【ホラー】おまえが悪い

「おまえが悪い」血まみれの狸に、優しいおじいちゃんは吐き捨てました。



「ここは涼しさの楽園だ。棲んでいるのは、おじいちゃんたちと――狸」

小学校最後の夏休み。一花(いちか)は、涼を求めて田舎のおじいちゃんの家に行った。
山道を車で走っていると、一匹の幼い狸を轢いてしまう。

「おまえが悪い」

虫の息の子狸を、おじいちゃんとおばあちゃんが、そう吐き捨てる。
「狸はわるい生き物だから、こうしないと祟るんだ」
そう言って死骸を足蹴するふたり。
そして一花は、都会と違って肌寒く、暗闇に満ちた夜を迎える……。



コバルト編集部さんの某企画で志し半ばで散った誉高き作品。
テーマは「異質さ」。
流血表現などあります。
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