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第十四局【師団名人戦編①】
12巡目◉アスリート魂
しおりを挟む師団名人戦は来月の本戦3回戦4回戦を突破すればその次は準決勝A卓。その次週に準決勝B卓。そして11月10日に決勝という日程だ。
参加するプロ雀士は普段のリーグ戦は活動休止中の者なども師団名人戦だけは参加したりするので年々多くなっていて、東北支部や関西支部、九州支部などからも集まってくるので参加者1000人を優に超える大会だ。そのベスト36にあたる本戦3回戦にカオリとミサトは残ったということ。それがどれ程凄まじいことかはカオリたちに想像はできていなかった。周りが2人のベスト36入りに大騒ぎしてるけど、大げさだなぁ。くらいにしか思っていなかったのだった。
────
それから数週間後、ジュンコたちの作る雑誌。『月刊マージャン部』がほぼ完成した。
その中にヤチヨが書いていた小説が載っていた。
「これなんだけど、あなたにも見てもらいたくて」
カオリに雑誌の試作品を左田が持って来た。
「ヤチヨちゃんの書いた小説。読んだ事ある?」
「いえ、私は近頃自分で書くばかりで、あまり読んだりは最近してないです」
「ここから、読んでみて」
「………………………………… これって……… 私?」
なんと、ヤチヨの書いていた小説の主人公はカオリがモデルになっていたのだった。
「なんで私なんだろ」
「『最初は一番弱かったから』って言ってたわ」
「…なるほどね」
この小説こそが後に作家として歴史にその名を刻む『ヤチヨ』の代表作となるのだがその話はまだまだずっと先のこと…。
────
今日も左田純子は麻雀部を訪ねていた。近頃は取材でというより麻雀部の少女たちにただ会いたくて来ていた。若い女の子たちが自分の好きな麻雀という遊びに夢中になってくれているだけで嬉しくなるのだ。あと、グリーンのアイスコーヒーを飲むのも水戸へ行く時の楽しみのひとつでもあった。
「明日はついに3回戦ね」
「勝ち抜いたら4回戦で当たりますね私たち」
「きっと明日の4回戦でカオリちゃんと戦えるって信じてるわよ」
「4回戦で会いましょう! ジュンコさん!」
そう言って強く握手すると2人はお互い同時にこう言っていた──
「「手加減は無しで!!」」
2人はお互いのアスリート魂を確認してニヤッと満足そうに笑ったのだった。
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