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第十伍局【師団名人戦編②】
13巡目◉横移動
しおりを挟む『さあ、財前香織の機転によって展開が変わりました』
『ドラポンしたあとチーしないことによりトイトイ含みのハネマン級までイメージさせて結果全員がその威嚇にやられてノーテンになりましたね』
『私ならそもそもあれ鳴けません。メンゼンでなんとか形になってくれないかなぁと思ってる段階ですね。楽観的でしょうか?』
『いや、普通そんなもんでしょう。彼女のあの鳴きは見切りが凄いなと思いますよ。私もきっと鳴けません』
しかし、カオリはその後もアガれない。テンパイノーテンテンパイノーテンでじわじわと久本との点差はつめていたがテンパイ料の大切さをよく知る競技麻雀が趣味の薬袋とは点差をつけられたままだった。
そしてオーラス。3巡目——
「ロン」
「へっ?」
その突然のロン発声をしたのはジュンコだった。放銃者は——久本カズオ。ノーテン罰符でカオリと7600点差までつめられていた3着目のカズオの放銃だ。さあ、ジュンコのアガリは何点だ?!
左田手牌
二二三三四四六六八八255 2ロン ドラ六
「8000」
「マジ?」
『タンヤオチートイドラドラ! たった3巡目にしてダマ満貫!』
『不幸としか言いようがありませんね。満貫炸裂ということは…!』
『これで財前香織はこの横移動で3着に浮上しました!』
1回戦終了——
一時はどうなるかと思ったカオリだがこれで2回戦に薬袋を倒せば決勝戦だ。難しい条件ではない。
(良かった…… オーラスでラッキー3着になれたから2回戦の条件が軽くなった。ジュンコさんに感謝だなぁ)
《カオリが頑張ってテンパイ料を取りに行ったからの点差でもあります。ラッキー3着も頑張ってなければ取れてませんでした。ラッキーだけではない。実力ですよ》
(えへへ。そっかなぁ)
《カオリは強いです。きっと2回戦は勝って決勝に行けますよ。私には見えます。優勝するカオリの姿が》
「よーし!」
(必ず勝つわ! 見ててね、woman)
《はい。信じて見守っていますよ》
womanに鼓舞されて気合いを入れたカオリは全員の点数を30000点に揃えて2回戦の開始を卓で待つのであった。
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