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第十伍局【師団名人戦編②】

15巡目◉準決勝終了

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『ところで左田純子プロはファンの人気投票でシード獲得をしたという今大人気の女性ですが、さすがというかなんというか、佇まいひとつとっても美しいですね。私も模範としたいと思います。小林プロは人気投票誰に入れましたか? 師団の団員は投票が義務でしたもんね』
『え? 私の投票なんて誰でもいいじゃないですか』
『なんだ~? 内緒にしたって意味ないでしょう。誰に3ポイント入れたんです? あっ、わかった。井川ミサトでしょう? 美しいから。違う?』
『違います』
『じゃあ誰なの? 財前真実ちゃんかな? かわいいもんね』
『違う』
『じゃあ——』
『成田』
『…へっ?』
『成田プロに3ポイント入れた』
『あっ、アタシぃ?? なななななんで私に?!』
 まさかの答えに不意を突かれメグミは耳まで真っ赤になってうろたえた。
『勘違いするな。オレは成田の麻雀が好きなんだ。勇敢な、オレにはできないトップの取りかたをする』
『そ、その方が余計に照れるよおおぉ』

『…だぁから言いたくなかったんだよ。たく、しつこいんだよ』
『うぅ… ゴメンなさい』

 放送席の2人がイチャイチャしてる間にカオリにテンパイが入る。

『あっ、財前。テンパイしました! しばらくテンパイしないだろうと思っていた配牌をノーミスで七対子チートイツにしました財前香織!』

「リーチ」

親番
4巡目
カオリ手牌
一一二二四四②③③⑤⑤白白 ドラ②

『ドラ単騎で強行しました!』
『親ですからね、プレッシャーをかける意味で先制リーチはした方がいいと踏んだのでしょう。ダマなら出るはずという牌でもありませんし』

数巡後

「ツモ!」

『ツモったー!』
『裏は?』

裏ドラ九

「6000は6700オール」

『裏は乗ってませんが6700オールという聞いたことない点数を申告しました財前香織』
『供託点数合わせて30100点です。一気に来ましたね』

————これが決定打となった。

 その後ジュンコがアガリを連発するがカオリを突き落とすのはもはや不可能であった。

『決勝進出は左田純子プロと財前香織プロ!』

ワアアア!!
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!


 準決勝終了。決勝進出は1位通過左田純子。2位通過財前香織。この2人。つまり、師団名人戦決勝は女流プロ4人の戦いと決まる。

 これは女流プロの時代の幕開けを感じさせる大事件だ。
 このおかげもあって、女流プロに焦点フォーカスを当てた『月刊マージャン部』の創刊号も決勝進出者の財前香織を取材していたからか発売日から一気に飛ぶように売れた。
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