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第一話 地雷を踏むなと軍人に言う地雷のことをご配慮くださいってことですかとボクは叫んだ
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シャンルは写真も映像も残っていないけど、世界で一番大きな石像になっている。以前は自由の女神像っていうのが建ってたけど、それが宇宙戦争で壊されたから代わりにシャンル像が建ったんだって。
シャンル像はとても大きく、とても偉大で、とても綺麗だ。彼の柔らかなウェーブの入った髪、奥目がちな顔立ち、優しそうな微笑み、そして筋肉質なわがままボディー。まさに『雄』。さすが星一つ壊すだけの、その圧倒的な格好よさ。
ボクは推しの御姿を拝み、涙を落とす。
「シャンル様、このアングルからも天使とか何事ぞ? このお姿を拝見できるのに、入場料なしisなに。無料コンテンツなのゴフい。はぁー、ぱねえ胸筋……ゴフみがすごしですぞー……ひぇーん……OMG……So hot……」
お土産屋さんで買った『I ♡ Sanl』Tシャツと『I ♡ Sanl』帽子と『I ♡ Sanl』トートバックを身につけたボクは、カメラ容量がなくなるまで写真を撮った。そんなボクを写真に撮る人もいたが全く気にならない。
ボクは今、自分の言いたいことを服で示しているだけ。『I ♡ Sanl』、それだけのこと。だってボクは間違いなく彼を愛している。
愛しているよ、推し、あなたの守った地球で生きているよ、推し、ありがとう、推し、愛しているよ、推し、だから誰よりもガジに愛されててくれ、推し……ぶっきらぼうな男の愛を受け入れてくれ、推し……ボクは泣きながら写真を撮った。そんなボクの姿がツブヤキッター(※SNSの一つ)でバズったそうだが、もちろんそんなこともどうでもよかった。
ボクは満足いくまで写真を撮ってから手帳を取り出す。そして手帳に書いた『死ぬまでにやりたいこと』リストの一番上にチェックをいれる。
「『シャンル像を生で観る!』、達成!」
その項目の下の『ガジ様のお姿を拝見する』を指先でこする。
最強の二人の内の一人、生き残ったガジは地球軍隊長という肩書きを持っているけど、今は完全に隠居していて表舞台には出てこない。一度でいいからチラリとでも御姿を拝見したいなあって思うけど多分これは無理だろう。彼はもう『語るべきことは全て語った。だからメディアには顔を出さない』と宣言しているからだ。とはいえ彼の姿はもう全世界の人が知っている。
ボクは手帳をめくり、挟んでいた写真を眺める。
ガジの最後の演説の時の写真だ。黒い軍服に隊長の印の金バッジをつけ、黒い杖をつき、黒い仮面で顔の上半分を隠す無表情の彼。着込んでいるけれど体のラインが引き締まっていることがわかるし、それだけ隠していても彼の体には消えない跡が残っていることもよくわかる。美しくて、綺麗で、大好きな人だ。でも、……きっとボクは彼に会えない。残念だけど、それが推しの望んだことだから仕方ない。それにボクはメディアからでなくなった彼がどこかで一人シャンルのことを思いながら心穏やかに過ごしている系の話が一番好きなので、それはむしろそっとしておきたい。
ちなみにガジは白髪で金眼の筋肉粒々のハンサムで、シャンルはプラチナブロンドに緑眼の中性的なハンサムだ。
世界最強のハンサムたち、やはりゴフい。
「……よし、じゃあ次は推しの墓に行こう」
ボクは像を拝んでから、次の目的地に向かって歩き出した。
――と歩き出して五分で判明したのだけど、観光地で観光地Tシャツを着ている子どもはあっという間に路地に連れ込まれるらしい。ボクはボクを囲むボクより少し年上っぽい複数の男性を見上げて、「ホエ……」と間抜けな言葉を吐くしか出来なかった。
シャンル像はとても大きく、とても偉大で、とても綺麗だ。彼の柔らかなウェーブの入った髪、奥目がちな顔立ち、優しそうな微笑み、そして筋肉質なわがままボディー。まさに『雄』。さすが星一つ壊すだけの、その圧倒的な格好よさ。
ボクは推しの御姿を拝み、涙を落とす。
「シャンル様、このアングルからも天使とか何事ぞ? このお姿を拝見できるのに、入場料なしisなに。無料コンテンツなのゴフい。はぁー、ぱねえ胸筋……ゴフみがすごしですぞー……ひぇーん……OMG……So hot……」
お土産屋さんで買った『I ♡ Sanl』Tシャツと『I ♡ Sanl』帽子と『I ♡ Sanl』トートバックを身につけたボクは、カメラ容量がなくなるまで写真を撮った。そんなボクを写真に撮る人もいたが全く気にならない。
ボクは今、自分の言いたいことを服で示しているだけ。『I ♡ Sanl』、それだけのこと。だってボクは間違いなく彼を愛している。
愛しているよ、推し、あなたの守った地球で生きているよ、推し、ありがとう、推し、愛しているよ、推し、だから誰よりもガジに愛されててくれ、推し……ぶっきらぼうな男の愛を受け入れてくれ、推し……ボクは泣きながら写真を撮った。そんなボクの姿がツブヤキッター(※SNSの一つ)でバズったそうだが、もちろんそんなこともどうでもよかった。
ボクは満足いくまで写真を撮ってから手帳を取り出す。そして手帳に書いた『死ぬまでにやりたいこと』リストの一番上にチェックをいれる。
「『シャンル像を生で観る!』、達成!」
その項目の下の『ガジ様のお姿を拝見する』を指先でこする。
最強の二人の内の一人、生き残ったガジは地球軍隊長という肩書きを持っているけど、今は完全に隠居していて表舞台には出てこない。一度でいいからチラリとでも御姿を拝見したいなあって思うけど多分これは無理だろう。彼はもう『語るべきことは全て語った。だからメディアには顔を出さない』と宣言しているからだ。とはいえ彼の姿はもう全世界の人が知っている。
ボクは手帳をめくり、挟んでいた写真を眺める。
ガジの最後の演説の時の写真だ。黒い軍服に隊長の印の金バッジをつけ、黒い杖をつき、黒い仮面で顔の上半分を隠す無表情の彼。着込んでいるけれど体のラインが引き締まっていることがわかるし、それだけ隠していても彼の体には消えない跡が残っていることもよくわかる。美しくて、綺麗で、大好きな人だ。でも、……きっとボクは彼に会えない。残念だけど、それが推しの望んだことだから仕方ない。それにボクはメディアからでなくなった彼がどこかで一人シャンルのことを思いながら心穏やかに過ごしている系の話が一番好きなので、それはむしろそっとしておきたい。
ちなみにガジは白髪で金眼の筋肉粒々のハンサムで、シャンルはプラチナブロンドに緑眼の中性的なハンサムだ。
世界最強のハンサムたち、やはりゴフい。
「……よし、じゃあ次は推しの墓に行こう」
ボクは像を拝んでから、次の目的地に向かって歩き出した。
――と歩き出して五分で判明したのだけど、観光地で観光地Tシャツを着ている子どもはあっという間に路地に連れ込まれるらしい。ボクはボクを囲むボクより少し年上っぽい複数の男性を見上げて、「ホエ……」と間抜けな言葉を吐くしか出来なかった。
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