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第十六局【決勝戦編】
12巡目◉課題優先
しおりを挟む最終戦南入。勝負は後半戦に突入した。親は左田。
左田ジュンコは親番だからリーチして攻めたいのと最後の親番をなんとかして維持するために鳴きたいのとで考えが揺れていた。
(メンゼンで行くなら役牌はいらない。でも、仕掛けて行く方針も捨てがたい…… どうする)
タンヤオもピンフもつかなくする三元牌の存在は扱いの難しい問題だった。
「すいません…」
左田が第一打から長考する。そんなことは普段ならまずない。決勝戦のプレッシャーが左田に大きくのしかかっているのは誰の目にも明らかだった。
(ジュンコさんのこんなに長考するとこ初めて見た)
《親番のジュンコにとってはここが天下分け目ですからね》
左田1巡目
打発
この、ごく普通の切り出しに15秒ほどかけた。その事実が(この局はリーチで攻める。先制リーチの為に目一杯まで広く受けて鳴かれそうな牌はスタートから処分していく!)と宣言しており、危険信号だった。
それを見た白山シオリが(その対応はさすが)としか言いようのない反応を見せた。
「(四)チー」
「ロン。1300」
二三②②②⑧⑧中中中(二三四) 一ロン
四の方を鳴いてタンヤオに見せかけての一をロン。しかも、鳴かなければ四暗刻イーシャンテンの手からの仕掛けである。
(くっ! 確信してる鳴きだ。ここで私が決定打を作ろうとしてることを…。やられた——)
そう、ジュンコは鳴いても高打点になるからこそ第一打で役牌を処理するかに悩んだのだ。そのことを知っていたとしてもこの鳴きは決断に躊躇するはずだが、四暗刻はおろかトイトイすら取らずに親のチャンスを潰すという課題を優先出来る白山シオリはまさにプロだった。
(なんて冷徹なアガリ)とカオリはこれを見て戦慄した。だが次の瞬間。
「フゥ…」
とシオリがため込んでいた息を吐き出した。
それはそうだ。女王といえども当然緊張もするし迷いもある。
(そうだ、シオリさんだって同じ人間。私が勝てない人ではないんだ! 勝ち抜いてみせる。——集中!)
ゲーム終了まで残り3局————
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