がする。
お姉さんにいきなり顔を殴られ、流生が川に向かって転がり落ちていく。
「ちぃ」
下で流生が叫んだけど。もう遅い。逃げ始めていた。
流生が私の方へ駆け上がってくる。
「大丈夫か?」
「うん大丈夫。でもどうして?」
「帰りが遅いから、気になったんだよ。それより、あいつレジスタンスだろう。どうしてこんな所に」
流生がそう言って、手に持った認識阻害シートを見たとき、私は引き留めてしまった自分を責めた。
キャンプの片付けをして、家へ帰っているとき。端末からアラートが流れる。
『緊急避難命令。速やかに家へ帰り待機』
あわてて、二人で走って帰る。
ああ。認識阻害シートを取られたから、警戒網にひっかかったのね。
悪いことをしちゃった。でも、あの人が言った言葉。頭の中で繰り返す。
『望月の。じゃあ。やはりおとなしく暮らしなさい。あわてなくて大丈夫。先祖からの情報を。成人後に読ませてもらいなさい』
先祖からの情報? 私がくノ一? 確かに、おじいちゃんの家は。伊賀にある。
それに、望月の。と言うことは、彼のこと。いえ実家ね。距離は近いし。
家に帰る途中、治安部隊がすでに警戒線を張っていた。
「端末と手のひらをここに」
素直に従う。
「出ていた目的は?」
そう問われ、流生が答える。
「単位取得の為。サバイバル訓練です」
「2人共かね?」
「そうです」
そう言うと、隊員さんの表情が和らぐ。
「手助けは、していないよね」
にやつきながら聞いてきた。私は頭の中に彼にもらった魚がふとよぎる。
「その辺りは、きっちりしました」
流生がそう言うと、うんうんと頷く。
「では。早く帰りなさい。警戒中だ。怪しい者は見ていないよね」
「ええ。みて……」
流生がそこまで言ったとき、私は彼に託した。
私の思い、きっと彼なら分かってくれる。
きっと、理解して。私が好きなら。お願い私の願い。
「彼が手引きをしたのを、見ました」
私が言った、その瞬間。捜査官の雰囲気が変わる。
「本当かね。冗談でしたは、通じないよ」
「証拠に彼は、認識阻害シートを持っています」
それを聞き、捜査官は銃に手をかける。
「持っているなら出しなさい。まあ。本当に持っているなら、持っているだけで、有罪だがね」
俺は片手は上げ。左手で、ポケットから。
認識阻害シートを取り出す。
捜査官は、確認し。すぐに流生の端末は、没収された。
連れて行かれる流生に託す。繋がりを。お願い。理解して。そう思いながら、私は流生を見送る。
私は、解放され家へと帰る。
流生のお父さん達に、顛末を説明する。
「そうか。疲れただろう。休みなさい」
その夜。
「なんだか予想外だな」
「ああ。未希ちゃんが、こそこそしていたが。流生が捕まるとはな」
「ああいや。多分に未希が暴走をしたのだろう。ご子息には苦労させるな」
「いいや。まあ昔から言うじゃないか。かわいい子には旅をさせろと。あの鈍感馬鹿には、いい修行だろう」
「少し、前倒しにするかね」
「ああじいさん。まあいいだろう。3年もすれば出てくる。出てこず。どこかに行けば気づきがあったということ。それはそれで、手が省けるさ」
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