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第1章 いくつかの起点
第3話 サバイバル訓練
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幼馴染み。
うちの親。望月家と仲が良かった、中林家の娘。
お互い、住んでいたのは大阪エリア。
俺のじいさん達は、滋賀エリアに住んでいる。
未希のじいさん達は、三重エリア。
親同士は仲が良いが、じいさん同士は、いにしえからの因縁とかで仲が悪い。
でもまあ、物心つかない頃から。親に撮影された、一緒に寝ているデータや、お風呂。プール。キャンプ。釣り。そんなデータが残っている。
いや。手元に端末はすでにない。データか、今はどうなっただろう? まあどうでも良いが。
あれの前。最後は、9年生のとき。
もう大きくなったから、二人でキャンプへ行けと言われて、行ったときだな。
テントを張り。
魚を捕って、料理。
そうそう。サバイバルキャンプは、学生としての必修で単位がある。
年に最低、1回はそれに類する事を。行わなければいけない。
歳とともに、課題をクリアする条件が厳しくなる。
火起こしは、小さな頃はライターとかを使って良い。だが、大きくなると、火種を作ることから始める。そのため、雨が降った日は最悪だ。
テントとか食料も、どんどん無くなっていく。
今の俺だと、もう大人と変わらず。
予備隊標準装備のナイフ一本と、ファーストエイドキット1つとなっている。
まだ二年前。
あの頃は、まだテントは、使って良かった。
食料調達と、火は人力だったか?
ああそうか。
あのとき。食料調達は一緒だから、お互い川へ入って、濡れた服は干し。
暖を取るため。裸で抱き合ったのが、最後だな。
川から上がり、濡れた服を脱いでしまってから、振り返ると奴がガン見していた。
「すごい。形まで変わってる。変なの」とか言って。
まあ、そういう彼女も。躊躇なく服を脱ぐ。
私も少しは変わった? とか言って、見せあいっこしたっけ?
お互いに、家の中でしか暮らさないから、羞恥心とかが無くなっていると、母さんが言っていたっけ。
何でそんな話しに。ああそうか、帰って母さんに、未希の胸が膨らんできてた。不思議だって言う報告を、したのだっけ?
あの後、女の子は年頃になると、体が変わって、赤ちゃんが産めるように変化するのよ。と教えてくれたな。
あの後、家庭での教育マニュアル。実行忘れてたとか言って、父さんと大騒ぎをしていた。
そんな記憶を持って、あの日。
久しぶりに会った未希は、ずいぶんかわいく。そして、大人びていた。
「やっほ~。流生おひさぁ」
「おう。元気そうだな」
「ぼちぼちでんなぁ」
そう俺は、望月流生(もちずきりゅうせい)周りに流され、生きる男。
全くもって良くないな。
恒例の、
「おう、行ってこい。流生は完全版だろ。未希のテントにしのびこまず。自分でシェルターを作れ」
そう言って、家を追い出される。
「ほーい」
ナイフと、ファーストエイドキットを巻き付ける。
俺はいつも。腰の後ろに着けている。
未希はテントとシュラフ入りのザックを背負う。
「場所は、いつもの所で良いよね」
「ああ。今年は少し、蛇が多いらしい気を付けろ」
父さんから、情報をもらう。
「はーい」
たんぼ道から、山道へ入り。稜線を越えて、下り始める。
涸れ沢を目印にして、下っていき、谷へたどり着く。
ここは脇に、湧き水もあり。
上流と下流に淵がある。
川は瀬だが、両岸は、少し砂が堆積している。
未希が、テントを建てている間に、枝か笹。竹でも何でも良いから、材料を探す。
基本は立てかけるか、組むか、その二種類が多い。
テントの横に作りたいから、Aシェルターを作る。
木の枝や笹を引っ張ってきて、上部が狭いX状になるように、ブスブスと斜めに地面へ突き刺す。
上部にできた狭いV字に、重しになるように、木の枝を乗せる。
かまどを作るため、石を積んでおく。
周りを囲い、1段目は空気が抜ける感じで積む。下側から空気が入って、火によってできる上昇気流で、上に抜けるイメージ?
火起こし用の火口には、本当は綿を蒸し焼きにした。チャークロスとかがあればいいのだが。規定で使えない。ちょっとずるだが、こそっとスチールウールを持ってきていた。
まあススキの穂も使うし、大丈夫だろう。
火打ち石は、さっき河原で適当に見つけた、ある程度の硬度を持った石なら、何でも使える。石斧っぽい、尖った感じの物をいくつか拾ってきた。ライターの火打ち石もフリントと呼ばれ、チャートの一種だ。ファイアースターターがあれば、楽なんだが、これまた、実習では禁止されている。
ファイアースターターと言っても、フェロセリウム(鉄とセリウムの合金)やマグネシウムの単なるロッドなのに。
火は、火口に向かって、ナイフの背で、石の尖った角をこする。手を切らないようにちょっと勢いよく。金属が粉となって飛ぶように、イメージする。
これは豆知識だが、笹の節で上手く、シリンダーとピストンを作り。空気が漏れないようにして、堅いところへ打ちつけ。すると、中に詰めた綿に火を付ける方法などもある。ファイヤーピストンと言われて、大昔から圧気発火器は東南アジアで広く使用されていて、16世紀にヨーロッパへ渡ったようだ。デーゼルエンジンの発明。動作原理の元になったようだ。
ちょっと息をかけ、火の勢いを増し、上に杉の葉を積み上げていく。
適当な物がない場合、乾いた木の枝を切り離さず、薄くめくり返してフェザースティックを作ったりもする。おすすめはスギ、ヒノキ、マツ。
その上に、細く乾いた枝。
その上にと、順に木を太くしていく。
十分火が大きくなったら、目の詰まった木のほうが火持ちは良い。
しめって重いのは論外。乾いていて重いもの。イヌマキとかクヌギ、ナラ。
クヌギやナラは、いわゆるどんぐりの木だ。
ただし、『ウルシ』と『キョウチクトウ』は燃やしちゃ駄目だ。
煙でもやられる。漆は、葉の付いている枝。葉軸が赤っぽくて葉柄を中心として左右に羽状に葉が付いて先端に1枚。奇数羽状複葉となっている。
キョウチクトウは、分厚い笹ぽい葉の形。枝の一カ所から3枚の葉が出ている。
夏に綺麗な花が咲く。
さて、シェルターの材料は。
ダニとか虫を避けるため、笹の葉とかも少しあぶり、さらに少しいぶしてから、床に敷き詰める。
屋根にも、バサッと乗せ。木の枝で抑える。
入り口の少し前。おおよそ70cm位前にも、風よけのために簡易の壁を作る。
1尋(ひろ)の半分くらいかな? 1尋は両手を広げた長さ。
サバイバルでは、体を使った大昔の長さが役に立つ。
未希の方も、火がおこせたようだ。
少し太い木を、もたせかけるようにくべる。
そして、上着だけを脱ぎ、川へと入る。
うちの親。望月家と仲が良かった、中林家の娘。
お互い、住んでいたのは大阪エリア。
俺のじいさん達は、滋賀エリアに住んでいる。
未希のじいさん達は、三重エリア。
親同士は仲が良いが、じいさん同士は、いにしえからの因縁とかで仲が悪い。
でもまあ、物心つかない頃から。親に撮影された、一緒に寝ているデータや、お風呂。プール。キャンプ。釣り。そんなデータが残っている。
いや。手元に端末はすでにない。データか、今はどうなっただろう? まあどうでも良いが。
あれの前。最後は、9年生のとき。
もう大きくなったから、二人でキャンプへ行けと言われて、行ったときだな。
テントを張り。
魚を捕って、料理。
そうそう。サバイバルキャンプは、学生としての必修で単位がある。
年に最低、1回はそれに類する事を。行わなければいけない。
歳とともに、課題をクリアする条件が厳しくなる。
火起こしは、小さな頃はライターとかを使って良い。だが、大きくなると、火種を作ることから始める。そのため、雨が降った日は最悪だ。
テントとか食料も、どんどん無くなっていく。
今の俺だと、もう大人と変わらず。
予備隊標準装備のナイフ一本と、ファーストエイドキット1つとなっている。
まだ二年前。
あの頃は、まだテントは、使って良かった。
食料調達と、火は人力だったか?
ああそうか。
あのとき。食料調達は一緒だから、お互い川へ入って、濡れた服は干し。
暖を取るため。裸で抱き合ったのが、最後だな。
川から上がり、濡れた服を脱いでしまってから、振り返ると奴がガン見していた。
「すごい。形まで変わってる。変なの」とか言って。
まあ、そういう彼女も。躊躇なく服を脱ぐ。
私も少しは変わった? とか言って、見せあいっこしたっけ?
お互いに、家の中でしか暮らさないから、羞恥心とかが無くなっていると、母さんが言っていたっけ。
何でそんな話しに。ああそうか、帰って母さんに、未希の胸が膨らんできてた。不思議だって言う報告を、したのだっけ?
あの後、女の子は年頃になると、体が変わって、赤ちゃんが産めるように変化するのよ。と教えてくれたな。
あの後、家庭での教育マニュアル。実行忘れてたとか言って、父さんと大騒ぎをしていた。
そんな記憶を持って、あの日。
久しぶりに会った未希は、ずいぶんかわいく。そして、大人びていた。
「やっほ~。流生おひさぁ」
「おう。元気そうだな」
「ぼちぼちでんなぁ」
そう俺は、望月流生(もちずきりゅうせい)周りに流され、生きる男。
全くもって良くないな。
恒例の、
「おう、行ってこい。流生は完全版だろ。未希のテントにしのびこまず。自分でシェルターを作れ」
そう言って、家を追い出される。
「ほーい」
ナイフと、ファーストエイドキットを巻き付ける。
俺はいつも。腰の後ろに着けている。
未希はテントとシュラフ入りのザックを背負う。
「場所は、いつもの所で良いよね」
「ああ。今年は少し、蛇が多いらしい気を付けろ」
父さんから、情報をもらう。
「はーい」
たんぼ道から、山道へ入り。稜線を越えて、下り始める。
涸れ沢を目印にして、下っていき、谷へたどり着く。
ここは脇に、湧き水もあり。
上流と下流に淵がある。
川は瀬だが、両岸は、少し砂が堆積している。
未希が、テントを建てている間に、枝か笹。竹でも何でも良いから、材料を探す。
基本は立てかけるか、組むか、その二種類が多い。
テントの横に作りたいから、Aシェルターを作る。
木の枝や笹を引っ張ってきて、上部が狭いX状になるように、ブスブスと斜めに地面へ突き刺す。
上部にできた狭いV字に、重しになるように、木の枝を乗せる。
かまどを作るため、石を積んでおく。
周りを囲い、1段目は空気が抜ける感じで積む。下側から空気が入って、火によってできる上昇気流で、上に抜けるイメージ?
火起こし用の火口には、本当は綿を蒸し焼きにした。チャークロスとかがあればいいのだが。規定で使えない。ちょっとずるだが、こそっとスチールウールを持ってきていた。
まあススキの穂も使うし、大丈夫だろう。
火打ち石は、さっき河原で適当に見つけた、ある程度の硬度を持った石なら、何でも使える。石斧っぽい、尖った感じの物をいくつか拾ってきた。ライターの火打ち石もフリントと呼ばれ、チャートの一種だ。ファイアースターターがあれば、楽なんだが、これまた、実習では禁止されている。
ファイアースターターと言っても、フェロセリウム(鉄とセリウムの合金)やマグネシウムの単なるロッドなのに。
火は、火口に向かって、ナイフの背で、石の尖った角をこする。手を切らないようにちょっと勢いよく。金属が粉となって飛ぶように、イメージする。
これは豆知識だが、笹の節で上手く、シリンダーとピストンを作り。空気が漏れないようにして、堅いところへ打ちつけ。すると、中に詰めた綿に火を付ける方法などもある。ファイヤーピストンと言われて、大昔から圧気発火器は東南アジアで広く使用されていて、16世紀にヨーロッパへ渡ったようだ。デーゼルエンジンの発明。動作原理の元になったようだ。
ちょっと息をかけ、火の勢いを増し、上に杉の葉を積み上げていく。
適当な物がない場合、乾いた木の枝を切り離さず、薄くめくり返してフェザースティックを作ったりもする。おすすめはスギ、ヒノキ、マツ。
その上に、細く乾いた枝。
その上にと、順に木を太くしていく。
十分火が大きくなったら、目の詰まった木のほうが火持ちは良い。
しめって重いのは論外。乾いていて重いもの。イヌマキとかクヌギ、ナラ。
クヌギやナラは、いわゆるどんぐりの木だ。
ただし、『ウルシ』と『キョウチクトウ』は燃やしちゃ駄目だ。
煙でもやられる。漆は、葉の付いている枝。葉軸が赤っぽくて葉柄を中心として左右に羽状に葉が付いて先端に1枚。奇数羽状複葉となっている。
キョウチクトウは、分厚い笹ぽい葉の形。枝の一カ所から3枚の葉が出ている。
夏に綺麗な花が咲く。
さて、シェルターの材料は。
ダニとか虫を避けるため、笹の葉とかも少しあぶり、さらに少しいぶしてから、床に敷き詰める。
屋根にも、バサッと乗せ。木の枝で抑える。
入り口の少し前。おおよそ70cm位前にも、風よけのために簡易の壁を作る。
1尋(ひろ)の半分くらいかな? 1尋は両手を広げた長さ。
サバイバルでは、体を使った大昔の長さが役に立つ。
未希の方も、火がおこせたようだ。
少し太い木を、もたせかけるようにくべる。
そして、上着だけを脱ぎ、川へと入る。
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