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第十六局【決勝戦編】
4巡目◉オールorナッシング
しおりを挟む1回戦でシオリに跳満を放銃したミサトはそのままラス。カオリは3着だった。まるで、新人にはまだ早いと言い放たれたようだった。圧巻する女王シオリ。
休憩中——
「クソー。やっぱり白山プロ強いなー」
「「フゥ…」」
自販機の前にあるソファに2人で座りココアを飲みながら2人は同時にため息をついた。
「まあ、まだ半荘3回あるし大丈夫大丈夫」
「…ありがとう、カオリ。……でも、今日は決勝戦。つまりはオールorナッシング! 2人とも仲良く勝つとかは出来ないんだからね。休憩中でも気を緩めちゃだめよ。私達はいま敵対してるんだから」
「アンタが先に話しかけたんでしょ。面倒なこと言わないでよ。だいたい、私達は卓上で私情を挟めるほど心の余裕なんてない。そうでしょ」
「ま、そうね」
するとコツコツとヒールの音を立ててシオリが近づいてきた。
「なーに、2人して作戦会議?」
「あは、そんなもんで勝てる相手ならいくらでも会議するんですけどね」
「まあ、優勝は1人しかできないから会議したってケンカになるだけですけど」
「それもそうね。——私は期待されてるし負けてあげられないけど、でも2人も頑張って。いい試合にしましょうね」
「「はい!」」
「はーーー……。いいヒトだわー…。素敵だなぁ」
「ほんと素敵な人よね。知ってる? 白山プロは最近メガネもかけるのよ。それがまた似合うと評判なの」
「そうなんだ! ミサト詳しいね。でも今日はしてないね」
「ファンだからね。んー…… やっぱりアイドルとかってメガネはしないのが普通だからじゃない? でも、似合う人はしててもいいよね」
左田ジュンコは何やら仕事の電話とメールをひっきりなしにしていた。創刊号が出たばかりだから何かとやる事が山積みなのだろう。
『ハイ! そろそろ時間ですので選手の方と撮影係の方は卓の方へ移動して下さい! 間もなく2回戦を始めます!』
「じゃ、お互い頑張ろうね」
「足を引っ張り合うくらいのつもりでやるからね!」
「のぞむところよ!」
「「私が勝つ!!」」
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