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Theme:懇親会のご案内
閑話 好きだから知らないでほしいこともある*
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仕事が終わり、お風呂に入り、夕飯を食べたあと、ソファーで花の図鑑を眺めていたら、ヤトが後ろから抱きついてきた。私が何かに集中している時にちょっかいをかけてくるのは珍しい。
眼鏡を外して顔を上げる。
「なーにー? どしたの?」
「君に構ってほしいだけだ、無視してくれていい」
「え? どういうこと? 難しいことを言わないでよ……」
この家には一人がけのソファーしかない。
それは母は硬い椅子を好み、私は一人がけのソファーでうたた寝をするのが好きだったからだ。そういうわけで私がソファーにいるときは、ヤトは母が使っていた椅子で本を読んでいることが多いのだけど、どうも今図書館から借りてきている本を読み切ってしまったらしい。
(つまり暇なのね……)
図鑑を閉じ、背もたれに頭を預けて、ヤトを見上げる。
「明日図書館行こうか? 車出すよ」
「いやいい。今、読みたいものは読んだ」
「そう? 最近は何読んでるの?」
ヤトはコンビニでも売っている二十代女性向けの女性誌の名前を挙げた。
「そんなの読んでたの!?」
「セックスレス特集だったからな」
「……」
「セックスの誘い方特集でもあった」
この男、恐ろしいことに、真顔である。
「……セックスレスって、我々に当てはまります?」
告白したら意識飛ぶまで抱かれてたのはほんの数日前だ。もう元カレとしたセックス全部足したのよりすごいのしたのだ。なのに、ヤトは真顔である(余談だが、美形すぎるせいで、単なる真顔にも圧がある)。
「五日も『中断』しているんだぞ?」
「中断ではないんだって……! それに仕事がある日は、ほら、疲れてると言うか……」
ヤトは私の頬を両手で包むと、きゅるきゅると喉を鳴らした(ヤトがたまになる、この、きゅるきゅる、きゅるきゅる、という程の鳴らし方は私にしかしない。ハナフサさんへの威嚇のときは、ごろごろごろごろなので、多分威嚇ではない。なんか、かわいい音だし……意味はわからないけども……)。
「……そんな顔しないでよ……」
手を伸ばして、ヤトの頬を包む。ヤトは猫みたいにすり寄ってきた。
「……六花、明日休みだよ?」
「うん……」
「だめか……?」
「その……」
駄目ってことはない。
恋人なのだし、したいという気持ちはわからんでもない(なんなら、私だってしたくないわけではない)。
ただ、元カレのとちがって、ヤトのものは我慢したら終わる、とかじゃなさそうなのだ。気持ち良すぎて脳みそ溶かされて、何を言ってるか分からない状態にさせられ、挙げ句の果てに意識飛ぶまでやることになりそうなのだ。
(つまり、覚悟がいる)
ヤトとする場合、バンジージャンプどころかスカイダイビングぐらいの覚悟が必要なのだ(どんなセックスだと思われるかもしれないが、そんなセックスなのだとしか言いようがない。そして、そんなもんをホイホイできるのは地球上ではトム・クルーズしかいない)。
だから、直ぐに返事を出来ないでいると、「一緒に暮らしていると男として見られなくなるのか……?」と、とんでもないことを言ってきた。
「待って。早いの。そこの問題意識を持つのが早過ぎるの」
「でも、濡れてなくて痛いってことはないだろ? 同意も取っていたはずで……、私の身体が好みではなかったか? 何か道具を使おうか? 雰囲気のあるレストランにつれていけばいいのか? 他の女と仲良さそうに話そうか? 鍛えるか?」
「その雑誌を一回こっちに持ってきてくれます!?」
ヤトが大人しく雑誌を持ってきてくれたので、その雑誌をお尻に敷き、隠す。と、ヤトが私の正面に回ってきたので、おとなしく正面からヤトを見上げる。ヤトは未だに真顔である。つまりこれは真剣に話している(やめてほしい……)。
「この本の内容を信じないで」
「たくさんの人が同じことに悩んでいる。悩んだ時に先人の知恵を借りるのはいいことだとされているだろ?」
「そう言われると否定しにくいけども……でも違うの。これは他のカップルの話で、私たちの話ではないでしょ?」
ヤトが眉間に皺を作った。
「でも、君は逃げるじゃないか。この話をしたくなさそうだ」
それを言われるとどうしようもなく、つい、眉が下がってしまう。
「確かに私はこの五日間、ヤトがその話をしそうなとき逃げてたけど、そんな雑誌に頼られるほどの話とは……いや、でも私が逃げるから本を読んだのよね……そうね……あなた、勉強熱心だもんね……」
つまりこれは私が悪い。話し合いの場から逃げたのだから。
でもなぜ逃げたか説明するのは、かなりあせすけな話になってしまう。彼女として彼氏にあけすけに話すのはそれなりに抵抗があることなのだが、この辺の感情の機微をヤトにどう説明しようか悩んでいると、彼が深く息を吸った。
「……君が、嫌なことならしたくない、とは思ってる」
そこまで思い詰められると困る。
「そんなんじゃない。少しも嫌じゃないよ。その……気持ちよかったし、ヤトと触れ合ってる時間は好きだから……」
ヤトはほっとしたのか、吸った息を全部吐き出した。
「よかった……」
「というか……ヤトは何回も聞いてくれたでしょ。嫌ならその時言うよ。だけど、なんというか、その……私ばっかり気持ちよくて終わるのは嫌なの……でも入れようとすると……その、ヤトはまたあの、なんかよくわかんない儀式するでしょ? そうするともうわけわかんなくなるから怖いというか……」
どう話してもあけすけになってしまう。最後の方はモゴモゴと口の中で話すだけになってしまった。ヤトは目を閉じて、息を吐くように笑った。
「わかった。術を使わずに挿入してほしいということか?」
「……あけすけに言えば、そう。あんなに気持ちよくなっちゃうのは困る……みっともない気がするし……恥ずかしいし……あと長過ぎても頭おかしくなるし……なんていうか……」
ちゅ、と頬に何か触れた。え、と思ってそちらを見ると、唇に唇が触れていた。
チュ、と触れて、離れて、また、触れる。ヤトの甘くて苦い香りに包まれながら、小鳥がついばむように、何度も唇にキスをされ、力が抜ける。
「ふ、……ん、ふは、くすぐったい、ん、んん……」
誘うように、ヤトが私の下唇を甘く噛んだ。少し引っ張って、離されて、歯でなぞられて、ゾワゾワと気持ちいい。ヤトの肩に手を回すと、彼はソファーの背もたれをつかんで、上から私を押しつぶすようにキスを仕掛けてきた。
「ちょ、ま、あ、はぷ、……ん、え、……」
私の唇を割ってヤトの舌が入りこむ。
歯の形を確かめるように舌が入り込み、逃げ腰になっている舌をすくい取られ、絡まる。吸い上げられると、腰にまで響くように気持ちがいい。上から大きな人に囲われている、怖いはずのシチュエーションなのに、好きな人に覆い隠されているというだけで、体の奥から喜んでしまう。
「ん、ふぁ、ま、っ……」
首にヤトの手が触れる。いきなり急所にさらわれたことで体がビクリと跳ねてしまう。ヤトはそんな私を落ち着かせるように首を撫でながら、舌で上顎をくすぐる。頭皮までゾワゾワして、涙が出てくるぐらい。
(気持ちいい……)
くちゅ、と互いの唾と空気が混ざり合い、いやらしい音が鳴る。私の全身の力が抜けてから、ヤトが舌を抜いた。
「……気持ちいい?」
「なんで、そんな、勉強熱心なの……?」
ヤトは目を丸くしたけれど、すぐ幸せそうに微笑んだ。
「ふふ、……その、君が踏みつけてる本に色々書いてあった。胡散臭いものもあるが……とにかく、私の種族の睦み合いは人には大変なのはわかった」
「……意外と有用な本なのね」
お尻に敷いていた本を抜き取り、ページを捲ると、ヤトが本の上に手を置いた。目を合わせると、もう読ませてもらえないことははっきりと分かった。
「だけど私にとって、とても幸せな時間なんだ。短くするという考えはいやだ。だから短いものもできるようになろうと思う。……それで、色々学んだし……」
ヤトが欲に淀んだ目を隠しもせず私を見ている。なのに、眉を下げて、まるで子犬みたいなふりをする。どう考えても狼の小芝居だ。
「今日、しないか?」
でも、そんな芝居にすんなり騙されてあげたくなるぐらいには、私は彼が好きなのだ。
「仕方ないなぁ」
結局、私から彼にキスをした。
□
「う、あっ……!」
ところで『短いセックス』ってどういうのだ、と先に聞いておけばよかったのだ。どうして私は、『案ずるより産むが易し』と思ったのだろうか。後悔は先に立たないから仕方ないのかもしれないけど、もう少し学ぶべきだと思う。
キスをしながら寝室に連れ込まれ、『なんでこんなにキスが上手いんだろう。というか、上手いキスって実在するんだなぁ』なんて浮かれている間に部屋着をひん剥かれ、あっという間に裸でベッドに転がされたと思ったら、足首を掴まれ、え、と思ったら、『しゃぶりつかれた』。
どこかといえば、そこを、である。
それだけは嫌だと喚いたのだけど、『そういう本』を読んで余計な知識を得たヤトが止まってくれるはずもなく、しかもその大きな体を最大限に活かして、腰骨やら胸やらまで愛撫され、神経に直に来るような性感であっという間に達してしまった。
それでも止まってくれるならまだしもだ。
「やとっ、や、やすみっ、い、いっいぃ……っ!」
休みがない。一秒たりとも休みがない。
「六花、休んであげたいけど、十五分だとすごく忙しいんだよ」
「ひ、ひっひがいしゃ、みたいな、かおっ……やめてっあっひっやぁ……!」
続け様にその長い指を入れられ、いつ覚えられたのか知らないけど気持ちいいところをヤワヤワと指圧されてしまう。私の内側はもう、ヤトの方が詳しいようにさえ思う。こんな性急なのに痛みも苦しみもなく、ただ、息も上がるほどに気持ちがいい。
「ほら、キスしよ?」
「や、やだっ、なめたじゃん……っ」
「人間には普通の行為だろ?」
「普通じゃないぃ……されたことないもんっ」
「そうなのか? ……そうか、嬉しい」
「わらうなぁっ……あ!」
私は今までこんなにされてことはない。させられたことはあったけど、こんな奉仕ばっかりされたことはない。こんなに気持ちよくさせられたことなんてない。私の気持ちよさなんて二の次どころか考慮されない行為のはずなのに、ヤトは私がよがればよがるほどうれしそうで……。
(こんなのに慣れたらおかしくなる)
危機感すら覚えているのに、ヤトは「六花、キスしたいな……」と色っぽすぎる声を鼓膜に注ぎ込んでくる。その声すら、もう、私の弱点だ。腿が震えて、ヤトの手首をぎゅうと包んでしまう。
「私の声、好きか?」
「んっ……ぐぅぅう……っ!」
私の中に挿し込まれた彼の薬指を締め付けてしまう。気持ちいい。頭の中で火花が散ってるみたい。がく、と崖から落ちるみたいに、また達してしまう。
(こんなの知らない)
ヤトとするセックスは、私の知ってるものじゃない。
(またわけわからなくなる、こんなのっ)
怖くなって、手を伸ばし、必死にヤトをつかむ。背中に手を回してしがみつくと、ヤトが深く息を吐いた。
「六花、怖がらないで」
ヤトが指の動きを止め、額を合わせてくれた。私を落ち着かせるように、ゆっくりと彼は呼吸をする。それに合わせて呼吸をすると、パニックに陥りそうだった頭が少しだけ冷静になる。
「息をしないと。六花、酸欠になるよ」
「ん、うん……」
「私がここにいる。君の手綱をちゃんと握っている」
彼が私の頬にキスをする。
「だから気持ちよくなっていい。ちゃんとここに戻すから」
彼が頬から、辿るように目尻にキスをするから、泣いていたと気がついた。
「……私を頼って、信じてほしい」
赤い瞳を見つめながら、深く息を吸って、深く息を吐く。
「君が、人に頼るのは苦手だと知っている。だから、……少しずつでいい。委ねてほしいんだ」
彼の息が唇に触れる。体から力を抜くと、彼が私にキスをした。触れて、離れる。少し舐めて、私の様子を伺ってくれる。
「ヤト……」
「うん」
私が呼べば止まってくれた。そのことに、ほっとする。
(ヤトはきっと、ずっとこうだ。私を優先してくれる)
これまでのセックスとは、そもそも心持ちが違うのだ。彼はこの時間を、とても大切にしている。それはきっと……私のことが大事だからだ。
「……もう、ちょっとゆっくりしていいよ……」
「そうか? じゃあ、入れたら少しゆっくりしていいか?」
「うん……」
「よかった。君の中にいられるのは、うれしい。……もう少し慣らすよ? 何度もイクのが辛ければ、……その、イカないように、なんとかする」
「なんとか……してくれるんだ?」
彼は生真面目な顔で頷いた。なんだかそれがおかしくて「いいよ」と笑ってしまった。
「ヤトに委ねる。……『短いもの』も、ヤトに任せる」
「……いいのか?」
「うん……私がおかしくなっても嫌わないでね……」
「そんなこと心配してたのか、ふふ、まだ私のことわかってないんだな」
ちゅ、と彼がキスをしてくれる。それだけで、ほ、と落ち着いてしまう。
「好きだよ、六花。……死んだって好きだ」
「殺さないでよ……」
「殺すもんか。……六花、指動かすよ」
「うん……んっ、ん、っ……」
気持ちよさに息を詰めると、咎めるようにかぷ、と頬を噛まれた。
「より好きになるだけだから。口開けて、息をして、声を出して」
「は、……ふぁっ、や、は、あっ……あっ、……」
ぬる、と彼の指が増やされる。気持ちよく、開かれていく。ヤトがうまいのはもちろんのこと、私が『開きたい』ときっと思っているからだ。
(気持ちいい)
痛くない、苦しくない、気持ちいいだけ。怖いことは何もない。
「ヤト、ヤト、……」
「ん?」
「よ、びたい、だけ、は、うっ……気持ちいい、いあ、すき、すきだよ……」
何も考えずに言葉を出して、嫌われない安心感。
「すき、だいすき……」
「……ずるいな。私も言いたいのに、そんなに言われては後出しみたいになる」
「なにそれ、ふふ、ふぁっあっあっ!」
ずぽ、と指が増やされ、圧迫感が増し、それに伴って気持ちよさも増してしまう。
「苦しい?」
「きもちいい、……やと、……はやく、ひらいて、ね、……」
「わかった……」
口をとがらせると、望んだ通りに彼がキスをしてくれた。口を開ければ、舌を挿し込まれ、口の中の粘膜すべてを愛されてしまう。
「ふ、はぷ、……ん、っ……」
体の内側を全部さらけ出している。容易く傷をつけられる繊細なところを、全て彼に触られて、愛されて、なぞられている。それが気持ちよくて、嬉しくて、いっぱいいっぱいだ。
(体の内側が泣いてるみたい、……濡れてる、私……)
ヤトの背中を優しく撫でる。私の指は気持ちよさに好き勝手にはねてしまうけれど、それでも彼が汗をかいているのはわかった。背中から、首を撫で、頭を撫でて、彼の額まで手を伸ばす。
そっと前髪を持ち上げると、ぬるり、と彼が舌をぬいた。
「ふ、ふへ、……まっかだ、やと……」
「……言っただろう? 口説かれたら照れるよ……」
「そっか、……んぁっ!」
指を抜かれ、甘く達してしまった。
指の代わりに押し当てられたものは相変わらず大きくて熱くてかたい。でも、怖くはなかった。
「きて、ヤト」
「ん、息を吸って」
言われたとおりに息を吸う。
「吐いて」
「は、ぁ、あっあっ……!」
息を吐くのに合わせて、彼が入り込む。すっかり緩んだ入り口が伸びて、彼を受け入れた。
「今日は……ここまでしかいれないから」
「ん、は、はぁ……」
先だけでも気持ちいいところは全部こすられてしまう。膝で彼の身体にしがみついてしまうぐらい、もう気持ちいい。馴染むように、彼がゆる、ゆる、と揺れてくれると、手が跳ねるぐらい気持ちよくて、また泣けてきてしまった。
「ヤト……」
キスがしたいなと思ったけれど、目の前にあるのはヤトの胸だ。
「も、うちょっと、小さいといいのに……」
「たしかに……すまない、大きくて……」
「キスできない……」
「え? ……あぁ……」
ヤトが、そっちか、と笑うと、ゆるり、と舌を出した。
「あは、は、なっがい……あ、ふぁっ……」
人ではありえない、長すぎる舌が私の唇に触れる。口を開けて受け入れると、舌にからみついてきてくれる。
「ひ、ふあっ、あっ……」
目を閉じて彼を受け入れると、あとはもう、気持ちよさしか残らなかった。
□
「二時間切った……頑張った……」
一回『終わって』から、ヤトは私の体を優しく清めてくれたあと、裸のまま後ろから抱きついて、万感の思いを乗せてそう言った。
「そんなしみじみと言うほどなの……?」
「あぁ。達成感がある。何よりも君の中で達せたのは初めてだ」
「そうなの!? 前回あんなにやったのに!?」
「だから一回も終わってないと言ったろう……」
後ろからヤトが私の胸をやわやわと揉む。気持ちよくしたい触り方ではないから、戯れているだけらしい。
「じゃあ、すごい我慢してたんだ……?」
「あぁ……ふふ、でも君の中に入れた……嬉しい……」
ぴったりと私にひっついたまま、ヤトがあくびをした。
「眠い?」
「ん……、……ねえ、りっか」
本当に眠いのか、とても甘い、舌足らずの声だ。聞いてるこっちも眠くなってくる。なぁに、と返すと、きゅるきゅると、彼が喉を鳴らす。
「も、すこし、おおきい、べっど、かおう……」
「ん? そうね、ヤト大きいから、セミダブルだと小さい?」
「いっしょに、ねたい……」
「え……?」
私は今更気がついた。
「ひとりで、ねるの、やだ……いっしょがいい……」
これは甘える時の鳴き声だ。そして、そのことに気がついたとき、私はさらに気がついた。
「……仕方ないなぁ……」
私はヤトに甘えられたらなんでも受け入れられてしまうぐらいには、ヤトのことが大好きだということを今更自覚して、少し笑えてしまった。明日ベッド買いに行こうか、ソファーも大きいのでもいいかもね、と返しながら、こんな風にずっと一緒にいたいな、と思った。
「すきだよ、りっか」
「……ありがとう」
人生で他の誰にも思ったことがないことを、人の形をした化け物に願いながら、眠りについた。
他人と一緒に寝るという、不安定な状態なのに、母が死んでから初めて、なんの不安もなく朝まで眠れる、そんな夜だった。
眼鏡を外して顔を上げる。
「なーにー? どしたの?」
「君に構ってほしいだけだ、無視してくれていい」
「え? どういうこと? 難しいことを言わないでよ……」
この家には一人がけのソファーしかない。
それは母は硬い椅子を好み、私は一人がけのソファーでうたた寝をするのが好きだったからだ。そういうわけで私がソファーにいるときは、ヤトは母が使っていた椅子で本を読んでいることが多いのだけど、どうも今図書館から借りてきている本を読み切ってしまったらしい。
(つまり暇なのね……)
図鑑を閉じ、背もたれに頭を預けて、ヤトを見上げる。
「明日図書館行こうか? 車出すよ」
「いやいい。今、読みたいものは読んだ」
「そう? 最近は何読んでるの?」
ヤトはコンビニでも売っている二十代女性向けの女性誌の名前を挙げた。
「そんなの読んでたの!?」
「セックスレス特集だったからな」
「……」
「セックスの誘い方特集でもあった」
この男、恐ろしいことに、真顔である。
「……セックスレスって、我々に当てはまります?」
告白したら意識飛ぶまで抱かれてたのはほんの数日前だ。もう元カレとしたセックス全部足したのよりすごいのしたのだ。なのに、ヤトは真顔である(余談だが、美形すぎるせいで、単なる真顔にも圧がある)。
「五日も『中断』しているんだぞ?」
「中断ではないんだって……! それに仕事がある日は、ほら、疲れてると言うか……」
ヤトは私の頬を両手で包むと、きゅるきゅると喉を鳴らした(ヤトがたまになる、この、きゅるきゅる、きゅるきゅる、という程の鳴らし方は私にしかしない。ハナフサさんへの威嚇のときは、ごろごろごろごろなので、多分威嚇ではない。なんか、かわいい音だし……意味はわからないけども……)。
「……そんな顔しないでよ……」
手を伸ばして、ヤトの頬を包む。ヤトは猫みたいにすり寄ってきた。
「……六花、明日休みだよ?」
「うん……」
「だめか……?」
「その……」
駄目ってことはない。
恋人なのだし、したいという気持ちはわからんでもない(なんなら、私だってしたくないわけではない)。
ただ、元カレのとちがって、ヤトのものは我慢したら終わる、とかじゃなさそうなのだ。気持ち良すぎて脳みそ溶かされて、何を言ってるか分からない状態にさせられ、挙げ句の果てに意識飛ぶまでやることになりそうなのだ。
(つまり、覚悟がいる)
ヤトとする場合、バンジージャンプどころかスカイダイビングぐらいの覚悟が必要なのだ(どんなセックスだと思われるかもしれないが、そんなセックスなのだとしか言いようがない。そして、そんなもんをホイホイできるのは地球上ではトム・クルーズしかいない)。
だから、直ぐに返事を出来ないでいると、「一緒に暮らしていると男として見られなくなるのか……?」と、とんでもないことを言ってきた。
「待って。早いの。そこの問題意識を持つのが早過ぎるの」
「でも、濡れてなくて痛いってことはないだろ? 同意も取っていたはずで……、私の身体が好みではなかったか? 何か道具を使おうか? 雰囲気のあるレストランにつれていけばいいのか? 他の女と仲良さそうに話そうか? 鍛えるか?」
「その雑誌を一回こっちに持ってきてくれます!?」
ヤトが大人しく雑誌を持ってきてくれたので、その雑誌をお尻に敷き、隠す。と、ヤトが私の正面に回ってきたので、おとなしく正面からヤトを見上げる。ヤトは未だに真顔である。つまりこれは真剣に話している(やめてほしい……)。
「この本の内容を信じないで」
「たくさんの人が同じことに悩んでいる。悩んだ時に先人の知恵を借りるのはいいことだとされているだろ?」
「そう言われると否定しにくいけども……でも違うの。これは他のカップルの話で、私たちの話ではないでしょ?」
ヤトが眉間に皺を作った。
「でも、君は逃げるじゃないか。この話をしたくなさそうだ」
それを言われるとどうしようもなく、つい、眉が下がってしまう。
「確かに私はこの五日間、ヤトがその話をしそうなとき逃げてたけど、そんな雑誌に頼られるほどの話とは……いや、でも私が逃げるから本を読んだのよね……そうね……あなた、勉強熱心だもんね……」
つまりこれは私が悪い。話し合いの場から逃げたのだから。
でもなぜ逃げたか説明するのは、かなりあせすけな話になってしまう。彼女として彼氏にあけすけに話すのはそれなりに抵抗があることなのだが、この辺の感情の機微をヤトにどう説明しようか悩んでいると、彼が深く息を吸った。
「……君が、嫌なことならしたくない、とは思ってる」
そこまで思い詰められると困る。
「そんなんじゃない。少しも嫌じゃないよ。その……気持ちよかったし、ヤトと触れ合ってる時間は好きだから……」
ヤトはほっとしたのか、吸った息を全部吐き出した。
「よかった……」
「というか……ヤトは何回も聞いてくれたでしょ。嫌ならその時言うよ。だけど、なんというか、その……私ばっかり気持ちよくて終わるのは嫌なの……でも入れようとすると……その、ヤトはまたあの、なんかよくわかんない儀式するでしょ? そうするともうわけわかんなくなるから怖いというか……」
どう話してもあけすけになってしまう。最後の方はモゴモゴと口の中で話すだけになってしまった。ヤトは目を閉じて、息を吐くように笑った。
「わかった。術を使わずに挿入してほしいということか?」
「……あけすけに言えば、そう。あんなに気持ちよくなっちゃうのは困る……みっともない気がするし……恥ずかしいし……あと長過ぎても頭おかしくなるし……なんていうか……」
ちゅ、と頬に何か触れた。え、と思ってそちらを見ると、唇に唇が触れていた。
チュ、と触れて、離れて、また、触れる。ヤトの甘くて苦い香りに包まれながら、小鳥がついばむように、何度も唇にキスをされ、力が抜ける。
「ふ、……ん、ふは、くすぐったい、ん、んん……」
誘うように、ヤトが私の下唇を甘く噛んだ。少し引っ張って、離されて、歯でなぞられて、ゾワゾワと気持ちいい。ヤトの肩に手を回すと、彼はソファーの背もたれをつかんで、上から私を押しつぶすようにキスを仕掛けてきた。
「ちょ、ま、あ、はぷ、……ん、え、……」
私の唇を割ってヤトの舌が入りこむ。
歯の形を確かめるように舌が入り込み、逃げ腰になっている舌をすくい取られ、絡まる。吸い上げられると、腰にまで響くように気持ちがいい。上から大きな人に囲われている、怖いはずのシチュエーションなのに、好きな人に覆い隠されているというだけで、体の奥から喜んでしまう。
「ん、ふぁ、ま、っ……」
首にヤトの手が触れる。いきなり急所にさらわれたことで体がビクリと跳ねてしまう。ヤトはそんな私を落ち着かせるように首を撫でながら、舌で上顎をくすぐる。頭皮までゾワゾワして、涙が出てくるぐらい。
(気持ちいい……)
くちゅ、と互いの唾と空気が混ざり合い、いやらしい音が鳴る。私の全身の力が抜けてから、ヤトが舌を抜いた。
「……気持ちいい?」
「なんで、そんな、勉強熱心なの……?」
ヤトは目を丸くしたけれど、すぐ幸せそうに微笑んだ。
「ふふ、……その、君が踏みつけてる本に色々書いてあった。胡散臭いものもあるが……とにかく、私の種族の睦み合いは人には大変なのはわかった」
「……意外と有用な本なのね」
お尻に敷いていた本を抜き取り、ページを捲ると、ヤトが本の上に手を置いた。目を合わせると、もう読ませてもらえないことははっきりと分かった。
「だけど私にとって、とても幸せな時間なんだ。短くするという考えはいやだ。だから短いものもできるようになろうと思う。……それで、色々学んだし……」
ヤトが欲に淀んだ目を隠しもせず私を見ている。なのに、眉を下げて、まるで子犬みたいなふりをする。どう考えても狼の小芝居だ。
「今日、しないか?」
でも、そんな芝居にすんなり騙されてあげたくなるぐらいには、私は彼が好きなのだ。
「仕方ないなぁ」
結局、私から彼にキスをした。
□
「う、あっ……!」
ところで『短いセックス』ってどういうのだ、と先に聞いておけばよかったのだ。どうして私は、『案ずるより産むが易し』と思ったのだろうか。後悔は先に立たないから仕方ないのかもしれないけど、もう少し学ぶべきだと思う。
キスをしながら寝室に連れ込まれ、『なんでこんなにキスが上手いんだろう。というか、上手いキスって実在するんだなぁ』なんて浮かれている間に部屋着をひん剥かれ、あっという間に裸でベッドに転がされたと思ったら、足首を掴まれ、え、と思ったら、『しゃぶりつかれた』。
どこかといえば、そこを、である。
それだけは嫌だと喚いたのだけど、『そういう本』を読んで余計な知識を得たヤトが止まってくれるはずもなく、しかもその大きな体を最大限に活かして、腰骨やら胸やらまで愛撫され、神経に直に来るような性感であっという間に達してしまった。
それでも止まってくれるならまだしもだ。
「やとっ、や、やすみっ、い、いっいぃ……っ!」
休みがない。一秒たりとも休みがない。
「六花、休んであげたいけど、十五分だとすごく忙しいんだよ」
「ひ、ひっひがいしゃ、みたいな、かおっ……やめてっあっひっやぁ……!」
続け様にその長い指を入れられ、いつ覚えられたのか知らないけど気持ちいいところをヤワヤワと指圧されてしまう。私の内側はもう、ヤトの方が詳しいようにさえ思う。こんな性急なのに痛みも苦しみもなく、ただ、息も上がるほどに気持ちがいい。
「ほら、キスしよ?」
「や、やだっ、なめたじゃん……っ」
「人間には普通の行為だろ?」
「普通じゃないぃ……されたことないもんっ」
「そうなのか? ……そうか、嬉しい」
「わらうなぁっ……あ!」
私は今までこんなにされてことはない。させられたことはあったけど、こんな奉仕ばっかりされたことはない。こんなに気持ちよくさせられたことなんてない。私の気持ちよさなんて二の次どころか考慮されない行為のはずなのに、ヤトは私がよがればよがるほどうれしそうで……。
(こんなのに慣れたらおかしくなる)
危機感すら覚えているのに、ヤトは「六花、キスしたいな……」と色っぽすぎる声を鼓膜に注ぎ込んでくる。その声すら、もう、私の弱点だ。腿が震えて、ヤトの手首をぎゅうと包んでしまう。
「私の声、好きか?」
「んっ……ぐぅぅう……っ!」
私の中に挿し込まれた彼の薬指を締め付けてしまう。気持ちいい。頭の中で火花が散ってるみたい。がく、と崖から落ちるみたいに、また達してしまう。
(こんなの知らない)
ヤトとするセックスは、私の知ってるものじゃない。
(またわけわからなくなる、こんなのっ)
怖くなって、手を伸ばし、必死にヤトをつかむ。背中に手を回してしがみつくと、ヤトが深く息を吐いた。
「六花、怖がらないで」
ヤトが指の動きを止め、額を合わせてくれた。私を落ち着かせるように、ゆっくりと彼は呼吸をする。それに合わせて呼吸をすると、パニックに陥りそうだった頭が少しだけ冷静になる。
「息をしないと。六花、酸欠になるよ」
「ん、うん……」
「私がここにいる。君の手綱をちゃんと握っている」
彼が私の頬にキスをする。
「だから気持ちよくなっていい。ちゃんとここに戻すから」
彼が頬から、辿るように目尻にキスをするから、泣いていたと気がついた。
「……私を頼って、信じてほしい」
赤い瞳を見つめながら、深く息を吸って、深く息を吐く。
「君が、人に頼るのは苦手だと知っている。だから、……少しずつでいい。委ねてほしいんだ」
彼の息が唇に触れる。体から力を抜くと、彼が私にキスをした。触れて、離れる。少し舐めて、私の様子を伺ってくれる。
「ヤト……」
「うん」
私が呼べば止まってくれた。そのことに、ほっとする。
(ヤトはきっと、ずっとこうだ。私を優先してくれる)
これまでのセックスとは、そもそも心持ちが違うのだ。彼はこの時間を、とても大切にしている。それはきっと……私のことが大事だからだ。
「……もう、ちょっとゆっくりしていいよ……」
「そうか? じゃあ、入れたら少しゆっくりしていいか?」
「うん……」
「よかった。君の中にいられるのは、うれしい。……もう少し慣らすよ? 何度もイクのが辛ければ、……その、イカないように、なんとかする」
「なんとか……してくれるんだ?」
彼は生真面目な顔で頷いた。なんだかそれがおかしくて「いいよ」と笑ってしまった。
「ヤトに委ねる。……『短いもの』も、ヤトに任せる」
「……いいのか?」
「うん……私がおかしくなっても嫌わないでね……」
「そんなこと心配してたのか、ふふ、まだ私のことわかってないんだな」
ちゅ、と彼がキスをしてくれる。それだけで、ほ、と落ち着いてしまう。
「好きだよ、六花。……死んだって好きだ」
「殺さないでよ……」
「殺すもんか。……六花、指動かすよ」
「うん……んっ、ん、っ……」
気持ちよさに息を詰めると、咎めるようにかぷ、と頬を噛まれた。
「より好きになるだけだから。口開けて、息をして、声を出して」
「は、……ふぁっ、や、は、あっ……あっ、……」
ぬる、と彼の指が増やされる。気持ちよく、開かれていく。ヤトがうまいのはもちろんのこと、私が『開きたい』ときっと思っているからだ。
(気持ちいい)
痛くない、苦しくない、気持ちいいだけ。怖いことは何もない。
「ヤト、ヤト、……」
「ん?」
「よ、びたい、だけ、は、うっ……気持ちいい、いあ、すき、すきだよ……」
何も考えずに言葉を出して、嫌われない安心感。
「すき、だいすき……」
「……ずるいな。私も言いたいのに、そんなに言われては後出しみたいになる」
「なにそれ、ふふ、ふぁっあっあっ!」
ずぽ、と指が増やされ、圧迫感が増し、それに伴って気持ちよさも増してしまう。
「苦しい?」
「きもちいい、……やと、……はやく、ひらいて、ね、……」
「わかった……」
口をとがらせると、望んだ通りに彼がキスをしてくれた。口を開ければ、舌を挿し込まれ、口の中の粘膜すべてを愛されてしまう。
「ふ、はぷ、……ん、っ……」
体の内側を全部さらけ出している。容易く傷をつけられる繊細なところを、全て彼に触られて、愛されて、なぞられている。それが気持ちよくて、嬉しくて、いっぱいいっぱいだ。
(体の内側が泣いてるみたい、……濡れてる、私……)
ヤトの背中を優しく撫でる。私の指は気持ちよさに好き勝手にはねてしまうけれど、それでも彼が汗をかいているのはわかった。背中から、首を撫で、頭を撫でて、彼の額まで手を伸ばす。
そっと前髪を持ち上げると、ぬるり、と彼が舌をぬいた。
「ふ、ふへ、……まっかだ、やと……」
「……言っただろう? 口説かれたら照れるよ……」
「そっか、……んぁっ!」
指を抜かれ、甘く達してしまった。
指の代わりに押し当てられたものは相変わらず大きくて熱くてかたい。でも、怖くはなかった。
「きて、ヤト」
「ん、息を吸って」
言われたとおりに息を吸う。
「吐いて」
「は、ぁ、あっあっ……!」
息を吐くのに合わせて、彼が入り込む。すっかり緩んだ入り口が伸びて、彼を受け入れた。
「今日は……ここまでしかいれないから」
「ん、は、はぁ……」
先だけでも気持ちいいところは全部こすられてしまう。膝で彼の身体にしがみついてしまうぐらい、もう気持ちいい。馴染むように、彼がゆる、ゆる、と揺れてくれると、手が跳ねるぐらい気持ちよくて、また泣けてきてしまった。
「ヤト……」
キスがしたいなと思ったけれど、目の前にあるのはヤトの胸だ。
「も、うちょっと、小さいといいのに……」
「たしかに……すまない、大きくて……」
「キスできない……」
「え? ……あぁ……」
ヤトが、そっちか、と笑うと、ゆるり、と舌を出した。
「あは、は、なっがい……あ、ふぁっ……」
人ではありえない、長すぎる舌が私の唇に触れる。口を開けて受け入れると、舌にからみついてきてくれる。
「ひ、ふあっ、あっ……」
目を閉じて彼を受け入れると、あとはもう、気持ちよさしか残らなかった。
□
「二時間切った……頑張った……」
一回『終わって』から、ヤトは私の体を優しく清めてくれたあと、裸のまま後ろから抱きついて、万感の思いを乗せてそう言った。
「そんなしみじみと言うほどなの……?」
「あぁ。達成感がある。何よりも君の中で達せたのは初めてだ」
「そうなの!? 前回あんなにやったのに!?」
「だから一回も終わってないと言ったろう……」
後ろからヤトが私の胸をやわやわと揉む。気持ちよくしたい触り方ではないから、戯れているだけらしい。
「じゃあ、すごい我慢してたんだ……?」
「あぁ……ふふ、でも君の中に入れた……嬉しい……」
ぴったりと私にひっついたまま、ヤトがあくびをした。
「眠い?」
「ん……、……ねえ、りっか」
本当に眠いのか、とても甘い、舌足らずの声だ。聞いてるこっちも眠くなってくる。なぁに、と返すと、きゅるきゅると、彼が喉を鳴らす。
「も、すこし、おおきい、べっど、かおう……」
「ん? そうね、ヤト大きいから、セミダブルだと小さい?」
「いっしょに、ねたい……」
「え……?」
私は今更気がついた。
「ひとりで、ねるの、やだ……いっしょがいい……」
これは甘える時の鳴き声だ。そして、そのことに気がついたとき、私はさらに気がついた。
「……仕方ないなぁ……」
私はヤトに甘えられたらなんでも受け入れられてしまうぐらいには、ヤトのことが大好きだということを今更自覚して、少し笑えてしまった。明日ベッド買いに行こうか、ソファーも大きいのでもいいかもね、と返しながら、こんな風にずっと一緒にいたいな、と思った。
「すきだよ、りっか」
「……ありがとう」
人生で他の誰にも思ったことがないことを、人の形をした化け物に願いながら、眠りについた。
他人と一緒に寝るという、不安定な状態なのに、母が死んでから初めて、なんの不安もなく朝まで眠れる、そんな夜だった。
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