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第四話 推しが推しに狂っているのは割と好きではあるけど二次創作でやってくれとボクは泣いた
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「いじめだ……これはいじめ……っていうか誘拐だ……」
メソメソ泣きながら手錠を引っ張ってみる。ガシャンと音がするだけでどうにもならなかった。それでも必死に引っ張ってみる。でもやっぱりガシャンとなるだけだ。手首が痛いだけで取れそうな気配は全然ない。
「……トイレ行きたい、家に電話したい、推しの墓参りしたい……誘拐だあ! ボクは誘拐されている! だれか! 助けて! うわああん! だれかあ! 助けてええ!!」
誘拐された子どもらしくボクが喚くとドアが開き「そうか、トイレに行きたいのか」と誘拐犯がのたまった。
「はい! ボク、おもらししそうです! 手錠を取って!」
「じゃあオムツが必要だな」
「はい⁉」
「手錠取ったら逃げるだろ?」
「手錠されてなくてもあなたから逃げるとか無理ゲー!! だから‼ いやだ!! 取ってよ!!」
ボクの叫びにガジは「ンー」と考えるように声を出した。悩むように目を伏せたその顔が超ハンサムだった。彼の顔には火傷の痕があるのだが、額から左頬にかけて出来ているそのケロイド含めて彼はやはりどう見てもハンサムだ。ハンサムだから許されるという話ではないのだけど、ハンサムが思い悩んでいる姿は眼福である。
などと現実逃避をしつつ、ボクはさらに訴える。
「っていうかボクがここでおもらししたらあなたが一番困るでしょ!」
「いやそれは別に。お前の尿ぐらいで今更どうも思わない」
「愛が深い!! でもいやだ、そんな特殊性癖のあるガジは解釈違いです!! あとボクはシャンルじゃないよ!」
「んー……まあ、でもずっとベッドの上にいたら、……壊れるかな……まあ、お前なら壊れてもいいけど」
「なにもよくないです!! 小さい声で怖いことを言わないで!!」
ボクは彼を見ながら、『半裸のガジ様超ハンサムなんだが、どう考えてもやはり攻め』と現実逃避をしつつ、涙目で「やだ、取って」と頼んだ。彼はじっとボクを見た後「可愛い甘え方をするなあ」と言った。
「いいだろう。確かに今のお前が俺から逃げるのは無理だから手錠は取ってやる。だが、……」
「だが?」
「俺に敬語を使うな、……むず痒くていやだ」
「……わかった」
ガジは宣言通り手錠を取ると、ついでにボクの頬にキスをした。彼は朝からいい匂いがした。
「おいで、シャンル」
「ボク、シャンルじゃないってば……」
彼はクスっと笑うと部屋を出ていく。ボクは頬をぬぐいながら、彼についていった。
ガジの家は高いところにあるらしく窓から見える景色はどれも街を見下ろしていて、キラキラと朝日が差し込んでいる。朝日を踏みながらフカフカの廊下を進むと、これまたとても広いリビングルームがあった。天井も高く、シャンデリアがつるされている。これじゃさっきのボクの叫びはどこにも届いていないだろう。
「お金持ちの家だ……」
「まあ、英雄だしな。このマンション全部俺の物だから、……まあ逃げ出そうとしてもいいが、地上まではたどり着けないだろうな」
「すごいお金持ちだ!」
「英雄だぞ、俺は……」
ガジは頬をかいた。ちょっと頬が赤いから、多分照れていた。なにそれ可愛い。
「二次創作で見たかった!!!」
「なんの話だ? ……まあ、これから俺のものは全部お前のものだ。好きに使え」
「はい⁉⁉⁉」
ガジはボクの髪を撫でると、ボクの額にキスをして、それから手首にもキスをした。ボクの手首は赤く腫れていて痛々しい傷になっている。彼はそこに何度かキスをする。
「まずなにがしたい、シャンル?」
彼は優しく微笑んで、だからボクは恐怖に泣いた。
メソメソ泣きながら手錠を引っ張ってみる。ガシャンと音がするだけでどうにもならなかった。それでも必死に引っ張ってみる。でもやっぱりガシャンとなるだけだ。手首が痛いだけで取れそうな気配は全然ない。
「……トイレ行きたい、家に電話したい、推しの墓参りしたい……誘拐だあ! ボクは誘拐されている! だれか! 助けて! うわああん! だれかあ! 助けてええ!!」
誘拐された子どもらしくボクが喚くとドアが開き「そうか、トイレに行きたいのか」と誘拐犯がのたまった。
「はい! ボク、おもらししそうです! 手錠を取って!」
「じゃあオムツが必要だな」
「はい⁉」
「手錠取ったら逃げるだろ?」
「手錠されてなくてもあなたから逃げるとか無理ゲー!! だから‼ いやだ!! 取ってよ!!」
ボクの叫びにガジは「ンー」と考えるように声を出した。悩むように目を伏せたその顔が超ハンサムだった。彼の顔には火傷の痕があるのだが、額から左頬にかけて出来ているそのケロイド含めて彼はやはりどう見てもハンサムだ。ハンサムだから許されるという話ではないのだけど、ハンサムが思い悩んでいる姿は眼福である。
などと現実逃避をしつつ、ボクはさらに訴える。
「っていうかボクがここでおもらししたらあなたが一番困るでしょ!」
「いやそれは別に。お前の尿ぐらいで今更どうも思わない」
「愛が深い!! でもいやだ、そんな特殊性癖のあるガジは解釈違いです!! あとボクはシャンルじゃないよ!」
「んー……まあ、でもずっとベッドの上にいたら、……壊れるかな……まあ、お前なら壊れてもいいけど」
「なにもよくないです!! 小さい声で怖いことを言わないで!!」
ボクは彼を見ながら、『半裸のガジ様超ハンサムなんだが、どう考えてもやはり攻め』と現実逃避をしつつ、涙目で「やだ、取って」と頼んだ。彼はじっとボクを見た後「可愛い甘え方をするなあ」と言った。
「いいだろう。確かに今のお前が俺から逃げるのは無理だから手錠は取ってやる。だが、……」
「だが?」
「俺に敬語を使うな、……むず痒くていやだ」
「……わかった」
ガジは宣言通り手錠を取ると、ついでにボクの頬にキスをした。彼は朝からいい匂いがした。
「おいで、シャンル」
「ボク、シャンルじゃないってば……」
彼はクスっと笑うと部屋を出ていく。ボクは頬をぬぐいながら、彼についていった。
ガジの家は高いところにあるらしく窓から見える景色はどれも街を見下ろしていて、キラキラと朝日が差し込んでいる。朝日を踏みながらフカフカの廊下を進むと、これまたとても広いリビングルームがあった。天井も高く、シャンデリアがつるされている。これじゃさっきのボクの叫びはどこにも届いていないだろう。
「お金持ちの家だ……」
「まあ、英雄だしな。このマンション全部俺の物だから、……まあ逃げ出そうとしてもいいが、地上まではたどり着けないだろうな」
「すごいお金持ちだ!」
「英雄だぞ、俺は……」
ガジは頬をかいた。ちょっと頬が赤いから、多分照れていた。なにそれ可愛い。
「二次創作で見たかった!!!」
「なんの話だ? ……まあ、これから俺のものは全部お前のものだ。好きに使え」
「はい⁉⁉⁉」
ガジはボクの髪を撫でると、ボクの額にキスをして、それから手首にもキスをした。ボクの手首は赤く腫れていて痛々しい傷になっている。彼はそこに何度かキスをする。
「まずなにがしたい、シャンル?」
彼は優しく微笑んで、だからボクは恐怖に泣いた。
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